≪黒衣の看護婦:第一章≫ [不死の妖魔女]
by いわきのぞみ



「、、、、早島さん、、これが、、、、、早島さん、、これが、、貴女の新しい『顔』になるのよ、、、貴女の新しい『顔』になるのよ、、、」

(うわあぁっはああああぁぁぁぁ、、){ふぐうっふうぅぅぅううぅぅぅぅ、、}

叫んだ言葉は言葉にならないで、そのまま意味不明の気号となって宙に消えた。
その悪夢に脅える自分の声に眼をさました早島看護婦が真っ先に見たものは無機質な格子縞のジプトン天井と、そこに取り付けられた支柱とレールから吊り下がるカーテンだった・・・・病室・・・・・

まだ夢の中にいるのだろうか?、、、まるで自分の身体ではないように、気だるく重たい身体は、横たわるベッドに糊付けでもされたようにピクリとも動かない、、、

「お目覚めみたいね、、サンノミヤさん、具合はいかがですか?」

そう言って病室に入って来たのは、あの婦長だった。早島看護婦は必死に婦長に助けを求めようとして叫んだのだが、

{ ふうっぬ!!っあうっくふおううおっおふ!!}

婦長
「あらあら、今日は元気なのねぇ。お薬を替えたのが良かったのかしら、まるで別人みたいですよ。ねぇ?早島さん、これなら退院も早くなりそうね。」

え?、、どういう事、、今の婦長の言葉は自分に問い掛けたのではない、、ベッドに横たわる早島看護婦の驚きは、自分の叫びがくぐもった呻き声にしかならない事よりも、婦長が話し掛けた相手に向けられていた。

偽早島
「ほんとですねぇ、こんなに元気になっていただけたら担当看護婦としても嬉しいですわ。ねぇサンノミヤさん、、まるで、、べ・つ・じ・ん・・・・よ。、、、
、、くっふふふふふふ、、婦長さんったらブラックユーモアですよ。それって、
あははははは、、、」

婦長のうしろから病室に入ってきた看護婦、、、それはなんと新人看護婦の早島早紀ではないか?、、だが、、だが、では、、今サンノミヤと言う女性患者として拘束され猿轡を嵌められている自分は誰なのか・・・本物の早島看護婦は、あまりの出来事に、それが誰かの変装だと言う当たり前の事すら、考える能力を失っていた



婦長
「ほほほほほほ、、それもそうですよね、ふふっあははははははは、、そりゃそうよね。外側はともかく中味は別人なんだもの、、あははは、、でもタイミングが良かったですよ。予定していた荻野さんが病院から帰る途中で事故で死んだって報告を聞いた時は、婦長さんじゃありませんけど、アタシ目の前が真っ暗になりましたもの。ねぇ婦長!」

偽:早島 
「ほんとよ。今回の計画がパァになったりでもしていたら、それこそ私達の計画も3年はストップでしたからね。この新人看護婦がいなかったら、、どうなっていたか・・・あ!ちょっとちょっと、ついうっかりしてたけど、今の婦長はアナタなのよ。ワタシは新人看護婦の早島早紀、、役が入れ代わっているを間違えないでね、しんまい婦長さん!」


?なにを?・・・
患者を無視した、この2人の看護婦の会話はいったいなんなんだ?・・・けして作者が2人の名前とセリフを間違えたという訳でもなさそうだが(やりかねないケド)
・・・役が入れ代わる?たしかに婦長の立場にある医療経験者ともあろう女性が、新人看護婦に敬語を使っている光景など、あまり見られるものではないが・・
・・・・その意味は彼女達の話のつづきを聞くしかない。


{ ふうううう!!ふぐうっふううん?}

偽:早島
「ふふふ、いくら叫んでも無駄なのよ、患者さん?、、そのスキンフェィスを被せる前に貴女の口の中には包帯とガーゼをぎっしりと詰めて、その上からメディカルテープで何重にも重ね貼りしてあるんですもの、ふふふふ。」

婦長
「でもね、いくら外から見たって、ただの顔色の良くない患者さんにしかみえないのよ。それにナースコールで助けを求めようとしても、そんな芋虫みたいな恰好で拘束されていたら手も足も動かないんだしね。」

偽:早島
「これから アナタが体験する人生じゃ、こんなものまだまだ序の口なんですからね。今からこうしてあげるのは 親心みたいなものなのよ。ふふふふ。」

婦長
「本当は全身麻酔でも良かったんだけどね、それじゃ意識もなくなっちゃうし息苦しくもないからつまらないでしょ。あれだけ楽しみにしていた萩野さんの代役に抜擢されたんですもの、それぐらい当然よ。」

