店主の読書日記 JUN2003 タイトルリスト 作家別リスト

2003/6/30

 送別会。
 一人は定年退職、一人は早期退職という合同の送別会だった。(最近はご卒業といっている)  片方のK村さんとはクラブで一緒だったので、出席っした。
 闇夜で見えなくなるような色黒、ゴールドの時計、指にゴールドの指輪、紫色のシャツに黄色のネクタイ。ある日のK村さんのファッションである。(オプションで濃い香水も忘れてはいけない)
 なんとなくウカツに近寄れない雰囲気だが、見かけと違って気さくで天真爛漫な方だ。
「やあ、リオハ(仮名)さん。結婚しないの?」
と、毎回、直球の挨拶が来たりする(笑)。
「いい方がいたら紹介してくださいよ」
と、いったら
「リオハさん、中国語喋れる?」
と、聞かれた。
 なんでも、ハノイのホテルに赴任してる人が今、日本に帰って来て、中国語の先生を探しているとか。
「ホテルマンは、めったに家にいないし、住居は支給されるし、ダンナとしてはいいよう」。
 そういわれましても、中国なんて喋れませんがな。ついでに、探しているのは本格的な語学教師で、K村さんの天真爛漫さで「中国語のわかるお嬢さん」と読み替えをしてる可能性もある。転勤してから一緒だった数年を思い起こすと、すっごくある(笑)。
 いや、でもK村さんていい人なのよ。お土産に図書券(500円)をいただいたから言うわけじゃなく(笑)。
 とりあえず、この図書券は大事に使おうっと。(えっちな本とかは買いません)


2003/6/29

『天帝妖孤』(乙一/集英社文庫)読了。
 うーん、巧い。
 この本には短編が2編入っていて、一つが表題作。もうひとつが「A MASKED BALL」。
 好みは分かれるところかもしれないが、私は「A MASKED BALL」の方が好き。これはホラーの装いをしたミステリだ。ミステリファンとしては、やっぱりこっちを贔屓してしまうよな。
 私は乙一という人の作品を読んだのが最近だったせいもあって、どうも「すごく若い人」というイメージがある。この前デビュー作を読んだから、今、19歳、みたいな(笑)。
 解説で「まだ23歳」と書いてあって、自分の思い違いを知ったわけです。でもなあ、やっぱりこの年にしては練れた感じで「巧い」という感想になっちゃうんだよなあ。
 でも、「A MASKED BALL」。のドライな、それでいてとぼけた味わは、なかなか日本人離れした感触なので、翻訳好きとしては期待の新人(私にとって)なのだ。

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2003/6/28

点子ちゃんとアントン  「点子ちゃんとアントン」を見る。
 うわー、ちょっと思いがけぬ拾いものって感じ。
 元が童話なので、メインターゲットは子供のはずだが、子供だけのものにしとくのはもったいない。  とにかくカメラワークがいいし、色彩も美しい。たぶん、これは私が初めて見たドイツ映画なのだけど、ヨーロッパな、それでいてフランスとはちょっと違うセンスだ。
 アイスクリーム屋の水色にエンジのラインの入ったタイル。たくさん光の入る学校の体育館。夏色が鮮やかなハンモック……。心地よい色合いやカタチに溢れている。

 原作は『ふたりのロッテ』で有名なケストナー。
 日本でも古くから訳出されていた。私の子供の頃にもう出ていて、図書室でタイトルを見て「変てこだなあ」と思ったものだ。「外国のお話なのに、『点子ちゃん』だって」って。(私は、この作品が外国ものだというのを知っていた。昔から翻訳ものが好きだったんだねえ)
 原題は”Punktchen und Anton”。Punktchenが点子になるわけだが、Punktがドイツ語で点の意味だそうだ。Chenが接尾語。ちびまる子の「子」と同じ感じでしょう。
 いやあ、ちょっと調べただけで長年の疑問があっさり解けました(笑)。

