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<<一億総ハヤカワ化計画7>>

By 遥かな星が故郷だぁ(鼻歌歌うのって、癖だよね。なくて七癖) 一歩

 ん〜、うまくないですねえ。調子悪いや。
 最近色々と行き詰まっております。困ったもんだ、年末だ、世紀末だ。
 反面、うまく行っている事も沢山あります。 よかった探しをやめてはいけないね。
 ……こんなん真面目に言う自分がなんだか情けないなあ(笑)

 よかった事の一つと言うのは、 某SF研究会の会誌で、 この「一億総ハヤカワ化計画」が後輩により継がれ生き続けていた事。 ありがとう。感謝の言葉もない。
 ……あ! するってえと、向こうが本家でこっちが分家になるんだろうか?


ソングマスター
SONGMASTER
オースン・スコット・カード
Orson Scott Card
無限アセンブラ
ASSEMBLERS OF INFINITY
ケヴィン・J・アンダースン & ダグ・ビースン
Kevin J.Anderson and Doug Beason
銀色の恋人
The Silver Metal Lover
タニス・リー
Tanith Lee
名誉のかけら
Shards ob Honor
L・M・ビジョルド
Lois McMaster Bujold
ダブル・スター
DOUBLE STAR
ロバート・A・ハインライン
Robert A.Heinlein
ジェノサイド・エンジェル 反逆の神々
GENOCIDE ANGEL
吉田 直 / 米村 孝一郎・絵
角川 スニーカー文庫
メタルダム(機械どもの荒野) 森岡 浩之
ソノラマ文庫


ソングマスター
SONGMASTER
オースン・スコット・カード
Orson Scott Card

 今日も今日とて吹き荒れるカード節(笑)。
 発表年代的に言えば、カードの初期作品に連なるものであり、よって、 宗教の匂いはあれでもそれ程キツくない時期であり、つまり、 私の痛く気にいった話です。
 やはり、人は情によって生きるのだと再確認。

 あらすじ。
 皇帝は「ソングバード」を、彼の為にだけ歌う、彼の魂を震わす事の出来る 「ソングバード」を求めた。それは運命の出会いに似て、そして「ソングハウス」 のみが見つけ育てる事が出来る。そしてソングハウスは、その地位によるのでなく、 魂を見て約束した。「貴方の魂にはソングバードが寄りそう資格がある。 何年かかろうと貴方に合うソングバードを見つけ育ててみせよう」と。
 そして彼らは銀河中を探し歩き、アンセットを、 幼い、心を閉ざした少年を見つけた。
 アンセットはその天才を発揮して歌った。時に、先生に。時に、皇帝に。
 そして、アンセットは成長する。
 そして、歴史はアンセットを巻き込みながら流れる……

 一部、この壮大な時間パノラマ感覚と皇帝の一族という舞台だてが、 「デューン 砂の惑星」 を思わせたりもする。

 そうそう、ソングマスターの感想と言うと、 こんな所もあります。



無限アセンブラ
ASSEMBLERS OF INFINITY
ケヴィン・J・アンダースン & ダグ・ビースン
Kevin J.Anderson and Doug Beason

 面白い! 物語自身に結末の様なものがついてないと言えば ついてないのだが……
 ストーリテリングの勝利、というんですかね、ハラハラと読んでしまう。
 それだけに、内容がないとか言われても反論出来ないのだが……
 でも面白かった! 結構一気に読んだ!
 いや、仕事が進んでないから逃避に使ったとも言うけど……

 あらすじ。
 月の裏で、ナノマシンが巨大建造物を建築してる現場が発見された!
 ナノマシンは周辺にあるものをカタッパシから分解して、建築材料にしている。
 そう、人間だって近付けば……

 と、これだけ。後は読んでのお楽しみだが、ひたすらにドタバタしまくるのだ。

 本当に、それだけなのだが、面白い。
 ネタの起爆の仕方と、人物達の気分の移り変わりが、 読者を捉えて離さないのかもしれない。



銀色の恋人
The Silver Metal Lover
タニス・リー
Tanith Lee

 この本を読了後、私は片手のバドワイザーを天へと差し上げて乾杯した。
「シルヴァーへ。」
 涙は流さずに、泣いた。

 ヒロインである女の子の手記、という形をとって書かれる、 ロボットと少女の恋の物語である。
(余談だが、女の子の手記、というと、私は 「たったひとつの冴えたやり方」 を思い出す。脱線。)
 常々、ロボットを書く時の理屈は二つに大別できると考えている私だが、 ああ、つまり、1)ロボットと人とは異質である。故に二つは助け合える。 2)ロボットと人は同質である。故に二つは判り合える。という二つだが、 これの後者の作品として、私は迷わずこの物語をベストの一つに任じる。
 いや、あまり書きたくない。この余韻は壊したくない。

