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 (巻頭言)
 あれは、忘れもしない1998年、 そう、熱さにうだる7月9日の昼下がりの事だった……
 って、たった今の事ね。(注:98年7月9日の午後に書いております。)
 私一歩は、知人 いあはーと氏に 「提案」されてしまいました。……しゃあねえ、やるか!(笑)
 え、なんの事か判らない?
 下のタイトルと、それ以下の文章を読んで下さい。
 ほな。



HAYAKAWA's Oh My Queen! Project No.01

<<早川おねえさま計画 1>>

一億総ハヤカワ化計画分室
提案・いあはーと  賛同・一歩

提案! ハヤカワおねえさま計画

 ハヤカワ美少女化計画?
 グレイト!
 その熱い魂に僕は賛同するものです。
 だがしかし、「美少女」ではたりない!
 もちろんSFの世界には美少女がたくさんいる。
 しかし、その眩しい輝きに目を奪われて、しっとりと光る「おねえさま」達を忘れてはなりません。
 と、いうことで「夢の蛇」っていいねぇ…
 (結局その為だけだったりする)


夢の蛇
DREAMSNAKE
ヴォンダ・N・マッキンタイア
Vonda N. McIntyre
一九八八年発行 1978

[Dreamsnake](sf0780) 訳者・友枝康子 / Yasuko Tomoeda
受賞・79年度:ヒューゴー賞長篇部門
  ・78年度:ネビュラ賞長篇部門

勝手ながら、序章紹介は こちら


目次
  1. 「夢の蛇」っていいねぇ…
    いあはーと氏98年7月寄稿
  2. 一歩による「夢の蛇」の捕捉
    一歩



「夢の蛇」っていいねぇ…
By いあはーと


 夢の蛇です。

 恐らく核戦争の後と思われる星
 その荒廃した星で、病人の治療に三種類の蛇をつかう治療師、スネーク。
 彼女はある時、治療に最も重要な「夢の蛇」を失ってしまう。
 夢の蛇を無くしたスネークは、再び夢の蛇を手に入れる為に旅立った。

 こんなストーリー。

 話は、全体的になんだかつかれちゃったよもう、ってな雰囲気が流れる。
 出会う人出会う人、みんな何か問題かかえてたり、怪我したり、死んだり。
 んで、主人公のスネークがいちばん疲れてる。
 もう、物語冒頭からよれよれ。
 少し読み進むまで、おねえさまどころかおばちゃんかとおもってたもん。

 んだけど、いいんだわぁ、スネーク。
 なんていうか、「はかなげな」雰囲気ばりばり。
 ほこりまみれで旅を続けて、行く先々で治療するんだけど、夢の蛇がいないせいでうまくいかない事多いし。
 だけど、それでもめげずに…といかないで、へろへろになりながら歯を食いしばって旅を続けるところがまた、読んでるこっちがみてらんないよもうってな感じにさせる。

 そう。
 弱いんだ。
 逆境に強いようで、弱い。
 うちのめされる時はうちのめされる。
 おまけに、なんだか健康じゃなさそうな雰囲気。
 いや、実は割と健康なんだけど、なんていうか、そう。
 顔色が悪そうなんだ。
 いいよねえ、顔色の悪い女の人って。
 それでもスネークが旅を続けるのは、彼女が強いからじゃない。
 他にどうしようもないから力尽きるまで続けてるだけに過ぎない。
 その姿が、また妙にそそるというかなんというか…

 ただ、男女関係においてはさすがにおねえさまで、物語の途中、若葉マークの青年に手ほどきする、なんてこともある。
 ちょっとどきどきしちまったよ、俺。
 だけどスネークは自分の恋愛に関しては、やけに奥手なんだよなあ。
 まあ、この場合旅の目的の方が勝ってるってとこもあるけど。

 ただ、物語中盤でメリッサという少女と出会ってから彼女は微妙に変る。
 本来子供の作れない治療師であるスネークには母性というのは見えなかった。
 だから強烈な「強さ」というのは見せない、どちらかというと状況の中でひたすら耐える人(まあ、生半可な状況じゃないんだけど)だったのが、状況に対して積極的に喧嘩を売っていったのはこのメリッサとの出会い以降だと思う。
 無償の愛を注ぐべき相手に出会い、スネーク自身もまた母性の強さを持つのだ。
 この、スネーク自身の変化が、この物語最大の醍醐味だと思う。
 いいよー、メリッサ。