 映画では、舞台は現代に置き換えられている。
 点子ちゃんは元気な女の子、親友のアントンは賢くて優しい男の子。
 このアントンくん、お母さん思いで、男気もあって実にステキ。惚れてしまうわ、小学生だけど(笑)。病気のお母さんの代わりにアイスクリーム屋で働いて、でも、お母さんが心配するからそれを黙ってたりするのだ。(泣かす!)
 物語はすごくオーソドックスなんだけど(いじめっ子は2人組だ。ジャイアンとスネちゃま)、オーソドックス=つまらないということでは全然ないんだな。
 ところで、私がビデオを巻き戻してまで見たシーンがひとつだけある。それは点子ちゃんの家庭教師のフランス娘が、キャビアをてんこ盛りにしたサンドイッチを食べるシーンだ!(笑)
 これがもう、すごいの。
 薄切りのパンにみっしりと黒いツブツブが! ……って、我ながらちょっと反省。途中まではいいこと書いてた気がするんですが。


2003/6/27

 またもや、デュ・バリー夫人の話。
 この人、弁当のオチだけでなく、本当に庶民的だったらしい。と、いうより「庶民」。
 元々が娼婦のようなことをしていて、デュ・バリー伯爵が立身出世のために国王の愛人としてスカウトしたという資料がある。デュ・バリー伯爵の弟と結婚させて、国王にふさわしい身分をあてがったというから、こういうことって洋の東西を問わないのかもしれない。日本の側室も武家の養女にして奥向きに上げる、なんてことをやっているし。

 ルイの死後、追放。
 フランス革命の時はイギリスに亡命していたらしいが、「屋敷に隠しておいた宝石類が心配で」フランスに戻ったところを捕らえられ、処刑された。(亡くなったのはアントワネットと数日しか違わない)
 この最期は、なんとなく物語に出てくるデュ・バリー夫人らしいなあ、なんて思うのは私だけだろうか。


2003/6/26

 『聖霊狩り――贖罪の山羊』(瀬川貴次/集英社コバルト文庫)読了。聖霊狩り安内市編の完結だった。
 天使が出たり、女神が出たり、異世界との扉が開いたり、結構ドカーンと大ネタだったわりにうまく収束したなあ、という感じ。
 ここでもラストに向けてマジメな物語が続くので、個人的には、こう、瀬川貴次を読む醍醐味がイマイチです(笑)。
 お気に入りの萌ちゃんは、目尻を波打たせたまま、ずーっと寝てるし。(どんな暗黒な夢を見てるのでしょう)
 7月に短編集が出るみたなので、そっちに期待……って、お笑いをか!?

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2003/6/25

 昨日の、デュバリー伯爵夫人のことを考えていた。ベルばらのどこいらに出てきたっけ?
 ふと脳裏をよぎったのが

 今日はベルサイユはたいへんな人出ですこと。

というアントワネットのセリフ。
 そうだ、そうだよ! 思い出したよ!
 確かベルばらでは、呼び名はデュバリー夫人。史実と同じ国王の愛人として登場する。ルイ15世の寵愛を受け、並ぶものとしていない権勢を誇っていた。
 アントワネットはこの愛人を嫌い、徹底的に無視する。
「ふんっ、妾ごときが大きな顔をして」。
 デュバリー夫人はこれが悔しい。
「社交界の女王のワタクシに失礼な! あの無礼なオーストリアのメスガキっ!」
 ……と、まあ、ご近所のおばさん同士の争いみたいなことが、ベルサイユでも起っていたわけですね。
 しかし、問題は、この2人がゴミ出しで揉めている近所のおばさん同士でなかったところ。アントワネットに無視されたデュバリーは、パトロンのルイ15世に甘え声で訴える。
「ねぇええん、ダーリン。皇太子妃ったら、私のこと無視するの。デュバリーちゃん、悔ちいでちゅー」
と、言った……かどうかは知りませんが。
 ルイ15世はフランスの王様、対してアントワネットはオーストリアの王女。このままでは、フランスとオーストリアの国交にも差し障りが出てくる。
 そう説得されたアントワネットが悔し涙を流しながら言ったのが上記のセリフ。(だったはず)

 しかし、このデュバリー、私は肖像画を見たことがありません。
 同じ国王の愛人のポンパドゥールとかディアーヌなんかは何枚も肖像画を見たことがあるのになあ。国王の寵愛を受けるくらいだから、きっと美人だったはずなのだけれど。


2003/6/24

 銀座の松屋デパートで、思いきって買ってみました。

 何の箱?

