何故でしょう。
世に言う名作というのには、意外と「なんでこれがそんなに面白いんだろ」
と思うのがあったりする。
いや、決して悪い訳ではないんだけど。熱狂まではいかない。
今回は、そんな話ばっかり集めてみました。
追伸:今回より、作者たる私以外の人からのレヴューも受け付けております。
我もと思われん方は、ぜひ。
虎よ、虎よ! Tiger! Tiger! | アルフレッド・ベスター Alfred Bester |
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収容所惑星 (ロシア語書けない) | A&B・ストルガツキー Arkady and Boris Strugatsky |
波が風を消す (ロシア語書けない) | A&B・ストルガツキー Arkady and Boris Strugatsky |
タイム・パトロール GUARDIANS OF TIME | ポール・アンダースン Poul Anderson |
タイム・パトロール/時間線の迷路(上・下) THE SHIELD OF TIME | ポール・アンダースン Poul Anderson |
大潮の道 STATION OF THE TIDE | マイクル・スワンウィック Michael Swanwick |
ティーターン TITAN | ジョン・ヴァーリイ John Varley |
海魔の深淵 DEMON-4 | デイヴィッド・メイス David Mace |
永遠なる天空の調べ THE MEMORY of WHITENESS | キム・スタンリー・ロビンスン Kim Stanley Robinson |
虎よ、虎よ! Tiger! Tiger! | アルフレッド・ベスター Alfred Bester |
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名作、と呼ばれていた。 俺には、只の復習譚と思えた。 もはや、粗筋さえも定かでない。
あらすじ。 |
収容所惑星 (ロシア語書けない) | アルカジイ&ボリス・ストルガツキー Arkady and Boris Strugatsky |
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暗い。なんと言うか、救いがない。 ロシアという事で偏見フィルターがかかるのだが、社会主義万歳というか、 ステロタイプと言うか、よく言えば、良くも悪くも理想主義と悪得排他というか、 そういう匂いが鼻につく。充分冒険小説してるのだが、どこかでしらけてしまう のは、訳文のせいなのか、筆運びなのか。 あらすじ。 理想的ゆりかご主義(発展社会主義?)な技術文明バリバリの人類。辺境 宇宙船に乗り込む仕事をしていた主人公は、事故でとある未開文明の星へと 墜落する。その星では、ナチスな奴等が惑星全体を覆う洗脳装置を利用して 独裁政治を執いていた。地元のレジスタンス組織に拾われた主人公は、そんな 世界の仕組みを知るにつけ、「これではいけない。僕は僕に出来る事を しなければ」と、未開惑星介入禁止の法を破り、優れた技術と身体をもって、 積極的にレジスタンスを応援し始める…… と、まあ、何処にでもある様なチンプな話である。これを「わくわく」と 読める人には面白い本だろうし、「チンプ、チンプ」とわめく人には、最後の 最後でどんでん返しが用意してある。 んが、私はどちらの立場にもノメれなかった。「なんか違うなあ」という 思いをずうっとひきづっちゃって……あるいは、そう悩ませるのが作者の意図 なのかもしれない。世界は、単純に白と黒じゃない、と。 さて、同じ作者の別の作品についてリクエストを受けています。 「蟻塚の中のかぶと虫」 に 「波が風を消す」。 どうやら、この話の続編だとか。でも絶版と言うから、いつになったら読めるやら。 とほほ 他、この人の有名な本には 「ストーカー」 があります。……う〜ん、ストーカーには期待してたんだけど、この人の作品 となると、どうだろうなあ…… |
と、ぐちっていると、「読んだ事ある」という方からレポート頂きました。
やれ、ありがたや。
と言う訳で、上述していた奴のレポート、いきます。引続きストルガツキー兄弟
をどうぞ。
波が風を消す (ロシア語書けない) | アルカジイ&ボリス・ストルガツキー Arkady and Boris Strugatsky |
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(報告:HH)
(ネタバレ書評) |
タイム・パトロール GUARDIANS OF TIME | ポール・アンダースン Poul Anderson |
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タイム・パトロール/時間線の迷路(上・下) THE SHIELD OF TIME | |
コテンこてんの古典SFでしょう。時間ものと来たら、コレか、 H・G・ウェルズの 「タイムマシン」か。 タイムパトロールという発想の原点は、ここから始まったんじゃなかったかなー と個人のいい加減な記憶が告げています。まさしく、始祖。 でも、それだけと言う気がするのも本当なのです。 腐る程タイムパトロールネタを読んで来た昨今、原点を読んでみても新しい 感動というのは得難かったかな、と。どう評価しようとしても、「よくあるタイプの 時間もの」としか言えない、みたいな。 あらすじ。 時間監視員として働く主人公は、今日もタイムパラドックスを引き起こさぬ様 きばりつつ、右へ左へと時間犯罪者逮捕に活躍する! と、まあ、これだけ。 パラドックスも素直で、特にすねた形はなし。むしろ、歴史絵巻みたいな 楽しみ方をしちゃいました。各舞台(歴史)の書き込みは、ちょっと惹かれる ものがあるのよね、丁寧で。これは 「百万年の船」 を読んだ時にも思ったなあ。 直接の続編である 「時間線の迷路」 についても意見・あらすじ、共に同じ。 ヒロインが出来る事が、唯一の発展点かな。 いっとくけど、濡れ場は全然ないぞ。 基本的に勧善懲悪であり、どこかレンズマンシリーズを彷彿とさせたりする。 |
