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All people be HAYAKAWA'N

<<一億総ハヤカワ化計画13>>

: Presented by IPPO :

 さて。大変ながらくお待たせしました。
 ちょっとね、学校が大変でしてね、今。出来るうちにババって、 徹夜して仕上げときちゃいましょう。 もうすぐ、そんな気力もなくなる予感(笑)
 今回は、早川濃度バッチリです。SFとJAが混じりますけど……(笑)


星界の戦旗 I −絆のかたち− 森岡 浩之
     
星界の戦旗 II −守るべきもの− 森岡 浩之
     
戦闘妖精・雪風 神林 長平
     
ホログラム街の女 F・ポール・ウィルスン
  DYDEETOWN WORLD F.Paul Wilson
地球の長い午後 ブライアン・W・オールディス
  HOTHOUSE Brian W. Aldiss
星海への跳躍(上・下) ケイン・J・アンダースン&ダグ・ビースン
  LIFELINE Kevin J. Anderson and Doug Beason
月は地獄だ! ジョン・W・キャンベル Jr.
  THE MOON IS HELL! John W. Campbell, Jr.

 まずはJAから揃って御紹介しましょうか。
 トップは、前々からする、すると言ってしていなかった、「星界」より。
 すみません。お待たせしました。


星界の戦旗 I −絆のかたち− 森岡 浩之
  一九九六年発行

 さてさて! 長らくお待たせしていました。公約通り、 「2」が出たのでレビューしましょう(笑)

 この物語は「星界シリーズ」と呼ばれ、 「星界の紋章」 から続く一連のシリーズものとなっています。 まずはそちらから読まれるのが吉でしょう。

 簡単に「これまでの粗筋」
 「アーヴ」という名の強大な星間国家があります。 彼らは遺伝的な改造を自らに加えており、長命、高G&無重力適応、 半ば無意識な慣性航行適応をしている、まさしく宇宙に生きる人類です。 様々な偶然からこの種族の「貴族」となってしまった少年ジント、 そして、慣例の軍務に服していた「皇族」の少女ラフィール。 このハイ・ソサエティ(笑)な二人組が主人公です。 ひょんな形で知りあったこの二人、 かたや地上の一般人出身、かたや宇宙の権力一族出身。 二人の常識はどちらもあさっての方向を向き、頓珍漢もいい所なのに、 いや、故にか、二人は新鮮に惹かれあいます。
 そしてそんな時に、「アーヴ」と「国家連合」 の間で大戦のひぶたが切られ、 あおりをくらった二人は、二人だけで、時に宇宙を、 時に地上を逃亡するはめになり、 お互いをかばい支え合いながら珍道中を生き残ります。
 そして、これを序章として、星間戦争は本番を向かえるのです……以下次号。

 という事ではじまった星間戦争。両国共に何年間かの準備期間を終えて、 ついにこぜりあいから本戦へと戦いが移行を始めた時から 「戦旗」は始まります。

 あらすじ。
 主人公の片われジントは軍学校へと進み、 経理担当者として前線の小型艦に配属された。艦長は、もう一人の主人公、 ラフィール。なんの約束もなかった、しかし約束されていた再会だった。
 平面航法と呼ばれる特異な空間を利用した超光速航法がこの時代の要だが、 その平面空間で行なわれる戦闘の数々。
 時に語られ、時に体験する形で現れる、 「アーヴ」という人工種族の習慣と家族。
 戦闘は続く……

 てな訳で、「紋章」の時から、各員ともに元気なままだったのね、 というお話でした。新登場したのは、一緒に戦艦に乗り組む皆様。
 とりあえず、ジントの三角関係に期待なのですが(笑)……


星界の戦旗 II −守るべきもの− 森岡 浩之
  一九九八年発行

 三角関係については、期待はずれでした(笑)
 例の二人があま〜くラブラブしています。いや、それなりに独特な、 他ではないタイプのラブラブではありますけど。
 ようやくラフィール、自覚の段階に入ったか。

