Is it true? The things they say.... No... I don't want to believe it. My brother wouldn't keep secrets from me. Why would he? If he needed some comfort, he would go to Val. If he needed someone to just talk to, he would've come to me... Wouldn't he?... |
オレはサイモンから書類を預かり21分署から抜け出る。
ちゃんとした礼も言わずオフィスから去ったのだが‥‥そんなことはどうでもいい‥。 オレは車に乗り込みハンドルに覆い被さる。 …信じられない‥‥、ニックが‥‥‥ オレに隠し事?‥‥ 幼い頃から全て打ち明けてきた仲なのに‥。 …何だか裏切られた様な感じで眩暈がした。 オレは暫く途方に暮れるが、バッと起き上がって携帯をポケットから取り出す。 「Hello、ヴァル?‥‥ああ大丈夫‥。ちょっとこれから寄ってもいいかな?」 「どうしたの? 突然‥‥」 ヴァルはオレにコーヒーを入れながらキッチンの椅子へ腰掛ける。久し振りに訪れたニックとヴァルの家。‥‥こんなに広かったっけ? もう昼なのにヴァルはバスローブのままだ。化粧をしていない所為か顔が青白く見える。 「…最悪でしょ? そばかすとかはっきり見えるし‥‥」 オレの視線を感じたのか彼女は笑いながら手で顔を隠すような仕草をする。 「ってゆーかちゃんと寝てるか? 目の下クマがくっきり‥」 オレは思いっきり腕を叩かれる。 「失礼ね。‥貴方も人のこと言えないわよ。」 確かにオレも疲れきったおっさんのような面をしているんだった‥。 「‥‥あれ? 薄いけど貴方って髭生えてるのね」 ヴァルはオレの顎をなでる。 「ん? ああ、まぁ 一応男だし‥‥」 「ニコラスは全然なかったけど‥‥‥っていうか女の私が羨ましいほど産毛も薄かったし、すべすべしてたし」 おいおい、死んだ旦那に嫉妬するなよ‥。 「オレ等男性ホルモンが足りなかったんだと思う‥。オレは大学に入ってからわざと剃りはじめたんだ。それでもこれだけしか生えないんだぜ?」 悲しいったらありゃしない‥。ニックはそんなに気にしなかったらしいが、オレには最大のコンプレックスだった。まぁ、お互いスポーツは得意だったから背が結構高い‥‥ってのが唯一の救いだが…。 「そうね。私 貴方が‘かっこいい’なんて一度も思ったことないもん。」 どっちかというと‘可愛い弟’って感じかな‥実際そうなったけど‥と、彼女は笑いながら打ち明ける。オレのコンプレックスをよくも‥‥。 「オレはニックと違ってガキだよっ、どうせ」 オレは乱暴にコーヒーを飲む。 昔っから頭も良かったし、喧嘩とかからオレを守ってくれたし‥‥。 『‥‥‥ん?‥』 ニックってそんなに喧嘩強かったっけ? オレの方が喧嘩良くしてなかったか? オレがそんなことを考えてると ヴァルが微笑む。 「‥‥かっこいいっていうか、‥‥‥‥綺麗だった‥」 オレはうなずく。 「あぁ、どっちかとゆーとお袋似だもんな ニック」 ヴァルは笑う。 「そうじゃなくて‥‥‥。‘綺麗な人間’だった‥」 ‥‥ああ、外見じゃなく中身が綺麗だったってことか。 …まぁ確かにお人好しで思いやりのある兄だったからなぁ。 「‥‥‥‥‥‥ヴァル‥‥‥オレ、‥ニックのストーリーをかくことにしたんだ‥」 彼女は驚いたようにオレをみる。…当たり前だよな。 ‥‥本題に持ち込んだのはいいが、次に何を言えばいいのか分からない。 「‥‥‥‥お母さんは知ってるの?」 オレは首を振る。 ヴァルは探るような目でオレをみる。‥‥オレは、ただ待つ。 「‥‥‥‥‥‥ケネス‥‥貴方…まさか」 オレはただ視線を地面に送る。彼女は相変わらず勘が良い。 「ケネス、お願いだからそんなことしないで‥‥。‥‥‥一体誰がニコラスを―」 「オレはそう信じていた‥‥‥‥今日までは…」 オレは椅子へうなだれる。彼女は静かに待つ。 「‥‥‥どうして、精神科に通ってたことを秘密にしていたんだ?」 ヴァルにではなく、自分自身に問う。 静かな空間。 オレはただ時間が過ぎるのを待っている。 「私も、ニックが亡くなる3日前に知ったの‥。殆ど署で寝泊まりするようになってから心配で‥‥‥電話をしてみるとサイモンがはじめて教えてくれたの‥‥」 オレは彼女を見上げる。 「でも‥‥、‘ケニーだけには絶対に言わないでくれ’って強く頼まれたの‥‥‥。きっと貴方に心配を掛けたくなかったのよ‥」 「‥‥‥バカ野郎‥‥」 オレはぼんやりとコーヒーからわき立つ湯気を見る。 ヴァルは何も言わなかった…。 Part 6: End Back top Next |