Tran-DS
The Side Story of Tolled Armor Tran-D
Chapter 6: The End and a New Beginning
Part 28
真っ暗な空に一筋の光が現れ、消えた。
また別なところで現れ、消えた。
そして最後の筋から赤いTAが突っ込んできた。
「いけぇええ!!」
フィオは掛け声と共に引きがねを引いた。
それと同時にTran-DSzの各ハードポイントにマウントされているミサイルラックから無数の光が放たれた。
ミサイルのはずだった。
しかし、これはただのミサイルではない。
ミサイルというのは普通、弾頭を抱えた「ロケット」が標的へ向かったいくものである。
発せられる光はその後部から燃料が焼かれるもののである。
しかし、Tran-DSzから放たれたものは上記に記したようなものではない。
発射されたそのものが眩しい光を放っていた。
光弾と言う言葉は、この光の玉に相応しい言葉であった。
そしてそれが「異形の者」に当たったとき、重い衝撃を起こし、爆発に巻きこまれたものは素子から破壊されていった。
「次!!」
空になったものを排除し、RRに指令を送ると次の分が落とされる。
Calamiteが落下速度と位置を計算し、Tran-DSzを操る。
重い鉄の音と共にミサイルポッドが接続が完了する。
ハードポイントがオールグリーンになり、フィオはすぐにターゲットの指定して引きがねを引いた。
次のミサイル群が発射され、「異形の者」の襲う。
それに答えるように触手が動き出した。
「よし!うまくひっかかってよ!」
攻撃してくる触手に対してフィオはライフルで応戦する。
回避行動に至らないところをCalamiteがカバーした。
キュンキュンキュンと小さな光がTran-DSzから放たれ、蛇走行で走った。
その光一つ一つからさらに光が発射される。
ミサイルとライフルとファンネルの攻撃でいくつかの触手が落とされていく。
しかし、その代わりに他の触手が動き出して攻撃する。
光線がTran-DSzを包むが、その一本もTran-DSzに当たらない。
「こっちこっち!」
誘いをかけるようにTran-DSzの手がひらひらしている。
それに答えるように触手が攻撃をするが。
「へたくそ!」
いとも簡単にフィオはTran-DSzを操りそれをよける。
隙間がないと思われる光線の中ぎりぎりで交わす。
-......-
Calamiteはなにもいわなかった。
いや、言う必要がないのだろう。
もし彼が人間だったら、驚きで言葉出せないといえるのかもしれない。
それと同時に唖然としているのかも。
シミュレーションではあんなに苦労していたのに、フィオはTran-DSzを意のままに操っている。
CalamiteはTVSのサポートと機体チェック。
Silpheedのシステムは別だから心配することはない。
だからCalamiteにすれば、この緊張感の中、暇なのであった。
○
「いくわよ」
真沙緒の言葉と同時にTAが5機、発進し要塞へと向かっていく。
高度はかなり低く、地面すれすれである。
砂埃がV字の形に巻き上がれていく。
艦隊の姿が小さくなっていった。
要塞の上では一つの光りが忙しく動いており、触手から伸びる光線を避けていた。
(大したものね)
真沙緒は正直、いまTran-DSzの動きをみて思った。
数時間であの機体をあのように動かせるようになるとは。
真沙緒も感服する気分と同時にちょっとだけ嫉妬を感じた。
フィオの適応能力に。
それを感じていると気が付くと真沙緒は頭を降った。
(こんなときに)
そうやって上空を見上げる。
そこにはいくつかの影が写っていた。
スターレイピアの編隊である。
半分劣りとして彼らは要塞へと向かっていく。
そして数分後、彼女達とスターレイピアの間に眩しい光がのびた。
艦砲射撃である。
「よし!」
気合を入れ、真沙緒はスロットルを全開に入れる。
スターレイピアの噴射口に燃料が放出された。
それが、エンジンの排気ガスの熱により爆発する。
その威力が排気口から放出され、真沙緒の機体が急激な加速をする。
「真沙緒さん!」
アーリーが真沙緒の動きを感知し、同じく推力を全開に入れた。
アフターバーナーが火を吹く。
ほかの者も同じことし、スラスターから発せられる蒼白い光が砂漠の地面を照らす。
TA5機が要塞へと突っ込んでいく。
そしてそれと同時に要塞のシールドが艦砲を射撃を塞ぐ。
まきちらされる光の粒子。
その上、Tran-ZSの遠距離砲弾がシールドに当たる。
衝撃が要塞を揺らす。
いきなりの攻撃に要塞は戸惑っているのか、反撃がない。
ほとんどの触手はただ、上に細かく動いているTran-DSzを狙っているだけである。
「もらったー!!」
真沙緒はそう叫ぶと同時にコントロールステッキを思いっきり引いた。
真沙緒の機体がそれに応じ垂直に要塞の上空へと向かう。
他の機体も同じように動く。
こういう情況の中ではなかったら、アクロバットチームの演劇として地上で見ている観客が歓声を上げていたかもしれない。
しかし、あくまでも陣形を保つ形として動いているだけで観客などいない。
いるとしたら、一人しかいない。
5機が「異形の者」胸あたりにくるとスターレイピアはバックパックとして働く。
