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All people be HAYAKAWA'N

<<一億総ハヤカワ化計画24>>

長らく放ってたアレとかアレのファンタジー・シリーズ
: Presented by IPPO :

 今回は「ファンタジー特集」と行きましょう。
 そう、ついに、マジカルランドシリーズの最新刊が、そして、その後は原作もまだというその時が、来てしまったのですよ……無念残念でも嬉しい。
 ここを区切りに、たまりにたまっていたマジカルランドの紹介を、
 更にそれに乗せて、ファンタジー系をどかっと。

 あと、最近の話題と言えば、カードのエンダーシリーズも、出てる分にはこれで終わりという新刊が間もなく。カード特集もしたいですね。

 他にも、
 作者「マキャフリィ」「ハインライン」特集。
 「読んでくだらなかった」「読書共同体補完」特集。
 色々したいけど。


妖女サイベルの呼び声 パトリシア・A・マキリップ
THE FORGOTTEN BEASTS OF ELD Patricia A. McKillip
夢の10セント銀貨 ジャック・フィニイ
THE WOODROW WILSON DIME Jack Finney
魔法無用の大博奕!
《マジカルランド 6》
ロバート・アスプリン
Little Myth Marker Robert Asprin
こちら魔法探偵社!
《マジカルランド 7》
ロバート・アスプリン
M.Y.T.H. Inc. Link Robert Asprin
魔物をたずねて超次元!
《マジカルランド 8》
ロバート・アスプリン
Myth-Nomers and Im-Pervections Robert Asprin
魔法探偵、総員出動!
《マジカルランド 9》
ロバート・アスプリン
M.Y.T.H. Inc. in Action Robert Asprin
大魔術師、故郷に帰る!
《マジカルランド 10》
ロバート・アスプリン
Sweet M.Y.T.H.-Tery of Life. Robert L. Asprin
スピリット・リング ロイス・マクマスター・ビジョルド
THE SPIRIT RING Lois McMaster Bujord
西の善き魔女(4)
世界のかなたの森
荻原 規子
Noriko Ogiwara
西の善き魔女(5)
闇の左手
荻原 規子
Noriko Ogiwara
西の善き魔女(外伝1)
金の糸紡げば
荻原 規子
The Good Witch of the West
When One Spins Gold Threads...
Noriko Ogiwara
西の善き魔女(外伝2)
銀の鳥 プラチナの鳥
荻原 規子
The Good Witch of the West
Silver Bird, Platinum Bird
Noriko Ogiwara
これは王国のかぎ 荻原 規子
Noriko Ogiwara

 まずはこの二冊。結構その筋では話題。


妖女サイベルの呼び声 パトリシア・A・マキリップ [TITLE]
THE FORGOTTEN BEASTS OF ELD Patricia A. McKillip
一九七九年 発行 1974
ISBN4-15-020001-7

 世界幻想文学大賞受賞。

 あちらでもこちらでも呼び声の高い早川FT文庫のNo.0001。
 ……なんで、本屋で素直に棚に並んでるの?(復刊かなんかされた?)
 とりあえず、偉いと褒めておこうユートピア。
(ふらっとよった普通の本屋さん)
 あちこちで絶賛されてるだけに楽しみに読み始める。

 結論、読んでよかった。
 さくさく読める。なにも足さない、なにも引かない。
 そんなぴったり感がある。
 これは、確かにおすすめ。
 良い意味で「普通の」ファンタジー、とでも言える。


 あらすじ。

 その美しい少女は、魔法使いだった。
 父、祖父から継いだその力は、相手の(真)名をもって相手を縛る能力。
 古今東西の幻獣達をそうして縛り、周囲にはべらせ、 彼女は森の奥の屋敷に一人暮らしていた。
 古書を読み、魔法の知識を深め、獣らと会話し、その世話をし、 星空に新たな相手(幻獣)への呼び声を伝える。
 そんな世捨て人・探求者として充実した日々は、 ある日の開門を叫ぶ声でさえぎられる。
 外界の権力争いの余波が流れてきたのだ。男は一人の赤子を預けて立ち去る。 その子は貴方の従兄弟だからかくまってくれ、王に狙われているのだ、と伝えて。
 獣の世話なら慣れているが、 ただ泣くしかできないだけの赤ん坊を預けられても?
 そうは思いつつもなんとか育て、赤ん坊が少年から青年へと変わる頃、 再び男が現れる。子供を返してくれ、彼が次の王だ、と。
 各登場人物間で紡がれる恋、憧れ、親子の情、愛の裏返しの恐れ。
 非常に直裁に、純朴に、そんな想いの透けて見えるファンタジィ。


