店主の読書日記 NOV2003 >タイトルリスト >作家別リスト

2003/11/30

コール  試写会で「コール」を見る。
 結論から言えば、よく出来たサスペンスだと思う。

 幸せに暮らす若い夫婦と小さな娘。麻酔医師の夫のウィル(スチュアート・タウンゼント)が学会に出かけた留守に、カレン(シャリーズ・セロン)の前に誘拐犯ジョー(ケヴィン・ベーコン)が現れる。娘・アビー(ダコタ・ファニング)の誘拐したと言うのだ。
 犯人はジョーをはじめとして3人。妻と夫と小さな娘がそれぞれ別の場所で拘束され、犯人グループは30分ごとに連絡を取り合う。30分ごとの連絡が取れなければ子供は殺される。完璧な誘拐計画のはずだったが、アビーにはぜんそくという持病があって……。

 天才子役という前評判通り、ダコタ・ファニングの演技は文句なし。
 この子を助けるためにシャーリズ・セロンのお母さんもスチュアート・タウンゼントのお父さんも戦うのだ。子役がヘボヘボだったらお話にならない。
 しかし、3つの場所で3人の誘拐犯が家族3人を拘束するという図式は面白いのだけれど、それぞれに見せ場がありすぎなのはどうだろう。サスペンスフルな場面が続きすぎて、中盤で緊張の糸がプッツリ切れそうになった。やっぱり、サスペンスは緊張→弛緩→緊張→弛緩……というのがよろしいような。

 なんとなく後味が悪いのが、ジョー(ケビン・ベーコン)が最後までウィルを自分の子供を殺したと思ったまま死んでしまったところ。真相がわかったからって、心が救われるわけでもないだろうけどさ。逆に間違った相手に復讐したことがわからないままの方がよかったのか。
 ところで、この家族はどこに住んでいるんだろう。
 湖(か海)のほとりの眺めのいい美しい家で、そこに停めてある水上飛行機でお父さんは仕事に出かけて行く。シアトルの学会に直行できるくらいだから、バンクーバーあたりかな。

 試写会が終わって食事して、まだ時間があったので、ABC(青山ブックセンター)に行く。
 前は職場のそばに支店があって、よく行ってたのになあ、ABC。写真集とか絵本が充実しているところが大好きだったのに、品川には高尚過ぎたのか撤退してしまった。閉店間際に「ご愛顧ありがとうございます」と図書券500円をくれるようないい店だったのに。(だから好印象なのか?)

 店内に入ると、入り口のすぐそばにタオルが何枚か籠に入れてあった。ご自由にお使いくださいと書いてあって、雨の日のサービスのよう。ナイス!
 荷物を入れるロッカーも設置してあるのは素晴らしい。私のように荷物が多くて、なおかつ本屋の滞在時間が長いヤツにとっては手ぶらでウロウロしたいもんね。(本屋のはしごをすると、手荷物は殺人的な重さだ)
 ABCのいいところのひとつにサイン会他のイベントをよく開催していることがあって、この日は原画展をやっていた。
 『パリで暮らしてみた』(すげさわかよ/大和書房)という本の原画と、手書き新聞の原稿。
 著者は語学留学のため渡仏。おしゃれな街を題材にしたイラスト入り絵日記という体裁だ。住んでいたストゥディオやら、日用雑貨のラベルやら、コマコマと描き込んである。
 題材はパリでなくてもいいんだけど、こういう描き込みイラストは私のツボをぎゅううと押す。しかも、原画を見ると、ほぼ実寸。本のサイズが縦19cmだから、3cm四方くらいで室内見取り図とか描いてるわけっすよ。

 思わず置いてある本を取り上げてレジに向かいそうになったら、途中に「著者サイン本」という山が! 当然、こっちでしょう(笑)。
 サインに小さなイラストが添えてあって、1冊ずつ微妙に違っていたので、女の子が犬を散歩させてるやつを選んで買って帰った。
 本を読む楽しみも取っておきたくて、あんまり原画をじっくり見てこなかったから、またABC行こうかな。12/18までやってるし。