 ところで

 そのスネークと恋仲になっちまった男がいる。
 こいつ、結局故郷を飛び出してスネークの旅の後を追いかけていくんだけど、なんつうか、役に立たねえんだよなあ…
 最後のクライマックスでさっそうとスネークを守るため現れる! かと思えばぜんぜん出てきやがらねえし…
 わりと物語では頻繁に出てくるんだけど、ぜんぜん存在意義がない。
 肝心なところで出てこないのが致命的。

 まあ、強いて言えばスネークの心の支えになるときもあるってくらいかな。
 ほとんどないけど。


 物語は比較的淡々と進んでいくので、落ち着いて読めます。
 まあ、そのぶんスリリングとかエキサイティングとかいった事とは無縁なんだけど、世界観が面白いし、そのへんの描写もたくさんあってつかみやすい。
 わりと好き嫌いは分かれるかもしれないけど、俺は好きです。

 そういえば作者のマッキンタイア。
 「
星の海のミッキー」 書いた人なんですね。
 よくもまあこんだけ雰囲気違うものをって感じですが、どっちも好きです。
 まあ、 星の海のミッキー はSFってかんじじゃないんだけど、わりとマルチな人なんですね、マッキンタイア。
 やるな、マッキンタイア。
 気に入ったぜ、マッキンタイア。

 他に何書いてるかな。
 こんど読んでみよう。

 せつない話が好きで、顔色の悪い女の人が好きなら、この話は心をときめかせてくれます。
 主人公のスネークは、たぶん二十七だと思います。
 ぜったい、それ以上でもそれ以下でもありません。
 ないったらないです。
 二十七。
 ここの所は譲れません。


 いろいろと見所のあるこの話、あとはこの名セリフを忘れちゃいけない。

「他に何かご用はありませんか?」

 さて、どんな時に使う言葉でしょう?
 もし実際に顔色の悪いおねえさまにこんな事言われたら、もう辛抱たまりません。

 読めばわかります。

 それでは。



一歩による「夢の蛇」の捕捉
By 一歩


 というわけで、「書いてくれるならやるよ」と、 以前に口を滑べらせたが運のツキ。「おねえさま計画」が立ち上がりました(笑)
 「夢の蛇」は、俺的にはあんまりドキドキするおねーさまではないんですが、 とかって水をさす事言ったら駄目だよね。
 どっちかというと俺的にはメリッサの方がそのぐぐっと、とかって、やべ、 俺ちょっとロリ入りだしたかな、自粛自粛(爆)
 ま、まあ、とにかくですね、 彼女が「母」としての認識を自分に課してからが面白い、とは、 鋭い分析だと思います。同感。

 マッキンタイアの他の著としては、
AMEQさんの所のデータベースによりますと、 サンリオSF文庫より 「脱出を待つ者」(1975年の仕事ですな)、 後は全てスタートレック《宇宙大作戦》で早川文庫SFより 「スター・トレック2 カーンの逆襲」 「スター・トレック3 ミスター・スポックを探せ!」 「スター・トレック4 故郷への長い道」 「ファースト・ミッション」 (以上、どれも1980年代の発表)となっています。
 ふむむ、 「夢の蛇」 以前が一本、後は 「夢の蛇」 から 「星の海のミッキー」 までの時代の作品、という事になるのか。 ううむ、俺的には、ミッキー以後の仕事と言うのをかいま見てみたい気が。 私の知るこの二作品、かなり作風が違う気がするだけに、 その間にどの様な作品が産まれたかも気になりますが、 それ以上にその後どうなったのかが気になって気になってもう。

 尚、同じく AMEQさんの所で仕入れただけの知識 なのですが、 この夢の蛇、そりゃもうバカバカと賞を取っているようで。
 1973年度ネビュラ賞ノヴェラ部門、 1978年度ネビュラ賞長編部門、 1979年度 ヒューゴー賞長編部門、と受賞しまくり。
 ……言っていいかな? 禁句かな?
 なんで、そこまでいい、これが!?(笑)
 でも、ま、賞一つ分くらいなら、俺も重みを認める作品です、はい。

 他、この話で気になるのは、この表紙が何を指していたのか、です。 何の脈絡、何の内容との相関で、こんな表紙になっているのだろうか?
 内容とのイメージのマッチング、という意味でも、さっぱりです。 誰か判る人居たら教えて下さい。


 さてっと。捕捉としてはこんなものかな。では、他に何か御用はありませんか?
 おっと、誤解するなよいあはーと氏。俺にその趣味はないんだからな(笑)
 あ、でも、これを読んでおられる異性の方、貴方になら、 そういう意味でもおっけーです、はい(爆)




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