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Kangeki Kansou Link : IPPO's part 1999.01-03

観劇感想りんく

一歩支部
SF副題は「裸の王様」<どこがSF!(笑)
1998年   1999年4〜6月

 1999年1月から3月の芝居感想。
 いやあ、よく見たわ。 KKL始動と絡まったとはいえここまでアクティブになるとは。 全く予想していなかった。
 「 KKL(観劇感想りんく)」って何? って人は見てみよう。
 さあ、貴方も参加だ


観劇感想リンク:私のおしながき
1999年 1〜3月・13本
蓮のうてな 満遊戯賊 ☆☆☆☆
ここからは遠い国 第4回OMSプロデュース公演 ☆☆☆☆
スパイ マイ フレンド 劇団赤鬼 ☆☆☆☆
ハワイの結婚式 世界一団 ☆☆☆☆
トバスアタマ 売込隊ビーム ☆☆☆☆
Candle 劇団衛星 ☆☆☆
恐怖! スライムピープル襲来 スライムピープル ☆☆☆
番長、西へ行く 西へ行く ☆☆☆
うしろから2番目のウィザード REVIVE ランニングシアターダッシュ ☆☆☆☆
PARADISE 劇団酔族館 ☆☆☆
地球最後の夜 化石オートバイ ☆☆☆☆
天国の奈落 寿団プロデュース ☆☆☆☆
大きな青の音 八時半 ☆☆☆
観劇感想リンク:事務局
事務局 規約と書式解説 運営掲示版 演目総目次 そして全てを統べる 和田本部


満遊戯賊  #10
『蓮のうてな』
期間 1999年3月26日(金)〜3月28日(日) 会場 HEP HALL
観劇日 3/27(土)M 座席 二列目中央 客席 満席 チケット 当日券2800円
  裏・忠臣蔵。男の格好よさ。

 男の格好良さを描いたホン。とでも言えるでしょう。
 忠臣蔵は、何も吉良と大石だけの話ではありません。 二勢力のそれぞれをボスと認め、つき従った面々が居たはずなのです。 で、その従った面々を、 変な言い方をするとその時の下っ端ども、周辺を取り巻いて居た人々を、 主人公どもとして描いたお話な訳です。
 こういう設定がまずいかすね。
 で、この時代の話。誰も彼もが「武士とは!」 みたいな背骨を一本持って事に当たる訳で。今なら「男とは」とか、 「生きるとは」とかいう感触ですかね。
 どうせ生き様死に様を語るなら、言葉だけでなく態度で、いやいや、 態度だけでなく背負った過去で語って欲しい、 というのが私の思うハードボイルドな訳ですが、その部分はヌルかったかな。 切れ味がなかった。 まあ二時間でどう過去を語れというのだと言われると 答えにキュウしますけどね(笑)

 あらすじ。
 都に潜伏して時を待つアコウロウシ達。彼らにはそれぞれに苦労があった。 想い人と一緒になる、血を見るにおじける、 いつまでもホウトウしている大石に見切りをつける……どんどん抜けていく。 だがそれもまた人生だった。
 又は、町人らと仲良く暮らしながら、 何処までも武士の意地をはって残り続ける者も居る。 それもまた人生だった。
 そしてこの復讐劇に巻き込まれていく一人の少女。 彼女は幼馴染みを探して浪士達の下へ身を寄せるが、 その探し人の姿は吉良の側にあった。
 様々な小さなドラマを飲み込みつつ、雪の降るその日がやってきた。
 その復讐、とげようととげまいと、どちらに転んでも死。
 意味のない死。
 判っていながら意地を張り続ける者達が足跡を刻みながらゆく。

 星は少し甘め。

評者:一歩  評価:☆☆☆☆
観劇感想リンク 和田 一歩 いあはーと iwamomo 支部長 由信 はるお BASIL


第4回OMSプロデュース公演
『ここからは遠い国』
期間 1999年?月?日(忘れた)〜3月22日(月) 会場 扇町ミュージアムスクエア
観劇日 3/22(月)M 座席 後列目中央 客席 超満席 チケット OMSフリーパス券0円(ほんとは3500円)
  見る価値あり!

 俺、この芝居の前半に星5つあげます。
 すげえ。ある意味理想の舞台がそこにありました。

 どこからどこまでも俺の好みにジャストフィット。

 舞台のしつらえ方。うるさいぐらいに壁面に小物を置いていながら、 それらは全て背景として処理、 実際に利用する中心となる小道具は極力シンプルに、減らして。
 回転する舞台の中心。時に心象に合わせて、時に場面転換として。

 登場人物達。その本音のぶつけ合い。
 だがそれは鏡像同士のぶつけ合いではなく、単純な一感情の爆発でもなく、 「それぞれ」としての存在と思いをぶつけての。

 あらすじ、みたいなもの。

 そもそも某宗教を題材としたシナリオです。地下鉄に毒をまいた。

 もともと、世間は歪んでいます。その歪みに敏感な人間が、 そして純真な人間こそが、今のままじゃ駄目だ、と思い、 なんとか世界を変えようと訴えます。
 なかなか強くなれない人間がいます。世間のそして親の期待を背負って、 その期待に潰されそうになって、俺はコピーじゃない、 俺の道が俺だけのやりたい事があるはずだとうなって、 でもそれを見つけられないでいる人間がいます。

 それを、世間を変える為の行為の具体的な形を得る。
 それを、今のままの自分をそのまま認め、自分を必要としてくれ、 これが自分のやりたい事だったのだと思えるものを手に入れる。

 祭が終って、富士山ふもとの施設が閉鎖されても、 そうして「理想」を手に入れた彼らが変わるでしょうか。
 興味本意でマイクを突き出すマスコミ、 あの手この手で犯罪者として自分を追求し、 盗聴器を仕掛け、脅し、すかし、汚い真似すら平気でし、 つきまとって離れない公安。
 国家権力の名の下にある不正。
 いつまでも白い近所の目線。噂。

 どこまでも泥です。
 オ○ム教は世間で悪とされてます。実際悪があったでしょう。
 でも、それをやめると言う事は、新たな宗教、よりうさん腐い宗教、 「日本教」という宗教に入信する事です。しかも、 一度は疑問を感じ、その暗部を感じ、だからこそ脱会したのです、 その宗教から。
 どちらも正義ではない。どちらも信じれない。
 狂信。疲れ。諦め。あがき。


 おかげで、ようやくあの事件に、あの宗教へと渡っていった人達の心に、 納得が行きました。これだけで価値があった。

 で、俺的に価値ありと思う部分は、ここまで、この前半までで終ります。
 この舞台の後半は、まあそうだろうと思ったごとく、 なぞ、意味不明の観念的世界へとトリップして行きます。 「シェークスピア」や「三人姉妹」という台本からの大量で長い引用。 よく判らない、どれが夢か本当か判らない時間線、場面転換。 謎の登場人物、心象風景。結末、というか終了。
 安易に決着はつけれんだろうねえ、実在の事象を扱ってるのだし。 そもそもこれに、例え自分なりに、であろうと、 きちんと答を出せる奴は僅少だろうし。 まあ、それでも答を見たかった気もするが。

