Tran-DS: The Side Story of Tran-D
Tran-DS
The Side Story of Tolled Armor Tran-D
Chapter 3: Tran-DS Eliminated
part7
「なぜだ・・・なぜこうなる」
中村准将は汗を流しながら、今の状況を信じられなかった。
たかが一機のTAを破壊するためにこれほど苦労するはずではなかった。
その上、イルヴィ−ヌの生き残りがいるとは思いしなかったことであった。
スクリーンに出されているそれは今ステファンを押している。
「く!貴様!!」
『絶対にゆるさない!!』
「だれが!!」
ステファンは生きている腕を使い発砲するがかんたんによけられる。
『シルフィード!!!』
その名前を呼ぶと再び獣の鬣が立ち小さな飛行物体が発進させられる。
すぐにステファンの機体にロックし攻撃を開始した。
しかし発せられる光線は大したダメージは与えない。
「ふん、その程度か」
その時頭上にタツナミに向かって行くTran-DSを見かける。
そのすきにキラーアニマルは仕掛けるがガルーは空へと逃げた。
「ほかに用事ができましたので貴方の相手はあとでゆっくりします」
と言い残しタツナミへと向かった。
『まて!!』
止めようと彼女もジャンプするが届かず、着地した時に何かが襲ってきたと知らされる、
白いトランゼスがプラズマソードを構えて襲ってくる。
恐らく着地のタイミングに合わせて襲ってきたのであろう。
そのトランゼスを吹き飛ばすためシルフィードの口砲の照準をパイロットは収めた。
しかし発射する直前にそのトランゼスはもう一機のトランゼスに体当たりをくらい、あらぬ方向に飛ばされる。
『貴様!!報告を聞いていないのか!!!』
女性の声がもう一機に怒鳴る。
『なんだよてめーは!!』
飛ばされたパイロットが反発する。
「ハインラインの零少尉だ。運がよかったわよ、私が止めていなければ貴方は死んでいたわ」
『な!』
グルルルと唸り声をあげている獣をみて彼は一歩二歩下がるとほかへと向かった。
「大丈夫?フィオ」
真紗緒がシルフィードのパイロットに話し掛ける。
『うん!!』
「しかし驚いたわね・・・」
十歳の子どもが強力な兵器を扱っている。
真沙緒はそのことあまりいい気分にはなれなかった。
『へへへ、・・・・・あれ?フェナは?』
フィオの一言で真紗緒ははっとする。
「とめなきゃ!!」
『え?』
「あんな状態でフェナは一人であれと戦うつもりなの!!」
スタークラスター級の戦艦にトランゼスSで指差しながら真紗緒は叫んだ。
ステファンはそれを阻止するためにタツナミへと向かったのであった。
○
「准将!!!Tran-DSが本艦に向かってきます!!!」
見上げると下半身がないTran-DSがスラスターを全開にしこちらへ向かってくる。
「ふん、そんな機体ではPDSをよけきれまい!!撃ち落とせ!!」
命令も必要なくPDSの光弾がTran-DSを襲う。
TVSも使えない今、簡単に落ちるはずだった。
ばき!!PDSの光弾があたり破片が飛ぶ。
しかしそれだけであった。
「と、特攻するつもりか?!」
ぎりぎりに直撃を避けフェナはブリッジへと向かう。
「やりますね・・だが!!」
フェナを追ってきたステファンがブリッジの前に現れた。
生きているガルーの腕を差し出し一発放つ。
正確に撃たれたそれをTran-DSはよけるが、威力を見くびってしまう。
テールバインダーに光弾がかすり溶けた。
小爆発が起こり軌道がそれてしまう。
「く!」
コントロールステッキが折れるほどに前へフェナが押し倒した。
全開になっていたはずなのにスラスターの出力が上がった。
バックパックから発せられる光が一層まぶしく輝いた。
「じゃまだーーー!!!!」
プラズマソードを取り出しフェナはTran-DSに突進させる。
「なに!!」
思いもしない突進にステファンはよけきらず機体をくし刺しにされ、そのままTran-DSと共にブリッジに突っ込んだ。
「うおおおああああ!!!」
ブリッジのクルーは大半この一撃でこの世から消えた。
中村准将は頭を強打し、意識が一瞬失いそうになった。