大潮の道 STATION OF THE TIDE | マイクル・スワンウィック Michael Swanwick |
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ネビュラ賞受賞。……なんでだ?(笑)いや、悪くないけど。 セールスポイント:世界観、雰囲気 など。 大海原に回帰して行く世界、陸棲から水棲へと変態する土着生物、 跋扈する妖しい魔法使い達。 犯罪者を追ってテクノロジー管理局から来た主人公「役人」、 彼の世界における数々の電子の魔法。 独特の世界と文体の中、科学と原始の魔法の間を引きずり回されて、 もう頭クラクラ。「もう一度読みたい」という気にさせる一冊。 でも、その理由は「なんかよくわからんかったから」だったりする(笑)。 血沸き、胸踊る訳ではないが、何か引き付けられる文体の話ですね。 幻想的、つうか。でも、ファンタジーよりはサイバーなかんじ。 登場人物(?)の中では書類鞄がいっちゃん好き。ラストでいきなし 好きになった。 彼の今後に期待。 |
ティーターン TITAN | ジョン・ヴァーリイ John Varley |
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これを、あの 「残像」 と同じ人が書いてるのか。う〜ん。 「へびつかい座ホットライン」 と同じ人、と言えば、確かに納得がいくかもしれない。 とにかく、風呂敷がでかい。このアイデアはちょおっとなかった。 あんまり言うとネタばれになるので言わないけど、視点という意味において、 この人には脱帽する。前述のホットラインでもそれは思った。 そして、殺那的に美しいモノとか瞬間を書かせると、とても綺麗だ。 ただ、長編となった時に、中たるみさせずに引っ張れているのかというと、 さてさて。 あらすじ。 世界初の木星探査へと出かけた宇宙船は、 その目的地で巨大な人工物を見つけた。 これは、……宇宙コロニー? ひょっとして、異星人か? ところが、探査に向かった一向はその人工物から攻撃を受け、 自分達の意志によらずその内側へと取り込まれてしまう。 その中には、どこか地球と似ていて、 それでいて異質なジャングルが渦巻いていた…… |
海魔の深淵 DEMON-4 | デイヴィッド・メイス David Mace |
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せっかくの仕掛けを、その程度の深みでしか活用しないの? と言わせて貰おう。すっげえ楽しみにしながら読んだのに……ありきたりの 凡百の話になっちゃったんとちゃうかなあ…… 最新式の「人工」知能だ、と抗弁する科学者の言動が面白くも悲しかった。 何を望んでの人工知能だったのだろう。何故の人間だったのだろう。挙げ句、 その合いの子を産んで、何がよかったのだろう。 戦争は全てを狂わせる。 なんだか、そんな事も感じさせた。 あらすじ。 第3次世界大戦は終った。世界各地に、時限爆弾を残して…… 戦争時に起動された、核を抱えて眠る人工知能制御された基地がそれである。 世界代表たる国連の指揮の元、慎重の上に慎重を重ねた基地の戦闘状態解除の 作業が続けられる。だが、神は何を思うたか。パスワード入力の最中に遠い海洋 に人工衛星が落下、これを「攻撃」とみなした海底基地は、一気に解除手順を 「敵国の介入」と見なして破棄、「自己警備モード」へとたちかえる。それが 「全世界報復モード」へと移行するのは時間の問題だった。 新たに解除チームが組まれ、深海に位置する基地の基幹部分へと直接の アプローチを試みる。戦争が終ってすぐの事、その人員はとてもベストとは言えない 寄せ集めだった。彼らの切札は、最新式の人工知能を搭載した超小型隠密潜水艦 「DEMON-4」。 そう、その人工知能は、高度な自己判断能力や会話能力を持つ。 そう、その人工知能は、部品の一つとして「人間の脳髄の一部」を 活用していた…… |
永遠なる天空の調べ THE MEMORY of WHITENESS | キム・スタンリー・ロビンスン Kim Stanley Robinson |
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このタイトルには惹かれるモノがある。このアイデアにも惹かれるモノがある。 なのに何故面白いとは感じないのか、謎である。 節回しがかったる過ぎたのかなあ。 あらすじ。 世界の全ての物理現象、物理法則は、音楽で現す事が出来る。 何も感性的な意味で言っているのではない。厳密な方程式や対比をもって、 そう唱える事が出来るのだ。 そして、その為に作られた宇宙で只ひとつの楽器。 昔日、この楽器を造り上げながら、死した男が居た。 そして今、義眼の天才が独り、その楽器の前に立つ。 音楽を、「宇宙の全て」を表現する音楽を奏でる為に。 つまり、「粒子の活動」を「音波」で対比する事で、事象の別記述が出来るという アイデアですね。人間、会話を字として変換記述してるし、動物なら思考を匂いに 変換して伝達したりする。そういう風に、一つの情報や意味というのは色々な形を とり得、そして、だから音楽になりえる。音楽が又、全てを表現するのに適切な形 態と特徴を持ってる。 そしてそして、全てを表現する事が出来る力は、全てを支配する事に通じる。 まあ、そういうアイデアですね。 麻薬の力を借りた故に、又、失明した故に新しい音の世界へとブレイクする主人公 とかも格好良くて好き。じゃあ、なんで…… ああ、そうか、これに宗教が絡んだ所とか、太陽系周遊オーケストラツアーという 背景のもとで物語が展開するのか、その辺がカンに触ったんだな、きっと。 |
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