アメリカはイラクに攻め込み、フセイン大統領をやり込めました。このイラクでの戦争でイラクと国境を接するシリアはとても重要な役割がありました。
それは、イラクから逃亡するフセイン派の幹部や武器を受け入れない、という事です。アメリカは第一次湾岸戦争に続き、シリアに協力を求めました。シリアのバシャール・アサド大統領はこれを受け入れ、シリアに逃亡してきたフセイン派の幹部をアメリカ軍に引き渡しました。
それでも、なおシリアはアメリカからテロ支援国家に名指しされていたのです・・・。
そんな折の2004年8月、レバノンではもうすぐ任期(11月まで)の切れる親シリアのラフード大統領を選挙無しでの任期の延長を画策したシリアは、レバノンに憲法の改正をさせます。
これを見た、アメリカとフランスは国連にシリアの撤退をさせるための決議案を提出しました。この決議はあっさり通り、シリア軍のレバノンからの即時撤退が採択されました。
2005年2月14日、ラフィク・ハリリ前首相が暗殺されます。レバノンではこれはシリアの仕業だとして、国民が怒り大規模なデモが発生しました。
シリアはこれを受けてアメリカの矛先が自身に向く事を恐れ、レバノンからの撤退を決意したのです。そして、2005年4月29日、シリア軍はレバノンから完全に撤退しました。
■ シリア撤退年表
2004.08.16
シリアが親シリアのラフード・レバノン大統領の任期延長のための憲法改正を支持するとの表明のため、シャラー外相を派遣し、ラフード大統領と会談する
2004.08.27
シリアがハリリ首相に憲法改正を急ぐよう圧力を掛け、ハリリ首相をこれを了承する
2004.09.03
レバノンの憲法改正に明らかに介入しているシリアの行動に対し、アメリカとフランスが国連にシリア軍の撤退決議案を提出し、この日、シリア軍即時撤退決議案が採択される
2004.09.03
レバノンの大統領任期延長を可能とする、憲法改正案が採択される
2004.10.20
レバノンの大統領任期延長のための憲法改正を受けて、やり切れない気持ちになったラフィク・ハリリ首相が辞任する
2005.02.14
ラフィク・ハリリ前首相が暗殺される
2005.02.28
ハリリ首相の後を継いでいた親シリアのカラミ内閣が、反シリアデモを受けて総辞職する
2005.03.05
バシャール・アサド大統領はシリア軍の完全撤退を示唆し、レバノンに駐留するシリア軍をベカー高原まで移動すると発表
2005.04.04
シリアはベカー高原にあるシリア軍を、今月末までに完全にレバノンから撤収させると発表
2005.04.29
ベカー高原に移動してたシリア軍がすべて国境を越え、レバノンから完全に撤退しました |