 あらすじ。
 主人公達の眼下には、敵国家連合から奪った惑星が浮いていた。 この星の領主代行に任命された主人公二人。 だが、この星がかなりやっかいな星だった。 犯罪者達の流刑星、刑務所惑星だったのだ。
 「新征服者」であるアーヴに、彼らは「亡命」を、 つまり他星への移民を希望するのだが、その移送だけでも大問題。 おまけに、敵軍はすぐに大量の軍勢を連れて引き返してくる……
 混乱の中でジントは誘拐され、地上に置き去られ、生死不明に。 ラフィールは軍務に、責任に縛られて動けず……


戦闘妖精・雪風 神林 長平
  一九八四年発行
ISBN4-15-030183-2

  某所 冬樹 蛉 さん が強烈にプッシュしていたが、そこまで激烈に面白いのか、というと否。 でも、面白い。
 一列社会風刺的な部分があり、また、この一冊ではまだ「解答」 は示されていない。最近息を吹き返し、 SFマガジン上での連載が再開している事だし、 結末を楽しみに待たせて貰おう。

 人間と電脳、アナログとデジタル。物語は後半に近づくに連れ、 もう一つのこのテーマへとも肉薄していく。あるいは、 これこそが作者の強く願ったものなのか。
 俺的には、人とコンピュータはお互いを補いつつ、 友情という線で結ばれている共存種族なのだが。作者の中では違うらしい。 相入れぬ「異質さ」を抱えるモノ達、として描写されている様だ。いや、 結末でどんでん返しされるかも……

 登場人物の流れや思考に時々滑らかさがなく(短篇を集めたものだ、 枚数的にきつかったのかな)、 時々御都合主義にギクシャクしている気のするのが、まあ唯一の弱点か。 ネタで攻めるSF作家に、こんなの求めたらあかんのかもしれんけど。

 あらすじ。
 南極に特異点発生、そこから謎のエイリアン「ジャム」が攻めてくる。 人類はこれに対抗し、巻き返し、特異点の向うへと追い返し、 更に特異点の中へと攻め込んだ。……そこは、二重太陽を母星に持つ、 狂った色彩のジャングルが渦巻く「別の惑星」だった。
 人類はその星に「フェアリイ」と名をつけ、 フェアリイ上の特異点周囲に基地を建設、絶対防衛圏とした。 半ば島流しに近いその基地の人員は、犯罪者や社会不適格者などで補われた。
 主人公は凄腕の、血も涙もないと形容される様なパイロット。 高性能コンピュータを搭載した愛機「雪風」と共に異星の空を駆り、 どこまでも異質で正体不明な「ジャム」と刃を交わす……
 やがて地球本土ではこの戦いは忘れられ、無視され始める、が、 ジャムの侵略は、侵蝕は例え忘れられていようと止まってはいない。 そして、彼らの目的は、「戦争の相手」は何なのか。それは、「人」なのか、 「機械」なのか?……

発掘 Reference
  1. 冬樹 蛉 さん書評

 さて、ここからはSFで。


ホログラム街の女 F・ポール・ウィルスン
DYDEETOWN WORLD F.Paul Wilson
一九九八年発行 1989
ISBN4-15-011240-1

 ハードボイルド、と帯には歌ってある。
 そして、いかにもハードボイルドな表紙である。
 ページをめくれば、売れない私立探偵。おお、ハードボイルドである。確かに。
 だが、そこに、ゴキブリの糞が登場する。
 はて? ハードボイルドでは?
 読み進む。
 主人公が、カタッパシから流されていく。人情に。
 うおおお、ハードボイルドが、ハードボイルドが、 単にハードボイルドなつもりでいるだけの 情けない流されやすいただのおっちゃんにぃ。
 ……非常に、好みである(笑)。

 本書は同じ主人公をもとにした三つの短篇をよりあわせて一冊としている。 だが、確かに一つの長編なのであり、三つの物語、ではない事に、 最後の方でようやく気づく。 ネタバレになるので詳細は書かないが、なぜタイトルが「〜の女」なのか、 よく判る。
 だが、そう思いながら表紙の絵を見返すと、あれ、 あの表紙は詐欺だったんじゃないかな〜と思ったり。
 人の言葉を借りると、なんとこのハードボイルドは、「アットホーム」 な物語、なのである。
 短くすらっと、あんまり考えずに読む、でもってほのぼの。
 そういうのが読みたいなら、お勧めである。

