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All people be HAYAKAWA'N

<<一億総ハヤカワ化計画16>>

心の中のベストSF
: Presented by IPPO :

 俺的なベストSF、というのがあります。
 まだまだ未熟者ですし、読んだ時の体調もありますから、 絶対的なものではないですが。

 でも、彼らに対しては少々別格なアプローチがあってもいい、 と思う訳です。

 そういう訳で、おいらのベストSF5編について、改めて紹介、 強くプッシュする事にしてみました。
 これらはベスト過ぎて余分に語る言葉が出てきません、 よって、かなり勝手なあらすじを好きにほざいてみる事としました。

 今回は「勝手にあらすじ特集」という事かな?(笑)


サターン・デッドヒート グラント・キャリン
SATURNALIA Grant Callin
サターン・デッドヒート2(上・下)
−ヘキシーの星のライオン−
グラント・キャリン
A LION ON THARTHEE Grant Callin
創世伝説(上・下) ドナルド・モフィット
The Genesis Quest Donald Moffitt
第二創世記(上・下) ドナルド・モフィット
Second Genesis Donald Moffitt
ブラッド・ミュージック グレッグ・ベア
Blood Music Greg Bear
スターダンス スパイダー&ジーン・ロビンスン
Stardance Spider & Jeanne Robinson
アルジャーノンに花束を ダニエル・キイス
Flowers for Algernon Daniel Keyes


サターン・デッドヒート グラント・キャリン
SATURNALIA Grant Callin
昭和六十三年発行 1986
ISBN4-15-010770-X

サターン・デッドヒート 2(上・下)
−ヘキシーの星のライオン−
グラント・キャリン
A LION ON THARTHEE Grant Callin
一九九〇年発行 1987
ISBN4-15-010862-5 ISBN4-15-010863-3

 勝手にあらすじ。

 土星の衛星で謎の異星人の遺跡発見!
 その頃の地球はというと、軌道ステーション株式会社が商業的な意味から、 はては政治的な意味においても独立をしてしまっており、 かなり二極的な地球対ステーションの冷戦(経済戦争)状態。
 どちらの陣営も世間にはひた隠し、秘密裏にその回収&解析部隊を投入、 かくして遺跡争奪ゲームが真空の宇宙、時間と燃料に拘束される宇宙、 天に巨大に鮮やかに土星のかかるその世界で始まる!

 で、まあ、投入部隊と書くと軍人臭いですが、舞台が宇宙。
 地球勢力はNASA関係者しかいないし、 そしてステーションには軍人がいない(大学と無重力産業だけの国)。
 血生臭い所はまあ全くなく、主人公(ステーション在住の考古学者。 なぜ彼かと言うと、予想される遺跡の解読=暗号解析におそらく一番 近い技術を持つステーション唯一の職種の人だから(大笑)) の目線を忠実に追いながら、舞台も勢力も二転三転の大冒険が続く訳です。
「まあ、考古学者の仕事と言えば仕事だよね。だってほら、人類が産まれる 前ぐらいから放置されてたのかもしれない”古い”モニュメントな訳だし」

 そして、手にした遺跡の告げていたものは……?
 かくして、サターンデッドヒート2に続く訳です。

 ネタバレが恐いから2の解説はなし! って言ったら怒る?(笑)
 でもこれはもう決着を見て貰ってからでないと語れないのだ!

発掘 Reference
  1. っていうか、以前に一度この本は紹介してたり。 こっちです
  2. YagiのReview Column 内部


創世伝説(上・下) ドナルド・モフィット
THE GENESIS QUEST Donald Moffitt
一九九〇年発行 1986
ISBN4-15-010905-2 ISBN4-15-010906-0

第二創世記(上・下) ドナルド・モフィット
THE SECOND GENESIS Donald Moffitt
??年発行 1986
ISBN4-15-010925-7 ISBN4-15-010926-5