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2003/11/27

 遅い夏休みで健康診断を受けられなかったので、会社指定のクリニックで受けるようにいわれた。  総務部指定の予約時間がAM11:00。前日の9時から飲食(水も)禁止ということは、プチ断食だわ、こりゃ。
 会社に出勤して一働きしてから、電車を乗り継いでクリニックに行く。結構混んでいた。色々な会社の人が来ているみたいだ。
 ちょっと待って着替え。甚平の上の長いやつみたいな検査着は、紐で結んで前を止める。看護士さんに「ショーツだけになって上に着てくださいね」と案内されたので、かなり開放的(笑)。
 ……はっ。
 と、いうことは、私より前に着替えてたエレベーターで一緒になったS○NYの受付譲の女の子達も同じ状態なわけか! ラッキィ! (って、何が?)
 最初に血圧を測り、あまりの低血圧にびっくりした。そのせいか、続いての採血で血管が出てこない。かなり頑張ったのに(何を?)出てこない。
「一番最後にしましょう」
と、看護士さんに匙を投げられて、他の検査に行った。
 隣の部屋から私をじっとみつめる見知らぬ男性(レントゲン技師)のいうままに白濁液を飲まされ(バリウム)、色々なポーズを取らされていいようにされてしまったわ。(←鈴子さんに誘われたR18文学賞のために、ちょっと練習してみました)

 夜は鈴子さんの送別会。
 とっとと会社を出るはずだったのに、こういうときに限って上司から呼び出しがかかったり色々起こったりで大幅に遅れて参加。
 幹事の梢さん、他の皆様、すみませんでした。


2003/11/26

 誕生日は明日なのだが、同期のみなさまが都合が悪いとかで前倒しでカード(毎年恒例)をもらう。
「もうひとつゴメンなんだけどさ」
 おおらかでものにこだわらない同期Nは言った。
 カードを開くとポカっとスペースが開いている。
「Eちゃん休みで書いてもらえなかったのよ。一回見たら、Eちゃんところにカンパニーメールで送って書いてもらって」

 バースデーカードでさえリテイクをくらうワタクシ。


2003/11/25

 喫茶店で勉強。
 もちろん好きでやっているわけではない。会社で強制的に通信教育を受けさせられていて、課題提出日が明日なのだ。
 くそう。最近、なんか余暇がないと思ったらこのせいか。

 しかし、久しぶりに法律の文言なんか読むと、頭に入ってこないなあ。


2003/11/23

 『上と外6――みんなの国』(恩田陸/幻冬舎文庫)読了。
 ちょっと泣かされてしまった。
 本は紙とインクで出来ているのだけれど、紙に文字が印刷されているだけのものだけど、火にくべたら全部燃えてしまうものなのだけれど。
 そんな儚い世界の中で、文字と文字が繋がっただけのものが、確かに生きている。不思議だ。

 少し前に、ダ・ヴィンチで「人気作家が10代の魂に語りかける理由」というような特集を組んでいたと思う。私は中吊り広告で見ただけだから内容は読んでいないが、すごく旨いタイトルの付け方だと思った。
 10代には最良のものが与えられるべきだ。
 私はそう思う。
 もうとっくに10代ではないが、10代に読んだものは私の魂の奥深いところに染み込んで同化して私の一部になってしまっている。大人と同じような読書力に柔らかい心を持つ10代。
 『上と外』は、10代の魂に向けて書かれた小説だと思う。
 そして、大人としては考えさせられてしまうのだ。最初、「ヤな女だなあ」と思った千鶴子の煌くような生命力や、たぶんもっさりした外見に違いない富田の男気やら。

 主人公の練は色々な試練にさらされて、その度にじいちゃんのことを考える。
 確かに後半、じいちゃんのネットワークで色々な人が楢崎ファミリーの救援に携わるが、そんなことは練は知らない。それでも、日頃見ているじいちゃんのやり方を常に思い出してる。
 本当に自分の力だけに頼らなければいけないピンチの時に、練は心の中で言うのだ。

