研究の引き継ぎは、結局ままならなかった。
きっと、原因の一因には、
私がSF小説読んでばっかりで仕事はしなかった事が……
嘘です。小説読む暇なんぞ全くありま、いや、ほっとんどありませんでした。
いやまあ、仕事をしてないの反論のしようのない事実なんですが……
なにしてたんだろ、俺。どうせ駄目だったのなら、
せめてSF読んでおくんだった。
天国への門 The GATES OF HEAVEN | ポール・プロイス Paul Preuss |
---|---|
自由軌道 FALLING FREE | L・M・ビジョルド Lois McMaster Bujold |
戦士志願 THE WARRIOR'S APPRENTICE | L・M・ビジョルド Lois McMaster Bujold |
親愛なるクローン BROTHERS IN ARMS | L・M・ビジョルド Lois McMaster Bujold |
無限の境界 BORDERS OF INFINITY | L・M・ビジョルド Lois McMaster Bujold |
ヴォル・ゲーム THE VOR GAME | L・M・ビジョルド Lois McMaster Bujold |
天国への門 The GATES OF HEAVEN | ポール・プロイス Paul Preuss |
---|---|
SFの王道をいっているな、と感じる逸品。ブラックホールが見つかり、 アクシデントから、それがワープ機関として使えると判り、ホールを越えて星々 への門をくぐりて、人は無限に広がっていく……そんな始まりを描いた作品。 結構沢山の人の視点から、物語各時点でのエピソードが語られる形を とっている。この人々が、それぞれ個性的でとても「生きて」おり、 鮮やかな切口の筆使いとあいまって、ぞくぞくするような感覚を生み出す。 うん、話そのものはチンプと言われても反論できんが、こいつはちょっと 良い気分だぜ。 |
で、以下は創元に流れるのである。
これだもんなあ、どこが一億総ハヤカワ化計画なんだか。
自由軌道 FALLING FREE | ロイス・マクマスター・ビジョルド Lois McMaster Bujold |
---|---|
俺の最初に読んだビジョルドの話。痺れましたよ。 某企業の宇宙に浮かぶ実験ステーションの話なのだが、ここに「クァディー」 という種族が登場する。その彼らこそが、実験対象=プロジェクト。彼らは企業 が作り出した改造人間であり、無重力に適応させられた、生まれながらの「社員」 なのである。 何処がそんなに特殊なのか、というと。足があるべきところに手が生えている。 だからクァディー=4本手人、という訳だ。おかげで木の上の猿のごとく無重力 では自在に動ける。他にも、心肺機能も上がってるし、早熟で出産能力も高い。 全く遺伝子操作様々である。 まあ、彼らもさすがに、生まれながらに溶接とかいった技術を知っている まではいかないので(当然だよ、そこまでされてたまるかい)、技術職 についてる専門家を読んで教育する事になったんだね。その専門家が、 主人公レオさん。この中年にいちゃんは、彼らクァディーを見るにつけ、 知るにつけ、どんどん共感と、彼らの縛られた出生=生まれながらに社員、いや、 奴隷として格付けされている事、に怒りを覚え始める。 そんなある日、一大イベント勃発。ステーションの中の人間達は、 紆余曲折を経つつも一致団結してそのイベントに取り組む事に…… そして危機又危機…… ね、おもしろそうでしょ? 実はこの同じ宇宙の時間の延長線上に、ビジョルドの売れ線 「マイルズ」 シリーズが存在する。つい最近まで全く気づいてなかった。いやはや、マイルズ の話を読んでる最中に、いきなり作中に「クァディー」が出てきた時の驚きと 喜びと来たら! 「マイルズ」 シリーズ又は 「デンダリィ傭兵隊」 シリーズと呼ばれる一連の作品は、 「戦士志願」 「親愛なるクローン」 「無限の境界」 「ヴォル・ゲーム」 など。見て損はなし。 |