 勝手にあらすじ。

 異星人ナーは、巨大なパラボラを建設し、宇宙の電波に耳をひそめていた。
 どこかにきっと知性体がいる、いつか呼びかけの通信がくる、と信じながら。
「ねえ部長。エイリアンってどんな格好してますかねえ。」
「そうだなあ。きっと我々にそっくりだと思うよ。」
 彼らナーの姿はヒトデを二枚背中合わせにはり合わせた様な格好である。
「なんてったって点対称ってのは自然界の摂理だからね。
 神経の伝達云々を考えたって、絶対脳が体の中心に、 そしてそこから触手関係が四方に伸びる。これしかないね、うん」
「ちょっと考えたんですけどね。線対称ってあり得ないですかね。
 脳がテッペンにあって、そこから基本として一方向に触手が伸びる。」
「なんだ、不経済で不安定で不安全な設計図だな。
 絶対とは言わないけど、そんなのいないとおもうなあ」
 その時電波感入! 宇宙はナーだけの孤独な世界ではなかったのだ、やったあ!
 何年間も続くその「通信」は、こと細かにバイオ関係の技術を記述した 内容であり、同時に教科書でもあった。
 そして、最後につけられた遺伝子地図。それは人類のものだった。
『技術は与えた。設計図も与えた。
 我々人類を「創造」せよ。』
 得た知識を吸収し、ナーは人類を「創造」した。

 遥かな惑星の上で、全く異なる文化の中で、
 異星人を親として「人類」が産まれる。
 彼らの運命と冒険やいかに!



 余分なお話。
 サイクロプス計画というのをご存知でしょうか? 実は地球でも、 上述の出だしの様な計画、つまり、宇宙に耳を澄ませて、 知的生命の存在を探ろうとする計画はあるのです。 そういうのに興味がある人にとっても面白いお話ですね。



 そして、更なる彼ら人類の冒険を描いた「第二創世紀」へと続く訳です。
 やっぱりネタバレが恐いから解説はパス(笑)駄目?(笑)
 次は銀河狭しと走り回るぞ! とか、とても可愛いペット君が出てくるぞ、 しかもそれは! とかって当たりで許して下さい。


ブラッド・ミュージック グレッグ・ベア
BLOOD MUSIC Greg Bear
昭和六十二年発行 1985
ISBN4-15-010708-4

 ヒューゴー賞・ネヴュラ賞受賞。

 勝手にあらすじ。

「どれどれ調子はどんなもんかな。……ん、うまくいってるな」
 青年科学者はシャーレの中を見てそうつぶやいた。 自己組織化するシステムを組み入れた白血球の実験である。 本来なら人間の遺伝子を利用した実験という事で許可がないとしちゃいけない 実験なのだが、まあばれない限りは問題は……え、監査が来てる? 今そこに!?
 やばい、こんなのバレたらクビになっちまう、どこだ、どこに隠せば、 処分してしまえばイヤイヤイヤこんなにうまくいってる 実験結果を捨てるなんてそんな……
 慌てに慌てた彼はふと閃く。注射器を掴むとシャーレの中身をそれに入れ、 あろう事か自分の腕の中に「ぶすっ。ちゅー。」
「ふ。俺様の体の中に隠してるなんてお釈迦様でも気づくめえ。」
 事実気づかれはしなかったのだが、その後がまずかった。 彼の開発したその白血球はとんでもなく適応力にとんだシロモノだったのだ。 自らの形を変え、人体内で「異物」として排除されずに増殖する手段をあみだし、 そう、まるで「思考する細胞」であるかの様に振舞って生き伸びていく。
 そういったウイルスや細胞のサイズをご存知か? その「個体数」をご存知か?
 それは、はるかに人間の脳細胞の数を越す!
 やがてその増殖は彼の体内だけに収まらず、呼気を通して大気中に、 汗を通して他人に、街に、地球に溢れていく! 絶えず変わり続けながら!
 その行きつく先は……?



 アーサー・C・クラーク「幼年期の終り」(もしくは「地球幼年期の終わり」) の再来、という形の誉め方をよくされている一冊です。
 言われてみれば確かに、そういう感触もあります。また違う所もありますが。


スターダンス スパイダー&ジーン・ロビンスン
Stardance Spider & Jeanne Robinson
??年発行 1979
ISBN4-15-010708-4

 勝手にあらすじ。

 踊る! 只踊る事だけにかけた才能!
 だが、彼女の身長は高過ぎた。彼女の体格は大き過ぎた。 決してプリマにはなれない! そう、地上では!
 「宇宙で踊る」それに賭け、それに勝利した彼女。 だが成功は余りに短く、その賭けの結末は瞬く間に現れ消えた。
 振りつけ師は彼女を見送り、そして軌道に留まり、 彼女の造り上げた無重力ダンスを、「スター・ダンス」を継いだ。
 継いだ先にあるものをその時は知らずに。

 読んだ後の人にだけばらす。 実はこれはXxXXX・XXXXXSFだったのだ!

