私は株式投資を始めて1年近くになる個人投資家ですが、今年の6月に店頭公開した ばかりの(7585)かんなん丸に注目しています。私と同じ個人投資家や各証券会社の アナリストの方々はどのように思われるでしょうか。 大口投資家や機関投資家の方々にとっては、このような銘柄は普段から投資の対象外 で見ていないと思いますが、会社としての回答でなくてもこのメールを見た方の個人 的な意見、感想でも結構ですので、お忙しいところ大変恐縮ですが、お返事をいただ ければ幸いに思います。  

もちろん、投資の最終的な判断、責任は私自身にあることは十分承知致しておりま す。

かんなん丸は東証2部に上場している大庄のフランチャイズ店を主力として展開して いる会社です。居酒屋「庄や」が20店舗、カラオケボックス「うたうのだ村」が2 店舗、無国籍料理「KUSHI949KYU」が5店舗、コーヒーショップ 「ドトールコーヒー」が1店舗という店舗展開で、ほとんど全店が大庄のフランチャ イズです。

私が評価している点としては、特に業績の好調さです。かんなん丸自体は決算変更を 考慮すれば毎期連続増収増益、過去最高益を連続して更新していると業績的には申し 分ない会社です。また、店頭公開してから初の決算ではアトラス、ジャストシステム に代表されるように下方修正をする会社が続出していますが、かんなん丸は逆に当初 予想よりも利益が出ており、今99年6月期も会社予想は保守的な予想だと思われま す。ROEでも18%台と店頭企業の中でも上位に位置します。

また、財務面から分析するとすれば、公募増資により株主資本比率は62%、1株純 資産が485円、99年6月期予想1株利益71円で今現在(9/25)の株価は 405円程度とPBRで0.83倍、PERで5.7倍と割安で推移しています。

あと、流動比率の面で大庄とかんなん丸を比較してみると

銘柄 (直近の本決算)    流動比率(%)

かんなん丸(98年6月)        137
大庄    (97年8月)         39

など、一般企業では流動比率は100%以上、出来れば120%以上ほしいところで すが、外食企業の流動比率は100%を切っている会社がかなりあり、50%すら切 っている会社さえもあります。大庄は流動比率が39%ですが、外食企業は日銭の入 る商売であり、経営的にも資金の回転が速い産業なので、資金効率という点から言え ばこれでも十分でしょう。対して、フランチャイズのかんなん丸は流動比率が137 %で100%を超えて、本部の大庄でさえも上回っています。と言うことは、本部の 大庄を基準にして流動比率が40%前後でも経営できるとすれば約5億円程度(流動 資産7.4億円、流動負債5.4億円として)は借金を増やさなくても設備投資、新 規出店が可能と言うことです。だからと言って、自己資本利益率を見る限りでは、資 金効率が悪いとも言えないでしょう。

今後の店舗展開としては、年間5店舗ずつの新規出店をするとのことでした。前期に 出店にかかった費用は実績で1店舗あたり約5千万円前後で合計2億5千8百万円で す。98年6月期末で現金預金が6.7億円、有利子負債が4.7億円(長期2.8 億円、短期1.9億円)という財務内容と、利益処分で役員賞与も払っていないこと そして税引き後利益と減価償却費を合わせたキャッシュフローを計算すれば3億円程 あるので、このペースで出店していくのなら、財務内容を悪化させることなく新規出 店が容易に可能です。

そして評価できる点は、最初に店舗を出してから今まで撤退した店舗がないというと ころです。これは店舗を出店するときに、1日の駅の乗降客が1万人を超えるところ にしか出店しないなどの緻密な計算があるからでしょう。 特に小売・外食産業は”出店=売上の増加”につながるので借入れをしてでも、立地 条件が多少悪くても積極的に設備投資します(結果として実際に撤退する店舗も多い ので)。設備投資をできる状況にあるとしても、そこのところを妥協しないでこらえ て、経営資源を蓄えているというのは本当の意味で勇気がいることであり、前に述べ た財務内容を良好に保っていることからも、こういう経営方針で経営している経営者 自体も評価できるのではないでしょうか。かんなん丸の佐藤栄治社長は、私が会社案 内、社長のインタビュー記事などを見る限りでは、フランチャイズに属しているとは 思えないくらい、独自の信念を持って会社を経営しているのがわかります。

あと将来性を考えれば、この会社は埼玉県を地盤としており、今後の急成長が見込め る地域であります。21世紀には人口が日本第4位となり埼玉新都市計画による政府 機関の移転構想や政令指定都市の認定などで、第2の東京となる可能性も大いにあり 得る地域でもあり、その経済波及効果は計り知れません。その埼玉県だけでもまだ出 店候補地が100箇所もあるというので、長い目でみれば今後の成長性に期待できま す。

個人投資家から見て、かんなん丸の株式を保有するメリットとしては、1000株あ たりですが株主優待も含めた利回りが8%近くになると言うことです。株式は株価の 変動で損失になる可能性が当然ありますが、含み損になったとしても売らずに10年 物の定期預金の感覚で13年以上保有していれば、配当に変動がなければ配当だけで 元が取れることになります。年間配当だけで1株につき12円で2.9%、株主優待 が年間2万円分で4.8%の合計で3万2千円の7.8%になります。今現在の相場 では他にも株価が安く高利回りな銘柄はいくらでもあるでしょうが、無配転落、減配 の可能性のある会社を別にすれば、業績が好調な会社で利回りが8%近くある会社は あまりないでしょう。あくまでも1000株あたりですが、もし家族が5人いるとし て名義を別々にして5000株保有すれば、株主優待が年間で10万円分にもなるの で考えようによっては美味しいかもしれません。