 じいちゃん、よろしく。練習は本番のように、本番は練習のように、だな。

 じいちゃんのいる日本とは遠く離れた中南米の森の中で。

 あんまり内容について語っちゃうのも無粋だろう。ただ、もし未読の方がいたら言っとこう。
 心のどこかに残ってるあなたの10代の部分に効きますよ、と。
 私は今、この物語を読んだ。今だから脇の人々の生き方が面白く読めているのだとは思う。それは認めるとして、もし10代の時にこの物語を読めたらどうだったろう。
 「もし」をもてあそぶのは意味がないが、ちょっとこれを10代で読める人がうらやましくなってしまう私なのだ。

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2003/11/22

 友達の家に遊びに行く。
 夕方自宅を出たので、
「『鋼の錬金術師』のビデオ撮っておいて!」
と、メールを送る。(友達は『鋼の錬金術師』の存在そのものを知らなかったようだ)
 イエ、自宅でも録画していたんですけど。
 だだだって、放映日に見たいじゃんっ。

 最近、「店主のハガレン日記」だな……。


2003/11/21

 品川駅前で、女の子がボーカルのバンドがストリート・ライブをやっていた。
 夜も更けたのでとっと帰ろうとしていたのに、最後まで(と、いっても見はじめてから3曲くらい)見てしまう。なかなかポップでかわいくて、曲によってはせつなくて楽しかった。
 山手線1周ストリートライブをやっているそうで、浜松町からスタートして神田、上野とぐるりと回って、最後は浜松町のライブハウスでライブなのだそうだ。

 最後にCDを買って帰る。
 久しぶりだなあ、手売りのレコード買ったの。1年半ぶりくらいか? (この前に買ったのはウクレレもの(笑))
 12/12のライブ、行っちゃおうかしら。"
haccis clover"というバンドです。


2003/11/20

 勇気を出してハガレンDVDの予約に行く。
 予約受け付けカウンターなるものがあって、そこまで行くまでに用もないのに陳列棚を15分は見ていたと思う。
 なんだか、薬局にコンドー○を買いにいったら、いつもいるおっちゃんの代わりに美人の姉ちゃんがカウンターにいて言い出せずにウロウロする青少年のよう。(長っ)
 しかし、閉店まであと5分。
 予約専用カウンターでは男の人が予約手続きをしている。カウンターの側にあるスタンドの広告を見るフリをしながら耳をすませると、『パイレーツ・オブ・カリビアン』を予約しているようだった。ちっ。(←誰にでも胸を張って言えるタイトルなのを羨んでいる)
 受付が終わったらしく、『パイレーツ……』のお兄ちゃんは帰っていった。
 ぼやぼやしてたら閉店になってしまう。勇気を出して私はカウンターに進んだ。
「あの、あのあの……」
 口ごもる私。そんな私をせかすわけでもなく、言葉を待つ彼。
 放課後の校庭に風が吹いて私の髪を揺らしていく……。
 ……って、初めての告白シーンを書いているんじゃなかった。そう、某量販店の予約カウンターだ。
「あの予約をしたいんですけど、発売元とか発売日とかわからないんです」
 覚悟を決めて私は言った。
「何かわかることはありますか?」
 にっこりと店員さんは聞く。
「あ、はい。あのー、えーっと……『鋼の錬金術師』……」
というとすぐ、
「ああ!」
と、返事が返ってきて、私は無事に予約が出来たのだった。
「ああ」の次に、
「あの人気沸騰中の」
と続いたのか、
「ここ1週間入れ替わり腐女子が予約しにきてる」
と、続くんだったかはわからずじまいだったけどさ。


2003/11/19

 月刊少年ガンガンを買う。
 ……。
 ……と、とうとう雑誌にまで手を出しちゃったよ……。

 みんな、私がやおら錬金術とか始めだしても友達でいてね……。


2003/11/17

 前に読んだ『ベストセラー「殺人」事件』が割とよかったので、前の作品を読んでみたのだが、イマイチ。
 でも、私が日本人だということを差し引きして考えなくては不公平かもなあとも思う。
 これは、リチャード3世とそれを取り巻く環境について知識があるという前提で書かれたミステリなのだ。