発掘 Reference
  1. 千田さん 日記&書評 6月25日
  2. ぐっないさん これが面白い小説や! 7月


アルジャーノンに花束を ダニエル・キイス
Flowers for Algernon Daniel Keyes
1989年発行 1966
早川書房 ハードカバー
ISBN4-15-203393-2

 勝手にあらすじ。

「けえかほおこく。きょう、ぼくわニイマアせんさえにいわれた。」
 たどたどしい字で書き始められる一冊の「日記」。経過報告と称された、 それはある人体実験に志願したチャーリーの日記である。
 知恵遅れの彼の書く字は青年期を過ぎてもなおこの状態だった。
 彼は大学に連れてこられ、すらすらと迷路を走り抜けるハツカネズミの アルジャーノンを見て驚く。アルジャーノンは彼よりも素早く迷路を解くのだ!
 アルジャーノンと同じ手術を受けてみないか、と言われ、 チャーリーはうなずいた。そして彼のIQは常人並へと復帰していく。
「経過報告。私は今新しい地平の前に立っている。」
 増えていく知識。普通に書ける様になった文字。扱える様になった器具、 沢山の会話。
 前途には幸せだけが待っていると思えた。
 だが。
 愚鈍な頭では知らなかった事には、多くのものが隠されていた。 親切だと思えていた隣人のあざ笑い。 突然頭のよくなった彼に対する世間の異物を見る不気味なまなざし。 親切な人ばかりではない、複雑な人間関係、嫉妬、怒り、そして悲しみ。
「経過報告。今日私ははじめて気づいた。 普通人は10カ国語を話せたりしない。」
 彼のIQの上昇は留まる所を知らず、やがては周囲の人を追い抜いていく。
「経過報告。アルジャーノンの様子が……」
「けえかほうこく。……」
「けえかほおこく……」



 余分なお話1。
 この物語は最初に短篇として書かれてヒューゴー賞を受賞。
 後に長編へと書き直され、これにより今度はネヴュラ賞を受賞。
 短篇の方が切れ味は鋭く、長編の方が細部の書き込みがあって豊かです。
 どちらがいいとは言えません、 おそらく最初に読んだ方がより深く心に染みる事でしょう。 それぐらい甲乙つけがたい完成度に両方なってると私見します。

 余分なお話2。
 この物語は、以前に映画化もされています。この時のタイトルは 「CHARLY」、邦題では「まごころを君に」でした。 (最近ではこの邦題、某エヴァンゲリオンの方で有名になってしまいました (笑))
 出来は、どうでしょうか。私的にはあまり……

 余分なお話3。
 この物語は、芝居にもなっています。というか、なっている様です。
 「戯曲 アルジャーノンに花束を」という本が少なくとも存在しています。
 実際に上演された所もあるようです。

 余分なお話4。
 この物語は、氷室京介さんにより、歌にも唄われております。
 アルバム「FLOWERS for ALGERNON」(ズバリですね)所収の 「DEAR ALGERNON」がそれです。
 私的にはこれまたあまり……(笑)

発掘 Reference
  1. Kingdom Of Madness 内部から 書籍情報など
  2. 劇団つた さんによる 芝居上演の様子
  3. 小竹さんによる氷室京介さんのアルバム情報の 一部
  4. SF美術館・北海道分舘 より ダニエル・キイス全単行本 表紙画像
    注:原書の冒頭・結末部を読む事が出来ます。

 関連書籍
心の鏡 −ダニエル・キイス傑作集−
(アルジャーノンに花束を(短篇)収録)
ダニエル・キイス
DANIEL KEYES -- COLLECTED STORIES
Daniel Keyes
1993年初版発行 1993
早川書房 ハードカバー
ISBN4-15-207826-X

戯曲 アルジャーノンに花束を 原作−ダニエル・キイス
脚色−菊池?推?
(辺はにすい)
  1992年初版発行
早川書房 ハードカバー B5版
ISBN4-15-203527-7

世界SF全集 32
世界のSF(短篇集)現代篇
(アルジャーノンに花束を(短篇)収録)
 
  1980年3版発行
早川書房 ハードカバー B5版



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よければ、見たついでに評価よろしく。ま、お代変わりにでも。
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