Tran-DS
The Side Story of Tolled Armor Tran-D
Chapter 5: The Beginning of the End
Part 4

試着室の扉が開かれ、美女・・・いや、美少女が出て来た。

『わぁ・・』

フィオがその女性を見て声を上げた。

「よく似合ってるじゃない」

真沙緒が少々羨ましそうにいう。
ミアも一瞬見とれてしまう。
レースが胸のあたりに描かれ白いシルクのシャツ半袖のブラウス、レースの隙間からは白い肌が現れている。
その上には蜘蛛の巣みたいな感じをした黒い上着。
スカートは二重になっており、上の生地には百合の花のレースが描かれその回りにある小さな花の中心に穴が開いており、したの白いスカートが見える。
したのスカートは黒い上よりちょっと長く、端には再びレースが施されている。
髪は、くしゃくしゃにされ結い上げられた感じでクリップで止められていた。
首の後ろにうなじが立っている。
靴は黒いハイヒールに似ているブーツになっている。
毎日暗い工場の中でTAを作っていた人物とは顔の表情を覗き別人であった。

「はい次は真沙緒さんね・・」

と言いながらフィリスは今度真沙緒を強引に引っ張り今度。

「ちょ、フィリスさん??」

ミアは彼女に何が起こったの理解出来ず、真沙緒が連れ込まれるのを見るしかできなかった。
次は自分なのであろうかと思ってしまう。

『ね、ね』

フィオがフェナのスカートを引っ張る。
うん?とフェナが腰を下ろすと、フィオはフェナの後ろに回り、クリップを取った。
ぱさ、と低い音と共にフェナの髪が落ちる。
そしてどこから取ってきたのかフィオがフェナの髪をブラシでとき始める。
手慣れたリズムでフィオはフェナの髪をとかした。
くすぐったかが、同時にいい気持ちであった。
フェナは目を閉じ、フィオの好きにさせる。
しばらく髪を通るブラシの音が店内で聞こえた。
店員もかわいいと言いながら小さく笑いながらそれを見守る。
手を止め、ブラシをミアに渡すとフィオはフェナの髪を取りそれを編んでいく。
一つの三つ網に出来上がったフェナの髪の尾をフィオはもう一度上にもって来てクリップで止める。

『よし!』

という掛け声でフィオは作業を終わらせた。

「ありがと」

とフェナがいい、膝に付いたままフィオの方へ振り迎える。
フィオは突然そのフェナに抱き着いてきた。

「フィオ?」

フィオの体は小さく震え、鼻をすする音がする。

-だれかに似ていたのかな-

とミアは一粒の涙を流すフィオを見た。

「あら?どうかしたの?」

ちょうど真沙尾が試着室から出て来た。
美人が三人の前に立っていた。
フェナと違い長い足を強調するように図れた黒のレザースカート、上に半分透けている白いジャケット。
そしてそのしたにはタンクトップと思わせるグレイのボディースーツ。
黒いストッキングに光を反射する膝までくる黒いブーツ。
真沙緒のボディーラインを強調するその格好をみてミアは少し赤くなった。
まるでモデルである。
最後のタッチとしてポニーテールにされた髪は銀の髪飾りで止められている。
そのため、自分の美を強調しようとするような女性ではないように、かわいらしさとバランスが取れている。

「フィリスさん、なんかファッションデザイナーの方がむいてるみたいね」

と後に出てきたフィリスに真沙緒が小さく微笑みながらいった。
フィリスは無言に微笑みかえすと今度はミアを連れ込んだ。
困った顔をでミアは試着室に入る。
フェナとフィオは抱き合ったままで、フェナがフィオの頭をなでていた。
やがてフィオが離れる。
有り難うと言いながら離れるといつものの無邪気な笑顔を見せると真沙緒の側によりまた髪をいじろうとする。

「こら!フィオ!」

笑い顔でフェナはフィオを止めに入った。

『えー、だっていいじゃない』

「みんなを三つ網にしてどうするの?」

怒ってがおらず半笑いながら、フェナはフィオに文句をいう。
くすくすと笑いながら真沙緒はいいじゃないといい、フィオにすきにさせた。
少しばかりだが、フィオの第二の作品が出来た。
右に片寄せた三つ網をフィオは丸めて、あまりがたれる様にし髪飾りで止める。

「あ、これ気に入った。ありがとうフィオ」

鏡の中の自分を見ながら真沙緒はフィオに礼をいう。
かちゃ、という音共にフィリスとミアが出てくる。
今度はミアだけではなく、フィリスも着替えていて、片手にはみんなが着ていた服を入れた袋を持っている。