 この小説は、「コーリング」の名で漫画化もされている。
 この漫画は、非情に原作に忠実な作りをしており、 絵のイメージも5割以上の率で同期している。
 ただ、名作である話は、そしてファンタジーは、なによりも 読者の内面世界に色鮮やかに描かれるものだから、 完璧にイメージに合う漫画化というのはないのではなかろうか。しかし名作。
 さらに、この「コーリング」の名でイメージアルバム(CD)がある。
 残念ながら私は未入手。せっかくのチャンスも僅か数分の試聴しかしていない。 全くもって残念至極である。

【ISBN: bk1 / ISIZE / 旭屋 / Jbook / BOL / 紀伊國屋 / amazon / eS! / 富士山 / 本屋さん

(漫画)
「コーリング」岡野玲子
The Calling
全3巻
マガジンハウス
200年発行
ISBN4-8387-1118-2
ISBN4-8387-1119-0
ISBN4-8387-1120-4

【ISBN: bk1 / ISIZE / 旭屋 / Jbook / BOL / 紀伊國屋 / amazon / eS! / 富士山 / 本屋さん
【ISBN: bk1 / ISIZE / 旭屋 / Jbook / BOL / 紀伊國屋 / amazon / eS! / 富士山 / 本屋さん
【ISBN: bk1 / ISIZE / 旭屋 / Jbook / BOL / 紀伊國屋 / amazon / eS! / 富士山 / 本屋さん
 


夢の10セント銀貨 ジャック・フィニイ [TITLE]
THE WOODROW WILSON DIME Jack Finney
昭和五十四年 発行 1968
ISBN4-15-020002-5

 早川FTの2。
 1の「妖女サイベルの呼び声」に続いて読破。
 FTの3はなんなのでしょう。順番に読みたい気になったり。
 閑話休題。

 いやあ、面白かった。この本、SFモノにいいと思う。
 最近のアレがあるのでしょうが、最近読んだ本と比較すると、 私的には「貸金庫」in「祈りの海」の逆写像版とでもいう。
 薄くて楽しい。
 登場人物らが半分キチ○イ系に行ってるというか、極端に触れてる、 あるいはデフォルメ、カリカチュア化されてるというか、 そんなところもまた楽しい。
 同じFTの中でなら「金色の階段の彼方」をふと思ったりもしたけど、 こちらの連想は根拠が不明。

 肝に銘じるべき余談は、駄目人間の行動とでもいう部分。
 ううむ、気が付くとコピー機に「脱落者」 と書いた紙を25部刷ってそうで怖い。

 ところで、表紙の絵が、私の持っているのと違いますね、この画像。
 私が持っているのは、もう少し輪郭のぼけた、 シャボン玉風の虹色の表紙なのですが。


 あらすじ。

 「ウッドロウ・ウィルソン・スミス」の顔が彫られた10セント玉。
 クズ小銭もいい所の10セント玉。
 彼のポケットにそれが転がり込んでいたのは偶然だった。

 普通と違う人の横顔が掘られた、恐らく希少価値の多少はあるだろうコイン。
 そんなのを見つけてちょっと幸せに浸る小市民な生活。
 それが今の彼だった。
 うだつのあがらない会社の生活、女房とうまくかない私生活。
 とほほと思いながらいつもの売店で新聞を買う、支払いに例の10セントを使い、 新聞から顔を上げた時、
 そこは、パラレルワールドだった。
 どうも、例の10セントが問題だったらしい。この世界で普通に流通してるのが 「そのコイン」なのだ。
 ドキドキしながらそのまま歩く。
 この世界での彼は「成功者」だった!
 大きな会社、その社長、 美人の女房(そう、くよくよとあの時別れずに居れば……といつも思っていた彼女だ)、私生活も仕事も順風満帆。
 こちらの生活こそが本当だ!
 この世の春を謳歌する彼の幸せの中、ある日爆弾が落ちる。
 女房との再会!
 いや、こっちの世界での女房ではない、向こうの世界での、だ。
 おまけに彼女は同僚と恋愛中?
 いや、しかし。でもしかし。
 どうにもこうにもすっきりこない。
 そう、こっちの世界では二人は無関係な関係だ。誰と付き合おうと無関係だ。
 でもしかし。だがしかし。

 そして、彼のポケットには「向こうの」10セントがある。
 さあ、どうする?

