Tran-DS
The Side Story of Tolled Armor Tran-D
Chapter 6: The End and a New Beginning
Part 30

「はあ・・・はあ・・・はあ・・・。うっく」

フェナは肩を押さえ大きく息をしていた。
頭から血が流れており、目に入ったため片目はつぶっている。

「や、やったの?」

フィオが聞く。
フェナはそれに対して、答えられなかった。
今、目の前にある白い光にはエネルギー反応がない。
正体不明の光であった。
だが、それを気にすると同時にほかの問題があった。
ぎゅ〜んぎゅーん。
Tran-DSzの関節が悲鳴を上げていた。
地面にたたきつけられたことで、Tran−DSzはただですまなかった。
画面に写っているTran-DSzのシルエットがほとんど赤く点滅している。
その下にE-Tronがなんとかあらゆる計算をして機体を動かせるようにしていた。
フェナは連射のせいで使い物にならなくなったレールガンを排除した。
いくらか軽くなったせいかE-Tronは機体をなんとか動かせるほどにシステムを回復した報告してきた。

「おねがいだれか返事をして…」

と願いながら、フェナは通信をだしていた。
しかし、帰ってくるのはノイズだけであった。

「真沙緒、アーリー・・・みんな」

「フェナ・・」

フィオとフェナは俯いた。
大切な仲間を失ったので・・・・。

『勝手に殺さないでよ…』

『そうですよ』

「え?」

通信が入り、アーリーと真沙緒の声が響く。

「無事だったの?!」

『なんとかね。といってもあの光…はいったい』

「ロイスとクリス、グレナディアは?」

『グレナディアさんはなんとか大丈夫です。いま、俺の機体のほうに乗せました。でも早く医者に見せないと…』

『ロイスとクリスは・・・わからない。彼らの姿はなかったわ』

「そう」

フェナはそう答えるしかなかった。
光はまだ島を包んでいた。

『こちら、駆逐艦フユツキ、零少尉、応答されたし』

『無事だったのですね!』

『ああ、なんとかな』

ミズタニ艦長が答えた。

「ほかの者は?」

『直撃を受けた以外はなんとか無事だ』

その言葉を聞いて全員ほっとした。
しかし・・・。

『フェアランス少尉…。悪いが・・・君を逮捕する』

「「え?!」」

『おとなしく、投稿していただきたい』

「ちょ、ちょっとまってください!」

真沙緒が抗議する。

『私だって不本意だ!しかし、たった今、彼女を束縛しろと命令が下された』

『誰にです?!』

『地球連邦政府だよ…』

ミズタニ艦長は本当に申し訳なさそうな声でいう。
彼の意思ではないということは最初の言葉で分かった。
しかし、あそこまで「高い」ところからの命令となると彼も反対するわけにはいかない。

『まってください!まだ相手を倒したことが判明したわけではありません!』

抗議する真沙緒。
彼女と同様、アーリーもTran-DSzをかばうように前に出る。

『それは私も理解している。だが…』

その時、上空からいくつかの影が現れた。

『な、なんで…』

戦艦。
それも見たことがない型だ。
それが上空から降りてきていた。

『い、いまごろきて!!!』

『今の暴言をゆるすわけにはいかないな』

通信に割りこみ、老人が現れた。
制服は地球防衛軍のものである。

『フェアランス少尉、及び零少尉、貴様らを逮捕する』

-On What Fucken Charge?-

Calamiteが突っ込むが、それはもちろん相手には聞こえてない。

『説明が必要か?ならばいってやろう!』

フェナはただ無言に相手をにらんでいた。

『敵をみすみす逃し、そしてこのような情況をつくり、エルファ防衛本部を破壊したことだ!!』

むちゃくちゃである。

『兵器の無断しよう!何万人の民間人を守れなかった罪だ!!!』

なにをいってやがる。
アーリーは正直そう怒鳴ろうと思った。
しかし、フェナがそれを制する。

「用は、この機体、私とフィオがほしいだけでしょう?」

『フェナ!』

「それだけのことよ。この危機を止める力は地球連邦軍にもなかった。だから高見見物ということで決着がついたと思うところであなたはきた…」

『なんだと?』

「それで、適当な罪を私にかぶせて捕らえようとしているだけ。低能な軍人が考えるようなこと…」

『き、きさま!!!』

「本当のことでしょう?ふん…」

相手は怒りで顔を真っ赤にしていた。
本当のことを言われたからであろう。
しかし、フェナの口はそこで止まらなかった。

「それにまだ、戦いは終わっていない・・・そうでしょう?アーリー」

『え?・・・・あああ!』

いきなり降られたアーリーであったが、モニターに写っている正体不明の文字を見て彼は悲鳴を上げた。
モニターには・・・。

D-Mode
4989

と表示されていた。

『ま、まさか!』

アーリーがそういった瞬間、上空から降りてきた艦隊の戦艦が次々と落とされていった。
核爆発が起こり、他の戦艦が巻き込まれる。

『フェナさん、これってまさか!!』

『なに?!どういうことなの?こっちにも!』

真沙緒とアーリーは慌てていた。
どちらのモニターにD-modeという言葉があり、その下にはカウンタが表示されていたからである。
そしてカウンタはどんどん下がっていったからである。
アーリーの背筋が凍りつく。
まさか、あの時の・・・・。
あの時、ラグナスで模擬戦を演じようとしたときに現れた、あのキラードールが。
あのキラードールが迫ってきているというのか。

『き、きさまら!抵抗するのか?!』

「私達はなにもしていないでしょう?」

『何をいうか!だったら何故こちらの船が落ちるのだ!!』

「答えはいまあなたの目の前にあるわ・・・」

『な、なに?!』

まさしくその瞬間である。
銀色ののっぺらぼうがその艦隊の旗艦のブリッジを覗いたのは。
艦隊を指揮していた男は悲鳴を上げることもできず、そのキラードール「ルーン・デ・フォルチュン」によってこの世から消された。
そして・・・・。

『やってくれましたね…。よくここまでやってくれました…』

冷たい落ちついた声が通信機より発せられた。
その冷たさに真沙緒、アーリーとフェナの心の臓まで凍り尽くすような感じだった。

『では・・・死んでください。地獄への案内は・・・・させていただきます…』

その言葉で、フェナのTran-DSz、真沙緒のTran-ZSSとアーリーのTran-DのD-Modeの数字がゼロになる。
Tran-ZSSとTran-Dのセンサーがその時黄緑から、真紅へと変った。

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