「うーーん」

とミアは自分が着ているグレーのワンピースのスカートの所をつまみ上げて見る。
したには白いストッキングと足にはそれに合う白のハイヒールをはいている。
背中に紐が付いており、それでドレスの閉め具合を変えられる様になっていた。
今はミアの体の線にぴったりつくように絞められ、真沙緒とフェナと比べてちいさいミアの胸の膨らみを強調している。
髪はかんたんにピンでまとめられている。
フィリスとはいうと薄い青い襟なし絹のブラウスで、スカートはワイン色のヴェルヴェトのものでフィリスの足の線たどり、膝のところで切れ目が入っている。
少々地味だが、彼女にはよく似合っているものであった。
足には黒のハイヒールをはいているため背が少々高くなっている。

「さて、食事にでもい・・・・・」

とフィリスが言いおわる前に真沙緒がフィリスの肩を掴みしゃがみ込ませた。
そして前と変わらないリボンで止めたある髪をフィオが解きそれを網始める。
フェナはただため息をした。
再び数分がすぎ、フィオの第三作が出来上がった。
フェナと真沙緒と違い、一つの三つ網ではなく、小さな物がいくつか頭の後ろに垂れ下がっている。

「あー!ずるい!私は?」

ミアが羨ましそうにいう。
フィオは腕を組みうーーんと考えてからちょっと真沙緒から手をかしてもらいミアの髪をなんとかしようとした。
その結果、ミアの髪をきつく後ろへ束ねそれで小さなきつい三つ網が完成された。
ミアの雰囲気がその小さなもので大きく変わっている。

「よし!ありがと!]

鏡で自分を確かめながらミアはもう一回服を整える。

「では、食事にいきましょうか?」

フィリスは明るい表情でいう。

『さんせーーい!』

フィオは嬉しそうにフィリスの提案に同意した。
考えてみればフィオと外食は始めてである。
というか、ほかのみんなとラグナスのカフェテリア以外で食べるのは始めてである。
フェナは再び自己嫌悪に教われ、フィオと手を組みながら会計をすませた。
その総額はフィリス以外の人にとっては目を丸くするようなものだった。

「ふぇ、フェナさんいいですか?」

というミアの問いにフェナは無表情に見返すだけで、真沙緒は頭が痛くなったかのように手を額に当てた。

その時、店の扉が開きリック、アーリーとシルフィードが入って来た。
彼らが女性群を見た時、鼻を伸ばしたのは言うまでもないであろう。
しかし

「すぐにラグナスに戻りましょう!」

我に返ったアーリーが言い出した。
なんでぇという顔のみんなにリックは簡単に説明した。
黒服の男が数人自分達の事を見張っていたと。
それを聞いたフェナはラグナスに戻ることを進めようとした。
しかし、フィオの泣き顔をみるとさすがに抵抗は出来ず・・食事だけでも済ませてから戻ることにした。
フェナはただスカートの中に隠してある銃の安全装置をはずすことしかできなかった。
それはフィオへ対しての罪悪感から来た者かも知れない。



『ごちそうさまぁ!』

満腹からくる笑顔を上げながらフィオは椅子に体を休ませる。
テーブルの上には大きなチョコパフェのグラスが空っぽになったいた。
イタリアンの店だったそこでフィオはサラダ、スパゲティーとデザートのチョコパフェを平らげたのである。
その食欲にほかの皆は驚きながら食後のコーヒーを飲みながら、ティラミスなどを食べていた。
パティオであるそこにはやさしい風がふき、太陽がいい感じに体を暖めている。
よく食べたねとフェナという一言にフィオは明るい笑顔を返すだけである。
こんな食事を食べたのが始めてであるかのような顔をである。

『ううう。苦しいよう・・』

というフィオに皆は小さく笑うだけであった。
わん!とシルフィードが吠え残っている物を欲しがっていた。
なにもないよとフィオがいうと首をおろしくうんと泣いた。
それをみながら、来てよかったとフェナは素直におもった。
しかしアーリーとリックが見たという黒服の男達の事は気になった。
なんでこんな時にと思うと拳に力が入った。
その心境を見抜いたのか真沙緒が手を重ねた。