 青い箱にフランス語、なにやら由緒正しき店のよう。

 中味は















 おフランスの幕の内?
 お弁当でした。

 この店の名前は「コンテス・デュバリー」。日本語だと「デュバリー伯爵夫人」でしょうか。ベルばらに出てきてましたね。ルイ15世(マリー・アントワネットの旦那の父)の愛人として有名です。
 1908年創業のフランスの高級シャルキュトリー(お惣菜屋)だそうです。
 フォアグラの香りなんかしないぞ
 ハンバーグにはトリュフのソースがかかっていて、コロッケにはフォアグラ入りだとか。ひかえひかえぃ、高級であるぞ! って、感じの小道具(食材か?)ですね。
 でも、お値段780円ナリ。
 庶民的な伯爵夫人です。
 伯爵夫人の御姿


2003/6/23

 もう、○○探偵というやつはすべて読んでみようと思いました。……って、前にも書いたような。
 『看護婦探偵ケイト』 (クリスティン・グリーン、浅羽莢子訳/扶桑社ミステリー文庫)。
 山村美沙サスペンスで「看護婦探偵・鮎子」という斉藤由貴主演のシリーズがあったらしい。(看護婦探偵で検索したら出てきた) どこの作家でも1回は思いつくネタなんだろうなあ(笑)。

 作者のグリーンは、これが日本初紹介で看護婦の経歴を持つ。ただし、その知識がいかんなく生かされた本……というよりは、すごくオーソドックスなイギリスのミステリという感じ。アメリカや日本のミステリ事情はずいぶん変わったと思うのに、イギリスのミステリは小道具さえ変えればクリスティ時代のものとさしてかわらないような感じがする。全部じゃないけど。
 読んでいて、何か既読の感じがしてしょうがなかったのは浅羽莢子さんの訳のせいばっかりでもないだろう。
 主人公にあんまり心惹かれないせいかもしれない。唯一、家主のヒューバートは面白い。冴えない中年の小男で葬儀屋で、足フェチ。特徴を並べると、とってもステキキャラには思えないんだけど、いいキャラでっせ。噛めば噛むほど味が出る、って感じで。

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2003/6/22

 近所の本屋に行ったら、マンガのコーナーの前に小学生の男の子2人連れがいた。
 どうやら片方の男の子がマンガを買いに来ていて、もう1人の子がオススメを喋っている。こっそり内容を聞いてみると、『NARUTO』か『金色のガッシュ!!』のどちらかにしようとしているようだ。
「うーん、『ガッシュ』の方が面白いよー。『NARUTO』はイマイチ。それにオレ、『NARUTO』は持ってるから(『NARUTO』の方は)オレん家来て読めば?」
 男の子は『…ガッシュ!!』をレジに持っていった。
 なるほど。
 正直、私は『…ガッシュ!!』の方は全然知らなかったよ。
 やっぱり自分が読むような内容のマンガって、どうしても高年齢層受けするものだから(←この場合はマンガの読者としての高年齢。18歳以上くらいか)、そうじゃないものって、なかなか視野に入って来ないものなんですね。アニメ化してるけど、日曜なんて早起きしないし(笑)。

 ユーミンはマックで高校生の会話に耳を傾け最近の恋愛事情を仕入れ、私は小学生の男の子の会話を盗み聞きし旬のマンガを仕入れる。(比べるなって?)


2003/6/21

 TOPでもお知らせした江本創さんの個展に行ってきました。

会場風景  朝、なぜか8時半に起きて、ちょっと食べて薬を飲んでダラダラしてたらコテンと寝てしまい、起きたら4時半だったという……。こんな生活だと1日が短いぞう(笑)。
 場所は阿佐ヶ谷。「ちょっとくらいなら見られるわね」と、思って行ったら案外ギリギリの時間になったのに、ギャラリーを追い出されもせず、ゆっくりと鑑賞。(す、すみません……)
 今回、はじめて実際の作品を拝見したら、その細かさにびっくりだった。
 想像の生き物の標本という作品スタイルなのだが、歯や背鰭などのディテールはもちろん、その標本に虫が食った細かい穴とかあるんですよ。うーん、楽しい。
 こういう細かいコダワリが、会場全体をマッド・サイエンティストの実験室の果てみたいな雰囲気にさせるのだと思う。
 でも、アートって文字でいくら書いても、実際の作品に触れる1/100も伝わらない。と、いうことで、直接ギャラリーに行くのがおすすめ。
 江本さんともちょっとお話できて楽しゅうございました。

