Tran-DS: The Side Story of Tran-D
Tran-DS
The Side Story of Tolled Armor Tran-D
Chapter 3: Tran-DS Eliminated
part4
ターバインの音が格納庫の中に響き渡る。
ノゼルがアフターバーナーの高熱のためで赤く輝いていた。
『・・・・・』
フィオはうつむいたまま席に座っていた。
目は泣いていたため赤くなっており手を組んだまま一言もしゃべらない。
『・・・・・・どうか、この子を連れてこの都市からできるだけ早く離れてください』
そうマザーに告げられ、真沙緒とフェナはその場で言葉を失った。
『ここにいては、この子には未来などありません』
未来・・・この言葉がフェナの頭の中でこだました。
「いいの?・・・」
と操縦席にいた真紗緒がフィオにたずねる。
知り合ってから間もない人と彼女は故郷を離れるのである。
勝手にマザーに決められたことにフィオは腹立っていた。
『本当にいいの?』
だれに聞いているのか、フィオは同じ質問をした。
エンジンの音しか聞こえない間がすぎてフィオは決心したかのように小さく頷いた。
目を固く閉じ、自分が生まれたところから飛び立つ衝撃を待った。
「・・・・・・・」
フェナは何も言わず、ただコクピットから見える景色を見つめていた。
真紗緒はゆっくりとコントロールステッキを握り、発進の最終チェックをおこなった。
できるだけ遅く、フィオがもし決心を変えたらと数秒でできる作業を数分延ばした。
「発進準備できました。マザー・・・なにか・・」
それ以上言えなかった。
『・・・・・・・元気でね』
とフィオにマザーは挨拶した。
『さようなら・・・』
新しい涙をながしながら、フィオはそれに答えた。
それを合図にレイピアシャトルは射出され、目的地のトリエスタへと飛び始めた。
フィオは振り返りもせず、ただ前の景色を眺めた。
発進してから数秒が経ったその時、眩しい閃光が後方から現れた。
それがなんなのか、すぐに悟ったかのようにフィオは振り返った。
『おかあさん・・・』
茸雲が眩しい光とともに現れ、都市が消滅したことを示した。
次の瞬間、衝撃波が機体を襲った。
核兵器使用の際に生じるそれは電磁波も含まれていた。
稲妻が機体の周りに発生され、防御膜が施されていることを示した。
警報が悲鳴を上げている中、真紗緒は衝撃波の影響を減少し、ただただ振り替えずにトリエスタへと向かった。
涙が出るのを必死に我慢しながら。
フェナはまるでショックを受けたかのように頭を窓際におき、激しいゆれに対抗をしようとはしなかった。
そして声をあげず小さく唇を動かした。
一言・・・おかあさんと。
○
「艦長!北、2000キロの地点に高熱源体発生!!」
索敵に座っているオペレーターがそう告げる。
それを聞いて、報告を受けた男の顔の表情が険しくなった。
「原因は?」
「不明です」
手を組み考えるしぐさをその艦長と呼ばれた男がする。
エルファに降りてから数日。
手がかりみたいなものは何も発見できず、最悪の状態を覚悟していた彼であった。
「周辺にほかになにか?」
「申し訳ありません、電磁波のせいで衛星のセンサーが使えません」
「ふむ」
しばらく考えるしぐさをし、艦長は次の行動をきめた。
「よし、偵察のレイピアをそちらへ向かわせろ。こちらも進路変更その地点へ最大速!第二戦闘配置」
「了解」
進路を変更する作業をはじめた、航行席に座っているオペレーターが返事する。
そして、通信席に座っているポニーテールの女性オペレーターは出ている偵察機をその地点に向かう指示を出した。
同時に第二戦闘配置ようの黄色の電灯が光り、警報がなった。
-無事であってくれ-
と艦長は祈るのであった。
○
-グルルルルル-
と聞こえたのか、フェナは後ろへと下がった。
彼女の目の前にはフィオとともに「つれて」行くことになった「獣」があった。
一歩近づくと再び何かが唸る音が頭の中に響いた。
「どう、おもう?Wile」
-I can't scan him. The only thing I can tell you is that the technology used to create him is higher than anything we have encountered-