【bibid bk1
【ISBN: bk1 / ISIZE / 旭屋 / Jbook / BOL / 紀伊國屋 / amazon / eS! / 富士山 / 本屋さん

 さて、同じ早川文庫FTでも、がらりと趣旨を変えまして。
 あのシリーズの続きを御紹介!
 ん。でも、これ、紹介しにくいな。粗筋とか、言いにくいし。んー。


魔法無用の大博奕!
《マジカルランド 6》
ロバート・アスプリン [TITLE]
Little Myth Marker Robert Asprin
一九九九年六月 発行 1985
ISBN4-15-020262-1

 前巻であるシリーズ5巻の紹介はこちら。

 いやもう、大変なお気に入り。
 なにが、って訳ではないのだけれど……

 これも、なんか結構大変な頃に初読した気がするなあ。
 外国にでかける時に鞄に仕込んで、飛行機で読んだのだっけ、 東京に行く時に駅で買って新幹線の中でだったっけ?
 そうだ、飛行機で読んだのだった。

 あの冒頭の博打の味がよくってよくって。
 気持ちがよくって。

 いやあ、ついつい繰り返し読んでしまう面白さ、いつも通り。
 このシリーズはもう水玉画伯と切っても切れない感じになっちゃったなあ。
 話の展開、ちょっと軽過ぎる気もするけどね。登場人物多過ぎとか。
 今回の終りはかなりヒく。
 早く続きを出せえ〜

 ただ、この刊を最後にヒロインが消えちゃったのが痛いよなあ。
 すぐ戻ってこないのかなあ。


 あらすじ。

 「いいか、絶対に外に出ないでくだせえよ」
 悪気はないのだろうけど、時にうっとうしく思う用心棒らが、どうしても外せない用事で席を外したとき。
 「もちろん」と答えた舌の根も乾かぬうちに、われらがスキーヴの大脱走。
 なじみが張ってた博打屋へ。
 一度もやったことがない、ルールも知らないドラゴン・ポーカーで、わいのわいのとお楽しみ。何故かツキはツキを呼び、彼は大勝ちしてしまうのだから面白い。
 更に面白いのは、ポーカーの戦利品として「ナマモノ」がついてきたこと。
 ”おんなのこ”……
 これがまたどうしようもないようなトラブルメーカーだった!
 例によって例のごとく、滅茶苦茶なドタバタ喜劇のトリガーがひかれた!
 「組織の男たるもの、スケの一人も居なくちゃ」
 押し付けられた”愛人”
 「伝説のあの男が、あんたの博打の噂を聞いて」
 押し付けられた”挑戦”
 「商売敵の奴らがアイツを雇ったらしい」
 正体不明、しかし仕事は確実の”刺客”。
 もうどうにもこうにも!

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こちら魔法探偵社!
《マジカルランド 7》
ロバート・アスプリン [TITLE]
M.Y.T.H. Inc. Link Robert Asprin
一九九九年十月 発行 1986
ISBN4-15-020266-4

 いまいち。
 今回からは「Myth」シリーズ……従来通りスキーヴの語りのものと、  「M.Y.T.H」シリーズ……スキーヴ以外からの視点も絡めた (もしくはそればかり)ものとが交互に出るとの事。
 で、今回のお話なんだけど……あれだね、非常に細切れでね、イベントが。  でかい話じゃなくて、各イベント紹介って感じで…… 登場人物は二人ずつ切り分けてあって、それはそれで成功なんだけど…… なんかね。

 カタルシスが薄い。笑いも薄い。
 なにより、スキーヴが嫌な奴で終ってしまっている所が不満かな。

 バニー&グィドに関しては、バニーサイドの視点も欲しかったなあ。
 特に塗れ場(?)周囲。<いや、俺的にはあのやりとりは充分にドキドキもの
 グィドの修士は嘘っぽいなあ。

 ヴィク&マッシャに関しては、  むしろヴィクサイドの方が成功したのじゃないかな?
 マッシャの内面は、見てもこう、いまいちだった。

 そう、そこだ。お互いを褒め合う視点、というのかな、 が少なかったのが今回のネックか。

 他にもスキーヴ&オゥズや、ギャオン&ヌンジオや、タンダ&チャムリィやら。
 お、おいらにしては登場人物の名をよく覚えてるぞ。
 おいといて、まあ、パンチにかけるかな。以下続巻、 って事でヒキなのかもしれんが。
 消化不足な気分は抜けない。

 ところで、グィド&ヌンジオって、  挿絵にあるよりももっとごついヤツラじゃなかったっけ?
 最初に出てきたのが、天井から床に落されてた時で、あの時の表現じゃあもっと 「北斗の拳」とか「男塾」とかしてる体格の様に書かれてたと思う……  特にヌンジオ。もっと太った顔してるんじゃないのかなあ?