 あらすじ。
 大金持ちの一人娘、ジェイン。理解あり細やかに気をつかってくれる母がおり、 父はいない。内気で、いつもびくびくしてる。
 彼女はある日、自分でも判らない内に、突然に恋に落ちた。そう、ひと目惚れ。
 彼の名は、いや、登録商標名は、シルヴァー。
 最新式のロボットだった。
 何故なのか判らない。どうしてなのか問うても答えられない。ただ「彼」 だけが光を帯びた。そして、彼も又、彼女を見つめた。どうして「彼女」 かは判らない。何故そんな事が出来たかも知らない。
 「二人」は、恋に落ちた。

 相手がロボットでなければ、まあ只の恋芝居。 相手がロボットでも只の恋芝居だと言う人もいるだろう。 でも、ロボット好きの私の心には、これがとても響いたのだ。響いた。

 タニス・リーて人、女性だったんですね。他に読んだ事なかったんで 知らなかった。
 そう思って見ると、なるほど女性らしい文である。一人の女の子の手記 であり、心のひだがよく見える。ちょっと、 「アンネの日記」 とかも思いだしたりする。
 これに限らずなんだけど、女性作家の癖って、あるよね。かならず「愛」 がある事。愛が、もちろん「聖愛」もあるんだけど、「肉体愛」とも固く 結ばれてる事(これって、「売る為」の行為なのかな?)。なよやかだった ヒロインが自分の足で立つ人間へと変わる事。
 ふむ、こう書くとアン・マキャフリィとも似てるかも知れない。 あれよりももっと、こう、繊細な感じがあるけど。

発掘 Reference

  1. 大森望さん&水玉蛍之丞さん による 辺境の電脳たちWeb版より

 さて、新刊案内もしておきましょう。創元より、例のシリーズ。


名誉のかけら
Shards ob Honor
ロイス・マクマスター・ビジョルド
Lois McMaster Bujold

 ご存知 「マイルズ」シリーズ 又は 「デンダリィ傭兵隊」シリーズ と呼ばれる物の最新邦訳である (計画5に今までの詳細あり)。 これはマイルズの父と母が出会う、奥面もないラブラブものである、と私は見た。 この物語の終りからマイルズの誕生までぐらいを書いた続編も、 すぐに発刊されるらしい。嬉しい限り。
 ラブラブ物であると同時に、設定資料集でもあったのだなあ、という読後感も 強い。マイルズの母であるヒロインは、つまり「外国人」な訳で、 始めてしっかりした「外側の目線」 からバラヤーという国を冷静に見つめる事になる。

 実は、これが作者ビジョルドの処女長編なのだそうだ。
 なる程、そう言われて見てみると、確かに文の固い所とか、 未熟なと思える所がある。特に弱点としてあげたいのは、主人公の求芯力である。 沢山の登場人物、それも、後々のマイルズシリーズにとって重要な役所を担う 人物達が沢山現れる(イリヤン他、主要メンバー、伏線メンバーはほとんど) のだが、いわばその彼らの履歴書的な所があるのだ。これも前述の設定資料的と 断じた所に関連してる。それだけに後のシリーズを知ってれば楽しめるが、 単品の物語として見た時に、評価が少々難しい。
 洗脳に関するくだりの逆転発想は、背筋が寒くなりながらも納得という所で 加点である。

 まあ、くどくど言うより読むが早い。30歳のヒロインと、40歳のヒーローの、 嘘みたいな本当の一目惚れロマンスをお楽しみ下さい。まあそこはそれ、 二人の立場が立場だし、あのマイルズの親となる人達の事、気概も誇りも 並のものではないので、まあ色々と、色々とねえ。

 あらすじ。
 未開惑星の検査に来ていた軍属ヒロインの元に、 突然軍人帝国バラヤーの部隊が攻めてくる。 逃げ出した彼女も結局は森の中で一人で居た帝国軍士官に捕まってしまった。 ところが、この男の挙動がおかしい。どうやら、 部下に反逆をされて逃げて来た所らしいのだ。敵同士のはずのこの二人、 いつの間にやら意気統合。 こんなはずじゃと自分達でも言いながら、あれよあれよとお互いを助け合う形に。
 だが、彼らには、それぞれに祖国があったのだ、異なる祖国が。
 二人の力を越えた所で、すぐに二国は戦争状態に突入。二人はたもとを分かつ。
 そう、分けたはずだったんだけど、ある戦場で……

