Tran-DS
The Side Story of Tolled Armor Tran-D
Chapter 5: The Beginning of the End
Part 4

銃声は商店街の建物の間でしばらくこだました。
しかし悲鳴は女性が絶望に落ちていく悲鳴はなかった。

「ぐうううう!」

「ぐるるるるる!!」

ステファンは赤く染まったその手首を押さえていた。
シルフィードの口の中には赤く染まっている彼のスーツの袖があった。
ステファンをにらみ、今にでももう一度噛み付くかのように飛びつく体制をとっていた。
フェナは、シルフィードの攻撃のおかげでステファンから離され地面の上に倒れていた。
ステファンに撃たれた所からの血が背中に真っ赤な花を描いていた。
シルフィードの行動に黒服達がうろたえて出来た隙を真沙緒、リックとアーリーは見逃さなかった。
今度は別な銃声が響き黒服男が一瞬にアスファルトの上でうめき声を上げながら腕を持ったり、足を掴んでいた。
がし!と言う鈍い音と共に数人がアーリーに殴られ、気を失いだらしなく地面に倒れていた。

「今のうちに!!!」

リックの掛け声と共に真沙緒は自分を掴んでいる男の顔に回し蹴りを食らわすとステファンの腕からすり抜けて倒れたフェナを抱き起こした。

「大丈夫?!」

フェナは何もいわない、いや、言えなかった。
力が流れる血と同じようにどんどん体かなぬけていった。
立つことはできない、ほとんど真沙緒がフェナを支えてる。

「フィオ!!!さきにいきなさい!!」

『う、うん』

心配そうな顔でフィオはフェナを見ながらシルフィードと共にほかのみんなの元へ走った。

「にがすか!!」

ステファンは無事のもう一つの手で銃を構え直し、銃を真沙緒の背中に向け引き金を引いた。

「あ!・・・」

フェナと同じく真沙緒は倒れた。
血が流れ始めるがフェナと違い二個所に赤い染みが生まれた。
次の瞬間リックが銃を発砲しステファンの銃をはじいた。

「アーリー、車!!!」

「ああ!」

ミアとフィリスが二人にかけつける、リックはステファンに銃口を向けさせていた。

「おっと、変態さん動くなよ」

「立てる?」

フィリスがフェナに肩を貸し、ミアは真沙緒を立たせようとする。

「ごほ!」

血を吐きながら真沙緒は立とうとするが、足に力が入らず背中と胸の穴の痛みがました。
ステファンが打った銃弾が真沙緒の体を貫通したのである。

「しっかり!」

ミアが歯を食いしばり、自分より背が高い真沙緒を引き上げようとし、フィリスも同じくフェナに肩を貸した。
「く・・・」

意識が今に消えそうな二人はなんとか力を振り絞って歩こうとするが、体が言うことを聞かない。

「ふふふ、このままいかせませんよ」

ステファンは苦笑をすると一歩二歩下がると皆が進む反対方向に走りだした。

「待て!!!」

とリック引き金を引こうとするが相手は人込みの中に消えた。
いや、見えていたとしても人が多すぎて打てない。
舌打ちをするとリックはフェナと真沙緒の間に入りミアとフィリスと出来るだけその場を離れようとした。
ちょうどそのころポリスビーグルのサイレンが響き始めた。



暗闇がその空間を支配していた。
空虚が無限に続くようであった。
その中、靴の音が響く。
なにか向かって進んでいるのか、その音は空間すべてに響いている。
どこから来ているのかわからない。
しかし足取りはしっかりとしたの物でその主は迷わず確かにどこかへ向かっていた。
しばらくして、足音は止まった。
そして何かのスイッチがひねられ、証明が現れる。
そこに現れたのは小さな鳥かごの中の椅子一つに座っている栗色の髪をした少女であった。
足の音が再び響き始め、暗闇から白衣を着た長い栗色を持った女性であった。
鳥かごの中を少女を見つめ、その女性は小さく口を動かし少女を呼んだ。

「フェナ・・・」

と。



車体を地面にかすりながら一台のビーグルが交差点で高速で曲がる。
そのために生じられたGで中の人間は耐えられず倒れてしまう。

「うう!」

それが傷に響き、フェナと真沙緒はうめき声を出した。

「ちょっと!リック、怪我人が乗っているんだからもう少し気をつけて運転してよ!」

「そんな余裕があったらやってるよ!」

ミアの訴えにリックは道から目を離さずビーグルを運転を続けた。
車をもって来たアーリーの変わりにリックが運転を変わり、なんとか怪我している二人を乗せラグナスへ可能な限り最大速で向かっていた。
事故に遭わないのはリックの運転の腕がレーサー並であったからであろう。
なんとか逃げ、もう少しでラグナスに着くところにビーグルの側に爆発がおこった。
爆風の影響を押さえようとリックはアクセル、ブレーキをうまく使い車体を安定させる、再び加速した。