 リチャード3世(452〜1485)について少し説明すると、15世紀のイングランドの王様(在位1483〜85)で、その頃は継承問題で薔薇戦争(1455〜1485)なんていうものが起こっていた。(この戦争にしては美しい名前は、王位を争ったランカスター家とヨーク家の紋章が共に薔薇だったことに由来している)
 薔薇戦争とリチャード3世は、イギリスの人以外の人にもよく知られている。シェイクスピアが戯曲を書いているからだ。
 そして、このシェイクスピアの戯曲によって、リチャード3世のイメージは定まってしまった。シェイクスピアの描く彼は、野心のために兄弟、妻、友人、周りの者を利用し滅ぼした末に孤独に滅ぶという色悪(これは歌舞伎の言い方か)。色々な国で名優に演じられ、たくさんの人がそれを見てリチャード3世=悪という図式がすっかり出来上がってしまったのだ。

 それが少し変わったのが1950年代のこと。
 リチャードの名誉を挽回したのが、ジョセフィン・テイの名作『時の娘』。
 怪我で入院中の刑事が主人公で、ヒマにまかせて歴史ミステリに取り組み、従来信じられていたリチャード3世像は間違いだと解き明かしてしまうのだ。
 これはテイのオリジナルな説ではないらしいが、リチャード3世なんてカケラも知らなかった中学生の私に、面白く読ませて歴史ミステリファンにさせてしまたったのだから、名作に間違いない。

 なんか前フリが長くなっちゃったが、『リチャード三世「殺人」事件』に戻ろう。
 文庫の裏表紙の説明を読むと

 MWA巨匠賞に輝くエリザベス・ピーターズが『時の娘』にオマージュを捧げた、伝説的名作。

と、ある。
 物語はリチャード3世ファンの英国貴族の館を舞台に、愛好家(リカーディアンというらしい)が集合するところから始まる。ところが、仮装した参加者に次々と災難が降りかかって……という内容。

 リカーディアンの方々はリチャード3世を巡る人々に仮装している。
 これが問題だった。
 つまり、リチャード3世への造詣が深くない私は、リチャード3世をとりまく人間関係を理解しながら(巻頭に説明と家系図が載っている)、なおかつ登場人物も覚えるということを要求されたんですね。
 メインの登場人物10人ちょい。この人達がそれぞれ仮装してるから、2倍して30人弱。これだけの人間が出てくると頭の中で脳細胞フル活動でもちょっと混乱する。

 と、いうわけで、シェイクスピア好きか、世界史に造詣が深い人向き。
 いや、わしゃ疲れたよ。

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2003/11/16

 実家からマンションに戻って、夜中なのにやおら録画しておいた「鋼の錬金術師」を見始める。
 くっそう。
 あんなにかわいいアレキサンダー(犬)になんてことをするんだ。タッカーのばか!

 でも、まともに見たのは先週が最初だったはずなのに、なんで家にもうコミックが6巻全部あるんだろう(笑)。
 来月DVDが発売されるそうで……ああ、どうしよう買ってしまったら。いい大人なのに! ある意味、18禁のDVDを買うより恥ずかしいや。DVDのお手ごろ価格がにくい(笑)。

ウィンリィたん まだ、アニメではオープニングでしかお目にかかったことのないウィンリィちゃん→


2003/11/15

 割と近所なのに全然知らないレストランに、妹が行こうというのでランチに行ってみる。うちの近所ごときに不似合いな(笑)オシャレな内装の店だった。
 特にトイレ!
 私、住めるよ、ここ! ……というくらい天井が高くて広い。(広さは2.5畳くらい) 感動しながら手を洗って出ると、席には誰もいなかった。

 妹は、併設されているセレクト・ショップで熱心にアクセサリーを選んでいた。
 ヒマなので、他の商品を見ていると、別の店員(ショップ・スタッフというんだよな、最近は)が相手をしてくれた。なかなかかわいいお姉さんで、「私もベージュを買って、すっごいお気に入りなんです〜」と熱心に薦めてくれたので、ラビットファーのショールをお買い上げ。
 ……ふっ。
 今年……もうコートが買えない……。ああ……。
 恋人商法に引っかかるタイプかも。
 ま、野郎が薦めても何も買わないけどな!