 「敵も同じ人間なんだ」という発想が、どうして戦争中の人間にはないのだろう、 消えてしまうのだろう。そういう所からくる無理解というか阿呆というか、 に振り回される話でもある。

 余談。バラヤーのモデルは侍の国ニッポンだという噂がある。
 なあるほど、だろうなあ。
 作中に着物の描写もちらりとあるから、作者は日本びいきなのかなあ。



ダブル・スター
DOUBLE STAR
ロバート・A・ハインライン
Robert A.Heinlein

 ヒューゴー賞受賞
 『太陽系帝国の危機』の新訳・改題
 副題かな、それとも、改題前の原題かな?
 「Here's the Interworld Masquerade」とも書かれている。
序章紹介はこちら

 面白いと思いつつも、読後に一つの疑問がまとわりついて胸から離れない。 成る程、帝国は、人類は救われただろう。首相ボンフォードも活躍だったろう。 だが、「偉大なるロレンゾ」は一体どこへ行ってしまったんだ、その「存在」は?
 一人の売れない俳優の「死」に、私は憤りの涙を流す。登場人物達は全員、 政治の為に、多くの市民の為にと言い訳しながら、一人の男を「殺した」 事を自覚して欲しい。そう、その自らを「殺した」、その「本人」にも。
 首相ボンフォードが平和を実現した未来、そこには酒を飲んで酔っ払う、 一人の売れない役者が居ない。誰よりも、いや、誰と比べてもその重要性の 変わる事のない、誰の犠牲になる事もなく、誰の犠牲の元にでもなく、 存在したはずのその役者が居ない。
 泣きたい。

 あらすじ。
 腕とプライドはあれども売れない役者な主人公、「偉大なるロレンゾ」。 ある日もちかけられたうさん臭い仕事は、 どうのこうのと言いつつも抜き指しならぬ所にいってしまい、 とうとう引き受けるハメに。
 だがこの仕事、想像以上にでかかった。彼がやるのは「代役」、 それも帝国を二分する政党の片方「拡大党」の党首その人に化ける事だったのだ!
 誘拐騒ぎ、暗殺騒ぎ、露見ギリギリの騒ぎ、正体暴露の大騒ぎ。
 党首の不在はその政党にとって致命的な状況の連続。 その都度才気換発で切り抜け、その都度仕事の期限延長を繰り返し、 彼の「代役」は続く。
 そのうち、彼の心境に変化が現れ出した。最初は金とプライドの為だった。だが、 この党首の主張は、そして政党の行動は。惹かれていき、より積極的に闘い、 いつしか彼は党首とその理想に燃えていた……そして……

 人は誰しも「○○みたいになりたい」だの、「こんな時○○だったら どうするだろうか」と考えながら行動するだのしている。だが、 本当に「○○」になってしまったら、と思うと、やはり俺は、こう、 ちょっと嫌である。
 俺でありながら、「○○」のエッセンスをも盛り込んだ、新しい俺。「○○」を、 ある意味で越えた俺。それこそが、夢の、「理想の俺」なのだ。
 なんて事を、読んだ後に考えさせた。
 とすると、これは反面教師的な小説であった。うむうむ。

 そう、そして、教育、あこがれ、そういうのを熱っぽく語った豊かな物語とも 言えるのだが、同時に、そういうのは「洗脳」と紙一重なのだ。
 そんな事も考えさせる。

 話は変わるが、この本では、タイトルの影響というのをちょっと考えた。 この「ダブル・スター」、意訳すれば「トップスターのアンダースタディ(代役)」 とでもいう意味だ。もしくは、「裏と表を分け持つ光星」とでもするか。
 それを深層意識に刷り込みながら読むと、私が上に書いた様な、 人間ドラマ的な読み方になる。終りは、 俺的にはかなり悲しいエンドマークになる。
 ところが、これの旧題は「太陽系帝国の危機」である。確かに、 帝国の首相がどうにかなっちまうってな話だから、嘘じゃない。でも、 これを深層意識に刷り込みながら読むと、人間は帝国存亡の為の「道具」であり、 話の主題は「いかにして帝国を救うか」に焦点を移すのだ。この場合、 主人公がどんな悲劇になろうとも、「よかった、帝国は救われた」で、 ハッピーエンドになるのである。
 いやはや、やはりタイトルとは大事だ、中身は変わらないからなどと言って おろそかには出来ないものだと痛感した。
 だから、頑張ってよ、翻訳者の方々。ひとえに貴方達にかかってますぜ。