偽:早島 
「そろそろ局部麻酔も切れる時間だから、その拘束服がうっとうしくなってくる頃ね。ベッドを汚される前にお小水をとりましょ。カテーテルとシビンの用意をお願い、、、、って、これは私の仕事でしたわね、婦長、うふふふふふ。」


顔はたしかに早島看護婦に間違いなかったが、その唇を震わせる声は、たしかに あの婦長の物に間違いない、、そして何より拘束服を着せられ、サンノミヤと言う患者の顔を被ってベッドに横たわっているのは、他ならぬ早島早紀自身なのだ・・・

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拘束服・・・それは薬物常習によって一時的に精神錯乱をきたした容疑者などに着せるタイプの革で出来たボディスーツに指先までスッポリと包み込むアームサックが一体となったような物と考えて欲しい。

そのアームサックの先端は袋状に閉じてあり、その先端は革製のベルトとバックルが縫い付けられている。その拘束服を着せられた者は、両腕を前から自分の胸を抱き抱えるようにして後ろに回されて、背中でバックルを留められると上半身の自由はなくなる。
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偽:早島 
「はぁい、それじゃ お小水を取りますからね、カテーテル、一番太い物にしてあるから尿道に刺す時にかなり痛いわよぅ、、だからって ベッドにおしっこを撒き散らしたりしたら、後でもっと痛い目にあわせてあげますからね。解ったわね。さてと、こんな掛け布団なんか邪魔だから取ってしましましょ。」

ばさっ、ばっさあっ

婦長
「自分が無理矢理おしっこをさせられる姿見たいでしょ?そのままにしてらっしゃい。婦長じゃなかった、、早島さんはサンノミヤさんのお尻にマクラをあててから両足のベルトを左右のベッドのパイプに縛り付けちゃって下さるかしら。」

ビッ、、、
グッ、グイイイィィィィ、、ウイン、ウイッヴヴヴヴヴヴイィィィィ

婦長に変装した人物がベッド脇のスイッチを押すと、そのベッドの上半分が早島看護婦の上半身とともに少しずつせり上がって、やがて止まった。

薄手のバスローブのような病院指定の診療着のたもとは左右に引っ張っぱられて大きく開いた両足にさばかれて、下着を脱がされた彼女の下半身を剥き出しにしてまった。

婦長・・・いや今は早島看護婦に変装した謎の女性?、、とにかく、その人物は本物の早島の下腹部、、、正確には性器に、、採尿誘導の為の器具、カテーテルの先端を刺し込こもうとしてそこをまさぐった。

偽:早島 
「、、、え?、、こ、、これ、、これは!」

婦長
(ちっ、、、こいつ、、手抜きしてる、、)

つかつかつかつか

「てぃ!ほつ、はあ!」
ドグッガゾッ

偽:早島
{ うつっ?ほうわっ?}

婦長
「ふうぅぅ、やばいやばい、、危機一髪だったわ。それにしてもこの変態野郎、、まさか本気で尿道カテーテルまでやろうとしていたなんて、鼻つまみのサディストって噂はまんざら嘘じゃなさそうね。、、」

{ぬっふうぅぅ、、ふふふうん}

仲間割れ?、、、早島看護婦の下腹部をまさぐっていた偽の早島は、背後から急所に振り下ろされた婦長の手刀の一撃に呆気なく昏倒したのだ。それを見て驚く早島看護婦を睨み付けながら、婦長が激怒の声を投げ下ろした。

婦長
「それにしても!、、アンタもさ、腕利きだかなんだか知らないけど、少しばかり 油断しすぎじゃなくって?、、、そのスキムスーツは仕様書の通りに着用していたら、新人の諜報員が着て、今みたいに性器をまさぐられたってバレっこないのよ
。」

婦長の口からポンポンと飛び出す言葉は、婦長のものでもさっきまでの女性のそれでもなかったが、まぎれもない女性のものだった。

婦長
「こんな事いってる暇はないわ、さっさとその変態ビアンと入れ替わるの、時間はあんまり残っちゃいないんだから。上は脱がせてあげるから足は自分で解くのよ。いいわね。」


婦長に変装した女性は、偽の早島看護婦が着ていた真っ白な看護婦服を手早く脱がせると拘束服に着せ替えてしまった。当の早島本人は足の戒めを解き サンノミヤの顔を剥がしていた。

