2002/1/9
そういえば、元同期O田が仕事中に、ふとこう言ったことがあった。
「ニャロメって『ホノルル』って言えないんだよね」
B支店長のいらっしゃるホにょルル…違う、ホノルルは、私達の頻出単語である。しかし、なぜニャロメ。(←ニャロメ語ではナイ。←ニャロメ語:「俺と結婚するニャロメ、しあわせにするニャロメ」みたいな←説明長いぞ>自分)
同期O田、仕事が忙しい時に背中に自ら
「忙しいので話しかけないでください」
と、書いた紙を貼っていたという。謎の多いキャラである。
『ニャロメ、アニメーター殺人事件』(辻真先/有楽出版社・ジョイノベルズ) 読了。
貧乏駆け出しアニメーター・玄也は、早見企画社長・早見からメディアミックスの企画を持ち出される。「企画書は派手に!」という早見の指導のもと、ニャロメ、ヒゲオヤジ、ゲゲゲの鬼太郎などが登場して活躍する「探偵王ニャロメ」を構想。しかし、早見が殺されたと自宅に刑事が訪ねて来て……。
辻作品は、実は私のミステリのルーツ。
好きなミュージシャンがカバーしてる曲を聴いて、オリジナルの曲にめぐりあって好きになったり、そういうことがあるだろう。
辻作品が、私にとってのそれ。もちろん、それ以前にホームズもクリスティも読んでいたけど。ポテト・スーパーが主人公のシリーズは、2人ともミステリ・ファンで、いつもだいたいミステリの話が出てくる。そうやって興味を引かれて読んだ古典も多いのだ。
まあ、そんなわけで、ある意味特別に思い入れのある作家さんなのだが、今回はイマイチ。
主人公・玄也の現実世界と主人公・ニャロメの仮想世界が交互になっている展開は、こなれたファンにとっては、既に基本だから。辻作品を初読の人には楽しく感じられるかもしれないけれど。
最初に読んだ『中学殺人事件』『高校殺人事件』『大学受験殺人事件』(ソノラマ文庫)の衝撃が忘れられないのかもしれない。『中学殺人事件』で最初に読者は宣言されるのだ。推理小説に必ず必要なのに、一度も犯人にされたことのないキャラクターが今回の犯人だと。
「犯人は読者のあなたです」
と。
続く何冊かも、この手の楽しいシカケに満ちていて、夢中になって読んだものだった。まあね。そんなものが連続して出し続けられるものじゃないのは、存じておりますけれどさ。
個人的にはアニメのキャラクターのパッチワークが楽しかった。アニメーション黎明期から、シナリオライターとして活躍されていた著者の交友範囲が見えるようで。ここいら、有名監督作品に、大スターがカメオ出演してる楽しみに似ている(笑)。