 あらすじ。
 売れない私立探偵な主人公。街のこの界隈では、 それなりの信用を得ているのだが、 実は色々と「冴えない」過去や現実をひきずっていたりする。
 そんな彼の所に依頼者として「クローン」が現れた。 彼らクローンに人権は与えられていない。誰かの「所有物」であり、つまり、 ポン引きの「飯のタネ」に過ぎない。
 そんな彼女が言い出したのは「婚約者」を探してくれ、というものだったのだ。 まさか。今の世の中、クローンと「結婚」を考えるなどあり得ない。 だが、彼女は強行に主張する、彼は愛してくれている、 その彼が行方不明になった、と。
 報酬に釣られて主人公はその仕事に首を突っ込むが……

 というのが第一話。
 これを皮きりに、彼は合計三つの事件へと踊り込んでいく訳です。
 人口増加に圧迫され、政府に強行な子供の「割り当て」が行なわれている、 退廃的な世界。予定以上の子供らは捨てられて、「落し子」と称される 「戸籍にない」「実在を認められない」存在になる世界。より常識のある者達は、 開拓のはじまったばかりの他恒星へと移民していく世界。
 その世界の中で。

発掘 Reference
  1. Cafe Ludens 別館 にある 古川さんの書評


地球の長い午後 ブライアン・W・オールディス
HOTHOUSE Brian W. Aldiss
1977年発行 1962
ISBN4-15-010224-4

 ヒューゴー賞受賞。

 遠い、遠い未来の地球の物語である。
 SFのひとつに、「世界」を描き出す、というのがある。
 登場人物は二の次。その「ビジョン」が、ひたすらに美しい。というもの。
 物理法則の違う世界。重力の大きな、あるいは小さな世界。 有毒のガス渦巻く世界。未知の生物のいる世界。
 そういう意味で、本書は今まで全く思ってなかった世界を示してくれる。

 だけど、あんまりそれ以上は求めたら駄目かな?(笑)
 人間ドラマ、は、悪いけど、俺の感性には全然こなかったりした(笑)

 あらすじ。
 というか、今回は世界観説明。
 遠く、はるかに遠くにある未来である。太陽が赤色巨星化してるぐらい未来。
 この頃地球はついに自転を止められてしまっており、 永遠の昼の面と永遠の夜の面を持つ様になってしまっている。 そして紫外線厳しい太陽下の世界では、ほとんどの動物が死に耐え、 植物が主動権を握っていた。
 半球を覆う、同じ根から発達したボダイ樹。 その各階層でそれぞれに分担を担って繁藻するその他の植物。 動物がいなくてもその生物ピラミッドは、 それぞれの階層にそれぞれに(私達から見れば)特異な進化をした植物がおり、 食物連鎖の環を成している。 中でも大きな目玉なのは、偽動物化した植物である。様々な「クリーチャー」 としか呼べない様な植物がバッコしているのだ。中にはクモの様なのも居て、 なんとこれが糸を成層圏外にまで飛ばし、 月まで綱渡りで渡るというから驚きモモノキ。
 そして。
 この世界に生き残っている動物は、ハチ、アリ、人類。人類は、 猿の時代+α程度の文化、文明に落ち、寄生的な、残飯処理的な、 そういう階層を埋めるものとして生きていた。
 ひょんな事から「寄生宿主の知性を引き上げる事で共棲関係を結ぶ」 という特殊なキノコに寄生された主人公は、その「知性」の勧めるままに、 この、変わり果てた地球各域の遊覧に出かけるハメになり、 様々な奇想天外”世界”を目にする事になる……

 読んでないと判んないだろうけどさ。でさ、一つ思う事がある訳よ。
 月世界人の伏線は何処にいったんだろう。
 あんまりしっくり、処理されてないみたいなんだけど。


星海への跳躍(上・下) ケイン・J・アンダースン&ダグ・ビースン
LIFELINE Kevin J. Anderson and Doug Beason
一九九六年発行 1990

 さっくりとした読後感。盛り上がりにも盛り下がりにも欠ける。って、 これは及第点なのやら、落第点なのやら。
 同じペアが書いたのに、 「無限アセンブラ」 がある訳だけど、私としては無限アセンブラの方を押すかな。
 この作者チームの面白さは、いわば科学の最新トピックを利用して、 これでもかこれでもかえいこれでもかと、 まるで玩具箱をひっくり返したみたいにしてワラワラワラと遊び、 ケムに巻き、笑わせ、わくわくさせる所にある。 だから、物語全体としては大きなウネリがない。というか、多分、 それを作るのが下手。
 で、だから、ツボにはまったり、 一冊程度の厚みでずばっと読ませたりすると結構好きな訳だけど、 ツボを外したり、上下冊という風にやたら長かったりすると、
「ふうん。で、それで?」
 とか思う、と。
 どうもこの感想、つうか感触は、彼らの次巻 「終末のプロメテウス」 でも同じらしい。しょーむな。
 貴方はどうしますか? ツボを目指してトライしてみますか?

