Tran-DS
The Side Story of Tolled Armor Tran-D
Chapter 3: Tran-DS Eliminated
part5

シャトルから光が発せられ一筋の光が伸びる。
それが敵の一機に命中し粉砕させる。

『わたしもやる!』

とフィオがいい、レイピアのレールガンを操り、発射させたのである。
二基あるそれはTran-DSを援護する形で砲弾を撃ち放つ。
もともと戦闘機であるレイピアシャトルにとってそれは雑作のものではなかった。
長距離兵器を失ったフェナはお願いというしかなかった。
しかし20隻も戦艦があるのではこちらが明らかに不利であった。
そして新たな機影がものすごい速度でTran-DSに接近してきた。
中距離兵器でフェナは対応しようとするが、それにはあたらない。
次の瞬間それはセンサー上から消えた。

「な!!」

と言う前にそれはTran-DSの後ろに姿をあらわした。

「フェナ!!後ろ!!!」

それに気がついた真紗緒は叫ぶがフェナの対応が遅かった。
後ろからつかまれ、大気圏突入と同じ状態になってしまう。
足払いを食らわせようとTran-DSはスラスターを使った蹴りを出すが、当たらない。
いや、当てるものがないのだ。

「く!」

機体を振り回すが効果はなし。

「フフフ、このガルーの力には貴方の機体は勝てませんよ。さて今度こそきてもらいますよ、貴方も貴方の機体も」

『そんなことやらせるもんか!』

その声を聞いてステファンの動きが一瞬止まった。
それで隙が出来たため、フェナはバックパックの推力を最大にする。
眩しい光が発せられ、推力の強さが相手の機体はそれに対抗できず離してしまう。
そのスキにフィオはレールガンを発射させた。
それはきれいに相手の機体に当たる。

「おおおおおお!」

眩しい光と思いもしない攻撃にステファンは弾き飛ばされた。
もう一撃を加えようとフェナは機体を反転させ、ナックルショットを打ち出すが、それはむなしく空振りをする。
だがそれでやっと相手の機体の姿を見ることができた。
足はなく、浮遊しているそれは、機動性を重視したものらしく大型スラスターがいくつか見られた。
前回の黒い機体と違い、今回は血の色に近い赤に染められている。
そして黄緑に輝くセンサーが一つ、顔から覗いていた。

「貴様・・・その言葉は・・」

あきらかにフェナではなく、フィオに対しての質問である。

『え?なに?』

相手ににらまれているのがわかったのか、機体の兵器を操作する手が止まった。
ステファンが一歩と近づいた。

『いや!来ないで』

すかざすフィオは発砲する。
しかしそれはかんたんによけられ、近づいているほかの敵機に命中した。
フィオの一言で確信したのかステファンの顔には驚きより恐ろしさの表情が現れていた。



「艦長!南東500キロの地点に戦闘らしきものが!」

索敵のオペレーターが叫ぶ。

「ほかの艦にその地点をしらせ急行させろ!こちらもいくぞ!第一戦闘配置!TAならびにレイピアは発進させろ!」

確認もさせず、艦長は戦闘状態に戦艦をいれた。
警報が鳴り赤い電灯が点滅し、乗り組み員が戦闘配置へと急ぐ。
カタパルトデッキからレイピアと地上での飛行を可能にするパーツを装備したハイ・ランツが出撃した。
そしてその中にはトランゼスという名前を持つ機体もいくつか発進した。

「岬少尉!二人との連絡は?!」

通信オペレーターに艦長は叫ぶ。

「ノイズが多くて通じません!!!」

泣きそうな顔で岬少尉は答える。

「先をこされたか!!ええい!全速前進!最大戦速だ!エンジンをこわしてもいい!!」

その命令しながら艦長はほかに回線を開きある人物に連絡をいれようとする。

「真紗緒!!聞こえる?!真紗緒!」
儀礼を無視して名前を叫ぶ岬少尉だが、返ってくるのは雑音だけであった。
一方、スタークラスター級のタツナミでは中村准将はステファンの報告を聞いて驚くしかなかった。

「彼らは我らの手で消したのではなかったのか」

彼は目を閉じ顔の前に腕を組んだ。

-生かして置くわけにはいないな-

その思いである決断にたどり着いた中村准将はステファンに回線を開いた。

「私だ、Tran-DSは後だ」

一言だけいい回線を切った彼は艦隊にすべての火力をシャトルに向けさせるよう命令した。
「ふん、了解」
命令を受けたステファンは攻撃目標をTran-DSからレイピアシャトルへと移した。
そして片腕をあげ、腕にしこんであったパルスライフルを発射させる。