 あらすじ。

 前巻で決着がついたように、いつもの面子は”株式会社”の経営を始める。
 よろずもめごと引き受けます、金も名声もメンバー全員で。
 まつりあげられた社長はわれらがスキーヴ、だけど、これがあんまりうまくない。
 いや、仕事はうまく行ってるのだけれど……

 という事で、今回はメンバー各員からみた各種小型事件簿。
 意外な面子の意外な内面吐露が聞けて、それはそれで楽しいかも。

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魔物をたずねて超次元!
《マジカルランド 8》
ロバート・アスプリン [TITLE]
Myth-Nomers and Im-Pervections Robert Asprin
二〇〇〇年二月 発行 1987
ISBN4-15-020271-0

 さくさく読めてしまった。
 作者、これ以上登場人物増やしていいのか?
 また脈絡もなくというかなんというか、レギュラーに新加入。
 スキーヴ君のやけっぷりと立ち直りっぷりが今回は短い時間で急速に起きてて、 なんかちょっと書き込み不足な感触か。

 そうそう、思い出した。
 後書きを読んで、今までに本文中に大量に出てきていた「?」 (半角の「?」、というか、句読点変わりみたいに使用される小さな「?」) というのが「わざと」であった事が判明した。
 おいらはまた翻訳途中のメモがそのまんま出てるとか、 全角「?」を全部やめたのかとか、色々考えていたのだが。

 私見を述べるなら、あれ、気持ち悪かったです。やめた方が嬉しい。
 訳しようにこまって苦し紛れにつけてる感触がある。
 それとも原書がああだから忠実なのか(原書知らないけど)。


 あらすじ。

 オゥズが失踪してしまった。僕(スキーヴ)が気が回らないばっかりに。
 なんとしてでも連れ戻さなければ! せめて、会って話して謝りたい!
 彼の故郷を訪れての尋ね人紀行。
 しかし相手は、その名も知れた異次元”ディーヴァ”。
 一筋縄ではいかないはずで……
 商売商売のものすごい剣幕、あるいは力力のものすごいごり押し。
 あっちに押され、こっちに押され、それでも探す主人公のボロボロ行。

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魔法探偵、総員出動!
《マジカルランド 9》
ロバート・アスプリン [TITLE]
M.Y.T.H. Inc. in Action Robert Asprin
二〇〇〇年八月 発行 1990
ISBN4-15-020277-X

 ああ、ついに、この時が近づいてきました。
 現在このマジカルランドシリーズは、 第10巻「Sweet Myth-tery of Life (1994)」……和題「大魔術師、故郷へ帰る!」 で、現在新刊が出ていないのです。
 そして、今回が9巻。
 ああ……

 さて今回。なかなか調子は悪くありません。
 ただ、メンバー増えすぎている感があるからなあ。
 ページ数が足りない、というか、どうしてもつまみ食い的な視点になりますね。
 いや、充分品質は足りてると思うのですが。

 で、前々巻で話したように、今回はスキーヴの視点を離れて、各メンバーの話となります。


 あらすじ。

 われらがスキーヴの故郷がピンチ!
 自身の指を切り捨てて「呪い」を絶った王女が、次元全ての攻略へと乗り出す。
 スキーヴ自身はオゥズを探しに出かけてて身動きが取れない、そうだ、今こそ、ボスの為、スキーヴの為、俺達/私達が頑張る時!
 魔法株式会社の面々のハッスル、各自が各方法で王女攻略に乗り出す!
 の、だが、しかし。
 あれれのれ。
 やる事なす事、なんだか王女の援助になってしまっているような……
 おいおいおい。

