Tran-DS: The Side Story of Tran-D
Tran-DS
The Side Story of Tolled Armor Tran-D
Chapter 6: The End and a New Beginning
Part 1
暗い部屋の中で、三つの医療カプセルが怪しい光を放っている。
各カプセルには女性が一人入っており、口と鼻の上に透明なマスクがしてあった。
そしてその一人一人の状態を観測する機械が時に色々な組み合わせでライトを光らせており、ぴっぴっ!という音を放っていた。
同時にシューコーという呼吸システムの音が部屋に響く。
三人共目を閉じており、一人一人の長い髪が液体の流れであやしく浮いていた。
そして、一人一人に小さな機械が手術をしていた。
小型の手と目を使い、治療をするその機械はある意味巨大な蜘蛛に見える。
「三人共どうだ?」
部屋を見下ろす感じで作られた窓からラグナスの支社長ジックスは静かに作業を行っている担当者にたずねた。
「はい、お嬢様の方はもうじき終ります。幸い、破片からの後は残りません。ただ残りの二人はまだ・・・なんともいえません」
そうか、と言いながらジックスは一番手前の、フィリスが入っているカプセルに目をやった。
今彼女の顔のすぐ側に医療ロボットがおり、小さなピンセットみたいなものでフィリスの顔に刺さっているガラスの破片を一つ一つ取り除いていた。
あと数時間でこの作業は済むだろう。
しかし、銃で撃たれたフェナと真沙緒はそうはいかない。
真沙緒の場合、幸い弾が身体を貫いたため、弾を取り出すという作業は必要はなかった。
だが、弾は彼女の左肺を貫いていたので、出血多量、及び、出血のため自らの血でおぼれていなかったのが不思議であった。
今は、治療ロボは出血を抑えながら、血管と肺の修復作業をしている。
このような作業は前世紀ではできなかった。
それを可能にしたのがこの医療カプセルであった。
特殊な液体で身体を包み、出血を抑え、傷ついている個所の細胞を活性化し、傷を塞ぐ役割をはたしていた。
その上、液体であるため体温の維持も出来た。
カプセルの中では精密な動きを出来る治療ロボットが入り、遠隔操作で治療をおこなう。
これで正確な手術も可能である。
しかし、それでもむずかしい治療もある。
それがフェナの場合であった。
ステファンに撃たれた弾丸は心臓に達していた。
幸い貫いてはいなかったが、少しでも身体が変な角度とか急に動くといつでも刺さると言う形であった。
ステファンに撃たれ、彼から逃げていた時におこった、カーチェイスで刺さらなかったのが奇跡に近い。
治療をするには心臓の動きを鈍くする必要がある。
しかしあまり鈍くすると、心臓が停止してしまう恐れがあり、ロボットを操る医療スタッフは緊張に包まれていた。
一つ間違えればアウトだ。
ロボットを操るオペレーターは汗をだらだら流しながら、小さな動作でロボットを操っていた。
「くく!!!」
腕がつりそうな顔をしながら彼はゆっくりと医療ロボの腕をあやつった。
カメラが色々な角度から作業場面を写している。
ロボットの腕がゆっくりとゆっくりとフェナの背中を刻み、銃弾が造った傷口を広げていった。
○
振動が船体を襲った。
光線が戦艦に向かって放たれ、それは光の壁に止められるが振動までは塞げなかった。
そのためか、形を示す光がシールドから発生された。
「く!・・・・」
ハインラインのブリッジクルーはその衝撃に耐え、戦闘状況を見極めようとしていた。
戦闘開始からどれぐらいたったのか、もう忘れるほど長く続いている。
「キラードールが進化しているだと?」
索敵の席にいるサモン少尉から報告を聞いたフォルスリング艦長はただ唖然とするしかなかった。
出現しか当初のキラードールはまるでゾンビの様に現れてからは、簡単に倒せたが時間が過ぎるに連れ倒しにくくなっていっている。
ただ立っていて、やられるものは次第に回避、反撃、攻撃をしはじめた。
さっき、ハインラインをキャノンで襲ったキラードールは攻撃を回避し、射程内に入ったものであった。
そのすぐ後に、ハイ・ランスの一機に後ろからランスで貫かれた撃退されたが、キラードールになにか変化が現れているのはたしかであった。
『艦長!』
格納庫からの通信が入り、それはすぐにメインスクリーンに投影され、若い整備班の男の顔が現れた。後ろに急いで着艦する戦闘機のレイピアが見える。
「もう弾薬及びエネルギーパックがほとんどそこをついてきてます。もともとこういう状況を予測していなかったため、戦闘態勢の量はつんでいませんでした」
「そうか」
ランの報告にフォルスリングはため息をした。
キラードールが大量に出現した時からクルーの人はほとんど眠っておらず、それがスクリーンに写っているランの顔からも伺えた。
「わかった、援軍到着までなんとか持たせてくれ」
「わかりました」
