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<<一億総ハヤカワ化計画6>>

By ろくでなし(いや、今回はろくでもあるけど)一歩

 何故でしょう。
 世に言う名作というのには、意外と「なんでこれがそんなに面白いんだろ」 と思うのがあったりする。
 いや、決して悪い訳ではないんだけど。熱狂まではいかない。

 今回は、そんな話ばっかり集めてみました。

 追伸:今回より、作者たる私以外の人からのレヴューも受け付けております。 我もと思われん方は、ぜひ。


虎よ、虎よ!
Tiger! Tiger!
アルフレッド・ベスター
Alfred Bester
収容所惑星
(ロシア語書けない)
A&B・ストルガツキー
Arkady and Boris Strugatsky
波が風を消す
(ロシア語書けない)
A&B・ストルガツキー
Arkady and Boris Strugatsky
タイム・パトロール
GUARDIANS OF TIME
ポール・アンダースン
Poul Anderson
タイム・パトロール/時間線の迷路(上・下)
THE SHIELD OF TIME
ポール・アンダースン
Poul Anderson
大潮の道
STATION OF THE TIDE
マイクル・スワンウィック
Michael Swanwick
ティーターン
TITAN
ジョン・ヴァーリイ
John Varley
海魔の深淵
DEMON-4
デイヴィッド・メイス
David Mace
永遠なる天空の調べ
THE MEMORY of WHITENESS
キム・スタンリー・ロビンスン
Kim Stanley Robinson


虎よ、虎よ!
Tiger! Tiger!
アルフレッド・ベスター
Alfred Bester

 名作、と呼ばれていた。
 俺には、只の復習譚と思えた。
 もはや、粗筋さえも定かでない。

 あらすじ。
 男は、極限に絶えていた。宇宙空間で、たった独りで。
 救いは、あった。だが、それは男の願いと喜びを踏みにじり、去った。
 その瞬間、男は平凡な、恐怖に泣き叫ぶ鉱夫から、炎の復讐者へと変わった。
 リベンジ。ただ、その為だけに生きる、怒りに燃えた赤い瞳。そして、 その顔には消えないイレズミが刻みつけられる。
 闇から虎がうごめきはじめた……

 なんだけど、こう、よくあるタイプの話なんだよね〜。これも、原典である事が なによりの存在価値である品だろうか。今では多くの類似品に埋もれてしまっている。 悲しいかな。



収容所惑星
(ロシア語書けない)
アルカジイ&ボリス・ストルガツキー
Arkady and Boris Strugatsky

 暗い。なんと言うか、救いがない。
 ロシアという事で偏見フィルターがかかるのだが、社会主義万歳というか、 ステロタイプと言うか、よく言えば、良くも悪くも理想主義と悪得排他というか、 そういう匂いが鼻につく。充分冒険小説してるのだが、どこかでしらけてしまう のは、訳文のせいなのか、筆運びなのか。

 あらすじ。
 理想的ゆりかご主義(発展社会主義?)な技術文明バリバリの人類。辺境 宇宙船に乗り込む仕事をしていた主人公は、事故でとある未開文明の星へと 墜落する。その星では、ナチスな奴等が惑星全体を覆う洗脳装置を利用して 独裁政治を執いていた。地元のレジスタンス組織に拾われた主人公は、そんな 世界の仕組みを知るにつけ、「これではいけない。僕は僕に出来る事を しなければ」と、未開惑星介入禁止の法を破り、優れた技術と身体をもって、 積極的にレジスタンスを応援し始める……
 と、まあ、何処にでもある様なチンプな話である。これを「わくわく」と 読める人には面白い本だろうし、「チンプ、チンプ」とわめく人には、最後の 最後でどんでん返しが用意してある。
 んが、私はどちらの立場にもノメれなかった。「なんか違うなあ」という 思いをずうっとひきづっちゃって……あるいは、そう悩ませるのが作者の意図 なのかもしれない。世界は、単純に白と黒じゃない、と。

 さて、同じ作者の別の作品についてリクエストを受けています。 「蟻塚の中のかぶと虫」 に 「波が風を消す」。 どうやら、この話の続編だとか。でも絶版と言うから、いつになったら読めるやら。 とほほ
 他、この人の有名な本には 「ストーカー」 があります。……う〜ん、ストーカーには期待してたんだけど、この人の作品 となると、どうだろうなあ……

