Tran-DS: The Side Story of Tran-D
Tran-DS
The Side Story of Tolled Armor Tran-D
Chapter 6: The End and a New Beginning
Part 3
かち・・・こち・・・かち・・・こち・・・・
時計の振り子がゆっくりと動く音だけが空間を支配していた。
静寂とも言えるだろう。
その静寂を破る者があった。
「どういうこと?」
自分の前にいる二人を見ながら、フェナは聞いた。
フェリスは、腕を組み小さな笑みを上げながらもう一人のフェナ、椅子に座っている少女のほうへ顔を向けた。
「この子は貴方が、7年前まで生きていたころの貴方。それで、貴方はこの7年を生き、成長してきた
この子のもう一人・・」
フェリスはそこまでいうと、フェナの方へと向き直した。
顔は少し曇っており、どこか申し分けなさそうな表情になっていた。
フェナはゆっくりと「もう一人の自分」へと歩き出した。
外見にすれば、自分とは違う金髪でまだ身体は成長していない感じである。
年齢は十歳から十二歳で、白いブラウスに黒のレーススカートを着ていた。
それを見て、フェナは首を傾げた、どこかでみたことがあるからである。
「それは、貴方の12歳の時の誕生日に買ったものよ。あの時あなたはうれしくてはしゃいでね」
フェナは記憶を巡らすが、自分は覚えていない。
少女は相変わらず反応を示さず、じっと下をむいているだけである。
かち・・・こち・・・かち・・・こち・・・
フェナは方膝付くと、そっと左手を出し、少女の顔のあごに触れるとやさしく上げる。
少女は瞑っており、下を向いているため髪が顔の大半を覆っていた。
フェナは髪をそっとどかせた瞬間目を大きく開いた。
「な・・」
少女の顔はあざだらけだった。
そのため、晴れているところもある。
フェナの身体は震えだした。
いったいなにが、いや、だれがこの娘にこんなことをしたのだろうという質問がわいてくる。
フェナは自然に右手を少女の顔に近づけ、震えている手で触れようとした。
「恐いの?」
そのとき、少女は始めて口を動かした。
フェナは身を引こうとするが、少女がフェナの両手を掴んだ。
すごい力でびくと動かない。
なにか言おうとフェナは口を開けたが言葉がでない。
「ふふ・・・」
少女は顔をフェナに向かせると目をゆっくりと開いた。
「あ・・・」
あまりにも美しい、深いプラシャンブルーの瞳がフェナを覗き込んだ。
いつのまにか、少女の両手がフェナの顔を挟んでいた。
「あたし、貴方が経験したことを教えてあげる」
というと、少女の目は一層深くなり、フェナはそれに落ちていった。
フェナは目を開いたまま、後ろへおちた。
「何をしたの?」
フェリスは別に驚いた態度を示さず、少女に尋ねた。
少女はゆっくりと頭を回し、フェリスに向けた。
「さあ?」
と少女は答えた。
次の瞬間・・・
「うああああああああああ!!」
フェナの身体は跳ね上がった。
自分の身体を抱き、身体を丸くする。
身体はなにか衝かれているかのように動き、よだれが大量にフェナの口から零れる。
頭を何回も左右に激しく振り、腹を抑える。
目は固くつぶられ、眉は寄せられていた。
身体が震え、燃えているように熱い。
だれもいない空間にフェナは誰かを押し戻そうとする。
しかし、負けたかのか、腕は床に押さえつけられる。
抵抗しているようにフェナは激しく暴れた。
だが、その何かに負けているのが目に見えていた。
「なにもしないの?」
少女は答えを分かって、フェリスに聞く。
「フェナはこんなことで負けはしないわ。負けたらフェナはそれだけの価値しかなかったということだけ」
それを聞くと少女は鼻で笑って、目を床に暴れるフェナに向けた。
「あなたらしい言葉ね・・・・お母さん」
「ああああああ!!!」
奈落へおちていく声とそれを必死に抵抗するフェナの悲鳴が闇の世界に響いていった。
○
大きな機械音と共にずたずたにされた金属の固まりが二つ、ミアの前に現れた。
一つは焼かれた獣で、下半身は黒く焼け焦がされており、二度と動かないことがはっきりしていた。
もう一つは、飛行物体だったものである。
「ひどいものですね」
ミアの側にいたラディットが二つの金属の屑の山を見て呟いた。
無言にう頷くと、ミアは片方に歩き出した。
フィオの機体であった、シルフィード。
切り落とされた首はそばにおいてあり、ミアはまずそれに向かった。
コクピットはこちらにむいておらず、最悪の事態を想像しながらゆっくりと近づいていく。
「なにもありませんよ」
ラディットがスキャンしたのか、コクピットにはなにもないとをいう。
内心ほっととしたのか、ミアは手を胸に当て、安心の息を吐いた。
そして、足取りを軽くし、コクピットに近づく。
割れたディスプレイ、壊れた半球のコントローラなどが目に入った。
ボタンらしいものをいくつか反応はない。
「ラディット、メインコンピューターみたいなものあるかな?」
「どうでしょうか、Willさんに確かめてもらったほうがいいかも知れませんね」
そう、とミアは答えると自分のコンソールに戻りキーをいくつか叩いた。
ラディットはそのまま、シルフィードの残骸を調べる。
「よし。Will、聞いていましたか?」
-Yes-
女性の合成声がミアの呼びかけに応じた。
「じゃ、ダウンロードをするために必要な手順を教えて」
了解とWillが答えると次に色々な手順を教えはじめた。
ミアはケーブルをとり、指示に従い、それをコクピットの接続部分に繋げた。
-Initiating Download-
Willが情報をダウンロード、解析している間に、ミアは再びシルフィードの回りを歩いた。
込みあがって来る感情を抑えるため、ミアは手を口に当てた。
そしてもう片手で、黒く焼けこげたシルフィードの装甲に触れた。
煤で、手が黒くなってしまうことを気にせずミアは機体の線をなぞっていった。
ちょうど腹あたり来たとき、小さな、弱々しい声がした。
「え?」
ミアは足を止め耳を立てた。
「くーーん」
犬の声である。
まさかと重いミアはあたりを見回すが、機体には扉のようなものはない。
いや、とけて溝が消えているのかも知れない。
両手で機体の腹を叩いた。
「シルフィード!!シルフィードでしょう?!」
その声にシルフィードは吠えて答えたが、あまりにも弱々しい。
「ラディット、ここを開けて!!」
もう一つの金属の山を解析していたラディットは、ミアの命令に従いそれに近づいていった。
腕に仕込んでいた鋸が現れ、装甲を切ろうとする。
しかし、ビームの直撃を受けても、装甲はびくともしない。
数秒の後、ラディットの回転鋸はただの金属の板をなった。
ラディットだけでは、なく他の作業ロボット達が鋸、ビームトーチで装甲をきろうとする。
しかし彼らも切ることが出来ず、残ったのは何枚ものの破壊された回転鋸と焼きこげたビームトーチだった。
絶望と言う言葉がミアの脳裏を横切った時、巨大な影が彼女を被った。
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