そしてこれは特筆すべき点ですが、四季報の株主優待の欄には「10000円相当 (500円の食事券を20枚)の優待券を半期ごとに贈呈」と書いてあります。目論 見書にでさえもこのようにしか書いていません。これを見る限りでは、かんなん丸の フランチャイズの店(埼玉中心)でしか使えないように見えますが、私が会社に問い 合わせたところ、実は大庄グループの全店で使えるということを聞いたので大変驚き ました。それだけではなく、食事券、又は産直品の中からマスクメロン、毛ガニ、す き焼き肉などの全13点の5000円相当の豪華な物の中から2つ選択できます。今 現在、配当利回りが約8%と高利回りで放置されているのは、例えば埼玉に住んでい ない人がこの銘柄を投資しようとしたとき、四季報の株主優待の欄を見て、この株を 保有しても自分にはメリットがないと勘違いした人が多かったとしたら株価が400 円台というのも納得できます。しかし、株主優待が四季報の前述通りの内容であるの と、実は大庄グループ全店で使えて、なおかつ、産直品が選択できるというのでは、 まったく意味合いが違ってきます。大庄グループの店はほとんど関東にありますが、 遠いところに住んでいる人でも産直品の方を選択すれば使えます。こういったことは 私のように会社に問い合わせた人しか知らないと思うので、他の公開後に買った株主 の人でさえも、この事実を知らない人が多いかもしれません。そうでなければ株価が 400円台ということはないと思います。なにしろ、株主優待も含めた配当だけを目 当てにするならば、同じ単位株で買うなら大庄よりもかんなん丸を買った方がはるか に得だからです。この点は会社側の今後のIR活動の面に課題があることだと思います。

あと通常、売上高で40億円程度の規模の会社が独自展開をしていると、当たった場 合には規模が小さいぶんだけ、業績変化率に大きな影響をあたえるので成功すれば良 いのですが、逆に一度失敗すれば立ち直りがほとんど出来ずに即倒産という可能性が ないわけではないと思います。対して、かんなん丸は大庄のフランチャイズで有れば 大庄のシステムがすべて使用でき、この規模の企業ではまず不可能な社員研修、新商 品の開発が出来ます。
また、そう言う分野を大庄本体に任せるので、かんなん丸自体としては新規出店など の営業面に経営資源を集中できます。物流面でも、大庄が一括購入した食材を使用す るのでトータル的な面で考えた原材料の調達コストダウンができ、経営資源をこっち に振り分ける必要もないのです。 フランチャイズは、コンビニに代表されるように 利益を吸い上げて、後は本部だけが繁栄しているというふうに見る人もいますが、 かんなん丸の業績を見る限り、きちんと利益を確保しています。この規模の会社にと っては大庄のシステムを使用しているので有れば、フランチャイズのデメリットより もメリットの方が大きいのではないでしょうか。

私は以上のことからも、このようにかんなん丸を高く評価しています。そして株価も 405円で公開後の安値近辺で推移して非常に割安に感じます。他の人がどう思うか わかりませんが、知名度、流動性を重視している人や、主にテクニカル指標を用いた テクニカル分析で投資判断している人は、このような無名に近い店頭の小型株をファ ンダメンタルズ分析してもまったく意味がないと思っているかもしれません。

そして投資対象にする銘柄を選ぶにも、本田技研工業、ローム、などの下請けで部 品を作っている会社よりも親会社そのものを、業種では地味な鉄鋼株よりも華やかな 情報通信関連株を、これと同じように小売・外食産業ではフランチャイズよりも独自展 開している方を、というように比較対象もしないでイメージや規模などだけで、「最 初からこっちだけで」と決めつけていたら、もう一方では、会社の実態と株価を評価 すれば本当に割安な株があったとしても気づくこともありません。

特にかんなん丸に関しても公開後の決算が予想よりも良かったにもかかわらず、もう 一方で同じく新規公開したばかりのオリジン東秀やサイゼリヤのように買われていま せん。これはあまり関係がないかもしれませんが、証券コードも近いのになぜ注目さ れないのか、と思うのは私だけでしょうか。業績がよければフランチャイズ、独自展 開は関係ないと思います。でも結局、株価が上がるかどうかは需要と供給の関係にも より、また、「株は美人投票でもある」とも言われるように、出来高もある東証1部 などの他の大多数の人たちが見ている銘柄に投資したほうが無難というのも1つの投 資方針かもしれません。

長々と思いついた事をまとまりなく書いてしまいましたが、このメールを見た皆さん はかんなん丸についてどのように思われるでしょうか。かんなん丸自体を初めて聞く 方でも、やっている内容が主に居酒屋の「庄や」なので、勤め先が首都圏ならアフタ ー5などで馴染みがある方も多いと思います。「庄や」そのものや居酒屋業界の事で も結構ですので何か知っていれば教えてください。

差出人 春山 寛人
メール roto@po.teleway.ne.jp





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