【ISBN: bk1 / ISIZE / 旭屋 / Jbook / BOL / 紀伊國屋 / amazon / eS! / 富士山 / 本屋さん


大魔術師、故郷に帰る!
《マジカルランド 10》
ロバート・アスプリン [TITLE]
Sweet M.Y.T.H.-Tery of Life Robert L. Asprin
二〇〇一年三月 発行 1994
ISBN4-15-020287-7

 あーっはっはっはは、俺的ヒロイン認定していた彼女が、 登場数ページでこっぱみじんこっ!!(笑)
 ついに登場人物の中から「切られる」ヤツが出てきたか? まあ、 こんだけ居たら人員整理をせねばなるまい。 ……って、後から復活の可能性もないこたないが…… 今までの登場人物で、あとは、名折れ屋が復活するぐらいか?
 それ以外は一通り復活してくれた気がする。

 さて、話の本筋としては、スキーヴ君がほんのちょっとお・と・なになる話。
 飲酒はがっぽがっぽ、
 とりあえず女の子みたらウインク。
 基本的にイライラし続けでいいとこなし、っていうか、 本人は鼻の下伸ばして幸せそうだけど、いいのかな。 今までが今までだっただけに、反動きつそう。

 …………続き、いつになるのかなあ…………

出たとしても、次は順番で言うと「M.Y.T.H.」の方だから、 今回の話の別人視点からの語りモノになるだろうしなあ。 それはそれで楽しみだけど。バーニーの内面とか、グイドの事情とか。

 …………続き、いつになるのかなあ…………


 あらすじ。
 いつもの通りの大難問。故郷の王国の財政建て直し……
 実質、話はあまり進まない。
 ただ、ひたすらに、われ等が主人公スキーヴ君が、公に私にと悩むだけ。
 まさしく、自分探しとでもいう青春ものである。
 ここで面白いのが、どうもスキーヴ君、 気づかぬうちに思春期に突入の模様なのである。
 本人到って鈍いので、自覚すらしていないらしいのだが、 取り巻かれているあっちの女性こっちの女性に手を出し始めたり意識しだしたり、 デートなんかもしてみたり。
 いや、今回の問題そのものが「女王に結婚を迫られている」という、 そっち系の「色」モノなお話なのだが。
 色と言えば、自分の「給料」にも悩みだしたり。果たしてこんなに金を取る、 これは悪いことでは、詐欺なのではないのか……? 詐欺に見えるな確かに。
 飲酒癖も、問題寸前なレベルにまで進行中。
 いつまでも「子供」でいられない彼の、「大人」としても自分の位置付け探し。
 さあ、どうなることか。
 あ、王国の財政の方は、なんか、勝手になんとかなってるみたい。


【ISBN: bk1 / ISIZE / 旭屋 / Jbook / BOL / 紀伊國屋 / amazon / eS! / 富士山 / 本屋さん
TITLE【 bk1 /Jbook /isize /旭屋 /紀伊国屋/ books
TITLE【 bk1 / 旭屋 / BOL

 他に、最近読んだファンタジーと言えば……


スピリット・リング ロイス・マクマスター・ビジョルド [TITLE]
THE SPIRIT RING Lois McMaster Bujord
創元推理文庫
2001年 初版 1992
ISBN4-488-58701-1

 あの「マイルズ・シリーズ」の作者である、ビジョルドの新刊。  「マイルズ・シリーズ」が好きなので読んでみる。
 ……ふみゃ?
 あれ、あの「アク」がないぞ。

 かなりどノーマルのファンタジィ系御気楽極楽物語。
 ストーリテリング的才能は認めていいのでは、この分厚さをこれだけスラリと読ませると。

 ただ、私がビジョルドに望むのって、ちょっとベクトルが違うんだよなあ。
 思えば「自由軌道」もかなりの王道だったのだから、これもまた彼女の味なのだろう。
 直球勝負というか。

 しかし、ビジョルドといえばマイルズという認識が最近染まってしまっている私としては、要するに「キ○ガイ」どものお話を期待していたのだな。

 具体的にいくと、例えば、……以下ネタバレ


 例の燻製親父が腹黒君の軍門にしっちゃかめっちゃかしながらも下ってしまい、 悪の限りを尽くすお話であるとか。
 兄の敵的位置に居るにも関わらずめっちゃイイ奴である所の侵略君主に思わず惚れこんでしまい、仇を取る取らないの板ばさみで半狂乱的有能副官になっていくヒーローとか。
 あれやこれやの紆余曲折を経た後、歪んだ術の影響でトンチキになったブロンズ像にストーカーされる羽目になるヒロインとか。袖にもできんしな、という。