そして彼の意識がはっきりしたとき、彼の目に写っていたものはフェナが構えていた銃の銃口であった。
「き、貴様・・・・・」
フェナはただ無言に銃を構える。
「どうした、撃たないのか」
不適な笑いをあげながら彼はフェナを見上げる。
フェナは乱れた髪を一度自由な手でかくが直らない。
一秒経ってかフェナは中村の右太股を撃ちぬいた。
「がぁああ!」
太股を抱えながら中村は転がりまわる。
銃声が再び響き左太股が次に撃ち抜かれた。
「うぎゃああ!!」
もう一度髪をかき、フェナは口を開いた。
「ここまでする必要はなかったはずよ?」
フッと鼻笑いをすると中村はフェナの後ろへと目をやった。
「その理由は私がおしえますよ」
ステファンの声を聞いたと同時に痛みが左脇腹に走った。
ずぶずぶという音と共に人肉が焼けるいやなにおいが鼻に付き、血しぶきが飛ぶ。
フェナの手から離れた銃が音を立てて床に跳ねる。
レーザーブレードが彼女を真っ二つに切ろうと体に食い込んでくる。
目を丸くし、悲鳴を出そうと口が開くがなにも出てこない。
「フフフ、前みたいには切れませんか。いいですねぇこの感触。うめき声が聞こえにないのが物足りないですがね」
フェナは思いっきりステファンをつき飛ばすが倒れてしまう。
痛みで起き上がれない。
落とした銃を拾おうと這いずるが、ステファンがブーツのかかとを傷に当て圧力をかけた。
ステファンを楽しませないよう悲鳴を出すのをフェナはがまんした。
足でフェナをひっくり返すとステファンはフェナの服に手をかけ一気に引きちぎった。
びりびりという音と共にフェナの白い肌が醜い傷とともに現れた。
フェナはにらみ返すことしかできない。
普通の女性だったら胸を隠そうとするがフェナはそれすらしない。
「恥情がない女性はつまらないですね」
いやらしい目でフェナの裸体を上から下へとなめ、不適な笑いをステファンが上げた。
フェナの上に立ち片足をフェナの胸に乗せると、彼はレーザーブレードの先端をさっきの傷に再び刺し右へと右へとゆっくりと進ませる。
「が!!」
本能的にフェナの体が跳ね上がるが押さえつけらているため逃げることができない。
「ふふふ、殺したはずの美しい貴方が今生きている、わたしはこの事に興味があるんですよ」
剣を進ませながら靴をフェナの胸をぐりぐりと踏み続ける。
その感触を楽しんでいるかのように彼の顔の表情はよりいやらしくなった
「や、やめ!」
悲鳴に近い声をあげながらフェナはステファンのブーツをつかみはずそうとするが痛みのせいで力が出ない。
常人ならもう死んでいるはずだ。
「ほかの人間は我々の目的を達成するために駆逐される運命にある。盟約のときは近い。我々はただ邪魔なものを消しているわけですよ」
肉が焼かれる匂いが強くなっていき、血がどんどん流れだしてくる。
「わたしはまた・・・・」
死ぬの?という質問がフェナの脳裏に浮かび上がった。
「いやだ・・・」
生きたい・・・・そう思うとびフェナは素手でレーザーブレードをつかみ引き抜こうとする。
手が焼かれ始める。
「なにをするつも・・」
つもりだというつもりだったが、いい終わる前にどこに力があるのかフェナはレーザーブレードを引き抜いた。
立ち上がるがそれも一瞬、足から力が抜け艦長席によたがる。
「ステファン、私がやる」
フェナの銃を持ち床から中村准将がフェナに狙いをつけた。
「し、しかし!」
「殺してからもまた恋人としてよみがえさせればいいだろう?」
「・・・・・・・・・」
引き金が引かれる瞬間、ナックルショットがブリッジを突き破り。
中村准将とステファンが吹き飛ばされた。
フェナが巻き込まれなかったのは真沙緒の操縦の腕を証明した。
真沙緒のトランゼスSの顔が今出来た穴から覗く。
『フェナ!!!』
スピーカーを通して真沙緒が呼びかける。
「・・・・・」
ステファンの姿は見えなかったが変わりに横たわっている中村准将をフェナは発見する。
衝撃で再び飛んだ銃を手にし中村准将の側によたつく。
踏ん反りかえり、銃口を再び中村に突き付けた。
「ふ、ふ、ふ、貴様に殺されてたまるか・・・・・・ふふふ!」