「後ろにビーグルが二台!さっきの男達です!」

後ろの窓から見ているフィリスが叫んだ。

「ら、ランチャーをつけている!!」

悲鳴に近い声でミアがいうと再び爆発がビーグルのすぐ側で起こる。
舌打ちをするとアーリーは窓を開け、リックの銃で相手のビーグルに向かって発砲した。
しかし、相手も相手でうまくビーグルを扱いそれを避ける。

「くそ!」

くやしそうにアーリーは発砲を続ける。
ランチャーが再び発射された。
弾頭の着弾地をうまく予測し、リックはそれを避けるが立て続けに撃たれてくる。

「この!」

ハンドルを左右に動かし、リックはそれをなんとか避ける。
しかし、状況は最悪の事態に持ち込まれた。
乗用車が増えてきたのである。
前のビーグルを避け前に出ようとしたときすぐ側のビーグルが爆発し、飛ばされた。
空中に放りだされたそれは一回回転するとみんなが乗っているビーグルの前に落ちてきた。
それに対しリックをハンドルをうまく切って避けた。
しかし相手のビーグルの一台が避けきれず残骸に高速で突っ込んだ。
金属がぶつかり合う音とガラスが砕ける音がしビーグルは爆発炎上した。
それにかまわずもう一台がそれをよけ、追跡を続け発砲する。

「なんということを・・」

フィリスは体を震わせながら後方を見続けた。
『フェナ・・真沙緒・・ごめんね、あたしが・・』

目に涙をためながらフィオはフェナと真沙緒の手を取りながら誤った。
泣き出す寸前までフィオは来ていたが、出来るだけ押さえた。
シルフィードが慰めるかのようにフィオの顔を一回なめた。

「気にするな、こういう事に俺達はなれているからな」

ハンドルを切りながらリックはなんとか空気を和らげようとした。
しかし嘘ではない。
Tran-Dというトールド・アーマーに関わり始めてビーグルの中にいる人間はすべて襲われたり、なんらかの形で危ない目にあっている。
そうは言われても、今みんながこんな目に合っているのは自分のせいだとフィオは決め付けていた。
その心境を見抜いたのかフェナの手がやさしくフィオの頭に触れた。
フィオは我慢をできず、小さな声で泣き出した。
そんなフィオをミアはやさしく後ろから抱き、フィオは振り替えるとミアの胸の中に顔を埋めた。
ミアはただふフィオは悪くない、悪くないよと言えなかった。
フィリスは後ろへ目をやりながら、ハンカチなどで、真沙緒とフェナの血を止めようとする。
しかしなかなか止まらず、二人の血がシートを赤く染めていた。
シルフィードは、真沙緒の側により、傷口をなめる。
効果があったのか、真沙緒の血の流れが少しおさまり、今度は背中の傷をなめた。
完全ではないが血の流れが遅くなり始めた。
それをみて、ミアとフィリスの目が丸くなった。
なんで?と二人の顔にかかれていた。
爆発が再び起こり、車体揺らされ、女性は小さな悲鳴を上げた。
それにしても警察は何をしているのかと全員は思う。
普通だったら追って来ているビーグルの後ろの大量のポリスビーグルがついて来ているはずなのに、一台もいない。
フェナの傷をシルフィードがなめ、ラグナス重工のセカンドファクトリーの建物が見え始めた時、異変が生じた。
彼女たちのビーグルの前の空間が歪んだと見えたとき、眩しい光が発生された。

「く!」

どこかでみた事がある、この光、と気付いたアーリーの背筋が凍り付いた。
同時にそれに築いたリックはアクセルを踏み込みなにかが「現れる」前に突き抜けようとする。
しかし次の瞬間彼らの前に巨大な足が洗われた。
リックは本能的にブレーキを踏みながら、ハンドルを左に切った。
だがビーグルの後部がその両足の右足にあたり、ビーグルはスピンを始める。

「きゃああああ!!」

「うわああ!!」

車内にはガラスの破片が飛び散り、ミアは本能的にフィオを体で覆った。
フィリスは自分の体を支えるが必死で、飛んできたガラスの破片が体に刺さった。
シルフィードはうまくフェナと真沙緒の体を守ったが変わりにフィリスと同じくガラスの破片が刺さった。
制御不能になったビーグルは二、三回スピンをすると電灯柱に突っ込んだ。
金属が押しつぶされる音とガラスがさらに砕け散る音がするなか緊急用エアバッグが開放され、乗用者の体を衝撃からまもった。
後部は一瞬空中に上げられ・・・・ゆっくりと地面に叩きつけられた。
動きがすべて止まった時、エンジンからは煙が上がり、シュウシュウという音だけがし、車内にいる人間は誰一人動こうとしなかった。

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