2003/11/14

グリーン・デスティニー  突然、夜の11時過ぎに妹から電話がかかってきた。泊めてというので、部屋を片付けがてら「グリーン・デスティニー」を見ながら帰りを待つ。
 いやあ、面白いっ!
 中国の「武侠映画」というものだそうで、もうナンデモアリなのね。空を飛び、壁を走る。「ルパン3世・カリオストロの城」をもうちょっと凄くして実写でやった感じ。
 欧米のアクションとどう違うかというと、理論的でないところか。人間離れした動きに欧米は説明をつけるが(たとえば、「マトリックス」は仮想現実だ)、中国は説明ナシでばびゅーんとやっちゃう。ここいら突き抜けてて面白い。さすが中国4千年!

 出てくる女の人が強くて強くて強いところも好み。
 特に貴族のお姫様・イェンなんて暴れ馬のようで、その女を組み伏せる馬賊のローったら根性があるなあ。ロー役のチャン・チェンは「パイレーツ・オブ・カリビアン」のジョニー・デップを2割引したみたいなので、好きな人は好きかもしれない。
 中国の衣装や西域の風景は私の趣味にあうので、今回は借りたけど、そのうち買うかも。

『グリーン・デスティニー』CROUCHING TIGER, HIDDEN DRAGON
監督・製作:アン・リー、原作: ワン・ドウルー、製作総指揮:ジェームズ・シェイマス/デビッド・リンド、撮影:ピーター・パオ、アクション監督:ユエン・ウーピン、チェロ演奏 : ヨーヨー・マ
CAST リー・ムーバイ:チョウ・ユンファ、ユー・シューリン:ミシェル・ヨー、イェン:チェン・ツィイー、ロー:チャン・チェン


2003/11/13

 私は年末調整の書類が嫌いだ。扶養家族がいるでなし、特別複雑な記入をするわけでもないのに嫌いだ。
 仕事では多少ややこしい数字を扱った文書を作っていたりするのに、年末調整の紙を前にすると、
「私、数字や書類ってよくわからないの。じいや、お願い」
と、逃避しそうになる。でも、現実には自らがじいやとなって、泣きながら自分で書くんですが。

 そういえば今年から、現場を少し離れて書類仕事ばっかりになってきた。
 事件は現場で起こっているのになあ。いつまでも現場にいたい刑事の気持ちが少しわかったよ。なあ、長さん。(って、誰だよ、ソレ)

 『上と外5――楔が抜ける時』(恩田陸/幻冬社)読了。
 連の"成人式"は佳境を迎える。一方、子供を助けたい親達は戒厳令をおしてジャングルにヘリを飛ばす。親達のメッセージは届くのか。
 それぞれの人がそれぞれの葛藤の中、テロリストは初めて語り始める……。

 最終巻の予定の5巻。わかっていたけど、やっぱり終わっていなかった(笑)。
 しかし、すかっと爽やかな少年漫画のような展開を見せたかと思ったら、巻末のあたりではSFの匂いがしはじめたのは私だけだろうか? 残りは薄い文庫本1冊なのに、物語がどう転ぶかまだわからないなあ。

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2003/11/11

シェルタリング・スカイ  白状します。
 「シェルタリング・スカイ」を見ました。返却期限が来ちゃうので……全編3倍速で(一部8倍速)。

 ちなみに私の借りたDVDは無修正版。何かと思ったら、ジョン・マルコヴィッチの局部がバーンとアップで映るシーンがあった。(でも、1秒くらい) ……他は別に修正かけなきゃいけないとこ、なかったような。個人的には、レート指定しちゃって修正しない方が望ましいと思う。もやもやの画面はやっぱ美しくないですよ。
 物語は、愛の不毛に怯える夫婦が方向を模索しながら北アフリカに行く話。
 大きなことは言えないが(3倍速だし)、同じ元が小説の映画化でも「ハワーズ・エンド」が画面から文章が流れ出すようだったのに比べて、こちらはただ砂が流れて行くだけ。
 愛について語れば語るほど愛は不毛になっていく、つーのは本当ね。