 しかしいい舞台(装置)だった。
 どまん中に軽トラ。
 軽トラ=舞台中心は回り舞台になっており、その時々で非常に活躍。
 舞台は工務店の車庫。それを示唆する為に壁面は一面物置風に飾り付け。
 階段が二本待遇に舞台に通じており、これがまたドンピシャ。
 逆光と共に開けられるシャッター。

 時々入る踊りは結構邪魔。
 音楽も結構邪魔な時が多かった。特に後半。
 台詞もそうだけど、歌詞にも意味を持たせてると思うんですよね〜。 やたら思わせぶりな選曲だった。でもそこまで理解できんかったし、 あの密度だと高密度過ぎて。 それに歌詞がよければ曲調は逆にあんまり適してない事もあるだろうし。
 っていうか、これ、後半要らない(笑)
 どうせ俺には判んなかったし

評者:一歩  評価:☆☆☆☆
観劇感想リンク 和田
初演・かなり下
一歩 iwamomo 由信 はるお


劇団赤鬼  #6
『スパイ マイ フレンド』
期間 1999年3月19日(金)〜3月28日(日) 会場 神戸アートビレッジセンター
観劇日 3/21(日)M
3/26(金)S
座席 三列目中央 客席 満席 チケット 招待券0円(ほんとは1300円)
  ジュヴナイル!

 俺、これ、小学校か中学校の体育館で観たかった!
 一言で言うならそういう感触です。
 なんていうか、皮肉を知ってしまった大人としての目線で見れば、 各種方向について及第点はあげるけど満点ではなかった、 という感触もあります。

 「照明にこれだけ金かけて、入場料はこれだけ」。これはすごい。 確かにすごい。ライト一発で、鉄骨でグレイのビル群が見えます。 小川流れる奥深き森が見えます。 小さな村の小学校や教会や家の中が見えます。
 時々客席に向けられるくるくる回るライトがまぶしかったです(笑)
 あ、これは前にKAVCで見た 「ソラリス」 の時にも思いましたね、劇場の構造や広さに寄る所もあるのかな。 どうしても使いたくなる演出であり、 同時にそれがクリティカルにまぶしい角度になってしまう、みたいな。

 音楽がいい。要所々々をビシリと押えてくれる選曲。いや、 曲名全然知らないんですけどね。雰囲気がいいんですよ、もう。
 でもボリュームちょっと大きかったかも(笑)
 芝居にではなく音に圧倒されたらまずいですよねやっぱ

 そして、役者さんたちがいい。誰が、というのではなく、 「みんな」という雰囲気がいい。小さな村の暖かなメンバー、 が集って見える、のがいい。冷たい大国の兵士が、というのではなく、 軍隊という群体が居る、と見えるのがいい。
 個々人として見ても、決めるべき所で決めてくれます。 よっしゃそう来た、とお約束ともいうべきツボを押えてくれます。
 でも(笑)
 群舞、群唱についてはもっと上が狙えるのでは <これはその難しさを知らない人間だから言えるザレゴト
 登場人物はお約束故にそのマエ(前歴? 人生の積み重ね?) が省略されており、時に薄く見える。 <これは我儘だけど望んでいいポイントだと思うが

 えーと、他には……ネタが尽きた。 プラスとマイナスをペアで言える項目はこれぐらいか(笑)

 あらすじ。
 世界統一の理想に燃える巨大国家。 隣接する国を攻め滅ぼしてその領域を拡大していく大国家。 それは、隣接する弱小国へとスパイを送り出した……
 その国は、牧歌的を過ぎて脳天気とすら言える程の国だった。 防備をほとんど持たず、人はみなあけひろげで、歌を歌い、祭りを楽しむ…… スパイは、そんな村のある少年と出会い、”友達”の約束を交わす。
 スパイは、少年を通じて村を調べ、判断を下し、国へ「進軍せよ」 と報告を送る。
 何もなかった平和な国に冷たい軍隊が押し寄せる。
 今晩。

 「少年とスパイ」。ね、お約束でしょ?(笑)

 さて、そんな本筋からはそれた話題。
 笑いがツボにはまるか否かは、その時々の空気にもよるでしょう。
 で、ここの芝居は、笑いがふんだんに散りばめられていました。
 で、ここの役者さんは、 笑いをやらせたらこれは面白そうだという人が大量にそりゃもう(笑)
 特に気に入った、というか、もう一度見てその化けップリを確認したいっ!  と思ったのが二人、リュウグウ城の大王と王女様。
 一人は、化石オートバイの人、もう一人は初見なんだけど、 体の結構大きい人。この二人はノリがアザやかでねえ、これでもう少し 「呼吸」というか「間合い」というかがあると、多分すっげえ面白い。
 他、笑えたといえば二枚目兄弟のヤリトリとか、 「あれはうまかった、あれもうまかった」とやってた食いしん坊とか。

 笑いとはまた別なんだけど、シーンでいうと、 少年の夢の部分、あそこに実は劇団赤鬼の真価、というか、 目玉があったのかも、とかも思うのでした。
 始めから終りまで見ながらね、私はこれにこそ 「天空の城ラピュタ」を思い出していたのですよ、実は。 ラピュタのアンハッピーエンド版だなあ、と思いながら。

 以上、見てないと判らない様な感想おわり!(笑)

 評価は、招待券で観せて頂いたので、星1未満の所で甘さが入ってるかも。



 ……で、実はこれ二回観てきました。
 今度は一週間後に。
 またもや招待券で、売上に貢献せずに申し訳ないです、赤鬼さん。

 今度は椅子の最前列中央。前よりも役者さんに近くなり迫力!  目線が見降ろしから丁度見上げるギリギリぐらいになって迫力!  いやあ、よかった。
 先週時点より台詞の切れ味が上がっていました。随所で笑いがツボに はまっていたようです。
 新たに追加されたギャグ「はえとり紙男」に大笑い。
 逆に台詞が切れ過ぎて、タメ、という意味ではどうだったかなあ。微妙です。
私が二度見した為に先読みしてたのかもしれませんが。


[spy4]
「リトル・バレーには……なにも……ない」

評者:一歩  評価:☆☆☆☆
観劇感想リンク 和田 一歩 いあはーと iwamomo 支部長 由信 はるお BASIL


世界一団  #(忘れた)
『ハワイの結婚式』
期間 1999年3月1日(月)〜?月?日(忘れた) 会場 HEP HALL
観劇日 3/1(月)S 座席 最前列中央 客席 満席 チケット 当日券2800円
  拡がる空間。