 おっと、ここから下は、日本の(ライト系?)作家です、今回。


ジェノサイド・エンジェル
GENOCIDE ANGEL
吉田 直 / 米村 孝一郎・絵
角川 スニーカー文庫

 (第2回スニーカー大賞受賞作)
 どうでもいいよなSFな感じの中で、ギリギリ「読めるじゃん!」 の部類に分類できる。その原因は、と考えて、素直に作者の筆力だ、 と断言できればいいんだけれど。あるいは、 敬愛する米村孝一郎画伯のイラストにだまされてしまっているのかもしれない。 もしくは、研究室をさぼって読みふけった久しぶりの一冊 だったからかもしれない。 らぶらぶな要因が入っていたからかもしれない。
 なんでこんな奥歯にもののはさまった様な言い方をするかと言うと、 プロットとかアイデアとかに「おお、すげえ」ってなのがないんだ。 どっかで見た様な部品の合成品。先も読め読めに読めてしまうし。 でも、読めたんだよなあ。 (<謎?)
 まあなんにせよ、暇な時間を潰す時に損にはならんだろう 日本語作家さんの本として、久しぶりにあげておこう。

 あらすじ。
 現代に「神々」が復活した。
 古代地球には、星人と自称した異星人が住んでいた。彼らの技術はすさまじく、 その粋を究め、彼らの誇りをかけて、液体金属とナノマシンを駆使した巨大ロボット 達を造り上げていた。今もそれは、 人々の神話の中に「神」として伝えられている。
 だが、彼らは、自らの種の限界と衰退を悟り、静かに姿を消した。地球人に 悪影響を与えぬ様、自分達の全ての文明の痕跡を始末して。ただ、「神」だけは、 巨大ロボット=神体と、それの統合制御コンピュータ=神だけは、自分達の 造り上げた芸術として、始末をためらい、各地への厳重な封印のみとした。
 その、封印が解かれた。誰が? 何故? どうやって?
 物語はヒロインを統合制御コンピュータへの人柱に、そしてヒーローを その神官=神体のパイロットにと選択し、回転を始める……

 実は、これと同条件ながらにギリギリ「読まんでええわ」に分類されて しまったSFが 「メタルダム(機械どもの荒野)」。  「星界の戦旗」 の森岡さんが ソノラマ文庫で書いたヤツだ。おい、森岡、そんなんするならとっと「星界」 をなんとかしとれよ、全く。
 これは、俺的見地からいくとハズレだったんだわ。ありきたりすぎて、さ。 森岡さん自身に実は、もう一歩、いや、あと半歩、SF者としての魂を持って 欲しいとか思ったり。なんでしょうね、このもどかしさは。文系出身者への 理系出身者のひがみでしょうか。まあ、なにか、そんなの。



メタルダム(機械どもの荒野)
森岡 浩之
ソノラマ文庫

 上述しちゃったからこれも書こう。
 星界シリーズで有名になっちゃった森岡さんの話。
 でも俺、この人にはこんなど〜でもいい話より、早く星界の続き書いて 欲しいなあ。

 あらすじ。
 コンピュータ管理で我世の春をしていた人類は、そのコンピュータの反乱で 一気に身分を落した。今や、砂漠の端々で細々と暮らすだけだ。もう生産出来なく なった部品を、砂漠を警戒探査しているロボット達から狩る仕事、それが主人公 の生業だった。
 ある日狩ったロボットは、あまりにも無警戒だった。しかも、喋った。
 それが言うには、「コンピュータの反乱は母体マシンによるものではない。 周辺を固めていたサブによるものだ」という。今母体は監禁状態。母体が コントロールを取り戻せば、再び豊かな街が甦るという……
 半信半疑ながらも、主人公達パーティーは機械の示すまま母体の解放に赴く。

 特に新しく見るべきものって、ないんじゃないのかな?
 まあよくあるタイプのって事で。



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よければ、見たついでに評価よろしく。ま、お代変わりにでも。
優  不可  努力を要す 











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