 とまあ、幾らでも思いつける「いっちゃってる設定」みたいなのを、 この人なら半ブラック半ユーモアで、ニヒルにかつ大団円に描けると、 描いてみて欲しいと思っていたのだ。
 ああ、なんと歪んだ希望であろうか。
 うひひひひひ。

 ちょっと違うんだけどね、
 カードを読む時に期待する自虐感、とでもいうのだろうか。
 それをプラスの形で爽快にしたような、そんな味がビジョルドにはある。
 (カードの奴は、こう、宗教的精神的カタストロフを強要するので疲れる。)
 そこんところは今回はないかな。

 それから、もう一つ読後思った伏線。ネタバレ。


 乳を分けてくれた顔を隠した女性、というのは、ひょっとしたら、 霊的現象によって再臨した「お母さん」だったのではなかろうか? という。 デスマスクの消えた事とかと絡んで、根拠なくそう思ったりした。


 というわけで、「単純に」楽しみたい人にお勧めの一冊。


 あらすじ。

 彼女の父は高名な錬金術師。細工師にして魔術師。魔具を王侯貴族へと売って生計を立てている。この中世に似た世界では、魔法は一つの地位を築いているのだ。 時にその魔は教会から審判が下るが、彼の父はなんとか異端とはならず、きちんと免状も貰っている。
 彼女の不満は、その技を彼が娘である自分へと伝える気がなさそうな事だった。
 私にだってうまくやれるのに!
 こっそりと仕掛けて作り上げたのは魔法の指輪。運命の人がはめると抜けなくなるという。だけど、出来はどうなのだろう?
 領主の親衛隊のあこがれの人に、何気なく試してみたが、その時はうまくいかなかった。
 失敗作?

 そんな牧歌的な事を考えていた日常の中、事件は突然に発生する。隣国領主が会見の席で謀反を起こしたのだ。
 父も殺され、なんとか逃亡をはかるヒロイン。ヒロインはその時に扱われた黒魔法の目撃者でもあるのだ。
 二転三転、あこがれのあの人の弟と合流したりとかしながら、なんとか逃げ延びたヒロインだったのだが、すぐにリターンを余儀なくされる。
 父の魂が縛られ、悪霊として利用されようとしている。なんとしても、それを阻止せねば……

【 TITLE bk1
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 さて、これも長らく放っておいた、きちんと全巻完結まで読んでるのにのシリーズ。  「西の善き魔女」です。


西の善き魔女(4)
世界のかなたの森
荻原 規子 [TITLE]
Noriko Ogiwara
中央公論社 C.NOVELS Fantasia
1998年 初版発行
ISBN4-12-500568-0

 前巻「西の善き魔女(3)」 の案内はこちら。

 さて、ということで、今回。  今回は、ヒロインは、色々とこう胸の中にむかつきを抱えたまま、 南へと向かいます。物語の焦点は、一気に街の中から荒野へ。
 そこは、父が消え、世界の秘密があるとも思われていた土地へ。

 でも、裏を返して読後、
 実は、居なくなってしまったルーンを探すだけの旅でもあった訳ですな。

 で、王女は何を考えているのか? この世界はなんなのか?
 大量の伏線がばら撒かれるだけ撒かれて、話は次巻へ続きます。


 あらすじ。

 今自分のすることはなんなのか、迷うヒロイン。
 結局、世話になっている大家さん(貴族家)の息子(騎士)の応援に。
 いや、それだけでなく、彼が竜退治に向かったその土地は、父親が消えた土地でもあった。そしておそらく、彼も。
 しかし、きっぱりはっきりフラれた後に、幾ら同じ土地に向かってもそれは無理というものでは。
 なんだかんだとやりつつも、舞台は南へ、竜の居る土地へ。
 危険な土地へ。
 そして意外なアクシデントに見舞われ、ヒロインは一気に砂漠を渡る羽目にも陥るのであった。
 この世界の、女王の秘密とは、一体?