「大丈夫よ」

といってくれる。
それでも不安が大きかった。
フェナとしてはすぐにでも安全な場所に移動したかった。
その時であるシルフィードがぐるるると唸り声をあげ・・・・

「お嬢さん方お食事は済んだかな?」

と言うある男性の声がした。
それを聞いた時、フェナと真沙緒の背筋が凍り付いた。

「おっと動かないでください。動くと貴方の可愛い娘さんの命はありませんよ」

背後からするその声。
これで三回目、いや前から聞き覚えがある声。
真沙緒は目を驚きを隠せず、後悔をいっぱいしながらフェナの後ろに立つ男に目をむいていた。

-ま、まさか-

と思うと同時にだれかが首の後ろに振れ、うなじと遊び始める。

「く!」

フェナはそれに抵抗するが、男の手はやがて首に触れてくる。

「ふん、こんな髪型はだめですね、やっぱりそのまま降ろした方がおにあいですよ」

と言いながら男はフェナのクリップをはずそうとする。

「やめて!!」

とフェナを抵抗し首を振ると立ち上がると声の主と向きあった。
いやらしくにやけた白服の男が立っていた。
白いスーツに黒いネクタイ、胸のポケットには血の赤をした薔薇がさしてある。
両手には黒い皮の手袋。
雰囲気的にはフェナとまったく逆の色の組み合わせである。

「!!」

男は瞬間的に立ち上がったフェナの腰に手を回し力いっぱい自分へ引き寄せた。
そして・・・・・・・

「ぐ!うん!!!!」

フェナの唇はその男のと重なっていた。
首を掴まれ、逃げられず、予想していなかったため開いていたフェナの口の中にぬるっと物が入ろうとした。
しかしその瞬間鈍い音がすると共に男の体が吹っ飛ばされ、後ろにあるテーブルに倒れた。
悲鳴があがり皿が割れる音が響き渡った。
その隙にフェナはおびえていたフィオを抱きかかえた。

「にげるわよ!」

手も足も出せないほかの人に掛け声で我に返させ、フェナは口をなんどもぬぐいながらそこから走りだした。
相手に振り替えもせずに皆は走りだした。
十分離れたと思った瞬間、銃声が響いた。
悲鳴がなり、フェナは背中に痛みを感じその場に倒れ始める。
フィオが怪我をしないように体を回転し、フェナは地面に叩きつかれた。
髪を止めていたクリップが破壊され、その破片を飛び散らした。

「フェナ!!!」

真沙緒すぐにフェナの側に駆け寄りおこそうとする。
しかし痛みでフェナの表情が歪む。
赤くてヌルっとした液体が真沙緒の手に付いた。
手を震わしながら真沙緒はそれをみる。
血が大量に流れており、白いコンクリートを赤く染めはじめている。

「ごほ!」

フェナが血を吐きそれが白いブラウスまでも赤く染めた。

『フェナ!フェナ!』

フィオが泣きそう顔をしフェナに抱き着いてきた。
真沙緒は顔を青くしながらフェナの背中を見た。

「ああ・・・」

絶望的な声を上げ真沙緒はフェナの回りに来た仲間に目をやる。
致命傷だと顔に書いていることはだれにでもすぐにわかった。
すぐに手当てをしないと死ぬと言うことをだれも悟っていた。
こつこつという高級の靴の音がし、7人はいつのまにか黒服の男達に囲まれたいた。
一人一人に黒い銃身が向けられていた。

「く!」

アーリーは拳に力を入れ、この状況をどう抜けだそうと考える。
リックは自分が着ているジャケットに入っているものを取りだそうとする手を押さえようとしている。

「ふん・・・」

ステファンは血が流れている唇にハンカチを当てながら、もう片手で銃を持ちながら近づいて来た。

「わたしの言うことを聞かないからですよ」

もう一歩進みフェナへ近づいて来る。

『だめ!!!』

フィオが手を広げ彼の前にたち、これ以上近づけないようとする。
しかし相手は大人である。
ステファンは鼻で笑うと別の方向へと一瞬向いた。
次の瞬間ゴッ!という鈍い音共にステファンは銃の尾でフィオの顔を殴った。
勢いでフィオは飛ばされ地面に叩きつけられた。

「ふぃ、フィオ・・!」

目が半開きになっているフェナが手を伸ばしてフィオに届こうとするが、背中の痛みがそれをゆるさない。
いや、それだけではなかった。
シルフィードが駆けつけ吠えながらフィオを起こそうとした。
幸いたいしたことはなかったようで涙をながし、頬を押さえながらフィオは起き上がった。
泣かなかったのが奇跡に近かった、いやフィオ自信が泣いてはいけないと思っていたのであろう。
ステファンがもう一度近寄ると、止めようと思った真沙緒は黒服の一人に押さえられた。

