Tran-DS
The Side Story of Tolled Armor Tran-D
Chapter 6: The End and a New Beginning
Part 11
「どこ?」
フェナは島の上を低空飛行で進みながら、島への入り口を探した。
それと同時に自分にたいして攻撃してくる砲台のことを忘れない。
島の上は街だった。
ビルが並んでおり、その合間をチューブみたいなものが走り、地盤といえるところには道路があった。
しかし、状況は死んだ街といえた。
ビルは崩れたりしており、当たり前だが、人気はなく砂が町の大半を埋めていた。
滅んだ街。
そう呼ぶしかなかった。
そして街の中心になにやらピラミッド見たいな物があった。
おそらく支庁といえる場所であろう。
そこになにかありそうな気がし、フェナは機体をそこに向けた。
その時建物の影からなにかが動いた。
「!!」
なにかが光り、RR・Tran-DSzに向かって矢が放たれた。
コントロール・ボールをちょっと動かし、フェナはそれをたやすく避けた。
しかし、次に警報がなり、無数のミサイルに襲われていることがわかった。
避けられるもものは避け、残りはPSSにまかした。
そのままピラミッドに向かう。
ピラミッドにある程度近づいた瞬間、なにかが地上から飛んできた。
「な!!!」
巨大な影がおそい、フェナはなんとか機体を横に向け避けようとする。
しかし避けきれなかったのか、衝撃が襲った。
「くぅ!!」
機体が一瞬不安定になり、フェナは姿勢を直そうとするが後ろに回りこんだ敵が発砲した。
PSSの四枚すべてがその一点に集まりそれを止める。
だが、その衝撃で不安定な機体はさらにバランスを崩した。
墜落してはどうしようもない。
そう判断したフェナはすばやくハードポイントの武器をセッティングをし、RRの切り離しコマンドを実行した。
ばん!という火薬が爆発するような音がしTran-DSzはRRから離れた。
着陸しようとするが、不安定な体制であったため、うまくいかずTran-DSzは地面に突っ込んだ。
砂が飛び上がりTran-DSzは砂の中へ滑りこんだ。
動きが止まると、なんとか機体を起こす。
Calamiteがすぐにシステムチェックを行った。
Left Rail Cannon inoperative. All other systems are normal.
(左レールキャノン使用不能. ほかのシステムは正常)
フェナは使えなくなったレールキャノンを解除した。
上を見上げるとRRは無事上で旋回をしている。
「RRはそこで待機していて」
了解という答えを聞ける前に光が襲った。
フェナはペダルを踏み込み、スラスターを吹かしそれを避けた。
そして攻撃してきた影を見つける。
「シルフィード!」
「わん!!」
Roger
後ろにいるシルフィードを呼んだ分けではなかったが、シルフィードは答えた。
Calamiteもそれに答え、シルフィードシステムを起動した。
次にTran-DSzの腰のハードポイントについている装甲が開き小さな飛行物体が六つ射出された。
それらはジグザグに動き、影に対して攻撃した。
それはまさしく、かつてフィオのキラーアニマルについていた飛行物体と同じ動きをしていた。
おそらく、フェナがその情報を取り出し、組み込んだのであろう。
飛行物体が光が放ち、影をしとめようとするが簡単に避けられた。
「く!!」
フェナはペダルを踏みこみ、Tran-DSzを影がいた場所に突進させた。
それを待っていたかのように影が飛び出し、襲ってきた。
回避は間に合わないと悟ったフェナはあるパターンをコントロールボールで入力し、そのまま突っ込んだ。
迫ってくる相手に対し、TranーDSzはさらに加速して間合いを詰めた。
ナックルショットがくるどろうと悟ったのかそれを止めようとする体制に入った。
しかし、ナックルショットはこなかった。
変わりにいつのまにかTran-DSzの肘に現れた刃が影を両断した。
機体を一回回転させ、フェナは相手を見る。
そこにいたのは普通のキラードールであった。
両断されたキラードールの上半身は前に倒れると爆発した。
「ちがう・・・」
さっき攻撃したのはこいつではないとフェナは直感的にわかった。
動きを止めてはいけないので、TVSを使ったホバリングでビルの合間をTran-DSzを進ませる。
神経をとがらせて相手を探す。
『ふふふふ』
「?!」
声が頭のなかで響いた。
『どうしたの?もっと遊ぼうよ』
「フィオ?!」
声はたしかにフィオのものだ。
おそらくブレスレットを通じてきているのである。
だが、なにかが違う。
フェナはブレスレットから発せられている電磁波を読み取るスクリーンを呼び出し、フィオの場所を確認しようとした。
しかし、なにかが邪魔をしているのか、フィオがつけているブレスレットの反応が前と比べて特定できない。
『へへ・・・』
その笑いと同時に影がTran-DSzを覆った。
「上?!」
フェナはなんとかTran-DSzを後退させ、襲ってくる影を避けようとする。
しかし、影は空中で方向をかえることができるのかTran-DSzを捕らえた。
ばきぃ!と金属がぶつかりあう音がしTran-DSzの胸に大きな傷ができた。
「く!!」
フェナはTran-DSzを後退さえながら、シルフィードシステムを呼び出すと同時にライフルを撃つ。
