Tran-DS
The Side Story of Tolled Armor Tran-D
Chapter 6: The End and a New Beginning
Part 26
音は無かった。
Tran-DSzが天から授かった光はそのまま地上に向かって進んでいった。
それも、要塞から放たれた光の引き裂きながら。
要塞から放たれた光はエネルギーそのものを撃ったものである。
もちろん威力はある。
だが、いくら量が多くても、その実態は柔らかい。
エネルギーの粒子の結力が弱いのである。
対してTran-DSzから放たれたものは資質が違った。
エネルギーは要塞の砲台のものとは比べては少ない。
しかし、密量が違うのである。
だから、今、フェナの目の前で起きている現象が起こる。
砲台から離れられた光を突き破りながら、Tran-DSzからの光が要塞へと向かっていく。
その姿はまるで、チーズを突き破っていく銃弾のようであった。
ばらばらにされた砲台のエネルギー粒子は押し戻され撒き散らされていき、ただ小さな光を放つものとなった。
そしてTran-DSzの「銃弾」はやがて砲台の砲身を突き破った。
砲台は砕かれていき、銃弾はそのまま要塞を突き破り、地上に着弾した。
猛爆発が起こり、核兵器が比にならないような光が生まれた。
要塞はそれに巻きこまれ、その姿は消えた。
そして、空には天使が羽根を羽ばたく姿が見えた。
「な、なんて兵器なの…」
真沙緒はその人しか言えない。
結果として発生された衝撃波に耐えながら真沙緒は今自分がみた兵器の威力に驚いた。
ほかの者達も同じだったのだろうか、だれもなにも言わない。
キノコ煙が上がり、その中に稲妻が走った。
ドス黒い雲がそのまま上る。
「な、なにをぼやぼやしている!中和剤をばらまけ!!」
フユツキ艦長ミズタニが叫ぶ。
フユツキはその命令に従い、ミサイルを発射する。
それは空中で爆発し、白いを科学材をばら撒いた。
他の戦艦も同じ行動に出る。
白い中和剤はまるで雪のように舞い、放射能を中和していった。
黒い煙もその影響で次第に消えていく。
砂漠の一面はまるで、雪が降った後のように白く輝く。
そして煙が消えたとき、そこに黒い物体が一つ現れた。
「そんな…」
真沙緒は離れたところからその黒い一点をみた。
要塞にはなんのダメージがないように見えた。
「く!みんな!!」
攻撃命令を出そうとしたその時である。
要塞の様子がおかしくなったのは。
ところどころから爆発が発生した。
内部で遊爆が起こっていくるのか、火の花があちこちで発生する。
破片が散らばり、巨大な穴が現れていく。
問題となっていた、巨大砲台はひしゃまげており、使い物にはならないように見えた。
爆発が収まった後、要塞は静かに高度をさげていった。
「あ・・・」
すべて人間がいった一言かもしれません。
要塞は煙をもうもうと出しながら、砂漠へと突っ込んだ。
重さで構造が破壊されていく音が響く。
砂埃が飛び、要塞は砂漠へとその巨体を埋ませる。
そして止めの爆発が起こる。
「やったーーーー!!!」
勝利の叫びが周囲を包んだ。
○
「え・・・?」
フェナは自分の目を疑った。
自分が今握っているコントロールステッキ。
それはいまでも押しつぶされるほどの力がこめられている。
しかし、手は自分のではなかった。
もうひとつ、もう一人の手が重なっていた。
フェナはゆっくりとその手の主をみやった。
オレンジの髪が顔にかかっていた。
「う・・・」
涙が流れはじめる。
フェナは今の感情を押さえることが出来ずにその髪に抱きついた。
そしておもいっきり抱きしめる。
「いたい!いたいってば!!」
「あ、ごめん」
「えへへ、やったね♪」
「フィオ!!!」
フェナはまだ自分の目の前でおこっていることが信じられなかった。
フィオが、フィオが自分の手におのれ手を重ねていたのである。
そして、彼女の指が、彼女が照準を最後の瞬間に合わせてフェナの手と重ねトリガーを引いたのであった。
「フィオ!フィオ!フィオ!」
