Tran-DS: The Side Story of Tran-D
Tran-DS
The Side Story of Tolled Armor Tran-D
Chapter 3: Tran-DS Eliminated
part3
だれかに痛いほど手を引かれ白い通路を走っている。
見覚えがある場所。
見覚えがある人。
見覚えがある時。
『はあ、はあ』
息が切れ、もたつき始める。
大人が自分をある場所へと連れて行こうとしている。
振動が起き、そのため自分は倒れてしまう。
『大丈夫?!』
手を引っ張っていた女性が駆け寄って来る。
『う、うん』
振動がまたする。
それをみて動揺しているかのように女性はあたりを見まわす。
状況が悪化していることを悟ったかのようにその女性は今度は自分を抱きかかえる。
抵抗もせず自分はしっかりとその人にしっかりとしがみつく。
自分を抱えた女性はそのまま通路の奥へと進む。
やがて広い所にたどり着く。
そこには巨大な機械がおいてある。
いや、一つの機械ではなかった。
一つのものの後ろにもう一つ機械と呼ばれる物がある。
それは自分が好きな動物の形をしている。
その前には無数のパイプがつながっているカプセルがある。
-いやだ、いやだ-
それをみて自分を待ち受けているのがなんなのか悟ったかのように叫んでいるつもりであったが声は出ない。
『戦況はどうだ?』
男が一人自分を抱えている女性に尋ねる。
彼女は無言に頭を左右に振るだけである。
振動がまたする。
しかし今度は前より激しい物であり、警報がなる。
『敵都市内に進入!!動けるKAは迎撃に出ろ!!』
放送で状況がさらに悪化していることを告げる。
『貴方』
女性は男性に目を向ける。
彼は無言に頷く。
それを見ると彼女の目に涙が現れ、自分に顔を向ける。
-いやだ、いやだ、いやだ!!-
顔を左右におもいっきり振っている・・つもりだった。
しかしそこにいる自分は何がどうなっているのも分からずただその女性の顔をみつめるだけであった。
男は両機械に最終調整をするかのように作業をする。
しばらくするとカプセルの扉が開き、白いベッドが現れる。
自分がそこに向かっていることがわかる。
抵抗したいのに出来ず自分はそこに寝かされる。
扉は閉まり空気が流れ込む音がし始める。
その空気の成分のせいか、眠くなってくる。
女性は手をその扉に当て涙を流しながら覗いている。
その時、数十人の足音がし、閃光と共に発砲の音が聞こえる。
女性はそれに振り向き自分を守るかのように身体で扉をかぶせる。
機械音とともに自分が入っている機械が下がりはじめる。
女性は何かを叫んでいるようだ。
自分も何かを叫んでいる。
何度も何度も口にした言葉である。
次の瞬間紅い液体がびしゃ!という音と共に扉に広がる。
それがなんなのかはすぐに分かった。
それを追うように女性が扉に倒れる。
彼女が着ている服が真っ赤に染まってる。
『おかあさん!!』
自分が何を叫んでいたかやっと聞き取れる。
しかし相手には聞こえていなかった。
瞼が重くなり始め、身体がいうことを聞かない。
閃光が再び女性の後ろで光る。
それと同時に女性の目は大きく開き、血が口から零れる。
それで力が抜けていくかのようにゆっくりと下へと彼女の身体が下がりはじめる。
しかし彼女はそれを抵抗しようと血塗れた手で扉にしがみつく。
赤い手形が扉に現れる。
その彼女の後ろに人影が現れ、片手に持っている物を彼女の後頭部に当てる。
-やめてーーーーー!!-
と叫んだつもりだった。
相手に聞き取れるわけなく男は小さな動作をする。
同時に女性の身体がびくん!と一度動き新しい血が頭から飛び散る。
しかし彼女は我が娘にひとことを残そうと口を動かした。
-生きて-
といったのか解らないがそれを見た瞬間自分は暗闇へと落ちていった。
・
・
・
・
『うわあああああ!!!!』
小さな女の子が出すものとは思えないほどの声を上げ、フィオはベッド中で暴れだした。
拳を振り回し、何かを掴もうと手を出す。
しかし何も掴まない。
『う、うう!』
それでも何回も手を出し、『何』かを掴もうとする。
そしていつもなら何も掴まず起きてしまうのであったが、今度は何かを掴んだ。
「どうしたの?」
やさしい声が聞こえた。
知っている声だしかしあの人のではない。
それでもその差し伸べられた手を壊してしまうほど強く握り締める。
「フィオ?」
目が覚めた。