 と、ぐちっていると、「読んだ事ある」という方からレポート頂きました。 やれ、ありがたや。
 と言う訳で、上述していた奴のレポート、いきます。引続きストルガツキー兄弟 をどうぞ。


波が風を消す
(ロシア語書けない)
アルカジイ&ボリス・ストルガツキー
Arkady and Boris Strugatsky

(報告:HH)

 (ネタバレ書評)
 波(地球人の右往左往)が、風(せっかく地球人を引き上げようとやってきた 宇宙人の善意=大きなお世話)を消す(無為にする)という話です。
 そもそも宇宙人による人類の進化補助テーマは私的に大嫌いな上に、主人公が なすすべもなく宇宙人の計画通りに変化していくというのに怒りを感じ それを静めるためには、ハインラインの迷作 「パペットマスター」 を4回読むしかありませんでした。
        すみません。各所にあらかじめおわび申し上げます。
        ハインラインもストルガツキーも好きです。



タイム・パトロール
GUARDIANS OF TIME
ポール・アンダースン
Poul Anderson
タイム・パトロール/時間線の迷路(上・下)
THE SHIELD OF TIME

 コテンこてんの古典SFでしょう。時間ものと来たら、コレか、 H・G・ウェルズの 「タイムマシン」か。
 タイムパトロールという発想の原点は、ここから始まったんじゃなかったかなー と個人のいい加減な記憶が告げています。まさしく、始祖。
 でも、それだけと言う気がするのも本当なのです。
 腐る程タイムパトロールネタを読んで来た昨今、原点を読んでみても新しい 感動というのは得難かったかな、と。どう評価しようとしても、「よくあるタイプの 時間もの」としか言えない、みたいな。

 あらすじ。
 時間監視員として働く主人公は、今日もタイムパラドックスを引き起こさぬ様 きばりつつ、右へ左へと時間犯罪者逮捕に活躍する!

 と、まあ、これだけ。
 パラドックスも素直で、特にすねた形はなし。むしろ、歴史絵巻みたいな 楽しみ方をしちゃいました。各舞台(歴史)の書き込みは、ちょっと惹かれる ものがあるのよね、丁寧で。これは 「百万年の船」 を読んだ時にも思ったなあ。
 直接の続編である 「時間線の迷路」 についても意見・あらすじ、共に同じ。
 ヒロインが出来る事が、唯一の発展点かな。 いっとくけど、濡れ場は全然ないぞ。
 基本的に勧善懲悪であり、どこかレンズマンシリーズを彷彿とさせたりする。


大潮の道
STATION OF THE TIDE
マイクル・スワンウィック
Michael Swanwick

 ネビュラ賞受賞。……なんでだ?(笑)いや、悪くないけど。
 セールスポイント:世界観、雰囲気 など。

 大海原に回帰して行く世界、陸棲から水棲へと変態する土着生物、
 跋扈する妖しい魔法使い達。
 犯罪者を追ってテクノロジー管理局から来た主人公「役人」、
 彼の世界における数々の電子の魔法。
 独特の世界と文体の中、科学と原始の魔法の間を引きずり回されて、
 もう頭クラクラ。「もう一度読みたい」という気にさせる一冊。
 でも、その理由は「なんかよくわからんかったから」だったりする(笑)。
 血沸き、胸踊る訳ではないが、何か引き付けられる文体の話ですね。
 幻想的、つうか。でも、ファンタジーよりはサイバーなかんじ。
 登場人物(?)の中では書類鞄がいっちゃん好き。ラストでいきなし 好きになった。
 彼の今後に期待。



ティーターン
TITAN
ジョン・ヴァーリイ
John Varley

 これを、あの 「残像」 と同じ人が書いてるのか。う〜ん。
 「へびつかい座ホットライン」 と同じ人、と言えば、確かに納得がいくかもしれない。
 とにかく、風呂敷がでかい。このアイデアはちょおっとなかった。
 あんまり言うとネタばれになるので言わないけど、視点という意味において、 この人には脱帽する。前述のホットラインでもそれは思った。
 そして、殺那的に美しいモノとか瞬間を書かせると、とても綺麗だ。
 ただ、長編となった時に、中たるみさせずに引っ張れているのかというと、 さてさて。