 しかし、しかし、阿佐ヶ谷って面白い!
 今回の香染美術というギャラリーはパールセンターという商店街を抜けたところにあるのだけれど、JRから延々10分以上続く一大アーケードなわけですね。
 この商店街が色んな物がいっしょくたで、帰りだけ通ったけど寄り道を色々してなかなかJRの駅に着けないという……(笑)。
 だいたい、パールセンターの一番端っこがギャラリーなんですもの。いかに色々なものがあるか、おわかりでしょう?
 と、いうことで、江本さんの個展にはJR阿佐ヶ谷駅からパールセンターを通って行くのがオススメ(笑)。ギャラリー含め、なんでもありのパールセンターは、私にとってはテーマパークのように楽しかったわ♪


2003/6/19

 朝、家の近所をシロクマが2匹歩いていた。
 うわっ、そばを歩いているおっさん! 危ない!

 ……と、思ったら犬だった。(←予想がつくオチ) サモエドかピレニアン・マウンテン・ドッグじゃないだろうか。
 しかし、本当にデカい。20mくらい離れていたので詳細はわからないが、散歩させているおっさんの腰の下あたりまで体高がある。彼がドワーフでない限り、犬は立ち上がると2mくらいか? (いくらなんでも)
 これから、あの体毛はツラそうだなあ。
 夏になったら、毛を刈られたりして。たてがみだけ残すと、白いライオンが2匹。ふふっ。(←既に、暑さでちょっと脳みそが煮えている)


2003/6/18

 どーもダメだ。
 最近、家に帰っても何もできない。
 処方されてる貼る薬を貼ると、お札を貼られた妖怪みたいにコテンと意識が遠くに行ってしまうのだった。そういえば表面に墨書でお経が書いて……ないない。


2003/6/17

 昼メシを買ってこようと思ったら、財布がなかった。
 朝から何も財布を使った覚えがないので、家に忘れて来たらしい。
 隣の後輩に1000円借りたら、
「本当ですか? スリは本当に気がつかないうちに掏ってくもんですよ」
と、怖いことをいわれた。
 彼女は先日、電車の中で財布と定期をダブルパンチで掏られたばっかりである。
 たぶん大丈夫だと思いつつ、ドキドキしながら終業ベルを待ちかねて家に帰る。
 あああああああ、あったわ! ヨカッタ〜。

 夜、妹と約束をしていたので、また外出。すっかり気が大きくなって夕食を奢ってしまう。
 でも、気は大きくなっても貧乏くさい私なので、ジャンボ餃子の店に行った(笑)。
 そういや、今月のDancyuが餃子特集だったっけ。刷り込みに弱いのだろうか。
 でも、ウマい餃子ってホントにウマいもんね。


2003/6/16

 『MONSTER』(浦沢直樹 /小学館ビッグコミックス )全巻読了。
 うひゃー、よく書いたな浦沢直樹!

   物語のはじまりは1986年、ドイツのデュッセルドルフ。
 脳外科医として将来を嘱望されていたテンマは、1人の少年の命を助ける。出世より人の命の大切さを優先した尊い決心が、恐ろしい物語の幕開けだった……。

 というスタートで、物語は主にドイツを舞台に複雑に絡み合い発展して行く。美しい双子、旧ドイツの負の遺産、チェコの秘密警察……、よくできた海外翻訳のミステリのようだ。
 これをマンガで日本人がやったあたり、本当にすごい。
 ヨーロッパの町並みなんて、本当に描くのが大変だろうに。(ヨーロッパ特有の石畳なんか描こうとすると非常に時間がかかる) 看板、屋根など、日頃なじんでないものは資料がイノチなんだけど、この物語は何ヶ国かにまたがって発展するから、資料集めも並の量ではないはずだ。
 もう、作画の苦労を考えただけでクラクラする。

 まあ、そんなナナメな感想は置いておいて。
 マンガで、しかも18巻という量で、こういう複雑なものが読めるとは軽いカルチャーショックだった。しかも、物語構成が緻密で、連載スケジュールでブレた感じが全然しない。(って、またうがった意見になっちゃったよ)
 表紙にデザインされている英字も結構面白く見ていた。1巻の

 That's how this horrible story begins!!

