Tran-DS
The Side Story of Tolled Armor Tran-D
Chapter 6: The End and a New Beginning
Part 17

どれぐらい進んだのかグナディアは分からなくなっていた。
オートマッピングシステムがあってもそれは進んだところを記録するだけであった。

「またここか?」

見知らぬ通路を進んだつもりではあったが、進んだという記録が残っている場所に出てしまった。
ため息をするとグレナディアはマップの捜査キーを押した。
おかしい。
なにか見落としているのか?
高速移動を使って進んだ道にはほかに進んでいない通路はないはずであった。
ミスしたものがあるか、彼女マップを再チェックする。

「うん?」

なにかに気が付いたのか、いくつか捜査キーを押す。

「ここの中心へいく進む道がない?」

それもそうかもしれない。
進んだところは大して重要な機密が隠されているような場所ではなかった。
まるで、居住区のように感じるられる。
だから敵が来ないのかとグレナディアは頭を抱えた。
最初に気がつくべきだったと。
腕も組み、目を閉じ、ちょっと頭を回転させた。
島。
このようなところになにが必要か。
住宅でも必要なものというと?

「あ!」

なにかひらめいたのか、彼女は細かい作業を始める。

「たしか、こうだったわよね」

センサーが壊れていないことを祈って彼女は実行キーを押した。

-Processing-

沈黙が訪れる。
スクリーンに、データの解析完了までの時間が表示されている。
その間グレナディアはちょっと背伸びをしようとハッチを開けた。
しかし、その瞬間。

「あちゃーーー!!」

ハッチから顔出した瞬間グレナディアは変な悲鳴を上げた。
それも無理もない。
機体の外は人ではとても絶えられない熱が空間を支配していた。
反射的にコクピットの中に戻りハッチを閉めた。
そしてコクピットの中の空気調整システムの温度をできるだけ下げた。

「ごーほごほ!」

肺が焼けどした感触を覚える。
たまらなくでる咳を押さえようと機内においてある水ボトルを荒々しく開き、飲み下した.

「はぁはぁ、な、なんなんだ?!」

すぐにセンサーを働かし、機体の外の温度を調べる。
それを見てグレナディアは冷や汗を掻いた。
とても人間が生きていける環境ではない。

ぴぴ!

その答えをもっているというように解析が終わった合図が鳴った。
その結果をみたグレナディアは外の情況に納得した。
巨大なエネルギーが周辺を流れているのだ。
そのためなのか、有毒ガスが流れている。
そしてその中心、ディスプレイには高熱で白く現れている点が自分の位置からはそう遠くない。
自分が進んだ道をオーバーレイしてグレナディアは中心へと向かった。
幸い機体は中心部でも熱に耐えられることがわかった。
ただし、長くは入られない。
ヘルメットを装着して、中心への道を探りはじめる。
しかし、やっぱり行き止まりについてしまう。
フィルターをセンサーにかける。

「ここは・・・」

磁封され、硬く閉じられた扉。
そしてそれを隠すために施されている電磁フィールド。
これではセンサーが捕らえるわけがない。
開ける方法は見当たらず、グレナディアは強行突破をこころみる。
プラズマソードを出し、扉に刺した。
そしてそのまま四角を切り出す。
もちろん、察知されないためにジャミングをかけることを忘れない。
そして神経を尖らせ、扉の向こうに隠れている敵に備えた。




艦隊は高度さげている。
危険すぎる。
それが真沙緒の直感だった。
そう思わせたのがいまの静けさ、敵が襲ってきていないことであった。
フェナは島の中心部に説明なしに飛び去っていき、真沙緒はおいてけぼりを食わされた。
追うことにしようとした時、艦隊の動きに気がついたのである。
髪を引っ張られる思いで真沙緒は急いでハインラインに戻ろうとしていた。
通信にはまだ電磁波の影響で取れない。
そんなとき、自分にむかってくる機体があった。