 あらすじ。
 世界初の木星探査へと出かけた宇宙船は、 その目的地で巨大な人工物を見つけた。
 これは、……宇宙コロニー? ひょっとして、異星人か?
 ところが、探査に向かった一向はその人工物から攻撃を受け、 自分達の意志によらずその内側へと取り込まれてしまう。
 その中には、どこか地球と似ていて、 それでいて異質なジャングルが渦巻いていた……


海魔の深淵
DEMON-4
デイヴィッド・メイス
David Mace

 せっかくの仕掛けを、その程度の深みでしか活用しないの?
 と言わせて貰おう。すっげえ楽しみにしながら読んだのに……ありきたりの 凡百の話になっちゃったんとちゃうかなあ……
 最新式の「人工」知能だ、と抗弁する科学者の言動が面白くも悲しかった。
 何を望んでの人工知能だったのだろう。何故の人間だったのだろう。挙げ句、 その合いの子を産んで、何がよかったのだろう。
 戦争は全てを狂わせる。
 なんだか、そんな事も感じさせた。

 あらすじ。
 第3次世界大戦は終った。世界各地に、時限爆弾を残して……
 戦争時に起動された、核を抱えて眠る人工知能制御された基地がそれである。
 世界代表たる国連の指揮の元、慎重の上に慎重を重ねた基地の戦闘状態解除の 作業が続けられる。だが、神は何を思うたか。パスワード入力の最中に遠い海洋 に人工衛星が落下、これを「攻撃」とみなした海底基地は、一気に解除手順を 「敵国の介入」と見なして破棄、「自己警備モード」へとたちかえる。それが 「全世界報復モード」へと移行するのは時間の問題だった。
 新たに解除チームが組まれ、深海に位置する基地の基幹部分へと直接の アプローチを試みる。戦争が終ってすぐの事、その人員はとてもベストとは言えない 寄せ集めだった。彼らの切札は、最新式の人工知能を搭載した超小型隠密潜水艦 「DEMON-4」。
 そう、その人工知能は、高度な自己判断能力や会話能力を持つ。
 そう、その人工知能は、部品の一つとして「人間の脳髄の一部」を 活用していた……


永遠なる天空の調べ
THE MEMORY of WHITENESS
キム・スタンリー・ロビンスン
Kim Stanley Robinson

 このタイトルには惹かれるモノがある。このアイデアにも惹かれるモノがある。
 なのに何故面白いとは感じないのか、謎である。 節回しがかったる過ぎたのかなあ。

 あらすじ。
 世界の全ての物理現象、物理法則は、音楽で現す事が出来る。 何も感性的な意味で言っているのではない。厳密な方程式や対比をもって、 そう唱える事が出来るのだ。
 そして、その為に作られた宇宙で只ひとつの楽器。
 昔日、この楽器を造り上げながら、死した男が居た。
 そして今、義眼の天才が独り、その楽器の前に立つ。
 音楽を、「宇宙の全て」を表現する音楽を奏でる為に。

 つまり、「粒子の活動」を「音波」で対比する事で、事象の別記述が出来るという アイデアですね。人間、会話を字として変換記述してるし、動物なら思考を匂いに 変換して伝達したりする。そういう風に、一つの情報や意味というのは色々な形を とり得、そして、だから音楽になりえる。音楽が又、全てを表現するのに適切な形 態と特徴を持ってる。
 そしてそして、全てを表現する事が出来る力は、全てを支配する事に通じる。
 まあ、そういうアイデアですね。
 麻薬の力を借りた故に、又、失明した故に新しい音の世界へとブレイクする主人公 とかも格好良くて好き。じゃあ、なんで……
 ああ、そうか、これに宗教が絡んだ所とか、太陽系周遊オーケストラツアーという 背景のもとで物語が展開するのか、その辺がカンに触ったんだな、きっと。


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よければ、見たついでに評価よろしく。ま、お代変わりにでも。
優  不可  努力を要す 











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