なんて、声に出して読んでみたもん(笑)。毎回、その巻のあらすじになっていているという寸法。裏と表は違う文章が入ってるあたり芸が細かい。
 なんか、下らないことばっかり書いているけど、あんまり内容に触れたくないせいもある。前知識なくてガツンと読んだ方が絶対面白いもんね。

 あ、でも、1人だけキャラクターを語ろう。
 観月ありさが、雑誌「ダ・ヴィンチ」の巻頭インタビューで、好きな本に『MONSTER』をあげていた。「好きなキャラクターはグリマーさん」だそうだ。
 この人は本当に複雑なキャラクターで、私も好きだ。だから、18巻の彼の名セリフは、涙なくして読めない。

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2003/6/15

五条霊戦記//GOJOE  「五条霊戦記//GOJOE」を今さら。
 前々から浅野忠信の義経が見てみたかったので。映画はイマイチ面白くなかった。
 たぶん殺陣が面白くないんだろうな。二刀流の義経のスピード感は悪くないと思うけど、入るタイミングとかタメに爽快感がないんだと思う。
 日本映画でチャンバラシーンがあるなら、やっぱり期待してしまう。私は全然詳しくないけど、それでも人生のほとんどは時代劇を見て過ごしてきたもんなあ(笑)。  「スター・ウォーズ、エピソード1」と同じ数のカット数とかいわれても、西洋剣劇と和風は違うんじゃー、と声を大にしていいたい。大体、剣に対する思想とか、刀の形からして違うじゃん。
 チャンバラだけはハリウッドを真似てはいけないと思う。


2003/6/14

 ワタクシ、今、胸に薔薇のタトゥーを……じゃなくてただの白いシールを貼っております。

 今週ずーっと咳が止まらなくて寝れなかったので、観念して医者に行ってみた。注射も考えたけど、プロポンをやたらめったら打つのはK医院くらいだしねえ。家から遠いんですもの。
 結局、腰の時もお世話になった一番近所のクリニックへ。(徒歩3分)
 そこで処方された薬は3種類+1。この1というやつがシートで、大きさは2.5cm四方くらい。説明書を読んでみると、肌から吸収され1枚で24時間大丈夫。
 薬もものすごく進んでいるんだねえ。
 そういや、肩の炎症を鎮めるためのシートも、面白い手触りだったし。ストッキングの厚いとこみたい。または、ガードルの薄いところみたいな。って、変なたとえでごめんよう。


2003/6/13

 猫丸先輩をデビューにさかのぼって読んでみた。『日曜の夜は出たくない』(倉知淳/創元推理文庫)。
 なんだか、先日の短編集よりマジメ。きちんと(という表現も変だが)殺人事件なんか起こっちゃっている。
 唐沢なをきのイラストで定着していた脳内猫丸先輩絵図がちょっと揺らいだくらいだ。3頭身から8頭身に伸びた感じ(笑)。顔は唐沢なをきの絵、体型はリアル……って、なんじゃそれ。
 猫丸先輩が探偵役になる短編集という点では『
猫丸先輩の推測』と一緒だが、語り手は1作1作違う。さらには、文体さえも違う。
 作者の実験かな、と思っていると、実は最後にあるシカケが……。あんまり書くとネタバレなので書けないが、デビュー作らしく工夫をこらしてがんばってるなあ、という感じ。
 これなら横丁のご隠居さんの話じゃなくて、ちゃんとミステリだわ。ただ、猫丸先輩のキャラクターには、日常の謎の方が合っている気もする。
 でも、実は私の一番好きな短編は「約束」で、人が死んだりしてる。さみしい少女とうらぶれたおっさんが公園で出会うというシチュエーションがツボだなあ。

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2003/6/12

 またもや暑いシーズンがやってきた。オフィスの冷房が節電のため、26.5℃に設定されたのだ。
 しかし、26.5℃ってウソ。
 体感気温は30℃くらいあるぞ。
 このままでは業務に支障が出る。そういう声があがり、来週から対応されることになった。
 設定温度を下げる……とかいうものではない。以下、業務通達から引用しよう。

 地球環境保護のために設定されている室内温度の中で、少しでも働きやすい職場環境を実現するために実施するものです。(中略)
 男性:ノーネクタイ可とします。接客時は着用下さい。
 女性:制服以外の私服を可とします。また、制服着用時のベスト未着用も可とします。

