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中東用語の解説

■ 主義主張

シオン主義、シオニズム Zionism
ユダヤの国をパレスチナに作るというユダヤ人の民族運動のことであり、敬虔なユダヤ教徒のことでもあります。

ユダヤ人と敵対している人々はイスラエル人の事を(ユダヤ過激派といった意味で)シオニストと呼びます。

アンチ・セミティズム Anti-Semitism
ユダヤ人に対する差別主義です。いわゆる反ユダヤ主義です。セミティズムのセミとはセム語系民族の事をさすのですが、この場合はセム語系のいち民族ユダヤ人のことです。

アラブ民族主義
アラブの国は同じ言語を話す共同体という意識を持って外圧などに抵抗するという考え方です。とはいえ、アラビア語を話すすべての国を一つにして、アラブ国を作るなどと言うことはありません。あくまで共同体という考え方です。

これがあるから、イスラエルはアラブの敵として国境を接していない国からも攻められました。実際はどの国も自国の権益を優先するわけですから、それなりの摩擦も起こり、みんな仲良くというわけには行きません。

しかも、湾岸戦争のときなどはイラクに対し多国籍軍にシリアやサウジアラビアが協力しました。もう今は実体がないのでしょうか・・・。

インティファーダ’87 Intifada '87
パレスチナアラブ人による反イスラエル蜂起をこう呼びました。ガザの少年らによる古タイヤ放火が、今までとは何か違う暴動に発展してしまいました。つまり、過激派が先導して行なったのではなく、まったくの素人が始めたことがイスラエル占領地区全体に広がりました。

このため、イスラエルも当初はいつもの暴動だとタカをくくっていたようです。しかし、そうではありませんでした。PLOさえ、この暴動に加わっていなかったのです。

アル・アクサ・インティファーダ Al-Aqusa Intifada
2000年、イスラエル、リクード党のシャロン党首(現首相)がイスラームの聖域、神殿の丘を訪問します。これに怒ったイスラームの人々が暴動を起こしました。

 

■ 中東の人々

パレスチナ人
パレスチナ地方に住んでいる人々をひっくるめてこう呼びますが、今は基本的にパレスチナアラブ人のことを指します。

パレスチナ・アラブ人 Palestinian
文字どうりパレスチナに住むアラブ人ですが、イスラエルが建国されるまで国家というものが存在しなかったので、どこの国の人間かわかりにくい。本人たちはイスラエル人になりたくないので、ユダヤ人は我々の土地から出て行けと言っていますが、だからといってパレスチナがパレスチナアラブ人のものだとは言えません。これが中東問題の発火点です。

パレスチナアラブ人が一番多い国は、ヨルダン王国ですが国王家は戦闘民族ベドウィンの名門ハーシム家です。

パレスチナ難民 Palestinian refugees
イスラエルが建国される以前から、ユダヤ人過激派をおそれ周辺のアラブ諸国へ逃げていったパレスチナアラブ人の人々です。第1次中東戦争でどっと増えました。

ユダヤ人 Jewish
パレスチナアラブ人同様、国家を持たなかった人々。世界中に散らばっていて、黒人もいれば、アラブ系、アジア系もいます。なんせ、京都の秦氏をユダヤ人だとする説もあるくらいです。

実際は”ユダヤ人”は人種ではないため、民族のルーツなどあまり意味が無いような気がします。ユダヤ教を信仰していればユダヤ人なのです。

ベドウィン族 ベドウィーン Bedouins
アラブ人の部族でありますが、イスラエルとは敵対していません。なぜなら彼らはもともと遊牧の民なので、イスラエルが国を作ろうと自分たちには関係ないということなのです。

戦闘民族ベドウィーンは現在も遊牧をしているため、中東に行ったおりには捜してみるとよいでしょう。(ただし、現地のガイドについていく事、砂漠を放浪して捜すと死にます)。彼らは本当に戦闘民族なのかと思うくらい親切です。