ベリッヒィリュルルベルリョ、、
 
複雑な話だが偽の早島看護婦の顔の下から現れたのは、婦長などではない見た事もない男性の顔だった。婦長はその男性の口に本物の早島看護婦の口から取り出した唾液でぐっしょりと濡れたガーゼを詰め込むと、その上をメディカルテープをきつく巻き付けている。あまりにもきつくテープを巻いた為に、その男性の顔は西洋ナシのように無残にくびれていた。

婦長
「やれやれ、サンノミヤさんの顔は出来た、、と、それにしても、こいつ本物の女性とセックスした事あるのかしら?」
 

婦長のそうつぶやく言葉にも、偽の早島看護婦は何も答えはなかった。まだ失神しているのだろうか?いいや、、、そうは思えない、、、


婦長
「せっかく用意してきたんだから、おだちんにこいつとSMプレイさせてあげましょうね。」

「む・・、ぐ?、ぶぐうぬ゛ごぶううんんんっっ!!」


失神したフリをしていた偽の早島看護婦は、その婦長の言葉とキラッと輝くカテーテルの先端を見ると、必死にサンノミヤと言う女性患者の顔を横に振って抵抗しだした。


婦長
「いやだと言ってもそんな風に縛られて猿轡までされちゃあ抵抗できないわよね、それにさっきまで他人にやろうとしていたぐらい大好きな事なんだから遠慮なんかいらないのよ。ただしアタシは、スペシャルドリンクもサービスしてあげるけどね。」


婦長は手にしたカテーテルの片方をテープで覆われた偽 早島看護婦の唇の辺りに狙いをつけて、ぐいっと刺し込んだ。

婦長
「素敵なストローじゃない。ほらほら、こっちもこんなにエレクトして、そんなに欲しいのねっ、、ふふふふ」


いくらニセモノ同士とは言っても医療現場の知識と経験がない訳ではないであろう、婦長はいきり立つ偽 早島の先端をしっかり握るとその尿道に、もう一方のカテーテルの先端をいきなり突っ込んだ。


「むぐうううっっ・・ぬおおぅぅぐほっんんんんっっっぐううううう!!!!」

ついっ、、つっつつつつつつつつつ、、、

膀胱には本人が思っている以上のおしっこが溜まっていたんだろう、、尿道から伸びた透明なビニールチューブの中に、やや黄身を帯びた琥珀色の液体が勢いよく流れ始めて、口に向って昇っていく。

数秒後にはもう、口の中いっぱいに充満するであろう自分の尿、、、、偽の早島看護婦はパニック状態だった。婦長はそんなイケニエを押さえ付けながら、その部分が抜け落ちないようにメディカルテープを張ってしっかりと固定している。偽の早島看護婦はあまりの羞恥責めに震えてだしていた。


婦長
「あらあら?どうしたの?、、、嬉しくて震えてるの。大丈夫よ。乱暴にしない限りペニスに刺してあるガラスの部分は折れたりしませんから。ねぇ?それよりも一度、糖尿の検査をした方がいいわよ。糖の流出が凄いもの。」

早島(本人)
{うむむんんっっっ・・・・・むっはぁ、、縛られて猿轡を嵌められる事がこんなに苦痛だなんて初めて知ったわ。、、それにしても しつこい接着剤ねぇ、、うむむんんっっっ・・・・・}

偽の早島から脱がせた看護婦の制服を着た早島のナースホワイトのパンティストッキングに包まれた脚は魅力的だったが、それに見取れていてる暇も余裕も今はない。

婦長
「ふうう呑気なものね。ちょっと手を貸しなさいよ。この患者さんをベッドに寝かせてあげないとね、、それから両足はしっかり縛っておかないと。」


2人がかりでベットに寝かされ頭まで布団と毛布を被せられたサンノミヤは、すでに諦めてしまったのか、わずかに身悶えただけで、それ以上の抵抗はしなかった。


婦長
「そのスペシャルジュースを飲んで良い子にしてるのよ。それじゃお大事にね。ふふふ」
 

そう言って廊下に出た2人の看護婦に不審の眼を向ける者はだれもいない、、数寸後、サンノミヤの病室の窓から下を見下ろすと、夕焼けを浴びながら帰って2人の看護婦の姿が見えた。


摂理への挑戦は、時には勇気ある者の行為とは言いきる事は出来ない。
神の存在を否定して、自己の魂を売り渡す事でしか成功を得られないの
かも知れないのだから・・・


それにしても婦長と早島看護婦は何の目的で、この病院に潜入しているのだろう。
そして死んだ看護婦主任と女性患者サンノミヤとの関係は?謎はますます深まる
一方ではないか。


≪黒衣の看護婦:第一章≫

[不死の妖魔女]
とりあえず この辺まで_〆(^◇^ )

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