 いや、プロの仕事ですね。
 昨日観た 「トバスアタマ」 にも通じますが、作りが手固い、というのでしょうか、 場面場面の連接が、台詞の流れが、非常に流麗なのです。
 これらは(1)私が徹夜明けで見た為、 良く言えばなめらかフィルター、悪く言えばピンボケで細部のゴミ消え、 をして美しく見えた。(2)私の経験値、観劇本数が増えたので、 悪い意味での「慣れ」が入り存在した間を無意識削除した。 (3)最前列真正面で観たから迫力に敗けた、両舞台隅が判らなかった。 (4)再演だから、練り直しされてた。 と言った理由によるかもしれないのですが。

 以上を踏まえて貰った上で、具体的にその流麗さを述べると。
 登場人物がめっちゃ大量。 人間の数だけでも結構なのに一人何役もしてるのまで居る。 にも関わらず、すっと入る。
 登場人物の入退場が非常に頻繁。なのに、 その入場の大半に私は気がつかなかった。つまりそのシーンなるまで、 すっと気配的にも侵入路的にもその存在を隠していた。
「うわ、この役者さんいつの間に舞台中央に立っていたんだ!  さっきは居なかったぞ!」(笑)

 舞台の方は、と。
 何もないが黄色とピンクの縞々に塗られた舞台。奥行きが結構あります。
 客席が平になった分の補完でしょうか、少し傾斜をつけて、 奥が見やすくなってます。
 背景に連なる垂れ下がったバー群。
 あ、これ、見た目も使い方も前に観た 「珊瑚抄」 に似てるかも。 ゆらしたりして利用する所がうまい。 また、このバーを利用しての廊下の演出、入退場路の演出が面白かったです。

 あらすじは、と。
 時は昔。明治天皇の義理の息子と、来日していたハワイ王の姪が、 首都東京に丁度居た。二人は出会い、そして別れる、はずだった。
 未来からタイムマシーンに乗って、卒論を書く為の資料集めに来ていた ダメ学生の介入がなければ!
 ハワイと日本の合併を狙うハワイ王はこの恋を強烈に後押し、 というか実は企画立案(笑)、 そんな気の毛頭ない明治天皇は親馬鹿の気もあいまって逆噴射、 ハワイを狙うアメリカの勢力は万一これが実現してはとこれまた刺客を準備……
 どんどん歴史が狂っていく! 舞台は逃避行の末に東京からハワイへ、そして。

 注目の俳優さんなど。
 ちょっとカスレ気味の声で、 でも聞き味よく心地良く台詞をぶん回してくれた人達が居ました。 ハワイ王その人と、密輸貿易商の人です。これが、終演の挨拶を聞くに、 両方「劇想ト社」という所の人だとか。ほえ〜、これは楽しみ。
 一人、開幕の時のオープニング場面、全員の顔見せの所で、 笑ってない人が居ました。おんやあと気になってたんですが、で、 結局笑ってない理由は不明(役によるものかな、笑う様な人の役じゃないから)。 まそれはおいといて、明治天皇おつきの軍人女性をしてた人です。 服装によるのか髪型によるのか役柄によるのか背丈によるのか (そう、背の高い人な印象あり)、その後も舞台に出てくる毎に目で追ってました。 これは魅力と言っていいのちゃうかな。
 一人で何役もしてた(らしい)人が居ます。端役は全部彼女じゃないか?  中には踊りのシーンに全員を二人組で踊らす為だけの、 その時だけの役とかもあった気がする。あれ多分彼女と思うんだけど。 忙しかったろうなあ(笑)。 アメリカ大使の人、芸ですねえ。

 では、そろそろ文句を(笑)
 ぶっつけ本番とか某筋で聞きました。
 なるほど。台詞の噛み方とか、結構ありましたね。
 一度明りがつきかけたのは、あれは完全にミスですね? (バージンロード片付けの時)
 人数多いです。この手の芝居でいつも思うんですが、 全員が主人公なのは話がこんぐらがるです。混乱しなくても、 主人公らへのウエイトというか、重点が薄くなるです。 脇役というか、役所としてきっちり据えさせて、 その範疇で存在をでかくするべきでしょう。 主人公、ヒロイン、狂言回し、進行整理、ボケ役、突っ込み役。 そういうレッテルを貼れる範疇で、というか。それぞれにドラマはありますけど。 役者の数だけ役はいりますけど(笑)

 それから最後にザンゲ。(笑)
 花嫁の投げたブーケが微妙な高さで飛んできた時、 私はひょいと頭をすくめて「避けて」しまいました。ごめんなさい。
 あれって、どうなんですか? 男がとっていいもんなんですか? >誰か知ってる人。
 私の常識としてブーケを受けとるのは女性というのがあって、 だから避けちゃったんですけど、これって駄目だったのかなあ……

 点は、徹夜明け馬鹿にあんまり無茶は言えんって事で星半分ぐらい甘め。
 というか、減点要素がないんだな、あんまり。それってすごいかも。

評者:一歩  評価:☆☆☆☆
観劇感想リンク 和田 一歩 iwamomo 由信 はるお


売込隊ビーム  #(忘れた)
『トバスアタマ』
期間 1999年?月?日(忘れた)〜2月28日(日) 会場 扇町ミュージアムスクエア
観劇日 2/28(日)S 座席 二列目中央 客席 満席 チケット OMSフリーパス券0円
  鋭くて柔らかな空間。絶妙のバランス。

 手堅くまとまっています、と褒めます。
 ほとんど芝居を観ていなかった頃の私が、芝居に求めていた最低ライン、 基準ラインを見事満たしている、という所でしょうか。 ただ、そこから先の+αの魅力がない、とのたまっていた事でしょう。
 僅かながら本数を重ね経験値をあげた今の私の目で見ると、こういう 「まとも」な仕事をするのがどれだけ大変かよく判ります。 その意味ですごいです。私が今までに気にいった所(劇団)は、 そのいわば「アラ」はそのままにしておいて、 別のベクトル−−例えば、お笑い−− を強化、その魅力の光によってそのアラを隠し消していた、 とでも言えるでしょうか。ところがここ(売込隊ビーム) は利点の強化という技には走らず、 弱点の修正という地道な作業へと力を向けた。
 これは褒めるべき点でしょう。結果としてみた場合、「よりおもしろくする」 に対して即効性のあるのは実は上記であって下記ではないのですが(笑)

 ぶっちゃけるとですね、まとまりすぎてて物足りない訳です。
 だからといって穴があってもいいからズドンとくるものをやれ、 などと言ってるのではなく、その姿勢はどちらかというと嫌いな訳ですが。

