【7:1】高カロリー食のパラドックス
今では信じがたいことかもしれんが、戦中末期〜戦後十数年にかけて、料理指導において
とにかく高カロリーにすることが良いとされていた時期があったのじゃよ。
その頃に育った香具師達の中には、摂取カロリー不足のため低身長になった者も多かったからじゃ。
その後、1960年代に入り高度成長を迎え人々の生活が豊かになると、摂取カロリー不足による成長不良は
ほぼ無くなり、その後は摂取食物の種類、質の向上によって新成人の体格も向上していったのじゃ。
じゃが、食の嗜好というものは高カロリーに向くということもあり
高カロリー指向の料理習慣はなかなか改善されなかった。
そのため、いまでも高カロリー料理を薦める調理指導者が居たりする。
おいしい食事を毎日摂れるとゆーことは、人生を豊かにすることに直接繋がるのであり
おいしい高カロリーな食事を毎日摂っているとゆーことは、一概に悪いということでもない。
しかし、食事の内容が高カロリー指向であることは、体格向上にとっては大きなマイナスなのじゃよ。
つまり、摂るべき総カロリー量は生活習慣によってある程度決まっており
それを超えると肥満の原因にしかならない。
骨は体重を支えるため縦への成長を犠牲にして横に太くならなければならず
長い目で見れば低身長の原因ともなる。
一方、成長期の摂取たんぱくの量に最終身長が比例しがちなことは、統計的に証明されていることじゃ。
よって、高身長を目指すための料理は、低カロリー高たんぱくが基本であることは言うまでもない。
しかし、調理過程において高カロリー指向であると十分なたんぱく質を摂取する前に所要カロリーを満たしてしまい
摂取たんぱく不足による低身長を招いてしまうのじゃよ。
少し考えれば誰にでもわかりそーなこの「高カロリー食のパラドックス」じゃが、昔の高カロリー指向の調理法を
学んできた連中の中には、高身長実現のためにも高カロリー食が良いと信じている者が居るのも事実じゃ。
真面目な良い子は習った教えを忠実に守り、大人になって子供の体格向上のために高カロリー食を与えつづける。
しかし、与える食事がカロリー指向であるほど子供は意に反し大きくなるチャンスを失う。
それが「高カロリー食のパラドックス」なのじゃ。
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