 でも、紀行フィルムとして見るならいいかも。
 滑らかなオレンジの砂で出来た砂漠の風紋は、神様がデザインしたかのように美しい。エキゾチックなモロッコは、行ってみたい国のひとつだ。

 『上と外4――神々と死者の迷宮・下』(恩田陸/幻冬舎文庫) 読了。
 練はチカを人質に取られ、やむなく"成人式"に参加することになる。
 異様な風習。果てのない地下迷路……と、ちょっとホラー風味の4巻。この物語がどこに行くか、まだ先は読めない。

『シェルタリング・スカイ』 THE SHELTERING SKY(1990年 イギリス)138分
監督:ベルナルド・ベルトルッチ、脚本:ベルナルド・ベルトルッチ 、ポール ボウルズ 、マーク・ペプロー、音楽:坂本龍一
CAST:デブラ・ウインガー 、ジョン・マルコビッチ 、キャンベル・スコット 、ジル ベネット 、ティモシー・スポール

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2003/11/10

 月曜日。
 目が覚めて、寝返りを打ってみる。今日は、大丈夫みたいだ。
 が。
 起き上がろうとするとやっぱり痛かった。会社に電話をかけて寝なおして、起きたら1時過ぎ。起きたら、また少しよくなった感じだったので、身づくろいをして病院に出かける。
 おおっ。昨日はトイレまでが果てしないロングロングアウェー(大げさ)だったのに、マンションの外に出られるとは!

 歩き始めると割りと大丈夫だったので、そのまま5分歩いて病院へ。
 診察してもらってから、レントゲンを取る。撮る時のポーズが高度で、技師の人と撮る前に練習した。片足は伸ばして片足はくの字、体はナナメを向けて背中は台に押し付けたまま頭を上げる。(興味がある人は実際にやってみてください) なかなか腹筋を使うポーズで、腰痛の患者にやらせるにはしんどすぎなのではないだろうか。だって、4カウントはポーズをキープしましたぜ。
 そういや、診察の時もベッドに寝て、ひざを伸ばしたまま顔に近づけるという、過酷なポーズをやらされたのだった。
 体が柔らかくないとできませんぜ、あんなの。病院に行くときは準備運動が必要だなあ。
 レントゲンが出て、私の骨写真を前に先生が語る。
「この骨がずーと12個あるわけですね」
 でこぼこが美しいなあ、私のホネ。
「……ここは骨を繋いでいる物質が入っていて、それはレントゲンには写りません」
 先生は延々と説明している。もしかして、ものすごく悪いのか!?
「横から見て、この骨が椎間板で、こちらにでっぱるとものすごく痛いんです」
 ええっ、もしかしてオレ、椎間板ヘルニアっ!?
「……が、でっぱってもいないので、筋肉由来の痛みでしょう」
 よ、よかったあ。
 薬局で処方してもらった薬を受け取って、同じフロアの書店で『鋼の錬金術師』3巻を買って帰る。(こんな時まで!)


2003/11/9

 おおっ、『鋼の錬金術師』(荒川弘/エニックス・ガンガンコミックス)、面白いぞっ。
 ダークな設定と明るいキャラクターがうまく両立している。
 ……なーんちゃって。能書きはともかく、オヤジとマッチョな登場人物だらけなのがオヤジスキーのツボをぎゅううううと押しているのだった。
 そのくせ女の子もかわいいしな!
 とりあえず、優しくて涙もろいアームストロング少佐がお気に入り♪

 外から帰ってきて、布団でハガレンを読んでて、しばらくしてから歯磨きと洗顔をしようと立ち上がろうとしたら……起きれない。
 どうしてもどうしても体が起こせない。
 もう、夜はだいぶ涼しくなっているくせに、ひたいを冷や汗が流れる。
 金縛り。
 ……。
 ……なーんてことはもちろんなく、腰痛なのだった。(アイタタタ)