相手の顔を見る。
フェナだ。
「悪いゆ・・・」
フェナが言い終わらせる前にフィオは大きな声を出しながら泣き、フェナにしがみついてきた。
何をどうすればいいのか分からずフェナはただ彼女を抱き、頭をなでてやるしかできなかった。
フィオはただ『おかあさん』と言う人の名を何回も呼ぶだけであった。
○
低い機械音が聞こえる。
三人の目の前に小さな光を無数に発生している大きな機械があった。
その大きさは地球連邦政府のメインコンピューターの10倍ぐらいである。
常に何かを計算しているかのように無数の光がちかちかと光る。
『マザー』
フィオがその機械に呼びかける。
それに応じ、三方向からまばゆい光が発せられ一点に集中し人影が現れた。
1、2秒経つと三人の前にローブを何重に着、床に広がるほど長い金髪の美しい女性が現れた。
ホログラムである彼女は目を閉じており、手はローブの中に収められていた。
『地球の方々、ようこそイルヴィ−ヌへ、わたしはこの都市の管理をするマザーです』
挨拶の言葉が三人の頭に響く。
フェナと真沙緒も簡単に挨拶する。
「マザー、貴方に聞きたいことが・・・」
フェナが初頭から切り出した。
しかし言い終わらせる事が出来る前にマザーが片手をあげフェナを止めた。
『わかっています。私もあなたがたにいろいろと頼みたいことがあります」
それを聞いた瞬間フィオがフェナにしがみついて来た。
震えてることがフェナにわかる。
フィオの頭に手をやさしくおいて、フェナは真沙緒と目をあわせた。
真沙緒はそれに無言に頷く。
そして三人がマザーに向き直すと彼女は話を始めた。
イルヴィ−ヌ、そこはかつてこの星の首都の一つの都市であった。
そのころ、地球でいう国みたいなものは二つしかなかったらしい。
もう一つの「国」とは対立するところで彼らは星の自然と共同に生きようとしていた。
環境破壊には二、三倍の注意をはらせ、できるだけ自分たちが必要以上に星の自然を破壊せずに生きていた。
しかしもう一つの「国」と対立がある限り兵器を作らないわけにはいかなかった。
全面戦争は起こらず、国境での小競り合いですんでいたらしい。
都市と呼べるものは世界に散らばっており、彼らは特別な野心をいだたかずくらしていた。
時間につれ文明は発達し、宇宙でも人が住めるようになっていった。
この都市にある塔はほかの都市と宇宙にある都市との通信の役割を果たし彼らをつなげる道具でもあった。
イルヴィ−ヌはこの文明の首都して相手の国境から一番遠い位置に作られ、国を収めていた。
平和はいつまでも続くと思われていた。
しかし状況はあることで変わった。
相手の国が人型兵器を作ったからある。
対立する国は彼らとはまったく逆の思想をもっていた。
自分らがこの星の主であると思い込み、星全体を支配しようと彼らは領土を広げはじめたのである。
何がその思想を武力行使にまで彼らを暴走させたのは不明であった。
しかしイルヴィ−ヌを中心とする文明は戦わないわけにはいかなった。
人間をたたえるかのように作られたキラ−ド−ルと呼ばれる人型兵器は無差別に攻め込み次々と都市を破壊していった。
そして一人も生き残さず、地に燃えつくまで町々を焼いていった。
宇宙都市も例外ではなく、それらは宇宙の塵となり消えていった。
その強力な兵器に対抗すべくイルヴィ−ヌの人々はエルファの動物の形をとったキラーアニマルを作った。
いろいろな形を取ったそれは、地球の獅子、虎、狼などによく似ていた。
地球では幻獣とされていた龍、麒麟などの形によく似たものも作られていた。
恐竜の形をとったものもあった。
そういう形を取ったせいか、それらは製造者が思う以上に強力であった。
自然と共に生きるなら、自然とともに戦おうということで動物の意志の了解をうけ、彼らを機械と融合しキラーアニマルは作られていった。
しかしそれはキラーアニマルの致命的な弱点でもあった。
戦闘で残骸を発見した相手はそれに気づき、今度は動物を全滅させ、ベースとなるものをこの星から消し去ったのである。
自然動物の全滅原因が自分にあると知ったイルヴィ−ヌの人々は苦悩した。
しかし戦いを止める分けには行かず、今度は動物のクローンを作りそれを使った。
本物と比べて品質がきわめて低いそれで作られたキラーアニマルはキラードール相手には太刀打ちできず、国境は毎日イルヴィ−ヌへと進んだ。
生き残った人はイルヴィ−ヌで立てこもり最後の砦とした。