その笑いと共に彼は胸のポケットにかくしてあったスイッチを取り出し、ためらいもせずそれを押す。
瞬時に赤い警灯が光ると共に警報がなる。
-Emergency Self Destruct Sequence Initiated. This Ship will self destruct in 1 minute-
「ふふふ!はーはははは!!これでわたしの役目は終わる!!E-TRONは消える!キャナリー、今貴方の・・・!」
脳へ撃たれた弾丸が彼の言葉を止めた。
血が変な音を立て流れ出るが、警報の音で打ち消された。
『フェナ早くこっちへ!!!』
トランゼスSの腕が差し伸べられるがフェナにとっては少々遠かった。
-40 seconds and counting-
ステファンが見当たらないのは気になったが、今はトランゼスSにたどり着くのが先だった。
血が川のように流れ出し、焼かれた手と傷が意識を消そうとする。
「く・・・・」
一歩一歩歩くたびに痛みがまして行き、意識が薄れていく。
-20 seconds and counting-
『フェナあともう少し!』
真沙緒が励ます。
「はあはあ・・・・・」
やっとたどり着き、フェナはそのままトランゼスSの指の上に倒れ込む。
真沙緒は指を器用に動かし、フェナをもっとしっかりと捕まえる。
そしてゆっくりと手を引かせた。
-10 seconds-
ばきばきと残骸の中を真沙緒はトランゼスSの手を引かせた、フェナを引っかけないように。
9
8
7
6
「早く、早く!!」
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3
2
やっと手を安全なところに引き離れようとしたとき・・・・
1
contact
ブリッジから爆発が起こり、それは全艦へと広がっていった。
強力な爆風がトランゼスSを襲い、真沙緒は一瞬コントロールを失ってしまう。
そのためフェナを乗せたトランゼスSの腕が横に倒れてしまい、フェナは滑り落ちた。
「しまった!!!!!!」
真沙緒は自分の犯したミスを悔やんだ。
助けに行こうとしてもここからは間に合わない。
下に落ちて行くフェナ、目指しているのは固い氷である。
かすかに開いているフェナの目には爆風に飛ばされいっしょに落ちていくTran-DSが写っていた。
「Wile・・・・・」
その一言でフェナは気を失った、まるで自分を待ち受けている地面を受け入れるかのように。
『フェナぁ!!!』
フィオのシルフィードが落ちて行くフェナをめがけて飛んだ。
そして見事に衝撃を最小限に彼女を口に収める。
『シルフィード・・出来るだけやさしくね』
命令するより、お願いするようにフィオはシルフィードにいう。
了解というかのようにシルフィードは小さく唸り、木から飛び降りた猫のように衝撃を起こさず着地した。
しかしTran-DSはそうはいかなかった。
爆発でダメージをさらに食らったTran-DSをWileはどうすることもできなかった。
昔、地球で放映されたカーツーンで彼と同じ名前を持つキャラが崖から落ちるワンシーンをスクリーンに再現しながら、彼はそのキャラと同じ絶望の気持ちを抱き地面に落ちる衝撃を待った。
地面に落ちると同時にリアクターが爆発した。
爆発はTran-DSの頭部を数百メートル飛ばし、赤い炎がTran-DSを包んだ。
黒い煙が風に煽られている。
そして着地したトランゼスSとシルフィードの側にフェナの名前を何度も叫ぶ二人がいる。
『フェナねーちゃん!目を開けて!!!!』
「フェナ!」
二人の頬に熱いものが流れている。
「フェナ!フェナ!!死んではだめ!」
フェナを起こそうと真沙緒は彼女の顔を軽く叩くが効果はない。
「真沙緒姉ちゃん、フェナの体が冷たくなっていくよぉ!!」
血が二人の衣服を赤く染まらせていく。
浮遊エンジンの暴風を吹かしながら頭上にハインラインが現れた。
救命艇が発進される。
その遅さにフィオは何か訴えようとするがエンジンの音のため聞こえるわけなかった。
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