(彼をスキャンできません。一つ言えることは、彼を作るために使われた技術は我々がいままで遭遇したものより超えていること)
「・・・・・・」
無表情でその言葉を聞きながらその「彼」をフェナは見つめ続けた。
マザーがいっていた、キラーアニマルである。
一機でキラードールを数機同時に相手にできる機体。
これ以上なにもできないと悟り、フェナは自分の機体のコクピットへと向かった。
整備モードで機動させ、フェナは新機種とも言えるこの機体のスペックを見た。
シルエットで見る限り形は大幅にずっしりとしたものになり、スラスターとTVSが強化されている。
そして大気圏の高速飛行のためなのかテイルバインダーとそれに伴う大型スラスターが追加されていた。
こんなので本当に動けるのかと思うほど機体は重くなっているように見えた。
それでもフェナは早く使ってみたいという思いが心にあった。
しかし同時に好みのデザインでないという思いもあった。
Wileはというと、まるで生まれ変わったみたいだという。
「はあ」とため息を吐くとフェナは再びシステムを停止させ、コクピットから降りた。
Wileにいくつかのシミュレーションを命じ、シャトルのコクピットブロックへと向かった。
「何回目?」
真紗緒が意地悪そうにたずねる。
それを無視するかのようにフェナは自分の席に戻り、通り過ぎていく景色を眺めた。
泣き疲れたのか、フィオは隣で寝息をあげていた。
そっと髪に触ると小さな笑みをフィオがあげる。
それに満足したのか、フェナは再び外へと目を向けた。
沈黙がコクピットに訪れる。
発進してから数時間が経過していた。
会話はなく、静さがコクピットを支配する。
真紗緒の視線は常にシャトルの位置を示すGPSのスクリーンに向けられていた。
一番近い街にたどり着くまで後十二時間かかると表示されている。
探索されていない地域とはいえ、探索衛星が一応エルファのすべてを調査したのだから一応現在地などわかる。
だが、真紗緒の頭の中ではフェナの過去とこれからのことでいっぱいであった。
「・・・・一度死んでいるの」
それから始まったフェナの話は真紗緒の想像を超えるものであった。
彼女たちの敵の正体、キラードールの正体、そしてこれからの行動。
はっきりとしたものあると同時にまったく不明なものをあった。
いや、不明というより、フェナが知っていても打ち明けてくれなかっただけかも知れない。
何度もため息をし、真紗緒は時々そっとフェナの顔を覗った。
しかしフェナの表情はまるで人形ののように変わりはしなかった。
白い世界が通り過ぎていく。
それから数分が過ぎたとき、通信受信の合図がなった。
まさかと思い、真紗緒は回線を開いた。
聞き覚えのある声流れてきた。
『フフフフ!見つけましたよ』
それを聞いた瞬間真紗緒の背筋が凍りついた。
そしてフェナに知らせようと振り向いた時には彼女の姿はすでになく、リアクターの機動音が格納庫から響いた。
○
「フィオ!おきて!フィオ!!!」
真紗緒は必死ににフィオを起こそうとする。
ガコン!という音と共にシャトルの格納庫のハッチが開く。
「フェナ!やめなさい!」
フェナを止めようと真紗緒は叫ぶがそれは聞かれず、衝撃とともにTran-DSは発進した。
固定兵器とされた大型レールガンを構え、Tran-DSは前方に一発放った。
光が走り、はるか彼方で火球が生まれた。
それと同時にシャトルのセンサーから警報がなり、無数ともいえる正体不明の機影がスクリーンにあらわれた。
「!!!!!!」
それを見た真紗緒の顔は青くなった。
いつのまにか完全に囲まれていたのである。
感知されないように低飛行していたが、それも通用しなかったようだ。
「真紗緒!何をやってるの!着陸して貴方も迎撃態勢に入って!」
「で、でも!」
「早く!」
逃げようとしてもシャトルの機動性は大気圏内ではないに等しく、対空ミサイルに撃ち落されるのがおちであった。
いわれるがままに真紗緒は緊急着陸のパターンを実行し、操縦をオートパイロットに切り替えた。
そしてフィオを起こそうとフィオを揺らす。
「おきて!フィオ!!」
次の瞬間シャトルは緊急着陸を実行し機内は激しい衝撃に襲われた。
その衝撃でフィオはやっと目を覚ました。
二、三回小さく跳ねり、数百メートル氷の上を滑ったあと、シャトルはやっと止まった。
『どうしたの?』