 ワタクシ、フォントを大きくするのはあまり好きではないのですが、ここは大きなフォントで語らねばなるまい。これは、ずばり、

 女子に積極的な薄着のススメ。

 キャミソールやミニスカートで仕事をしなさいというお達しです。(え? 何か違う?)
 さあ、寝込んでいる場合じゃないぞ。がんばって毎日会社に行かなきゃ! (←オヤジ魂には影響なし)


2003/6/11

 西澤保彦の森奈津子シリーズで名前を存じておりましたが、作品を読んだことがなかったので読んでみました牧野修。
 森奈津子シリーズでは、スキンヘッドのトランスセクシャル・レズビアンと描かれていたような気がするのですが、本当なのでしょうか?
 そして、倉阪鬼一郎さんは、本当にいつも肩にぬいぐるみミーコちゃんを乗せて生活してらっしゃるのでしょうか……。

 そんなことは、ともかく『呪禁官』(牧野修/祥伝社ノンノベル)。
 魔術と科学の地位が逆転している世界を舞台に、呪禁官という麻薬Gメンのような捜査官の活躍を描く。
 ……のが元々の構想なのではないのかなあ、と思うが、この本のメイン舞台は呪禁官養成学校なのだった。出てくるのは、呪禁官をめざす学生達。『IM(工業魔法)革命』なんて本がベストセラーになるこの世界では、呪禁官はカッコいい憧れの職業なのだ。
 だから、内容は伝奇青春活劇なんだが、前半はいまいちテンポがよくない。(著者にとっては、どうもこれが異色作らしいから、そのせいかも)
 特に脇の1人として出てくる<ロバ>というキャラクター。面白くないダジャレを連発するという設定なんだろうが、それにしてもダジャレがつまらない。
 読んでいて何度、
「Lおんさん(私がダジャレ師匠と仰ぐ方)に弟子入りしろっ」
と、思ったかわからない。(そうでなければ、「『パタリロ』を読め」)
 見せ場はいっぱいあったはずなのに、読み終わってみればダジャレがつまらなかったことが一番印象に残っているので、ぜひダジャレの技術向上を期待したい。
 って、なんかこの感想、すごく間違っている気が。

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2003/6/10

 今日は出勤……なのだが、咳が止まってない。こんな、結核で死にかけの昔の文士みたいにゴホゴホうるさくては、まわりに悪かろう。と、いうことで、昨日ヨロヨロと薬局にマスクを買いに行った。
 しばらく見ないうちに、マスクの種類がずいぶん増えている。100円〜650円まで、形も機能も色々。もしかしたら花粉の季節だと、もっと種類が多かったのかもしれない。
 とりあえず、5枚入り200円というお手ごろ価格を買ってみた。1枚ずつ使い捨てていっても週日もつし。
 こんな気遣いをして会社にかけていったマスクなのに、出勤したら、
「SARSだ、SARSだ」
と、いじめにあいました……。(大げさ)
 まわりからいわれて、朝イチで検温する。
 結果、34℃。
 ……計りなおして2回目、34.8℃。
 えっと、とりあえずSARSではないようです……。(もしかしたら人間でもないかも)

 少し時差で『輝夜姫』の新刊を読む。
 うーんと、この物語はどこまで行ってしまうんでしょう。おーい。(と、遠くに向かって叫んだりして)

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2003/6/9

 咳がひどかったので、この日は自主休業。
 咳は、夜になるとひどくなる→咳込んで寝られない→体力が落ちる……というローテーションが困りもの。
 ところで、私は咳自体は苦しいけど腹筋を使うので、なんとなく好イメージを持っている。咳込んでいるうちに自然に腹筋が鍛えられ見事に6つに割れた腹に……ならないものかねえ。(なりません)


2003/6/8

 「自分にお見舞い」というのは今週、ずっと調子が悪かったせいで、無理がたったって金曜の夜から寝込む。
 週末、ものすごーく人間以下の暮らし。

 しかし、土日は町内のお祭りなので、山車は通るわ神輿は通るわ、ぴーひゃららと賑やかであった……。


2003/6/6

 「自分にお見舞い」とかいって、帰りがけに『天使のしっぽ』(藤田和子/小学館フラワーコミックス)全3巻を買う。(なんだかっちゃー本を買いたがります、この人は)
 古本の3冊セット。だって、既に絶版なんですもの。昔、1巻だけ読んで、読んでみたかったのだ。