そして運命の日に相手はイルヴィ−ヌへ総攻撃をかけた。
クローンキラーアニマルとキラーアニマル総出撃でキラードールに対抗したが、無駄に終わった。
最終手段としてマザーは独自の判断で都市を地中へと沈めた。
どういう分けか敵は地中のイルヴィ−ヌへ侵入してきた。
逃げるところもなく、キラードールとキラーアニマルの戦闘に巻き込まれイルヴィ−ヌの市民はこの世から消された。
しかし入ることはできても外へは再び出られないようにマザーは都市をさらに深く沈めた。
地上に戻ることができなかった敵兵とキラードールは飢えのために死に絶えた。
そして地上を相手にわたさんとマザーは衛星兵器を起動をさせ、地上の無差別攻撃を実行した後、結果を確認をせず眠りに入ったのであった。
気が遠くなるほどの時間がすぎて、異星人の探索機がこの星をスキャンをしているとこをセンサーが反応し目覚めたのである。
『まさか、彼らが生き残っているとは思いもしませんでした』
マザーはそのことで話を終わらせた。
「人って、どこの世界でも同じ過ちをするのね・・・・」
その言葉は意外に真沙緒から発せられた。
マザーはそれに反論しようとはしなかった。
『う・・・を』
フィオが何かを言いはじめた。
『うそ!うそ!うそ!』
フィオが泣き声で叫びだした。
『みんなが遠いところいって必ずかえってくるって・・・・!』
「ごめんなさい」としかいわず、マザーは申し訳ないように頭を下げた。
『ああああ!』
怒りと悲しみが含まれた声でフィオはマザーのところへ走り叩こうとした。
しかしホログラムであたるわけもなく、フィオの拳はむなしく空気を切るだけであった。
それでも彼女は止めなかった。
疲れ果てるまで拳を振り回した後、フィオはそこに座り込み泣き続けた。
帰ってくると思っていた人が来ない、そしてそれに気づいていた自分を許せずフィオは泣いた。
「フィオはなぜ?」
フィオの頭に手を置くようなしぐさをするマザーにフェナは尋ねた。
『我が子を生かしたい親心のためでしょう。フィオの親は最後の戦いの際フィオを眠らせたのです』
なぜ起こされたのかと聞く前にマザーは答えた。
『7年前、キラードールが再び現れ、あなたがた地球人を襲いはじめたとき、私はとっさにここを再び襲われるとおもい、彼女を逃がすために起こしてしまったのです』
『しかし、わずか3才の子どもに極地を一人で渡らせる分けに行かず、嘘をつきながらこの子を育てて来ました』
『一人の女の子と戦士として』
戦士として聞いたとき、フェナと真沙緒の目が丸くなった。
−こんな小さな子に・・・・−
と思いながら二人の視線はフィオに向けられた。
何かを言いだそうとしたが、再びマザーに割り込まれた。
ホログラフィックスクリーンが現れ、そこにTran-DSとトランゼスSが現れる。
それを見た二人はまた驚かさせられた。
「な!」
二機は完璧に新しい姿として生まれ変わっていた。
Tran-DSは以前よりずっしりとした形をとり、レールガンによく似た兵器が固定兵器され、テールバインダーと見えるものも追加されていた。
頭部、および胸部はそのままであったが、それを除けばまったく別な機体になっていた。
TVSようの機動フィンも数が増え、細かくなっていた。
だが、フェナに取って趣味に合わない外見であった。
それをみて最初に思った言葉は「いやだ」であった。
トランゼスSというと・・・Tran-Dになっていたと言っても過言ではない。
頭部はTran-Dそっくりのものになり、体のラインもよく似ていた。
違うといったら、宇宙用の外装が強化され、固定兵器が装備されたいたことである。
そしてもうひとつ。
TVSをトランゼスSに組み込んだようなフィンがあった。
それを見た真沙緒の心は踊っていた。
機体の側にもう二つメカがおいてあった。
それはレイピアシャトルの改良、強化版といえる機体とキラーアニマルと呼ばれるものであった。
獅子、虎、狼を組み合わせたかのようにそれは見えた。
それをみて、真沙緒とフェナは自分の機体のことは頭から吹っ飛ばされた。
すごいとおもいながらそれにみとれているとマザーが再び話はじめた。
二人はその話をほとんど聞いていなかった。
聞いていなかった、最後の一言までは。
『・・・・・・どうか、この子を連れてこの都市からできるだけ早く離れてください』
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