「だからいたいってば!」
それでもフェナは離さない。
奇跡が起こったとしか思えない。
フェナは力あるかぎりフィオを抱きしめた。
大声で泣きたくなった。
「ひ、ひっく・・・よかったぁ・・・」
「うん・・・・」
フィオもしっかりと抱き返してくれた。
「ごめんなさい、ごめんなさい」
「ごめん、ごめん」
お互いに誤りながら二人は力強く抱きしめた。
フィオは後ろのところからするので、ちょっと苦しかったが、それは今は関係なかった。
「・・・ただいま・・」
「おかえりなさい」
自然に挨拶を二人は出来た。
そしてしばらくはお互いを抱きしめたまま、涙を流しならお互いを抱きとめた。
だが、その幸せの時間はそう長く続かなかった。
『きさまらあああああ!!!』
「「?!」」
いやな声が通信機を伝わってきた。
それと同時に無数の光がTran-DSを襲ってきた。
PSSが働き、それを止めようとするが、光はそれをつらい抜いた。
Tran-DSzが抱えているバズーカに光が直撃し、破壊する。
フェナは間一髪でバズーカを切り離し、爆発から逃れた。
しかし、光は容赦なく、Tran−DSzを襲う。
「くぅうう!」
フェナは出来るだけの回避運動を開始する。
PSSがふさぎれないものとなると、回避するしかない。
「な、なに?!」
フェナは要塞へと目を向けた。
「そ、そんな!」
○
「なんなのあれは!!」
真沙緒は要塞から・・・。
要塞から生えているものをみて声を上げた。
『あれが、あの要塞の奥の手さ…』
ロイスの声がする。
そして真沙緒の目の前には・・・。
無数の触手が要塞から伸びていた。
うねうねと動き、その先から光を発していた。
そして、信じられないことに、要塞が再び浮かび上がった。
「うそでしょう!!」
真沙緒は驚くと同時に自機を全速力でそれに向かわせる。
レーザーライフルを乱射させる。
触手をいくつか破壊するが、その変りのものが「生える」。
『まずい!艦隊が・・・!!』
グレナディアが叫んだころにはすでにおそかった。
中和剤を投入しようと要塞の上空に動いていた艦隊が狙い撃ちにされた。
戦間は次々とおどされていった。
「ひけ!ひくんだぁ!」
だれの指示だったのかわからない、艦隊は回避行動に移った。
しかし、それはあまりに遅く、戦艦は沈まれていった。
「弾幕を張りつつ後退!!」
フユツキ艦長、ミズタニの命令が響き、フユツキはミサイル、PDSの乱射を行う。
ほかの戦艦もそれと同じ行動を行う。
しかし、フユツキのような巡洋艦を気にするほど、敵はあまくなかった。
触手が、ハインラインを集中的攻撃をし始める。
「させるかぁ!」
真沙緒がそれを止めようと突っ込む。
しかし、数が多すぎる。
やがて、触手の一本がハインラインのブリッジを捕らえた。
「や、やめてぇえええ!」
その瞬間は、真沙緒にとってスローモーションで見えた。
放たれたビーム。
それがゆっくりと伸び、ブリッジに直撃した。
「薫!!」
ブリッジを貫かれたハインラインはそのまま静かに高度を下げていった。
○
「ステファン!!あなたという人は!!」
プラズマソードを構えて突入するフェナ。
触手をかたっぱしから切り裂き、要塞へと向かっていった。
『くくくくく!!ひゃあああはははははは!!私に抵抗しようとするものはすべて排除されるんですよ!このように!』
触手が束になってまた別の戦艦を攻撃する。
シールドなどないように光は進み、戦艦を直撃をした。
半分に折られた戦艦の部分は落ちていき、地上で無念に爆発するだけであった。
『あーはははははは!!』
高笑いを上げるステファン。
そしてそれに対して反応する要塞。
巨大砲台があった場所が動き出す。
地震がおきているのか、要塞の中心が振動し始めた。
そして、まるで卵から生まれる新しい生命のようになにかが現れた。
『ごおおおおおおおおおおおお!!!』
そこに現れたのは…。
現れたのは。
『そんな!!』
『なんということを!』
クリスとロイスが声を上げた。
そこに現れたのは巨大なキラードールであった。
顔はねっぺらぼう。