 久しぶりに見た真面目系、痛い系のお話しでした。
 この話を、よくこれだけ軽く、いや、語弊があるな、丸く、いやこれも違う、 柔らかく、う〜んこれでもない……思いつかない(爆)、とにかく、 そんな風に一見ソフト、観た後気分悪くなくさせる形で観せ、終らせたものです。

 あらすじ。
 お母さんがいないと何もできない依存っ子が主人公。18才。
 ところがこの母子家庭の母親、 そのシチュエーションでよくある過保護タイプかと思いきや、 児童虐待この道一筋のツワもの。もう、見てて痛い痛い。 言葉の暴力っつうかそこまでするかっつうか、 いじめられっこにも結構共感というか それにしても情けないやっちゃなというか(笑)
 で、この子が果たして母親の居ない世界で自立できるか、いやできはしない

 という身も蓋もない話(爆)

 痛い、という事は、演技うまいんですよねえ。
 登場した女性三人については特に記しておこう。
 お母さん役。
 怒る意外の演技なし(笑)なので魅力の程は定かでない。 でも、他の芝居で色々芸達者にしてる人だそうで、 実力がなきゃあんなに迫真のパワーはでないだろうって事で納得。 佳境その一での「裁く」はすぐにおいらはピンと来たし、 佳境その二での一瞬のためらい、その瞬間だけの怒りでない感情も おいらはひたりと把握できました。
 鶴ちゃん役。
 女子高生の姿が似合いますねえ。動きのキビキビさが綺麗です。
 そして「お母さん」の過去を演じる部分。顔は違うはずなのにその気性、 その仕草だけで昔と今の「お母さん」が同一人物に見えました。
これってすごいかも。
 ウサギ役。
 全身白タイツ。うおお、すげえ根性だ。もうその姿だけで認めます(笑)
 役者であればイタの上ではどんな格好もできる! て事かもしれませんが。
 台詞の中にぽそっと「この格好体のラインが出るから嫌なんだよ」 とあった気がしたのですが、聞きとったの俺だけ?(笑)
 「女性同士の話し合い」で非人間から人間になった時、 非常に色気のある仕草、というか、あれが本来の「女性」なんでしょうね、 を演じていたのが印象でしょうか。芸の細かさ、 役による切替えみたいな所に感心。

 あとの感想はっと。
「よく食べる芝居だなあ」(笑)
 「開演は我々には開場と同じ」と券にあったのですが、 なんの事やろうと思っていたら。
 開演30分前に開場したら、既にイタの上に居るんですよ、役者さん。
 で、食卓囲んで飯食ってる。ゆっくり。
 で、30分間御飯一鉢を食い続けて、 それがそのまま芝居の第一幕になっていたりする訳です。
 他、芝居中も、人参を食べたり、ソーセージを食べたり。
 妙に印象に残ったりして。

 この話は再演。
 前回と観比べた人の言によると、
「前のはもっとギャグに走ってた。(同じギャグなのにニュアンスを変えてた)」
「一部だるい部分を削ってた。」
 との事。
 今回は笑いでごまかすのではなく、 淡い感じ、するりとした感じでまとめる事を狙った、という事の様子。 ためて笑わすのではなく、くすりと笑わせる。あくまでも息抜き、 清涼剤として、BGMとして笑いを置く。そんな感触。

評者:一歩  評価:☆☆☆☆
観劇感想リンク 和田 一歩 iwamomo 支部長 由信 はるお


劇団衛星 #(忘れた)
『Candle』
期間 1999年2月?日(忘れた)〜2月?日(忘れた) 会場 アトリエ劇研
観劇日 2/21(日)M 座席 中列中央 客席 満席 チケット 前売券1000円
  (良い意味で)後に何も残らぬ笑い。

 劇団衛星を見るのは 「脳天気番長出馬する」 に続きこれが二回目となります。
 両者を比べると、悪いけど、前の番長の方が良かったな、というのが感想です。
 でも、あの味は相変わらずでした。
 とにかく楽しく。難しい事考えないで。
 それを直球で行く、まさしく西部劇、まさしくお約束なお話でした。

 もっと良く、もっと楽しく、というのは、 我儘を知ってしまった者の贅沢なのでしょうね。でも、 今回はそれを強く感じもしました。

 舞台は、カウンターや椅子の置いてある正面、と、 スイングドアのみで出来ている背面。そして、二つをつなぐ花道が、 どどんと客席の真中を突っ切る。
 そうです、ここ(客席)は酒場の中なのです(笑)
 この舞台は、むか〜し 劇団雑派というのを見た時 にもあった形。ううん、 懐かしいね。

 あらすじは、ある大物悪ボスとその腰ギンチャク悪徳保安官のぎゅうじる町に、 噂の男がやって来た。
 奴は無口で酒には強い。 やたらに白い服をきたノッポだが、一度火がついたら止まらないという、 そう、名はキャンドル。
 酒場を経営する人のいい親父、お袋、そしてガキ。
 悪ボスに目をつけられて陥落寸前の強気なお嬢。
 腕は確かだが気弱というかなんというか、の賞金稼ぎ。
 そんな登場人物達を交えながら、 止まってた町の空気がヤツを中心に回り始めた……
 ってな所ですか、いやあ、定番。

