月は地獄だ! |
ジョン・W・キャンベル Jr. |
THE MOON IS HELL! |
John W. Campbell, Jr.
1977年発行 1950
ISBN4-15-010226-0 |
イケてます。古き良きセンス・オブ・ワンダーがここにあります。
まさしく直球勝負。
科学自身は少々古びているかもしれませんが、
だからといってそれは問題ではありません。例えば、今でも
「海底二万海里」
は楽しく読まれているのです。あるいは、
クラークの昔の話を引合に出してもいいでしょう。
何も言う事のない、月面サバイバルの物語です。
「ロビンソン・クルーソー」
や
「十五少年漂流記」
などを想定して貰ってもいいかもしれません。
同じ「宇宙サバイバル」なのに、この本はピンと来て、なんでか
「星界への跳躍」
はピンとこないんだよなあ。不思議。
あらすじ。
月面に着陸して一時的な基地を築き、
半年に渡ってミッションを行なった探険チーム。さあこれから帰還だ、
ようやく地球に帰れる、と着陸する帰還船を見守っていた時、その悪夢は起きた。
帰還船墜落!
ここは月面裏側だ。地球からは墜落した事実さえ判らない。
例えその事実をなんとかして伝えたとしよう、新たに帰還船が建設され、
飛ばされ、そして再びここに迎えに来るまでに、
一体どれほどの時間が……?
そして後ろを振り返れば、耐用年数ギリギリになったテント、残り少ない、
いや、まさしく残り物でしかない食糧、エア、各種装備。だって、
今頃俺達は地球に帰還しているはずだったんだ!!
僅かにしかないその装備で、どうやって救援が来るまで持ちこたえるか?
どうやって救援信号自身を地球へと送り出すか?
知恵と忍耐をしぼっての、探査隊の更なるサバイバルが始まる。
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