ドルーズ族 Druze
こちらもアラブ人の部族であります。イスラームのドルーズ派の人々の事ですが、この人々もイスラエルとは敵対していません。もちろんイスラエルの国籍をもっています。つまりイスラーム・アラブ系イスラエル人(注:ユダヤ人ではない)です。

ドルーズの掟にいつでもその時の統治者に忠誠を誓うというのがあり、イスラエルに対してパレスチナアラブ人ほど敵対していないのです。そのためイスラエル国防軍に入隊しているドルーズ族はイスラエルと敵対しているアラブ人から見れば同じアラブ人に銃を向ける、裏切り者とうつるわけです。

さらに、イスラエルはイスラーム・アラブ系居住区で問題が起こると国防軍を派遣するのですが、同じアラブ人であるドルーズ部隊が先鋒で行き、説得にあたるのです。まあ、結果は目に見えていますが、ドルーズ族は双方の板ばさみになり、大変そう。

ペルシャ人 Persian
イラン人のことです。イランはアラブ系ではありません。でも、言葉はかなり似ています。

トルコ人 Turkey
同じくトルコもアラブ人ではありません。オスマン・トルコ帝国の生き残りです。

クルド人 Kurdish
中東で国家を持たない民族はパレスチナ人だけではありません。クルド人も同じでイラクやイラン、トルコあたりに住んでいます。もちろん独立のための武装抵抗運動はあります。

 

■ 国とか地域

中東の国々についてはここをクリック

中東の聖地についてはここをクリック

パレスチナ(地方)
イスラエル、ヨルダン、レバノンを含む中東の地域をこう呼びます。国名ではありません。

グリーンライン Green Line
第1次中東戦争の停戦ラインです。イスラエルの占領地域がグリーンラインを超えて拡大した今も、このラインは残っています。この停戦ラインは、イスラエルが国連によって認められた建国領土より広くなりました。

パープルライン Purple Line
1967年6日戦争のイスラエルとアラブの停戦ラインです。この戦争でイスラエルは領土を拡大しました。もちろん国際的には認められませんが・・・。

レッドライン Red Line
レバノンにあるイスラエルが設定した安全保障地帯の線です。IDF撤退後はなくなりました。

エルサレム シティー Jerusalem ← 詳しくはクリック

テル・アビブ シティー Tel Avib
イスラエルの首都です。が、イスラエルはエルサレムを首都としています。しかし、戦争で占領した場所を首都といっても国際的に認められないのです。日本の大使館はここにあります。

ゴラン高原 Goran height ← 詳しくはクリック

■ パレスチナ自治区
ガザ地区 Gaza Strip ← 詳しくはクリック

ウエストバンク ヨルダン川西岸地帯 West Bank
エルサレムを含む、ヨルダンとの国境地帯。パレスチナ自治区が点在しています。自治区内の以下の町(A地区)にはイスラエル国防軍はいません。以下、ウエストバンク内に点在する町(A地区)です。

ヘブロン Heblon
ユダヤ教とイスラームの聖地があり、最後までパレスチナ自治とならなかった町です。しかし、ヘブロン合意によりパレスチナ自治区となりました。もちろんユダヤ人が聖地の観光に来ることは禁止されませんでした。
ジェニン Jenin
・トルカレム Tulkarem
・ベツレヘム Bethlehem
ダビデ王誕生の地であり、キリスト誕生の地でもあります。クリスマスには毎年盛大なイベントが行なわれています。
エリコ Jericho
オスロ合意により、ガザ地区と共に最初にパレスチナ自治区となった町です。
ナブルス Nablus
・ラマラ Ramallah
パレスチナ自治政府議長事務所があるところです。

■ パレスチナ地方以外
メッカ(マッカ) Mecca
サウジアラビアにあるイスラーム第1の聖地です。イスラームを起したムハンマドが最初に神の啓示を受けた町です。つまり、イスラーム発祥の地で、ムスリムの人々は一生に一度はこの地に巡礼に行くことが義務付けられています。