 主演のチャック・O・ディーン、前回の番長のスケ役からは全くの変身。 知ってなきゃ同一人物とは思えません。 「ヒーローは細目」という鉄則があるそうで、今回はずうっと目を細めてました。 でも、それって、いらなかったんじゃないかな。 普通に目をあけてた方が格好よかったぞ、きっと。 それに連なって、「ヒーローは無口」だそうで、ほんと台詞少なかったです。 ううん、でも、それは難しいね。喋らずにキャラを押すのは、特に、 衛星みたいなギャグ舞台じゃね。 おかげでキャンドルの影が薄くなったんじゃないかな。 物言わぬ故に出る迫力、は、あんまりなかったよね。<多分これを狙うなら、 悪ボス(番長)役してた人の方が似合ってたのじゃないかな。
 ヒロインのお嬢さん、実は夏目組の人とか。 つまり、 前の芝居 で観てた人なんですね、あの時、洗濯もの干してお茶飲んでた人。 そう言われたら判りますが、これも役が全然違うから、 言われなかったら気づいてなかったです。「ずるずる、ずるずる」 っていう台詞が一番心に残ってる、って言ったら怒るかなあ(笑)
 「下品な所は全部悪ボスが書いた」とは悪徳保安官さんのお言葉ですが、 ○ー○ン(一応伏せ字)ネタ関係を指してたんですかね?  いやあ、ああいう下品なネタは好きですよ私(笑)
 うまい、と言えば、酒場の親父がいい味だしてました。今回はガキとの二役で、 その意味もなるほど、そういうオチ(魔法の種) だからそっくりだったのかと感心したり。でも、 シナリオ的な面から行くと、そりゃあないだろうっていうか。 正統西部劇じゃなくなっちゃいましたね、あれで。 これまたない方がよかったんじゃないかと。
 かあちゃんには文句なし。時々、間合いが浮いてたような気がしましたが。 流れが自然じゃないっていうか。
 悪ボス。いい感じでしょう。
 悪徳保安官。まあ、書いてる人があんまりでかく演じちゃ駄目ですよね。 って事で、活動量とか台詞量とかの点で一歩ひいた感触がありました。が、 役としては充分でしょう。この悪二人組は妥当というか、そつなくという感じ。
 ええとあとは、賞金稼ぎ。ひょっとしてこっちが主人公か?(笑)  キャラは好きですが、台詞多過ぎ、っていうか、力み過ぎっていうか。 もう少し緩急つけると更に生きたキャラクタでしょうね、 ちょっと唐突っぽかったか。
 舞台。使い方が弱かったですね。客入りの都合で途中で変更したとの事で、 それもあいまって、うまく使えなかったのかな、とも思いますが、さて真相は。
 更に明日は舞台削って客席増やすと言ってたが、本当にあんなに削ったのかな?  あんだけ削ると、舞台の上にカウンターが載ったら移動できなくなるぞ?(笑) もし月曜(というか日曜以降)に観に行かれた方いましたら、 正面舞台の奥行きが何メートルぐらいだったか私に御連絡お願いします。 ぜひ知りたい。ちなみに、私の観た時点では3〜4メートルだったと思います。
 で、舞台のなにがまずいのかというと、後ろのスイングドアを多用してた事。 人間、正面から背面に意識と目線を持ってくのは結構難しいもので、 登場人物の入退場の度に振り返らないといけないのは、 注意力の分散を招いてよろしくないです。 酒場の中と言う客席の設定があったとしても、あえてそれは無視して、 普段の入退場は正面舞台 (にもなんだったらスイングドアつけて)でするべきだったでしょう。 後ろを使うのは、ここ一番! とか、まあ許しても五番ぐらいまで。 ああ、奴があんな所に! とかって降りかえらせれたら文句なしですね。
 更に舞台活用の愚痴。せっかくの花道が、単なる通路にしか活用されてない。 あの廊下の上でも、なんらかの芝居とかしてくれると面白かった。 正面舞台以上に客と密接するスペースだしね。サービスしてくれよお(笑)
 具体的には、例えば、そんなシーンはなかったけど、 悪ボスが選挙活動で町をカッポしてて、町の衆(客)と握手して回る、とか。
 例えば、最後のボスの屋敷での撃ち合いで、あの廊下を侵入路にみたてて、 撃っては物陰に隠れたまには前転したりとかするとか。

 ……ほほ、今読み直すと、やたらに沢山書いてるな、そろそろ止めよう。
 ま、愛ゆえの愚痴って事で。

 星は、愛ゆえに+1、でもよかったんだけど、あえて愛ゆえに、 って事で−1して、3つ。

評者:一歩  評価:☆☆☆
観劇感想リンク 和田 一歩 iwamomo 由信 はるお BASIL


スライムピープル #ゴミ
『恐怖! スライムピープル襲来』
期間 1999年2月??日(忘れた)〜2月??日(忘れた) 会場 扇町ミュージアムスクエア
観劇日 2/20(土)S 座席 中列中央 客席 満席 チケット OMSフリーパス券0円
  時間がなかったんだよね? それとも芸風?

 有名劇団のうち主に(東西の)二つが合体したユニット。 今回限りのメンバによるお芝居とか。
 各人の個性を利用した観せ物でした。キャラクタの濃さがばっちり出ています。 笑えます。
 でも、これ、芝居じゃないね。っていうか、芝居としては破綻ですね。
 話の筋はないし、台詞はしょっちゅう噛んでるし、 綿密な打合せの上でのわざとなんだろうけど、こう、楽屋オチというか、 身内なノリでの遊び。ぐちってみたり、”役者対観客”で笑うのでなくて ”役者対役者”で遊んでたり。

 あれです、そう、これは、むしろコントとか、講演とか、 そっちの方向のノリです。面白い奴らが集まったので、その話を聞いてみました、 というか、そのキャラクタを楽しみにきました、というか、 真剣に「物語」を作る為に集ったのではない、という。
 客を巻き込むタイプの構成をしてるのも、 そのあたりに由来してるのかもしれません。ちなみに、ああいうの好きです。 (観客と会話をしたり、アンケートをとったり、 あまつさえ舞台上にひっぱり出して小道具扱いしたりする。面白い!(笑))

 後になにも残らない(褒め言葉)タイプの笑いとして非常にタンノウしたので、 なんというか、上の様にけなしてるような口を聞いてても、 それなりに評価が高かったりします、ところが。

 あらすじ。
 伝説の番長が勢力を伸ばしている。 潜入捜査した警官までがそれに取り込まれていく一大ムーブメント。 彼らによる大阪ドーム爆破の計画が始動、 それの阻止の為に少年刑務所からこれまた伝説の番長がハンターとして 送り出されるが……
 途中負傷した男を助ける為に新薬を投与すると、彼は恐怖のスライム人間に。 そしてその感染が広がっていく時、 一人の少女の身をていした爆破で全ては丸く収まるのであった。
 ……って、実は、このあらすじ、全然重要じゃありません。
 っていうか意味ないです。「本質」とは全くかすりもしません。はい。

 お勧めするかどうかは微妙ですねえ。このノリ、 この洒落を判る人なら手を叩いて喜ぶでしょう。
 反面、「ふざけるな!」とか「これが三千円か!」 とか怒る人も居るでしょうねえ。なんというか、 純粋に「芝居」を観に来た人には。芝居の定義にもよるけど。

評者:一歩  評価:☆☆☆
観劇感想リンク 和田 一歩 iwamomo 支部長 由信 はるお


西へ行く #1
『番長、西へ行く』
期間 1999年2月12日(金)〜2月14日(日) 会場 扇町ミュージアムスクエア
観劇日 2/14(日)S 座席 2列目中央 客席 8割 チケット OMSフリーパス券0円
  力尽くで笑わされた。話自身は破滅してるが。

 有名劇団の若手さんが集合してのチームとの事、 なるほど、役者さんの力には目を見張るものがありました。 各劇団の色、というのかな、芸風、というべきなのかな、 それが各自に炸裂していました。だから、 なし崩しに笑わされてしまったというか(笑)
 ただし。
 話の方は、さて。果たしてどうだったでしょうか。 所詮はタダで観たものですので、評価が甘くなっている気がしています。 なんていうか、無理があるんですよね。自然じゃない。 とりあえずしてみました、というか、作ってみました、というか、 二回転ツイストぐらいせな駄目。それは反則、みたいな。