という訳で引続き。
戦士志願 THE WARRIOR'S APPRENTICE | ロイス・マクマスター・ビジョルド Lois McMaster Bujold |
---|---|
やったぜ。ついにゲットしたぜ。 思えば数年前、古本屋にこれと 「自由軌道」 が並んでるのを見て、同じ作者なら最初から、と自由軌道を買ったのが ビジョルドとの慣れ初め。翌日戦士志願も買いにいき……既になかった事が 今までの別れの理由なのだ。以来、探し続けて幾星層、その間に同じ作者の 「親愛なるクローン」 が、 「無限の境界」 が、そして最近では 「ヴォル・ゲーム」 が出版。全てが戦士志願から始まる一連のシリーズものであり、シリーズは最初 から買っていき読むものと心に決めた私の前を新刊がずらずらと……くそう。 そんな過程を経て、ついに手に入れたのだこの本を。 O大学の生協書籍部に厚く御礼申し上げる。偉い、よくぞ入れてくれていた。 さて、中身である。後書きにある通り、我知らずに徹夜してしまった。 明日も学校だってのに。 最近読んだ所では、 「銀河の荒鷲シーフォート」 シリーズなどをほうふつとさせました。能力はあるがまだ開花させてない 主人公が、「俺は駄目駄目人間だ」と苦悩しながらも見事指揮を行ないきって、 周囲を助けてしまう。気分がいいね。 あらすじ。 ただの一般人だったはずの主人公、ちょっとホラを吹いて「私はある機関から 特派されて来ている、ネイスミスと言う者ですが……」なんて言っちゃった ものだから、以後も苦しい嘘の上に嘘を重ねて、「実は、デンダリィ傭兵隊 という所の所属で」「新兵を募集してるのだ」「君達の任務は」等等と話が転がり、 収集がつかなくなっていく。イベントは休む事なく襲って来て、主人公は胃に 穴が開くというおちゃめつき。 この主人公、ある貴族(王族)の出で、故に親が毒ガステロを受けた事がある。 この後の出産だった為、先天的に骨が折れやすいという身体的問題があるのだ。 まあ、ほとんど関係ないけどね。 もうちょっと渋めの、戦略ものモドキを期待していた私には、ちょっと違和感 があったかもしれない。だが、魅力の一冊である。徹夜がそれを証明している。 余談。引続き生協に足を運び、 「親愛なるクローン」 と 「無限の境界」 をゲット。さあて、いつ読もうかな。 あれから随分時間が経った。 冷静になってみて、シリーズを通して読み終ってみて、もう一度粗筋。 主人公の背丈は、小人程にしかない。顔には、長年の痛みによる消えないしわ があちこちに走る、40代と言っても通じる10代の青年である。名前は マイルズ・ヴォルコシガン。名字のヴォルという接頭辞は、貴族を意味する。 貴族。それは国を治めると共に、常にテロの対象でもある。ある日主人公の 両親は毒ガスを浴びた。ほどなく二人は完治したが、その時腹に居た主人公には 後遺症が残る事になった。骨が、生まれつきもろいのだ。日常生活に指し触るほど。 ほんのジャンプで、ほんの殴り合いで砕ける。そんな彼にも夢があった。 祖国帝国軍の士官学校に入り、いずれは父の後を継いで……。だが、その骨が 許さなかった。入学試験を落ちた彼は傷心の旅に出る。 その旅先で、彼は小さなイベントに出会った。ある貨物船が、オーナーを なくして立往生していたのだ。ふと、彼の悪戯心が騒ぐ。 「ああ、もしもし。私はデンダリィ傭兵隊に所属するネイスミスと言う者だが。 私がその件を解決出来るかも知れない。どうかね?」 かくして、貨物船による、名を偽っての小さな気晴らしの旅が始まった。だが、 その行先では戦争が。「傭兵隊」というホラがホラを呼び、苦しい嘘と演技を 重ね、やがて本当に彼は一隊を引きいて闘うはめになってしまった! |
親愛なるクローン BROTHERS IN ARMS | ロイス・マクマスター・ビジョルド Lois McMaster Bujold |