眠たそうな声でフィオは真紗緒にたずねる。
「敵がきたの・・・」
『え?』
敵と言う言葉でフィオは完全に目を覚ました。
『フェナは・・・・?』
その答えを教えるかのように、真紗緒は外を見た。
機体のすぐ側にTran-DSが銃器を構え、射程内の敵を次々と遠距離よりの狙撃していた。
眩しい光が、兵器が発射されるたびに発生される。
『そんな・・・』
フィオの目から涙が再び流れ始めた。
『真紗緒!!!』
「いまいく!」
フェナの掛け声に真紗緒は格納庫へと走り始める。
「おねえちゃん!」
フィオが呼び止める。
ちょっとためらってから、真紗緒はフィオのところへもどり肩をつかみフィオの顔を覗きこんだ。
「いい?貴方はここでじっとしていないさい。なにがあっても動かないのよ」
『でも!』
フィオが反論しようとするが、真紗緒はすぐに首を横に降った。
「だめよ・・私たちがどんなことがあっても貴方を守るから、いい子にしてまっているのよ」
そのことを最後に真紗緒は格納庫へと走り、トランゼスSのコクピットに飛び込んだ。
リアクターの機動音が響き、間もないうちにトランゼスSは飛び立ち、Tran-DSがいる位置のシャトルの反対側に着地し兵器をかまえ、射程内の敵機を狙撃しはじめた。
彼方に火球が生まれる。
二機から発せられる光は確実に敵機の数を減らしていったが、次から次へと新しい機影が現れる。
「Wile、状況を」
-We are surrounded by over 100 and an increasing number of Tolled Armors-
「・・・・・・・」
「そんな数がいったいどこから?!」
報告を聞いた真紗緒は信じられない口振りで叫ぶ。
それでも二人は狙撃を止めない。
だが、状況はそれから数分たった後悪化した。
それは敵機が特攻をかけるかのように雪崩れ込み始めたからである。
発砲の速度をあげても間に合わず、ミサイルを使い出す。
しかし弾数に限りあるそれはやがて尽きてしまった。
そしてとうとう肉眼で敵機を確認できる距離まで進入を許してしまう。
「・・・・・・・」
顔はいつものの通り表情はなかったが、内心フェナは少々焦っていた。
敵の数が多すぎるのである。
切りがないと言う言葉が口から出そうであった。
相手も発砲を開始する。
だが、距離が離れているため方向外れの弾丸が通っていった。
偶然にあたるものはPSSが止める。
だが敵の群れはまるでゾンビの群れのようにゆっくりと迫ってくる。
『おねえちゃん!!』
フィオが大声で叫んでいる。
「どうしたの!!」
フェナが本能的に呼びかけに答える。
フェナはフィオが次に言った言葉を聞きたくなかった。
『大きい影が20個ほど来てる!』
大きい影・・・・・TAではなかったら戦艦ということになる。
それに気がついたとき、その一つから強烈な光が発せられた。
ほかの機体に気がとられてか、反応が遅れた。
PSSの防御うまくをいともに簡単にそれは貫通した。
直撃は避けることができたが固定兵器の大型レールガンは熱で溶け、使い物にならなくなった。
「フェナ!」
真紗緒がその光景をみて叫んだ。
援護したいが、敵機を落とすための方向転換と発砲がそれをゆるさない。
-Railgun is inoperative. We also have a malfunction in the left manipulator-
(レールガンは使用不能。左マニピュレーターに以上発生)
「中村准将、主砲がTran-DSに命中したようです」
オペレーターが状況を中村准将に知らせる。
腕を顔の前に組み、中村准将は不適な笑みをあげる。
「フフフ!今度こそ破壊してやる・・・・全砲門Tran-DSをねらえ」
命令に従い、照準がTran-DSに収められる。
「撃て」
と小さな声で中村准将が命令すると、スタークラスターの全12門の主砲が火をふいた。
光が伸び、彼方で大爆発がおこる。
「さて、私もそろそろ出かけるかな」
中村の隣に立っていた、ステファンがいい格納庫へと向かった。
彼も不適な笑みをあげていた。
「フフフ、フェナ今迎えに行きますね。そして貴方は再び私のものになるのだ」
彼の姿が通路の奥に消えることに連れ、大きな笑いが変わりに響いてきた。
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