 舞台は、三面から客席の見降ろす正方形のイタ。
 いや、角はとってあったから八面体ですね、で、客席のない面に 扉や窓を奥まってつけ、学校の教室の一室を演出している。 八面体自身には高さが二段についてて、つまり中央は高くなってる。
 いやあ、こってると思いましたね。うまいと思いましたね。
 それだけに、「舞台ができてたら芝居は下手」の法則に、 嫌な予感がしましたねえ(笑)

 あらすじ。今回はちょっと反則ぎみだけど、最初から終りまで全解説。
 ちょっとキ印いってるコギャルなコが一人。
 彼女にひっぱってこられた軟弱一筋な臆病青年が一人。
 彼女が言うには、面白そうなので付近高校に回状を回し、 ここ中央高校で「番長会議」を企画したから手伝えと言うのだ!
 やがて本当に集まってくる番長たち(笑)
 南高校、生徒会長秀才タイプ、末は大臣、パソコン所時。
 東高校、お金持ちタイプ、ベンツとサツたば。
 北高校、裏番、KKKそこのけの秘密結社仕様。
 西高校、ゲタと葉っぱの一世代前タイプ、真性番長。
 ケンカコントをやりつつも、その本性は……全員、腕っぷしはからきし駄目。
 各番長の副長格のリハンやケンカ、隣町の伝説的番長の噂、 挙げ句は番長マニアで実は全員と寝ていたとかいう女子高生 の乱入まで交えて話は混乱の一方、
 と来た所で黒幕発覚!
 実は話の発端となったコギャルも番長マニアで皆と寝ていて、 しかもそんな口だけの彼らにあきれて自分が総番長として男共の上に立つ為に この企画をたてたとか言い出すのだ。
 言い出した矢先に彼女はいきなり産気づく。そして出産!(コラ(笑))
 そこに、半ば伝説となっている隣町の恐怖の番長が乗り込んで来たとの連絡が。
 一人、また一人と、自分の男の為、そして子供の為にと出陣していく番長ども。
 残されたコギャルと子供と気弱青年は病院へと一緒に向かうのであった!

 ね? 訳わかんないでしょ?
 この話をそれなりに見せちゃうんだから、役者はすごいよね、そりゃね。
 でもねえ。この話じゃねえ(笑)

 ま、タダだったんだし、笑ったからよしとするかな。

評者:一歩  評価:☆☆☆
観劇感想リンク 和田 一歩 iwamomo 支部長 由信 はるお


ランニングシアターダッシュ
『うしろから2番目のウィザード REVIVE』
期間 1999年1月26日(火)〜2月4日(木) 会場 HEP HALL
観劇日 1/31(日)S 座席 最前列ほぼ中央 客席 満席 チケット 前売券3200円
  ダッシュだ。あまりにもらしすぎる。満足。

 ダッシュらしさ爆発。話の筋立て以上に、演出(?)でそれを思い知りました。
 プレートに書いた文字でタイトル。 同じく大きなプレートを利用しての場面転換や入退場。 くるりと体を回す事による視線転換。声をそろえての大人数ト書き読み(?)、 そして、とにかく体力、体力な(物理的に)走り続けのその演技。
 「風のピンチヒッター」 の時と寸分変わっていやしない。
 いや、運動量は少し減った気がしたし、 大人数走り回しによるつむじ風場面転換もなかったけど。これは、 舞台がAI・HALLの時より狭かったから、物理的に無理だったのかな。

 ま、そういう訳で、あえて欠点を言うなら、その「らしさ」。
 つまり、変化がない=進歩がない、の部分に危惧があると言えばあるのでした。

 奇跡の大逆転を繰りかえした白馬「ウィザード」は有馬記念で骨折。
 競馬記者、騎手、調教師、馬主、沢山の人がかけていた願いはついえた。
 そしてその願いはウィザードの一粒種「スノーウィザード」へと継がれて行く。
 多くの期待を背負う事になったスノーの顔色は優れない……
 数々の登場人馬の思いの交錯する中、また有馬の季節が回ってくる!

 いやもう、ベタというかなんというか。
 ここまで臆面もなく青春スポ根(笑)
 しかも親子愛とか(笑)

 余談。
 競馬の話だけに、外れ馬券を散らすという演出があったのですが。
 こそっとその馬券もらってきちゃいました(笑)
 どうやらダッシュの皆さん、 98年11月28日に京都競馬場に行ってたみたいですねえ。で、馬券拾い。 ご苦労さまです。あ、それから、95年10月28日にも。 これは、初演の時なんでしょうねえ。

 余談2。
 カーテンコールかけちゃいました。
 芝居が終わっても拍手を続けて、もう一度挨拶にひっぱりだす。
 でもね、これがね、どうやら最初から仕組まれていたって話で。
 ……あ、なんか、ぶすっ(笑)

評者:一歩  評価:☆☆☆☆
観劇感想リンク 和田 一歩 iwamomo 支部長 由信


劇団酔族館 #18
『PARADISE』
期間 1999年?月?日(?)〜1月31日(日) 会場 扇町ミュージアムスクエア
観劇日 1/31(日)M 座席 中段下手 客席 7割 チケット OMSフリーパス券0円
  演技と台本以外は誉める。

 入って第一声が「おお。」なかなかいい感じの舞台。傾斜がはいっていたり、 背景にライトの星が散っていたり、正面だけでなく側面にも展開していたり。 照明もいけてる。時に入るスモークも面白い。音も、 使われるBGMはいい感じだし、 洞窟を演出するのにエコーをかけていたりで芸細。
 水の底を思わせる、景色。

 所が話は散漫だった。無意味と思える登場人物の多さ。 各々を独立させればそれなりにうまいのだが、 連続してみるとブチブチになる演技のつなぎ、人物のかけあいのつなぎ。

 地底人は地殻変動で住処が狭まり、地上を狙っている。
 地上のニュートリノ研究所では、光る珊瑚を拾った女が身ごもる。
 そこには海=ガイア=地球の意思がある。
 登場人物にはそれぞれに思う所があり、実験施設は暴走し、
 浜辺で独り、 「みんな、はよう帰ってこいや」と言う兄貴の台詞で舞台は閉じる。

 えせSF。まあでも、SFだったので点は甘め(笑)
 研究者や教授の描写には不愉快な所があったなあ。ステロタイプすぎだよ。 って、そんなんに文句言ってもね(笑)

 あのエンディングの一幕があって、 だからこそその直前のクライマックスがあって、 ああ、なかなかいい芝居と思えている感性がある。
 で、それ以前に関しては言わぬが華、と。途中寝かけたし。