――少女の名前はすばる
  少年の名前はありす
  二人を中心に世界がひっくり返る大冒険が始まる――

……という心引かれるスタートで、看板にいつわりなく、都庁は大爆発するわ飛行機は胴体着陸するわ、大冒険活劇になっている。
 絵もきれいだし、ドラマも面白いのになあ。心に傷を持つ美形のテロリストとそれを追うICPOの捜査官(かつての親友)という美味しいドラマさえあるのに! (心に蔵を持つ○女子にはたまらないはず) 
 絶版とは非常に惜しい。でも、古本屋でまだまだ手に入るので、機会があった見てみてください。

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2003/6/5

 『五十円玉二十枚の謎』の短編が面白かったので読んでみた『猫丸先輩の推測』(倉知淳/講談社ノベルス)。
 猫丸先輩は30過ぎだが童顔で年齢不肖。ふっさりとおろした前髪に猫みたいなまん丸な目。……って、この唐沢なをきのイラストがぴったりじゃありませんか? ぴったりすぎて、これから私の脳内の猫丸先輩は、ずっとこの絵だーっ。
 まあ、なにはさておき、年齢不肖の何で生計を立てているかも不明の猫丸先輩が活躍する短編集。

 ところで、この猫丸先輩、『五十円玉二十枚の謎』の時もそうだったが、探偵役といいながら実際に問題を解決していない。いや、そんなこともないか……解決をしたかどうかわからない。そう、これが正しい。
 こういう説明もアリですよ、ということを言っているだけで、真贋不明のまま物語は終わってしまうのだ。
 でも、事件を解決したかどうかわからない探偵っていうのも、猫丸先輩のふにゃふにゃしたイメージに合っているので、そういう幕切れもアリだろう。
 タイトルからして『夜届く』、『桜の花七部咲きの下』、『失踪当時の肉球は』、『カラスの動物園』、『クリスマスの猫丸』……。ちょっと勘がよければ何のパロディかわかるだろう。(私は『失踪当時…』が好きだな)
 猫丸先輩の口調といい、横丁のご隠居のお話を聞いている感じにものすごく近いので、落語好きな人は面白いかもしれない。ミステリ好きには……微妙(笑)。かっちり物語が収束してないので、厳格なミステリファンの人なんかには許せないものがあるかも。
 私はいい加減なんで面白いと思いますけども(笑)。

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2003/6/4

 アメリカで学生をしている元同期Fが来日……じゃなくて帰国。
 今度はハワイでドクター課程を学ぶそうで、みんなから、
「アンタ、そんなに勉強好きだったの?」
と、いわれていた。
 その前に学会でポーランドに行くそうで、
「お金はどうすんの?」
「そりゃあ、クレジットカードにお世話になります〜」
「だって、カードといってもさ」
というやりとりがあってわかったのだが、アメリカと日本のカードの仕組みは違うようだ。
 まず、どうやらアメリカには銀行引落というのはないらしい。
 毎月、これだけは払わないといけない金額があって、それを払ってれば全額払わなくてもカードは使い放題なのだ。(リボルビング払いをした人なら、なんとなくわかるはず)
 残りの金額はカード会社に借金をしていることになって、約束の利率を払う。
「毎月キッチリ全額清算してるヤツなんかいないよ」
と、Fはいっていた。
 アメリカはカード社会というが、そういう借金社会だったのか。日本人の性格にあわなそうだな〜。


2003/6/3

 玄関に注連縄が張ってあった。
 今週末は近所の神社のお祭りだからだ。楽しみ〜。
 でも、お祭りということは、今までお祭りのために練習していた土曜の午後の練習会も終わりということで、近くから聞こてくる土曜のお神楽が好きだった私は、ちと残念。