メディーナ Medina
こちらもサウジアラビアにあるイスラーム第2の聖地です。メッカから追い出されたムハンマドが移り住んで最後を迎えた町です。

オスロ Oslo
ノルウェーの都市です。イスラエルとPLOが和平合意に至ったのはノルウェーの尽力があったからでした。このおかげでPLOはパレスチナ自治政府を作る事が出来ました。これをオスロ合意といいます。

キャンプ・デービット Camp David
アメリカの大統領専用保養地がある場所です。アメリカと他国の重要首脳会談のときによく使用されます。

シャルム・エル・シェイク
シナイ半島にあるエジプトのリゾート地で、エジプトでの会談などがある時に使われます。

マドリード Madrid
スペインの首都です。この地でアメリカとソ連が合同議長となり、初の中東問題についての会議が開かれました。しかし、PLOは参加する事が認められず、当時PLOの本部が置かれていたチュニジアがその任を肩代わりしました。

 

■ その他の事

クネセト Knesset
イスラエルの国会です。エジプトのサダト大統領は演説のおり、『私は和平のためならたとえクネセトへでもいく。』と発言し、のちに実際クネセトで演説も行ない、イスラエルとエジプトの平和条約が締結されました。

イスラエル人殖民住宅
イスラエルが占領したウエストバンク、ゴラン高原などにイスラエル人を入植させるために作った集落です。ただし、フェンスで囲ってあるしイスラエル軍の兵士が守っています。ちなみに占領地への入植は国際法で禁止されているんですけどね・・・。

シナイ半島へ入植していたユダヤ人たちは、エジプトへ返還の時に立ち退きました。ガザの入植地もイスラエルが撤退したので無くなりました。

ディアスポラ Diaspora
イスラエル以外の国にあるユダヤ人のコミュニティーです。

マッカビア Maccabiah
世界中のユダヤ人スポーツ選手を集めて行う、世界大会です。別名はユダヤ・オリンピック。

パレスチナ人難民キャンプ Palestinian refugee camp
イスラエル建国に始まる中東紛争から逃れるため、周辺諸国へパレスチナ人の難民が流れ出ました。そのキャンプが今もずっと残っています。ただし、衛星放送から爆弾、ベンツにカッサム・ロケット!まであり、アフガンの難民みたいなことはありません。

イスラエルは建国後に領土を広げました。この広げた領土内に逃げていたパレスチナ人は、イスラエル国内(占領地)にいるパレスチナ難民という一瞬意味が分からない状態になりました。

ロッド空港(現ベングリオン空港)
テルアビブにある国際空港でPFLPに協力した日本赤軍の3名が乱射事件を起こしました。2人は自爆し、残りの1人Kozo Okamotoは取り押さえられました。

ドーソン基地(空港) Dawson's field
ヨルダンの首都アンマン郊外にある、イギリス空軍の飛行場です。1970年にPFLPがハイジャックを行なった時、この空港に旅客機を強制着陸させました。

エル・アル航空 El Al Airline
イスラエルの航空会社です。テルアビブ発のエルアル航空は絶対にハイジャックされない飛行機です。理由は簡単、搭乗前のチェックが厳しいを超えて、まるで犯罪者扱いなのです。

そのため、成田空港では2時間前にチェックインすればいいのですが、イスラエルの場合は5時間は見ておかないとおいていかれます。

航空機の貨物室には装甲が施され、万一爆弾が爆発したとしても飛行を続けられるようになっています。さらに、ゲリラや敵国がミサイルで撃ち落そうとするかもしれません。これに対しては戦闘機にも装備されている誘導ミサイルを欺瞞する装置が装備されています。

機内には国防軍の特殊部隊から天下ってきた私服保安員(拳銃装備)が常に乗り込んでいます。
イラン航空機はアメリカに撃ち落されました。大韓航空機はソ連に撃ち落されました。しかし、誰もエル・アル航空機を撃ち落すことはできません。まさに世界一安全な旅客機です。

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