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西の善き魔女(5)
闇の左手
荻原 規子 [TITLE]
Noriko Ogiwara
中央公論社 C.NOVELS Fantasia
1999年 初版発行
ISBN4-12-500591-5

 うむ! 面白い!(笑)
 この巻を読んでの、SFモノとしての感想。

 1〜4は我慢して読みなさい、読者諸氏(特にSF系諸氏)。
 要するにキャラとシチュエーションをだらだらと紹介しているだけだが、カツアイはできないから。
 そしてこの5が面白い。イキイキと筆がのっている。
 キャラクタの元気が、性格が、楽しくもかっこいいのである。
 そしてSFである。ま、まだまだSFとして甘い気もするが。必然と言うか、小道具に対する説明不足というか。
 1つ2つ、3つ4つ人情的心情的な所で張った伏線に答が出てない気もするが、アラを探すのはやめよう。
 そして、お話は終らない。
 どこまでもお話は過程。


 あらすじ。

 物語は急転直下。
 ついに女王後継者問題に決着がつく!
 そして、この世界の秘密が。訳の判らないシステム、壁、人物らの謎が、女王の口から語られる。
 その設定は、なんともSF。
 ファンタジーではなかったのだ! いやファンタジーだけど(笑)
 そして三人の女王候補に突きつけられる選択。
 三人の選んだ答えは……

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 荻原規子さんの本というのは、二度目に読んだ時から真価があるのかもしれないなあ、と、ふと思いました。
 この読書感想文を書くために、ふと、枕元に積んでおいたこれらの外伝を読んで思った話。
 一度目に読んだ時とまた感覚が違う。浮わついた、ミーハーとでも言うべき所の感覚が薄れ、その一枚裏にあったのだろう、というか、表にあったのに一度目には見えていなかったのだろう、見えにくい・理解しにくい? のであったろう部分が。
 登場人物らの真摯な姿勢というか、感情というか。
 流されてしまってた部分がふと胸を突くのですな。

 傑作とは言わないがけなすのは可愛そうな佳作、でしょうか。
 ちょっと評価上がりました。


西の善き魔女(外伝1)
金の糸紡げば
荻原 規子 [TITLE]
The Good Witch of the West
When One Spins Gold Threads...
Noriko Ogiwara
中央公論社 C.NOVELS Fantasia
2000年 初版発行
ISBN4-12-500635-0

 本編における主人公とヒロイン。その少年少女時代を、二人の出会いを、 二人を育ててくれた周囲の人々、故郷の土地を、描くお話。
 外伝として書くに適なお話だったでしょう。


 あらすじ。

 彼女にとって、親=父、とは、遠い人だった。
 寝食を共にしない。会話もほぼしない。そういう意味でなら、そして愛情でもおそらく、いつも世話をし、実質一緒に生活している隣の夫婦の方が家族だった。
 だけど。

 そして、そこに、(彼女の主観にすれば)現れる旋風。
 無表情で無反応で、訳の判らない数字しか喋れない、男の子。
 この辺境で産まれ、育った女の子にとって、初めて見る男の子。
 それこそ珍しい羊でもいる気で、やさしく声をかけ、時にいじめ、
 でも、思った通りの反応は全然返さない、奇妙な男の子。

 でも、彼は、彼女さえも寝食を共にしなかった、父と一緒に暮らす。
 彼女にはない数学の才能をもって、父を虜にする。

 少年なりの、少女なりの、愛と憎。
 いつでも少し、愛の方が勝る憎。
 そして、少年少女のだけでない、周囲の「大人」の、やはり、愛。


 その後の彼ら、彼女らの行動に、大いに納得のする話なのでした。
 二回読むと、ね。
 一回目の読後感想は、なんだかどうにも上滑りして、
 別に読んでも読まんでもえーわー、という気分でしたからねえ。
 はてはて。

【ISBN: bk1 / ISIZE / 旭屋 / Jbook / BOL / 紀伊國屋 / amazon / eS! / 富士山 / 本屋さん


西の善き魔女(外伝2)
銀の鳥 プラチナの鳥
荻原 規子 [TITLE]
The Good Witch of the West
Silver Bird, Platinum Bird
Noriko Ogiwara
中央公論社 C.NOVELS Fantasia
2000年 初版発行
ISBN4-12-500673-3

 本編において第二のヒロインでもあったお姫様の物語。
 本編クライマックス直前における彼女の活躍が書かれる話でもある。
 今回、この外伝の間だけの、ピンチヒッター的ヒーローが彼女のお相手を務めるのだが、
 このガキンチョがナイスガイ。

 本編の彼氏なんかほっといて、こいつと一緒になった方が人生面白いのでは?
 と野次馬は思うのだが(結構同意見の人も居るようだが?)、
 まあ、ままならんみたいですな。