ロイスとクリスは障害物がないと見たのか、「異形の者」の胸へと突っ込む。
「ロイス、クリス!まだ早い!」
だがすでに遅かった。
二人はすでに自機にプラズマソードを構えさせて「異形の者」の胸に光る異なる宝珠へと向かっていた。
○
「きりがない!」
プラズマソードで触手を切り倒すとフィオは叫んだ。
あれだけの大きさである。
無数に触手があるのでそれはしょうがない。
もういやだというほどの数である。
-Masao has made her move-
(真沙緒が動きました)
モニターにある部分が拡大され、そこに上昇する5機のTAと拡散される艦砲射撃の光が写る。
よしよしと内心にいうとフィオは触手をもう一本切り倒す。
作戦がうまいぐあいにいっているようで、触手のほとんどがTran-DSzを襲っていた。
しかし、安心すると同時にフィオはどこか違和感を感じた。
うまくいきすぎているのでは?と思ってしまう。
触手と戦いながら、フィオは周囲を見渡した。
頭上に輪があると気が付く。
そして真下には・・・・。
「まずい!Calamite全速離脱!」
-Roger-
Tran-DSzは急激に加速し、輪の周辺から逃げた。
そして、次の瞬間Tran-DSzがいたところに巨大な光の柱が現れた。
「異形の者」の頭部から発射されたのである。
間一髪逃げられたということだ。
だが、その動きでTran−DSzに一瞬の隙が生じる。
その隙を触手が見逃すわけが無かった。
「しまっ・・・!!」
爆発が起こる。
触手達はたしかになにか捕らえそれを砕いた。
煙が広がり、小さな破片がばら撒かれる。
大きな影が一つ落ちていった。
触手がそれに追い討ちをかけない。
しとめたと思ったのであろう。
そして先ほど発射された光の柱は上空にある輪に入り折り曲げら、方向を変えた。
その矢先には艦砲射撃を行う艦隊があった。
いうまでもなく、戦艦が数隻その光に貫かれた。
そのエンジンが遊爆し、回りの船を巻きこんでいく。
○
「真沙緒さん!艦隊が!!」
「え?!」
突っ込んだロイスとクリスを追うため、「異形の者」の胸に向かっていた真沙緒は後ろへ向いた。
その視線の先にはキノコ雲がいくつかたっていた。
これで目くらましは無くなった。
それだけの問題ではないと真沙緒は分かっていた。
だが、これでこちらの仕事がむずかしくなるような予感がする。
楽に終わるとは最初から分かっていた。
ステファンのことだ、自分らの動きには気が付いているはず。
あの男の性格からして、じわじわと苦しめて楽しむつもりだろう。
今の一撃がその第一歩。
そして先ほど、上で起きた爆発。
「やられていないわよね…。く!アーリー!グレナディア!周辺警戒しつつあの二人を守って!」
「わかってます」
「わかっているって」
「異形の者」の胸はもうすでに見えていた。
その胸に光る宝珠もしっかりと見える。
そしてそれに近づくロイスとクリス機のエンジンの光も。
これで、なんとか!と真沙緒は思っていたが心の中の自分が警報をだしていた。
いやな予感というものはあたるもので、あともう少しでクリスとロイスが目的に辿りつくというところに、二人はいきなり回避行動をとった。
それをみて真沙緒も本能的にコントロールステッキを横に倒す。
アーリーとグレナディアも同じことをする。
そして次の瞬間、彼がいた場所に巨大な光が撃たれる。
「デカブツのくせに器用なことをするな!!」
グレナディアが叫んだ。
なんと「異形の者」の首が下を向いていたのである。
その口からは今放たれた残留粒子が煌く。
だが、それでは終わらない。
回避したとおもったら、白い翼が光、無数の光を放ったのである。
「げ!」
5人は同時に同じ言葉を発した。
回避する隙間がないほどの光が襲ってくる。
すべてを裂けることが不可能なので、真沙緒、グレナディアとアーリーの背についているスターレイピアの翼がずたずたにされる。
機体の制御が急に不安になり、おちていく、三機。
しかし、三機とも落ちる間に翼を排除する。
なんかとかスターレイピアの機体を残す。
そして、それについているTVSを利用して体制を整うと上空へと逃げる。
だが、そこには待ってましたというように触手が襲う。
Tran-DSzを落とし、標的が無くなった触手には彼が新しい標的となった。
だが、そんなのでやられる三人ではない。
むしろ、スターレイピアの翼が起こす抵抗力が無くなったおかげで前よりすばやい動きを出す。
ライフル、プラズマソードで三機が応戦する。
次々と破壊されていく触手。
しかし、その代わりのものが現れて攻撃する。
そして、上からの攻撃。
「きゃああああ!」
「わあああ!」
「くそぉおおお!!」
頭部がまた発射し、輪がその光を捻じ曲げ、拡散する。
その光が三機を襲う。
ロイスとクリスも無事で有るわけが無かった。
彼らには「異形の者」の翼が攻撃をしていた。
クリスには白い翼が無数の光を放ち、ロイスには紫の球体が襲う。
「カオス!てめぇ!おれに向かって!!」
「エンジェランやめてー!」
二人は愛機の中心核だった球体に叫ぶ。
しかし、宝珠はただ、「異形の者」の胸でお互いの光を放っていた。
Back|Next
Back to Story Index
Tran-DS Homepage