 あらすじ。
 地球では核戦争勃発。すぐにその戦いは終った。被害は思った程ではない、 地上の人類の大半は生き残っただろう。
 だが! 我々はどうすればいいのだ!  地上からの定期的な支援なしでは生きていけない、 軌道コロニーに住む住人達は!
 アメリカ、ロシア、マレーシアがそれぞれに所有する研究ステーション三つ、 が軌道上に浮かぶ。そして、月面にも基地が一つ。 地上は、宇宙に居る人達の事など構っていられる状態ではない!
 彼らは考え、頭を寄せた。お互いに、自分達の生き残りの道を探して。
 通信はできる。だが、真空中を渡る方法がない。食糧も限られている。 エアもない。手にあるのは、それぞれに託され、開発を続けていた最新科学技術、 開発途上でどう実用化すればいいのか、 そもそも実用化なんてどうやって利用したらいいのか判らない技術達、 だけ……
 さあ、どうなる。

 てな感じかな?
 しかし、このシチュエーションは思いつかなかった。確かに、 今戦争が起ったら、ステーションの人間はひぼしだ。 こんな「閉鎖空間」というか、「閉鎖タウン」は思いつかなかった。
 同じシチュエーションといえば 「宇宙のランデヴー」 を思わないでもないが、こっちの方がだんぜんリアリティーが上。 うん。この思考回路には脱帽。

 そして、次々と危機をトンチ(笑)で切り抜けるあたり。って、 実はここがあまりよろしくない。 あっさりと「こんな事もあろうかと」風に技術が出来たり、 結局の所「勇気」で確率を補っているみたいな所があったり。 それが許せる流れのノせ方、というのもあるが、彼らの筆では「んな阿呆な」 とか、「それは御都合主義」とか思わせる所の方が高い訳。俺には。


月は地獄だ! ジョン・W・キャンベル Jr.
THE MOON IS HELL! John W. Campbell, Jr.
1977年発行 1950
ISBN4-15-010226-0

 イケてます。古き良きセンス・オブ・ワンダーがここにあります。 まさしく直球勝負。
 科学自身は少々古びているかもしれませんが、 だからといってそれは問題ではありません。例えば、今でも 「海底二万海里」 は楽しく読まれているのです。あるいは、 クラークの昔の話を引合に出してもいいでしょう。
 何も言う事のない、月面サバイバルの物語です。
 「ロビンソン・クルーソー」 や 「十五少年漂流記」 などを想定して貰ってもいいかもしれません。

 同じ「宇宙サバイバル」なのに、この本はピンと来て、なんでか 「星界への跳躍」 はピンとこないんだよなあ。不思議。

 あらすじ。
 月面に着陸して一時的な基地を築き、 半年に渡ってミッションを行なった探険チーム。さあこれから帰還だ、 ようやく地球に帰れる、と着陸する帰還船を見守っていた時、その悪夢は起きた。 帰還船墜落!
 ここは月面裏側だ。地球からは墜落した事実さえ判らない。
 例えその事実をなんとかして伝えたとしよう、新たに帰還船が建設され、 飛ばされ、そして再びここに迎えに来るまでに、 一体どれほどの時間が……?
 そして後ろを振り返れば、耐用年数ギリギリになったテント、残り少ない、 いや、まさしく残り物でしかない食糧、エア、各種装備。だって、 今頃俺達は地球に帰還しているはずだったんだ!!
 僅かにしかないその装備で、どうやって救援が来るまで持ちこたえるか?  どうやって救援信号自身を地球へと送り出すか?
 知恵と忍耐をしぼっての、探査隊の更なるサバイバルが始まる。


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よければ、見たついでに評価よろしく。ま、お代変わりにでも。
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