「く!はなせ!」

と叫んだが、その命令の答えとして一発殴られた。
強烈な一発で意識が飛びそうになった。

「さあ、立ってください、立てるでしょう?」

ステファンは強引にフェナの手を引っ張り立たせた。

「うあ!」

痛みが倍増したかフェナは立てずずるずると滑り落ちはじめ、その結果ステファンのスーツも赤くなりはじめる。
しかしそれをステファンが許さず、腕をフェナの首の下に回し強引に立たせる。
立たせると言うより、首で支えたといったほうが正確である。

「ふぇ、フェナさんをどうするつもりですか?!」

勇気を振り絞ってフィリスが叫んだ。
体が震え、声もそれを示していた。
しかし彼女は言わずにはいわれなかった、何故なら。

「いまから死ぬあなたがたには関係ありませんよ。ふふふ」

ステファンはそう言いながらこの状況を楽しんでいるかのように笑い出した。

「なんだ?あれ?」

「さあな、おや美女ばっかりじゃないか!」

「映画のロケか?それにしてもリアリティーがあるなぁ」

「わあ、あの白のスーツの男優格好いいじゃない」

「あとでサインもらっちゃお!」

騒ぎに気が付き一般人がその「ロケ」に興味を持ち足を止め、群れあがっていた。
真沙緒を押さえている男以外の黒服達はそれをまるで「映画の撮影の最中」であるかのように押さえた。

「私はともかく、ほかの人は関係ないでしょう!」

真沙緒が叫びながら後ろに組まれた手を振り解こうとするが、押さえている男の力が大きくなるだけであった。

「そうでもありませんよ。こんな顔あわせで集まるなんてそうありませんよ。ね、ラグナス支社長麗嬢、Tran-Dのパイロット、Tran-Dを動かせるようにした女性とライズの探偵さん」

フィリス、アーリー、ミアとリックの事を刺しながらステファンは不適な笑みを上げた。

「そして・・・イルヴィ-ヌのお嬢さんとそのくそ犬」

それを聞くとフィオはステファンを殴ろうと走り出しそうになったが、シルフィードが止めた。
手も足も出せない状況とはこういうものなのか!とリックは舌打ちをした。
相手が多すぎる上に、フェナが人質にされては、リックも自分の銃の腕ではなにもできないと自覚していた。
しかしなにもできないことに腹立てていた。
またか!!なにもできないということをくやしく思いながらアーリーを何もできず、ただ拳に力をいれるしかできなかった。

「ふふふふ!はははは!!!さあて、誰に先にいってもらいましょうか?・・・・そうですね」

ステファンは笑みを上げながら銃身を6人一人一人に向け誰を先に殺すか決めようとした。
アーリーはフィリス、リックはミアの前に立った。
そうなると真沙緒はがら空きである。
しかし、状況が状況でリックとアーリーにはそれしかできなかった。

「そうですね・・・・・・・・貴方にしましょうか。貴方が『私たち』にとって一番恐れる存在ですからね」

というとステファンフィオにねらいを定めた。
しまった!という思いがみんなの脳裏に通り過ぎた。

「フィオ!!!」

真沙緒は振りほどこうとさらに暴れるが抜け出せない。

「さあ、立ってください」

フィオは泣きはじめ、シルフィードにしがみ付いた。
その態度にいらだったのか、ステファンは銃を上に向け一発うった。
その音にびくっと体を震わせ、フィオはおそるおそる立ち上がった。
目は涙のせいで赤くなっていたが、表情は負けないといってるかのようにしっかりとステファンをにらんでいた。

「嫌いですね、その顔。これから死ぬというならもう少し絶望的な顔をしてください」

黒い髪を一度直しながらステファンはいった。
しかしフィオは表情を変えない、もちろん変えるつもりもなかった。

「いけませんね、フェナ。子どもはもう少し素直になるように育てる者ですよ。ふふ、これから貴方にはその機会を与えましょう。7年前できなったことをね・・・」

そういうとステファンはフィオにねらい直した。

「や・・・・」

フェナは体に残っているわずかな力でステファンを振りほどこうとするが、それはあまりにも弱々しい動きになった。
ステファンはただ腕の力を入れるだけであった。
「おっと、そう暴れては死期が近づくだけですよ。今貴方を救えるのはわたしだけですからね。さあ、この小娘の死に様をみなさい。そうすればあなたも私に抵抗をしても無駄とわかり、素直になるでしょう」

目を大きく開きさらにいやらしい笑みを上げフィオを狙っている銃の引き金を引き始めた。

「や、やめて、おねがい・・・や、」

フェナの願いは聞き入られず銃声がなった。

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