---|---|
という訳で、本日も徹夜しての楽しい読書。 いきなりあらすじ。 ある時は祖国の軍人として、ある時は傭兵部隊の隊長として、2重生活を 続ける主人公。ある時、テレビにそれがばれた! と思いきや、とっさの機転で、 「あいつは私の非合法クローンなのです」と誤魔化す。それはいいのだが、 ひょうたんからこま、嘘から出た真、本当にクローンがいて、 すり変わられてしまう! あいかわらずのドタバタコメディである。この会話のノリがなんとも言えない。 ちょっとした恋の物語や、仮のペルソナ「ネイスミス」とは何なのか、 という苦悩などもあって、本筋以外の所も楽しい。 残念なのは、出版ではこれが2冊めだが、エピソードの時代順で行くと、 とりあえず最後の話らしいこと。これからもまだまだ彼らの活躍は続く、さあて、 彼の恋の行方は? という感じで終ってるので、悔しいことこの上ない。 |
無限の境界 BORDERS OF INFINITY | ロイス・マクマスター・ビジョルド Lois McMaster Bujold |
---|---|
さあ、皆さんもうお判りですね? そう、徹夜明けです。あああ、俺って 駄目駄目人間。 これは、 「戦士志願」 から 「親愛なるクローン」 までの間にあった事件を語った中編を3つ、主人公がそれを思い出しながら語る という形式で載せている。どれにも、不具な体を、肉体的以上に、心理的に ひきづりつつ、それを乗り越え知力を武器に戦う主人公が描かれていると思う。 ああ、そうそう、クァディー( 「自由軌道」 に出てきていた一族)がゲスト出演。知ってる人には嬉しいサービス。 あ。ヒューゴー賞、ネヴュラ賞、受賞。 あらすじ。 喪の山:法律で禁じられたにも関わらず、未だに、不具の赤子が生まれると そのまま殺してしまう土習のある片田舎。その赤子殺しを裁く為、領主である 父の命令を受けて、自らもまた不具である主人公はその村に足を踏み込む…… 迷宮:無法だが技術は銀河一という惑星に、武器補給の為に立ち寄った 傭兵部隊。極秘任務に絡み、主人公は遺伝子操作によって作られたモルモット 「狼少女」と行動を共にする事になる。彼女もまた、一般人とは異なる自分を 痛烈に感じていた…… 無限の境界:捕虜収容所。厳密に捕虜保護法は守られているが、巧妙にその 裏をかいた拷問の続く収容所。そこに、主人公は潜入した。そう、囚人として。 本当は、たった一人の英雄を救出するだけの作戦だった。だが、いつしか、 捕虜全員を救う計画へとそれは変わり、そして、それ故に多くの犠牲を伴い…… 表題作「無限の境界」は、時系列的に 「親愛なるクローン」 の直接の前編になる。何故あの時マイルズが、やたらにブルーになって 「部下が落ちた」とのたうっていたのか判る。悲しいね。 |
ヴォル・ゲーム THE VOR GAME | ロイス・マクマスター・ビジョルド Lois McMaster Bujold |
---|---|
そして、ヴォル・ゲーム。シリーズ邦訳最新作。ヒューゴー賞受賞。まあ、 英語では更に続編が出ているとのことだが。その新作は 「親愛なるクローン」 で出てきた、コピー君が主役だそうな。他にも、親父殿やおふくろさんの話も あるとか。 まおいといて。この本は、時間軸でいうと 「戦死志願」 の直接の続編になる。 あらすじ。 我らが主人公の士官学校を卒業しての初の任務は……辺境の天気予報官。 只の天気予報官。繰り返すが、只の天気予報官、のはずなのに、またも一悶着が 持ち上がる。どうも、こいつはアクシデントをおびきよせる体質の様だねえ。 更に、お上の怒り直撃で左遷をくらったその先には、何故かまたもや一悶着が。 戦争や、皇帝陛下や、そして! 我らがデンダリィ傭兵隊がつぎつぎと現れて…… 追加情報。シリーズの新刊が出ました。詳細はこちら 「名誉のかけら」 へ |
<
前のハヤカワ洗脳計画 へ| | |
次のハヤカワ洗脳計画 へ> |
---|