『真沙緒さん!』

「アーリー?」

『遅れました!』

Tran-Dが彼女のTran-ZSSの前に着陸する。
まだ戦闘を見てないのかまだ傷一つついてない。

「情況説明してくれる?」

『ええ。現在突入部隊の回収のため艦隊が高度を下げています』

アーリーは真沙緒より年上ではあったが、事実上、彼女は彼より階級が高い。
そのことを気にしての言葉使いかと、真沙緒はふと思う。

『俺は艦隊の護衛を任されてしまいました』

「ふふ」

『なにか?』

「いーえ、べつに」

『????』

彼がもともとそういう人間だということ。
真沙緒はなにかわからないがおかしくなった。

『あの・・・』

「ごめんごめん、気にしないで」

『はぁ』

なんでこんなことを気にしたんだろうと真沙緒は自分でもわからなかった。
とにかくなにかおかしかったのだ。

『フェナさんは?』

「あの塔へいったわ」

『え?一人で!?そんな?』

「大丈夫よ」

『そ、そんな』

「大丈夫・・・大丈夫よ。今、私達がしなければいけないのは艦隊を守ること。そうでしょう?」

『は、はい』

「わたしだって今すぐに彼女のそばに行きたいわ。でもね、それを彼女はゆるしてくれない」

『…』

「水臭いったらありゃしないわね」

『そうですね』

「でも、私達ではどうしようもないのよ」

『はい。くやしいです。前にも俺はなんの力になれなくて…』

「いまは私達に出来ることをやりましょ」

『はい』

そうはいったものの真沙緒は胸騒ぎを押さえられなかった。
あの空笑い。
いったいフェナはなにを分かったのだろうか。
いやな予感が胸を広がっていく感触を真沙緒はしっかりと感じていた。




稲妻と激しい閃光が二人の間を走った。
振り上げた爪を容赦なく下ろしたフィオに大して、フェナはプラズマソードで塞いだ。

「…」

『そうこなきゃ!!』

楽しそうにしかけてくるフェオの声が響いてくる。
フェナは心は引き裂かれていた。
フィオをこんなにしたステファンへの憎しみ。
そしてフィオの心の奥底の傷を生ませた自分。
どちらがいけないのか、フェナは答えを出そうと必死だった。

(わたしをうって!!)

その言葉が何度口から出ようとしたかわからない。
しかし、なにかがそれを止めていた。
なにかはわからない。
ただ、奥底から沸き揚げてくる気持ちがそれを止める。
親心?
そうかもしれない。
でもそれだけではない。
罪悪感、同情、なにもかもごちゃごちゃに混ざっていた。
次々から来るフィオに攻撃にフェナはただ受け流すことしかできなかった。

「く〜ん」

シルフィードはなんとかフェナを支えようと足を彼女の肩に置いた。

「ありがと」

と、フェナはいうしかなかった。
フィオの攻撃が早く、それぐらいしかいえなかった。
ただ、その小さなことがフェナにある決心をさせた。
そして、次の攻撃をフェナは受け流すと、始めて攻撃へ出た。
目もとまらぬ速さ。
一瞬だった。
プラズマソードを引きぬき、フェナは大きく横にそれをなぎ払った。

『!!』

フィオも声も出せないほどの早さだった。

「もう、容赦しない」

重苦しい声。
そしてなにかを決心した瞳。
フェナには迷いは消えていた。
フィオにやさしくすること、フィオにあまえさせること、フィオにいいように操られること。
それをすべて立ちきるために、フェナはフィオへ攻撃することを決めた。
両手で持っていたプラズマソード。
一本を左手に持たせ、もう一本を右手に持たせる。
ゆっくり、ゆっくりとした動作であった。
最初のなぎ払いに押されたのかフィオは動かなかった。
今、彼女の目の前には写っているのは先ほどまで自分も攻撃から逃げようとしていたものではない。
赤と黒の色がまるでその姿を…。
姿を…、
冥土からの使者に思わせた。

「うう!」

心の中でなにかが怯えていた。
なにかはわからない。
ただ・・・、なにかが。
そんなことを思っているとき、Tran-DSzの目が自分をにらめつけるように黄緑に光った。

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