 最近の疑問。
 「舞台装置がいいと演技はダメ」という法則があるのだろうか。
 短い経験の中では、結構そうなのだが。

評者:一歩  評価:☆☆☆
観劇感想リンク 和田 一歩 iwamomo


化石オートバイ #1
『地球最後の夜』
期間 1999年1月22日(金)〜1月24日(日) 会場 扇町ミュージアムスクエア
観劇日 1/24(日)S 座席 二列目上手 客席 満席 チケット OMSフリーパス券0円
  SF。……しゃあない、許すか(笑)

 旗上げ公演。千秋楽。時に役者さんの声と動きにキレがなし。 まあ、疲れきっているんだろうなあ、と同情したり。 これを減点要素に数えるのは酷ってもんですな。 演技うまいです、文句なく。その疲れさえなけりゃ、うん。
 これも沢山の筋が中身に詰まった、時間の長い物語でした。 4人でこれを全部やった事に拍手。でも、詰め込みすぎた所にブーイング。 もっと、削り難きを削ってすっきりしたお話に仕立ててもよかったのでは。 一点突破の方が格好いいぞ、きっと。

 かつては売れてたハヤリSF作家。 売る為に書く事に追いまくられてケツまくってしまい、 今はホームレスのおじさん。
 かつては神童ともてはやされた記憶力を持った子供、今は普通の落ちこぼれ、 実はつき合ってた彼女がスパイだった事とかと絡んで、 公安警察を一人刺し殺してしまい逃亡中の青年。
 なんでも普通に出来、普通に暮らしている自分にショックを覚え、 そうでない自分の証に、今の義父ではない、昔の死んでしまった父の化石、 父の乗ってたオートバイのカケラを探す小学生……
 三人がある夜過ごす公園の物語。
 明日の朝には自首をする、そんな私への土産として、 もう一度SFを書いてくれ、私の為に書いてくれ、と請われて、 ペンを取り一晩でおじさんが書き上げるその物語。
 そのおじさんが全てを投げるきっかけとなった、彼の昔のヒット作、 葬儀屋をモチーフにした、B級の売れない形で映像化されてた時のその作品。
 葬儀屋はバイクで荒野を疾走する。小学生の父親もバイクに乗って疾走する。 思い出は時に形をとり、形の影になり、何かに託されて化石になる。

 数えてみます。
 登場人物三人のドラマ(/過去/現在)。
 今青年に請われて書いているSF。
 昔書いてて、映画化されたSF。
 小学生の父親の話。
 合計6個の物語ですね。これがもうこんぐらがるぐらい絡みながら進む。
 いや、すっと頭に入ってくるのは入ってくるのですが。
 6つの物語のテンションが類似なだけに、余計に判別は難しいかもしれません。
 うむ? これは逆に褒めるべきか? よくぞトーンを整えて物語った、と。

 でね。その、中に織り込まれてるSF話がね。いいんですよ。
 って、おいらがSFファンなだけですけどさあ(笑)
 ハードSF的に時に突っ込みたくなるんですけどね、まあ(笑)
 ナメクジと人間の恋! 重力操作、物質転送! ああ、 そこはもうちょっと詳しく専門用語を交えながら、リアリティを追求しながら!  ……って、それは芝居の評価と違うやん全く(笑)
 →余談。この路線で言うのなら、 「ソラリス」 の様な形での観念的なSFの芝居への取り込みより、 今回の様な形での「お話的/即物的」なSFの取り込みの方が俺好みです。

 ギャグ路線でもね、「メロンマスク」という仮面ヒーローのギャグを 飛ばすんですけどね、これがもう(笑)
 ベタだ、ベタだ、ベタベタだ、ノリノリだ! いいぞ、その台詞回し!

 「地球最後の夜」は、そのおじさんが現在進行形で書くSF話の中に 織り込まれてる、一つの筋です。ですが、そのSF小説の本筋は、 そこにはなかったと思います。
 むしろ、芝居全体を通じて大事となるキーワードは 「化石(=思い、思い出)」と「オートバイ」。 んー、この単語の選び方もまた好みですねえ、SFと並んで。
 こういうガジェットを選んでくれた、 うまく使ってくれたという意味で加点ですし、今後にも期待をします。
 頼むぜ、化石オートバイ。

[PHOTO03]  その夜
 中年は本の中にいて、青年は疲れていて、少年は化石を探している。
 ブルテリアは非合法の葬儀屋で、依頼を受けては街から街へ駆け抜ける。
 惑星ラクーのポモドロは地球人と恋に落ちた妹の事が心配でならない。

 奇跡の劇団・化石オートバイ、発車準備完了!
 疾走する悲しみ、爆裂する喜び
ぼくらはまだ醒めない夢の中にいる

 THE LAST NIGHT ON THE EARTH チラシより
芝居内で使われた曲について
 ところで、余談。
 登場人物のうちの一人の名は、ポモドロ。
 pomo-doro : イタリア語。「黄金のりんご」の意味。野菜のトマトをさす。
 いや、だからどうってのでもないのだが。

評者:一歩  評価:☆☆☆☆
観劇感想リンク 和田 一歩 いあはーと iwamomo リン 支部長 由信 はるお


寿団プロデュース #3
『天国の奈落』
期間 1999年1月20日(水)〜1月24日(日) 会場 HEP HALL
観劇日 1/24(日)M 座席 最前列ほぼ中央 客席 ほぼ満席 チケット 前売券2500円
  豪華詰合せ。詰め込み過ぎ。

 いやあ、ぜいたく。いやあ、満足。
 ですが、一本のシナリオとして見た時は少々完成度が落ちると思います。
 寄り合い所帯による芝居だそうですが、その部分、 完全には消化しきれなかったのではと私は思います。

 演劇を営む三人の青年と一人の女性の青春があった芝居小屋。
 第二次世界大戦によって彼らはバラバラになる。
 徴兵されて行き戦死した者、 ホームレスの呑んだくれになりながらまだ芝居にしがみつく者、 小屋をストリップ小屋に改装してしまいその営業を行なう者、 行方不明になったままの女性……
 全てが過去になっていたある日に、 舞い込んで来た一通の手紙。戦死したはずの彼からのその手紙には、 あの時に約束していた芝居の台本が入っていた。 呑んだくれと小屋の営業者は、再び芝居をする為に東奔西走し始める。 一世代、あるいは二世代違うメンバー達を集めて稽古が始まる……

 で、出てくる奴らがみんな「濃い」。一癖も二癖もある奴ばかり。 ある意味問題児、ある意味欠損人格。当然喧嘩が続いて 何度も芝居は転覆しかかる訳です。そうして続く喧嘩の中、 各自の思い、各自の青春が主張されぶつかり合い、 謎の女性や台本の真意と絡みながら、そして芝居の幕開けは。