 先週から軽く痛いとは思っていたのだが、この程度なら大丈夫だろ、と、スポーツをしに行ったのが運のつき。直後に痛くなることもなく、まさか丸1日以上置いた夜に出るとは思わなかったよ。いや、確かに特別ハードだったんだけどさ。
 立ち上がろうとすると響く。どれくらい痛いかというと、腰のとこに剣山が3個入ってると思いねえ。立ち上がろうとすると腰に響く。どんな動きも腰に響く。さすが肉付きに要と書くだけあるぜ、腰。
 もうあきらめてそのまんま寝る。どうせ2時間くらいまえに一度顔を洗ったし、ペットボトルでお茶も飲んだし、いいや。

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2003/11/8

 前々から興味があった『のだめカンタービレ』(二ノ宮知子/講談社Kissコミックス)の1巻を読む。
 どわははは!
 面白い!
 最近一番のヒットだわ〜。
 『金魚屋古書店出納長』ほどのプッシュはしませんが、ヒマだったら読んでみてください。
 音大が舞台のギャグマンガざんす。

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2003/11/7

 今週初めてクドカン脚本の「マンハッタン・ラブストーリー」を見たけど……面白いっ。
 及川光博のベッシーが最高だわ。
 大河より輝いているね、やっぱり(笑)。


2003/11/6

 『上と外3――神々と死者の迷宮・上』(恩田陸/幻冬舎文庫) 読了。
 なかなかジャンルを指摘するのが難しい小説になってきた。
 1巻は家族模様だし、2巻はサバイバルもの、3巻に至って不思議な方向に転がりだした。もしかしてこれはファンタジーになるのか……?

 しかし、1冊が薄いせいもあって、とにかくスラスラ読んでしまえてとてもラク。
 『ベストセラー「殺人」事件』(括弧の使い方がおかしいのはわかっていますともさ)と比べたらページ比5倍くらいのスピードかなあ。(当社比)
 物語の引きの強さというのもあるけど、大きな原因は文字の量だろう。
 エリザベス・ピーターズの1パラグラフは長い! と、いうか、会話主体の物語でない限り、だいたい翻訳小説全体というのは1ページがみっしりしている。
 翻訳ミステリはいつもみっしりの呪いにかかっているのだ。

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2003/11/5

 『ベストセラー「殺人」事件』(エリザベス・ピーターズ、田村義進訳/扶桑社ミステリ文庫)を読み終わる。
 なんとなく文字疲れで、ユーモア・ミステリでも読みたくなったので手に取った作品。
 確かにユーモア・ミステリに間違いはない。
 ないのだが、私の期待とは若干違った。ユーモアがものすごく辛らつなのだ。メレンゲを予想してたら、トムヤンクンだった……みたいな。

 主人公のジャクリーンは年齢不詳、派手な装いが定番のロマンス作家。
 ひとつ間違うと嫌味なおばさんなのだけど、うまく紙一重で独特のキャラクターになっている。
 ミステリとしてのトリックはまあまあなんだけど、このジャクリーンのキャラクターで全編読まされてしまう。年齢は書いてないが、赤毛のナイスバディで、一人前になる子供が二人いて……というところから想像すると40代ってところだろうか。
 ついでに、新鮮なのが、とうとうロマンスに傾くことはなかったところ。ロマンチック・サスペンスもいいけど、必ず男性的魅力がプンプンのキャラクターが出てきて恋に落ちるのも食傷気味だったりして。

 原題は"Naked Once More"。
 以前、徳間から『裸で御免あそばせ』というタイトルで出ていたこともある。
 別に裸が出てくるわけじゃなく、物語に出てくるある女性作家の小説が『氷の中で裸で』というタイトルなのだ。なんでもアメリカにはタイトルに「裸」の文字をいれるとそれだけで売り上げが1割増しになるジンクスがあるそうで、そのせいか小説は大成功。しかし、女性作家は謎の失踪をとげる。7年たって死亡と判断され、続編の話が持ち上がるが……というあらすじ。
 なかなかシャレの効いたタイトルだが、直訳しても雰囲気が伝わりにくいかもなあ。
 コテコテでも、内容を簡単に表しているという点では『ベストセラー…』でいいのかもしれない。