 やはり二度読んで感覚の変わったお話。


 あらすじ。

 彼女は、次期王女候補。
 女王の血筋を持って、大貴族の養女となった。
 彼女が「好き」な、義理の兄は、君の為だとかなんとか抜かして異国へ竜退治へ。  胸にすっきりしないものを抱えながら、あらそんなことないわよ、すっきりしてるわよ、と言いつつ彼女が訪れるは砂漠の国。
 お忍びで出かけた先で出会った悪ガキは、気立てもよければ腕も立つ。
 実は、高名な砂漠の傭兵団の長だった。
 王位争いに絡む暗殺も絡み、彼に助け助けられの暫くを暮らした後、 傭兵団に囲まれての逃避行へ。
 逃避行の先には、暗殺の陰謀を企てたアンニャロメの首を絞める為の手段と、 「好き」な「兄」を助ける為の道が。

 結局、彼も、彼女も、
 譲れない思いであるとか。
 背負ったものであるとか。
 そういうものが、あるのでした。


 だけど。
 人は金の鳥を求めてさ迷うが、本当は、金の鳥に劣らない、いや勝ることさえある、 銀の鳥、プラチナの鳥が居るのではないか。それを追う人生もまたいいではないか。
 あるいは、自分だけの鳥を、自分だけの自分なりのやり方で掴めば。

 このメッセージは、一度目に読んだ時はすっかり見落としてました。
 なんで二度目では拾えたんでしょうな、それもそれなりに心に響く形で。

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 あ、これ(下の本)は、「西の善き魔女」とは違います。
 別シリーズです。シリーズっていうか。
 念の為。


これは王国のかぎ 荻原 規子 [TITLE]
Noriko Ogiwara
中央公論社 C.NOVELS Fantasia
1999年 初版発行
ISBN4-12-500614-8

 むむむ、面白かった!

 あえて言えばアラビアン・ナイト版バイストン・ウェル(笑)
 しかも「ガーゼィの翼」似(嘘?)(笑)

 特に序盤から中盤にかけてのわくわくというかひきこまれは久しぶり。
 でもその後の王子様が絶世の美○○ってのはまあ、ひくというか、 またこの人の趣味が出たのねというか。 その線でつっぱしってくれるとやおい的面白みがでていいかもしれんけど、 それはアングラな楽しみやね、まともな出版社向きちゃうか。
 結末はありきたり、もしくはケムにまかれたか、な。

 この転調の感覚、やはり児童文学にこそ向くかな、とも思う。
 ちょっと理屈足らず? でヘ理屈コネには不満な所もあり。

 いらんお世話だが、インプットなくしてアウトプットなし。 この作者の心のビチクは大丈夫だろうか。 沢山吸収してから書き出さないと、ひからびるのではないだろうか。 幼い時だけでない、今の入力は大丈夫だろうか。
 ふとそんな心配もしたり。

 「これは王国のかぎ」は「西の善き魔女」よりもしまっていると思う。 だから、王国を読んで期待した人が魔女を読んだら、 少々がっくりするかもなあとも思う。
 結局、根底に流れてる精神は通底していると思うのだが。


 あらすじ。

 突然主人公の少女は、アラビアンナイト風世界に!
 そこでの彼女は「ジン=精霊」。セーラー服姿で。
 しかしそこは精霊、ほとんど体重がなくてふわふわ浮いてたり、それで風に流されたり。
 で、この世界はなに? 夢?
 彼女を「召還」したという美青年の王子と共に、奇妙な世界の冒険行が始まるのだが。
 というのが前半。
 火の精霊が水に囲まれた世界に出たのがいけなかったのか、 海に出た途端に美青年とはぐれてしまう。そして今度出会うのが美少年。
 不思議な縁や愛着に、今度はこの少年と旅を共にするうち、 美青年王子との繋がりも出てきたり。
 というのが後半。

 初恋と失恋、親友との三角関係、そういったものに深く落ち込み、 泣いていた彼女が突然落ちたその異世界。
 そしてクライマックスで、彼女はこの王国がなんなのか、王国のかぎとは なんなのか、そのかぎは何を成すのかをふと判るのだった。


 この話も、二度読むと少し感覚が変わりましたねえ。
 非常に元気で鮮やかで、アラなど気にならない、ライトで前向きな児童文学。
 というか、私が荻原さんの「読み方」 とでも言うのを判ってきたのかもしれない。

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