簡単な敬礼を交わすと通信は切られた。
たしかに先ほどから、着艦する機体が多く、再び出撃する機体の数は少ない。
「岬少尉、変わりの戦艦が来るまで後どれぐらいだ?」
「あ、後、五時間です」
いかにも眠そうな返事が帰ってきた。
「わかった、君、並びに今のブリッジクルーは入れ替わってくれ」
「え?し、しかし」
「いい、私は後もう少しはもつさ。早くいかないと命令にするぞ?」
さからおうとしても身体が許さないので、ブリッジのクルーは入れ替わり、薫は自室に戻った。
さきほど、ランが言った通り、このような戦闘状態に入ることは予測されていなかったため、ブリッジクルーには二組しかいなかった。
戦争がおきていたら、せめて三組はいるはずだった。
二組したかいないと言うことは、御互い12時間席についていなければならない。
特に通信を行っている、薫の声は枯れていてもおかしくない状態だった。
首を抑え、薫は自室にたどり着いた。
時々、衝撃が船体を襲い、疲れているせいもあり足取りがふらつく。
部屋の机を開くと、そこから白い箱を取り出すと中身の一つ取り出し、口に入れた。
そして、髪を解いて制服の上着を脱ぎ、ベッドの上に倒れた。
身体が一度跳ね上がるが、動きがとまった瞬間寝声がしてきた。
今はできるだけ、眠ることしか彼女にはできなかった。
攻撃のために起こる衝撃さえ、彼女を起こすことはなかった。
○
「それで?被害はどれぐらいだ?」
先ほどまで、煙があがっていた街を見下ろしながら、ジックスはエドワードの報告を聞いていた。
「はい、死者約200人、負傷者が1000人をくだらないそうです。数ビルは完全に破壊されており、
今、救助の作業が行われてます。あと、警察がいくつか質問があると」
フィオが操っていたシルフィードとステファンのキラードールが戦ったせいで、被害はかなり大きかった。
人は二機がぶつかったビルの住民、ビルが破壊されたため降りかかったコンクリートに潰された通行人。
あたりはパニック状態になっており、テレビではコンクリートの山の下に出てる小さな手を血池など、顔を包帯で負かれた女性、サラリーマンを放送していた。
発狂状態になっている女性とか我が子を失ってなく親の姿も写された。
地獄絵図というものはあったらこれはまさにその通りかもしれない。
ため息をするとジックスは席についた。
「救助作業と町の復旧のためにTAはだしたな?」
「はい、それはもう」
エドワードは低い声で答えた。
「それで?」
「は?」
「”こちら”の損害は?」
「ありませんが?」
「エドワード・・・そうではないだろう?」
ジックスはすべて知っているかのようにエドワードを見た。
エドワードは一度うつむくと報告書を開いた。
あれはラグナスの直属のものではないため、彼は「ありませんが」といったのであるが、ジックス枯らしてみては、あれらラグナスの重要な研究用材だと見ていた。
「キラーアニマルは大破、操縦者は行方不明です・・・もう一つの物も大破されました。両機とも使用不能です」
「回収はしてあるんだね?」
「あ、は、はい」
「それらはあの娘にわたしておけ」
「は?いや、しかし・・・」
反論しようとするエドワードをジックスはにらみ付いた。
「わかりました」
怒りみたいな感情を抑え、エドワードはジックスの命令に従った。
ほかの報告を済ませるとエドワードは退室した。
彼が部屋を出たことを確認すると、ジックスはラップトップを機動させた。
数秒の内、治療室と通信が開かれた。
「どうだ?」
「はい、お嬢様は後半日で気がつくはずですが残りの二人は三日以上は必要かと」
「そうか、皆、命に別状はないのだな?」
「・・・・・・・・・」
その質問に担当者はちょっと目を伏せた、なにか異常が起きているらしい。
ジックスは別に戸惑いを見せず、
「どうした?」
「いえ、お嬢様と零様は回復に向かってますが、そのフェアランス様が・・・」
「・・・・・」
「生命反応がゆっくりとですが、弱くなっていっているんです」
「・・・・・そうか、手術はうまくいったのだな?」
はい、と担当者は答える。
なにもおかしいところがないが、徐々にフェナの身体弱まっているという。
原因の調査をジックスは命令をすると通信を切った。
そして、部屋のある壁にいき、ある所を開いた。
そこに小さな冷蔵庫とクラスが二三個おかれたいた。
二つのグラスを取り、氷をいれ、透き通った青い色の酒を注いだ。
プラシャン・ブルーの色をしている部屋の光で怪しく輝いた。
二つを取り、一つはラップトップの前におき、もう一つを自分でもちジックスは再び目を外に向けた。
一口飲むと彼は、机のグラスに目を戻すと
「できるのか」
と聞いた。
だれに聞いているのかわかならない。
しかし、それでも答えが帰ってきたのか、彼は小さく微笑んだ。
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