しかし、そんなことはどうでもいい。
要塞を根したような人間の上半身があらわれたのである。
その背中には・・・。
天使の翼に見える純白の翼が一枚と悪魔の翼に見える漆黒の蝙蝠の翼と見えるものが現れた。
そしてその胸に白く輝く玉と紫に輝く玉があった。
そのまわりにうごめく触手。
まさしく、異形のものがそこにあった。
それだけではない。
その頭部の上に輪があった。
「神使いのつもりかぁああ!!」
真沙緒は突撃をし始めた。
触手をいくつか切り裂き、中心部へと突進していった。
『どうしようというのですか?』
真沙緒の攻撃に答えるように、異形のキラードールは羽根を伸ばした。
そしてそこから、無数の光が放たれた。
「きゃああ!!!」
避けきれず、真沙緒は直撃を受ける。
シールドをなんとか前にだすが、それは一瞬にして蜂の巣にされた。
そして、触手が動き、真沙緒機にからみついた。
ぎりぎりと締め上げる。
「真沙緒さん!!」
そのとき、アーリーのTran-Dが飛びこみ、プラズマソードで触手を切り裂く。
そしてなんとか、安全圏まで連れ出していく。
『くくく!それで逃げたつもりですか?みよ!我が力を!!』
ステファンの発言により、天使の輪に見えるものが高度を上げた。
不思議な光を発し、ある高さに辿りつくと、止まる。
そして、巨大なのっべらぼうの顔が上を向き、その仮面をはずした。
巨大な光が放たれ、輪の中心に進む。
輪の中心を進んだ瞬間、光は曲げられ無数の光の矢として、艦隊と真沙緒達を襲った。
TAは何とかよけるが、艦隊はそうはいかない。
いくつかの戦艦が貫かれ、消滅した。
『もう手加減をするのはやめました。これからあなた達を消してからゆっくりとサルどもに恐怖を与えながら、消していきます』
まさに地獄からの使者。
そのように見えた。
いや、それだけではない。
天使の翼もあることから、あれは天と地獄が契約をしたように見える。
人間を消すための契約。
「あああああああああ!!」
「真沙緒さん、むちゃです!」
涙をぽろぽろと流しながら真沙緒は突っ込む。
触手をいくつか切り裂き、レーザーライフルを異形のものの頭部へと乱射させる。
しかし、弾丸は弾かれるだけであった。
「く!」
効果がないことに気がつくと真沙緒はさらに突進しようとする。
しかし、それをアーリーが必死に止める。
「落ちついてください!」
「なにをやっているんだよ、あんたは!!」
「離して!離してよ!あいつを!!」
何とか真沙緒を押さえているアーリーを守るためにグレナディア、クリスとロイスの機体が囲む。
触手が襲ってくるが、それを各機が落していく。
なんとか真沙緒をその場から連れ出す。
「薫、薫・・・」
離れたところで着地したときは真沙緒はそれしかつぶやいていなかった。
その時である。
『かってに殺さないでよ』
通信が入ってきた。
真沙緒は自分の耳を疑い、ハインラインへ目を向けた。
なんとハインラインはゆっくりと上昇をかけていたのである。
なんで?どうして?と叫びたい真沙緒。
『バトルブリッジがあるってことを忘れていたのよ・・・てへ♪』
てへ♪じゃないよ。
その場にいた皆が同時に思った。
ハインラインは戦闘が出来る状態ではなかった。
あっちこっちに大きな穴がある。
なんとか動いているという感じである。
それを十分理解しているようにハインラインは後退していった。
「おどかさないでよ!」
『だ、だって直撃を受けると思ったときにここにいたんだもん』
真っ赤な光に包まれた薫が通信ウインドーに現れた。
真沙緒だけではなく、そこにいたすべての人が脱力感を感じたに違いない。
ため息がいくつか聞こえる。
そこに…。
「あの…」
クリスが口をだした。
「あれに弱点があるんですが…」
「「「なんだって?!」」」
グレナディア、真沙緒、アーリーの声が見事にハモった。
あれですというクリスに全員が目をクリスの機体があるものを指差した。
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