2003/6/3

 ドリアン・ウエハースの話が出たので、ついでにドリアン月餅のお話など。

 昔、友達とタイに行った時のこと。街中を歩いて、スーパーに入った。ホテルで食べるおやつなんかを買う。
 おやつというのは月餅。ここにも月餅の文化が……と感動した私達は(ただ単に中国資本の店だったのかも)、マンゴー月餅などあわせて3種類買い求め、ホテルに戻った。
「1/3ずつにすれば3種類食べられるねっ」
「1/3x3だから1人1個食べられるねっ」
「ドリアンはホテル持ち込み禁止だけど、月餅だからいいよねっ」
 お気楽極楽である。まあ、女学生さんに毛が生えたような年だったから仕方ないか。
 そして、飲み物も用意し、友達が見守る中、私はドリアン月餅を手で割った。ぱかっと。
 むーん。
 清潔なホテルの部屋に、なんともいえない匂いが広がる。
 むーん。
 私は二つ割りにした月餅をそのまま元の形に戻した。フィルムの逆回しのように。そして、そのまま入っていた箱に入れ、箱を厳重に閉め、ゴミ箱の隣に置いた。
 誰も何も言わなかった。
(この建物の外には1日60円で暮らす家族がいるのに――)
 それでも食べられないものは食べられないのだった――。


2003/6/2

 おみやげの話。

 職場の誰かがどこかに行くとお土産を買ってきてくれる。たいがいは食べ物だ。ご当地プリッツや定番ものは安心して食べられるのだが、たまにチャレンジングマインドに満ち溢れたものを買ってくる人もいる。
高麗人参キャンディ  先日いただいたお土産は「高麗人参キャンディ」。
 パッケージのひとつひとつに高麗人参がついて、そりゃもー効きそう。何に効くかは定かではないが、死にかけの病人も飴玉ひとつで元気になりそなパッケージマジックに満ち満ちあふれている。
 隣の席の後輩がさっそく口の中に入れた。
 この時点で、なぜかゴボウの匂いがあたり中に蔓延する。その匂いや半径5mを巻き込むという、さすがの高麗人参パワーだ。
 味の方は後輩のコメントを引用してみよう。
「アリンコをつぶしたような味」。
 ……アリンコを食べたことがあるのかい!
 私もちょうど喉が痛かったのでなめてみた。味は……思ったより普通。普通のキャンディと比べてものすごく美味しいわけではないが、ものすごくマズイわけでもない。
 ただ、本人はもうバカになっていてわからないが、私のまわりの半径5mにはゴボウの匂いが漂っていたはずだ。

 まあ、前にもらったドリアン・ウエハースよりはよっぽどマシ。
 あれは口の中に入れたけど、その匂いに耐えきれず、そのまま口から出したもんな。
 でも、もう1個あったので、黙って(悪)某
I十嵐さんにあげたら、バリバリと普通に食べてました。前々から下っ端に素晴らしい適正を見せているI十嵐さんですが、旦那さんとしてもオススメです。


2003/6/1

ドラキュラ  日記で『ハンニバル』のことを書いた時、BBSでオススメいただいたので見ました。コッポラの『ドラキュラ』。
 悪い夢のような映画で(←誉めている)、怖くないんだけど、ゴシックな様式美は堪能できる。
 キャストは豪華の一言で、ドラキュラ伯爵がゲイリー・オールドマン、ヘルシング教授がアンソニー・ホプキンス、伯爵の妻の生まれ変わり・ミナがウィノナ・ライダー、ミナの婚約者がキアヌ・リーブス……と、いった顔ぶれ。
 竹内哲さんイチオシのモニカ・ベルッチは、ドラキュラ城に住む吸血女のひとりとして登場。この露出度の多い女たちにキアヌ・リーブスはいいようにされるのだけど(拝啓、魔女さま。最初のシーンでどこを噛んでいるか、とても気になります……)はまり役だなあ。えっちな魔女の餌食になる弱っちい男をやらせたら、ハリウッド一だね、この人は(笑)。

 物語中盤を過ぎてから登場する、アンソニー・ホプキンスのヘルシング教授はさすがの存在感。
 ちょっとエキセントリックな教授で、意味もなく強そう。(『動物のお医者さん』の漆原教授タイプ)  バケモノ俳優オールドマンに対抗するなら、これくらい存在感がないとダメっていうことかもしれない。弱っちいキアヌと比べるから一層そう思うのかもしれないけれど。
 そういう意味では、キアヌ(ジョナサン)と結婚しながらオールドマン(ドラキュラ)に心引かれる女の気持ちが非常にナットクできます。やっぱり、すごいキャスティングですね(笑)。

 肝心のラストは昨日の掃除疲れが出たのか、クークー寝てました。
 でも、ブラム・ストーカーの原作に忠実らしいので、いいや、別に(笑)。



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