 著者のエリザベス・ピーターズは複数の筆名のひとつで、別の名前がバーバラ・マイクルズ。
 おおっ、バーバラ・マイクルズだったら『不思議な遺言』を読んだけど面白かったよ! アンティーク宝飾についてのペダンチックなとこがよかったなあ。今では絶版だけどさ。(私の日記、こういの多いね(笑))

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2003/11/4

 今週末は選挙。
 私の住んでいるところは、あの東京3区だ。激戦区といわれ、
石原慎太郎都知事の3男石原ひろたか氏(まだ公人でないので敬称を付けとこう)が立候補してる。近所を石原軍団が練り歩き、直木賞作家の父が感動的な文章を贈り、有名人が多数推薦の言葉を寄せて……なんてことはどうでもいい。
 この区で一番恐い選挙活動をしているのは――3区にお住まいの方なら同意してくださるだろう――民主党推薦の松原仁氏だ。
 何が恐いって、「じんじんじんじん♪まつばら〜じんっ♪」と松原仁テーマソングを無意識に歌っていることに気がついた時の衝撃。これがまた、刷り込み効果が異様に高いのだわ。うーむ、すぎやまこういち、おそるべし。

 しかし、東京3区といえば田園調布から大島までをカバーする選挙区なのに、私のまわりには同じ選挙区の人がなぜかあまりいない。(ご近所はもちろん3区だけどさ) 選挙区でないところを選挙カーがまわることもないから、松原仁テーマソングについて誰かと熱く語り合えることもない。
 昇華できない思いはつのり、このままだと投票所に歩きながら鼻歌を歌い、勢いで投票してしまうかもしれない。
 いや、館ひろしにお願いされるより、よっぽど効果があるよ、ホント。


2003/11/3

 電車の片道で『上と外2』を読み終わってしまったので、帰りは『美濃牛』(殊能将之/講談社文庫)を読む。
 同じ作者のメフィスト賞受賞作『ハサミ男』はすごく面白かったが、これは私的にはイマイチだった。でも、「『ハサミ男』はダメだったけど、これは面白かった」という書評もちらほら見るので、純粋に好みの問題なのかもしれない。
 と、いうか。
 私はミステリ読みでありながら、めったに謎解きができない。(そして読んでもすぐ忘れて、もう一度同じ本で楽しめるコストパフォーマンスの高い頭←バカともいう) どれくらい作者にしてやられているかというと、打率1割を切るくらいだろうか。そんな私がこの本のトリックだけはバシバシと当たった。
 美貌の青年・飛鳥くんのおつきあいの相手がすぐわかったあたりから「こ、これは……」という変な手ごたえを感じてしまい、そのまま先読みを続けて終わりまで突っ走ってしまったのだ。

 推理が当たるのは嬉しい反面、読んでてあんまり面白くない。「どひゃー、そうだったのか、びっくり!」という感動がないってのだから当たり前だ。
 だから、これからもおめでたい頭でいいや、と、思うリオハであった。

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2003/11/2

 誤解を恐れずに言えば、作家専業後の恩田陸の作品を読むと、最も油の乗り切った時期のジュディス・クランツを思い出す。
 クランツの面白さは、ゴージャスな世界設定より何より人物の性格描写の妙だろう。(最近はそこいら辺がどうもアマい。だから人気が落ちたのかもしれないけど、昔の作品まで絶版にしなくたっていいじゃん)

 『上と外2――緑の底』(恩田陸/幻冬舎文庫) を読んで思ったのも登場人物のイキ。主人公・練の祖父、叔父、従兄弟とどれも違った個性を持っていて魅力的だ。1巻の最後でヘリコプターから投げ出された練と千華子は大変なことになっているのに、留守宅の彼らのことばっかり読みたくなってしまった。

 実家に帰る電車の中で読んだが、1時間だと少し時間が余る。長距離用としは2冊持って乗り込むのがおすすめかな。

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