 まあ、という物語では、収集がつかないというか、 一本の筋だけで物語に背骨を入れる訳には行きませんわなあ。 登場人物全員の青春、あばら骨の寄せ集めになるのもある意味必然だったのか。
 特に、理的な意味からの切り込みを行なえば、「過去の三人+一人」と、 「現在の彼ら(とそれにあたる代役)」 とが混沌として少々めまいを起こす所です。 感的な部分で言えば、それは逆に成功とも思えるのですが。
 本来、今はじじいである彼ら4人がやるはずだった芝居を、 現在の若手4人に託して上演する訳ですね。 て事はつまりその芝居の上で4つのドラマがある訳ですが、 いや実は若手と年寄りにはそれぞれ別の思いと人生がある訳で 結局8つのドラマがあるのが本当。 で、観客としてそれをみせられると4つなんだか8つなんだか 時に若手のそれと年寄りのそれが重なっちゃって 4つと8つの間の幾つだかになっちゃったりとか。
 そして幕が降りた時、「なんか判らんけどとにかく大団円だったなあ」 と拍手をする。
 いかあん、こんな事で誤魔化されては理系人間の名がすたるう(笑)
 私は断固としてそこん所の解説を望むぞお!(笑)

 笑ったポイントとしては、ジャックのメンバによる青デンジマン事件。
 ミックが関わる幾つかの会話。
 って、観てない人には判りませんね。ごめん。

 目が肥えたのか、それとも例のごとくの眠い頭で観たせいなのか、 そういう荒探しばっかりしちゃいました。もしくは、 前に観た芝居との共通項探しとか、ね。

 共通項探しと言えば、役者さんの何人かの顔になんとなく覚えがあったりとか。 前に観た別の芝居で見てたんですね〜。
 「脳天気番長出馬する」 でもおおいにウけた例の 「人格乗り移り」のネタがあったりとか。何度観てもこのネタはいいなあ。 技を感じるよなあ。
 踊るお姉さん二人組みがセクシーじゃん、と思ったりとか。
 と、いつもの下品ネタに転がり込み始めた所で止めておこう(笑)

評者:一歩  評価:☆☆☆☆
観劇感想リンク 和田 一歩 いあはーと iwamomo リン 支部長 由信 はるお


八時半 
『大きな青の音』
期間 1999年1月8日(金)〜1月10日(日) 会場 アトリエ劇研
観劇日 1/9(土)S 座席 2列目ほぼ中央 客席 ぼちぼち満席 チケット 当日券1500円
  うまい。でも幸せにはなれない。

 ああ、またこの手のお芝居でしたか。
 役者さんも話も非常にうまいです (いや、役者さんは時に台詞をかんでたかな、感情はまあうまかったけど)。 これを1500円で見せてくれるのはお得でしょう。
 でも、「笑い」に行っている私にこれは結構どうでもいいのでした。
 リアル。リアルな芝居。
 リアルをえぐりとって鮮やかに見せる、そういう芝居。

 ヘタレな人間が三人。
 会社の同僚である所の、男と、男と、女。
 彼らは共同で金を出して、おんぼろの家を「秘密基地」として借りる。
 基地は、皆で遊ぶ為でなく、一人で時間を過ごす為の、 勝手に来てはぼんやりと過ごして、もしはちあったら、 どちらかが譲って出ていって、そんな部屋。
 男の一人がふと口をすべらせて、登山サークルの女にそれを話してしまう。
 女もその部屋の参加者となり、それだけで、秘密は秘密でなくなり、 一人で過ごす部屋は一人でなくなっていく。  一人になりたいのか、なりたくないのか。 共有する秘密基地、は、果たして秘密なのか?
 たまっていたウミは一気に噴出し、
 登場人物らは、自分の殻を持っていて、それを相手に、 相手の都合はおかまいなしでぶつけあう。

 こんなん観て、観た後幸せになれるんか?
 なんか、自分の人生を楽にしてくれるヒントがあるんか?
 うまかった。共感もした。でも、ねえ。
 あー、それとも、やっぱりギャグだったのかな?  ゲラゲラ笑いながら見た方がよかったのかな? だとしたらごめんなさい、 すべりました。かなり真面目に見ちゃいました。


 アベックで来てた人らがいたが、その後のその二人の関係が私は知りたい (笑?)

 さて、芝居を観てての細かな話。
 時々窓に人の顔が映るのだが、これが、なんか、こう、 ドッペルゲンガーな感じで恐かった(笑)
 あとで色々話して、あれはその部屋(2F)を下(1F通り) から見上げている人の顔なのだ、という事になって、なるほどそれなら納得。 でもそう言われんと判らんかった(笑)

 もうひとつ、芝居とは関係ない所で。
 私のま後ろに、MONOの役者兼本書きさんが座って観ておられました。
 観劇後それと知らされてびっくり。
 うわあ、なんか、失礼な事してなかっただろうか。 だるそうに観てたのはモロバレだったろうが(笑)

評者:一歩  評価:☆☆☆
観劇感想リンク 和田 一歩 iwamomo 由信



評者:一歩 の思う所



 その観劇姿勢など。

 芝居を観だしたのは、ひとえに 和田さん (又の名は制御盤さん)に誘われたから。
 必ず5割、いや、無理でも3割は、冷静に、シニカルに、理性的に舞台を観よう、 っていうか、誰が笑ってやるものかという姿勢を保とうというのが一応方針。
 感想はけなし専門。

 プラス評価は
1)ギャグ
2)オチ(結末がきちんとついてる)
3)エンターテイメント(シリアス含む)
 マイナス評価は
1)ピンボケ(判りやすく)
2)眠気(静か過ぎず)

 笑わしてくれて、かつ、後味がすっきりしてれば最高ってわけ。

 強度の眼鏡着用による眼労と、 不節制な生活によるバイオリズム崩壊の為、始終アクビをしています。
 が、これは劇がつまらないとかとは全くの無関係ですので、 大口開けている馬鹿を見ても皆様怒らないで下さい。


 観たの一覧は こちら になりますね。



 ☆の数についてなど。

 一応、五段階評価。

☆☆☆☆☆ 理想!(絶対出ない(笑))
☆☆☆☆ 完璧おもろい! 〜 並よりマシ
☆☆☆ 並 〜 一点買い
☆☆ 意欲は買う

 そのうち「☆」マーク以外を導入しようか、とも考えている。
 例えば「☆+」「☆−」(0.25点加減点)とか。
 例えば「☆★」(0.5点加点)とか。
 どうしようかなあ。



 芝居の法則
「10観て1アタリなら満足しろ」
「舞台装置がすごいと話は駄目」
「最前列は舞台全体を把握できない」
「ナマモノだから痛みや外れが激しい、そして当たりも」
「開幕にはこなれてない舞台が透ける」
「千秋楽は役者さんが声を潰している」






 おまけ。

 芝居小屋マップ
 でも実は 本部 にも こういうの がある。


1998年   1999年4〜6月
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