「く!」

それを止めようとバルカン砲を撃ち放つフェナではあったが、エネルギーを原とするパルス波に通じなかった。
光弾はきれいにレイピアシャトルにあたる。
爆発が起きるがレイピアシャトルに何の変化もない。
周りに展開された電磁シールドがかすかに輝いていた。
今度はフィオが応戦するがあたらない。

「ふん」

ステファンは鼻笑いをすると今度は手甲からプラズマソードを伸ばし物理的攻撃に出た。
これもシールドに止められる。

『きゃ!』

衝撃でフィオは尻餅についた。
もう一撃食わせようとステファンは手を振り上げた。

「やらせない!!」

という掛け声と同時にトランゼスSがガルーに体当たりを食らわせた。
ステファンは吹き飛ばされるが、ガルーに足がないためすぐに体制を回復させる。

「フィオ!聞こえる??大丈夫?」

フェナの声がフィオの頭の中で響く。

『う、うん』

「いい?シャトルをホバリングモードに入れて!できるね?!」

そのやり方を教える前にシャトルは逆噴射をかけ、地から1メートルほど浮かびあがった。
フェナはフィオがどうやってシャトルの操縦方法を覚えたのか今気になった。
逃げると思ったステファンはそれを止めようと発砲するが、フェナはスラスターとTVSを使った高速移動でTran-DSをシャトルの前に立たせPSSで光弾をはじける。

「じゃまをするなーーー!」

しぶとい抵抗に腹立ったのかステファンはTran-DSに突撃させ体当たりをくらわした。
予測以上の打撃でTran-DSは20メートルほど吹き飛ばされてしまう。

「ぐ!」

衝撃で一瞬フェナの意識はTran-DSと共に飛ばされそうになった。
そのため、すぐには機体を立たせることができない。

「貴方の相手はあとでゆっくりします、じゃまをしないでください」

向きを変え今度は高々とジャンプしたガルーは大きく腕を振りかざした。

「く!動け!!!」

Tran-DSにフェナは叫ぶが、どこかがおかしくなったか反応がおそい。

「フィオ!よけて!」

しかしシャトルはまるで襲ってくるガルーが見えていないかのように動かない。

「フィオ!どうしたの!?」

返事が返って来ない。
やっと射程内にたどり着いたのかほかの敵TAが発砲しはじめた。
その砲撃を止める電磁シールドが何かがあたる度輝く。
集中攻撃を受けるシャトルのシールドはまるでガラスの入れ物に見えた。

「ここでやらせてもらいますよ!」

ジャンプをして落ちる速度あげるためにスラスターを全開にしたガルーが襲ってくる。

「やらせないと言ったでしょう!!!」

真紗緒がトランゼスSのスラスターを全開に空中でガルーをプラズマソードで受け止めた。

「しつこいですね貴方も!」

といいながら彼はもうひと腕からプラズマソードを取り出しトランゼスSを両断しようと腕を振りかざす。
しかしそれは真紗緒が出したもうひとつのプラズマソードで受け止められた。

「やりますね・・・・しかし!!!!」

次の瞬間ガルーの頭部のの左右にあるコンテナは開き中型のビーム砲の銃口が現れた。

「!!!!」

気がついた時にはすでにおそく、それはすかさず発射された。

「きゃあああああ!」

まともに食らったトランゼスSはそのまま地面に叩き付けられた。
そして一度跳ね上がり、仰向けに倒れる。
動く気配はなかった。

「真紗緒!!」

それをみたフェナはやっということを聞いてくれたTran-DSを動かし、ガルーに向かわせた。
真紗緒のことは気になるがいまはその余裕もない。
再びガルーと対面し、相手がふるって来るプラズマソードを受け止める。
二機の間に稲妻が走り眩しい光が発生される。

「やりますね・・・しかし私の勝ちですよ」

「・・・・・・」

「ふふふ!」

その笑いとともにステファンは押すのを止め、一歩引いた。
わざと作られた隙だと気づかず、フェナはTran-DSにプラズマソードを振りかざした。

「ふふふふふふふ!!」

気味の悪い笑い声をあげ、ステファンの機体は消えた。

「?!!」

状況を把握できず、攻撃のパターンをキャンセルしようとしたその時無数の光弾が襲ってきた。
数発は外れたが、シャトルの側で着弾する。
爆風をシャトルの電磁シールドが塞ぐ。
しかし本命の一発といえる一撃はTran-DSに直撃をした。
PSSはそれを止めることはできず、それはいとも簡単にPSSの膜を貫きTran-DSの下半身をとらえた。
消滅していく下半身と共に爆発がいくつかおき、上半身は飛ばされる。
しかしその光弾はそこで止まらず、そのままシャトルへと向かった。
そして電磁シールドがまるでないかのように破壊し、シャトルのコクピットに命中した。

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