光が飛び、飛行物体が飛び出し、影を襲うが、影は再び姿を消した。
『へぇ・・・ファンネルがつかえるんだ』
いかにも遊んでいる声が頭の中に響く。
フェナの中に焦りが生じた。
隠れるに最高の状況を生み出す市街戦。
相手はしっかりとそれを利用して攻撃してきているのである。
落ち着け、落ち着けとフェナは自分に言い聞かせる。
深呼吸をし、胸をなで下ろしながらフェナは再びTran-DSzを動かした。
慎重に・・・進む。
『もうすこしはでにいこうよ』
あきらかに挑発している。
フェナはわかっていた。
そして、その挑発に乗ることにした。
そうしたら、彼女が姿を見せることを期待して。
フェナはTran-DSzにジャンプさせ、さっきまで向かっていたピラミッドへ向かった。
砲台が撃ってくるが、PSSに止められ、シルフィードシステムが操るファンネルに破壊させられる。
それを待っていたのか、ビルから影が襲ってきた。
Tran-DSzはそれに対し、背中に設置されていた幅の広い剣を装備した。
手にすると刃から小さな光が発せられた。
向かってくるものの形は通常のキラードール。
遠慮なしに剣を縦に振り下ろすと、キラードールは真っ二つに切られた。
爆発による衝撃波にTran-DSzはびくともしない。
今度は右からキラードールが襲ってきた。
Tran-DSzはそれに突進し、バスタードソードに似た剣を横に振り、相手を破壊した。
それからはもう立て続けにキラードールが襲ってきた。
バルカン砲、ミサイル、ファンネル、ガトリング砲、ライフルなどでキラードールがつぎつぎと破壊されていく。
地上からくる光はPSSが十分押さえている。
しかし、次におきたことはフェナはどうあっても予測できなかった。
近くまできたキラードールを剣で破壊するとなんとその後ろから影が襲いかかったのだ。
空中で弾き飛ばされ、Tran-DSzは街へと落ちていった。
「な!!」
TVSを働かせ体制をなんとか直そうとするが、影がTran-DSzの上にのしかかりそのまま地上へと押した。
ビルを一つ、二つ、三つ突き抜け、砂にTran-DSzは叩き付けられた。
その衝撃でフェナの意識は消し飛ばされかかった。
外見的に機体のダメージはない。
PSSが後ろに集まり機体への直接な打撃を押さえたのであろう。
だが、その衝撃のためPSSの4つのうち二つが使用不能になった。
頭を振りフェナは目をスクリーンにやった。
そこには・・・黒い豹みたいなキラードール、いやキラーアニマルが移っていた。
そしてそのコクピットハッチと思われるところに背中に長いオレンジの髪なびかせている少女がたっていた。
○
そのころ。
スターレイピアはぐるぐると島の過半を飛び回っていた。
物干し竿が火を吹き、戦艦驚異となる砲台を次々と破壊していった。
島の外壁をすれすれに飛んでいるため、PDSに似た対空兵器が対応できないでいる。
しかし、外壁にそって飛ぶのには並みの技量ではできないことであった。
ひとつ間違えれば外壁に突っ込むからだ。
それができるということは、軍のパイロットの腕が高いということである。
「ひゃっほー!!!」
その中の一人が楽しそうな声をあげていた。
1701!なにをやっている!遊びじゃないんだぞ!!』
通信器から怒鳴り声がした。
1701のパイロットはそれを無視し、楽々と障害物を抜けていった。
砲台を忘れずに破壊していったということはいうまでもない。
『あんたねぇ』
今度は彼のすぐ後ろに飛んでいる女性パイロットの声が聞こえてきた。
「いいじゃねぇか・・・あらよっと・・かんたん、かんたん」
『あとでどうなってもしらないからね!』
「なにをいっているんだよ。君はおれと未来をいっしょにすごすんじゃなかったのか?」
『あの世までいっしょにいくつもりはないわよ!!』
「おれだって死ぬつもりはないよ!ほれもういっちょ!」
夫婦漫才をやっているのか、二人はしっかりと砲台を破壊しながら飛び続けていた。
敵といえばPDSに似ている対空システムだけで楽といえば楽・・・だった。
『な、なに、あれ!』
「う!」
ざああという音を発しているみたいに、あるところから黒い点が無数に飛び出てきた。
そしてそれは方向をかえるとスターレイピアに攻撃しはじめた。
「く!あたらしいお客さんか?!」
1701のパイロットはそういうと、物干し竿を排除した。
ほかの戦闘機もそれに従い、黒い点にたいしてドッグファイトを始める。
「なに?!戦闘機だと?!」
「そんな生易しいものではありません!!生命反応がありません」
「無人機?!く!PDS開放!ならびにフラックガン、砲門開け!!」
命令に従い、PDSのカバーが開放されレンズが光だす。
そして戦艦のあらゆるところからハッチが開き、ミサイルラックに見えるものが現れた。
フラックガン。
地球でいう第二次世界大戦の時に対戦闘機の防御兵器はこの時代になっても存在していた。
打ち出された弾は空中で爆発し破片を撒き散らすことで、戦闘機を攻撃範囲に入る前に落とすというものである。
宇宙でも使える代物だが、無重力状態では破片がいつまでも飛ぶので戦闘が終わっても被害が出る可能性ということで禁止されている。
しかし、地上となると話は違う。
第二次世界大戦の風景が今再現されようとしていた。
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