1992年に登場した DAYTONA のフレームに、

1965年の第39回ミラノ・ショーでデビューした V7 以来連綿と熟成を重ねてきた 90°縦置 Vツインエンジンを 1063.6cc まで拡大したエンジンを搭載したのが、この 1100 Sport です。1994年に発表され、1997年モデルからはインジェクションを搭載した Sport i に進化しています。我が”ネコグッチ”号は、キャブ時代の最終型ということになります。初期型からはヘッドライトのデザインや塗色などに微妙な変更がありますが、基本的には同じものです。
デイトナがOHC4V化したお陰ですっかり重くなったのに対して、
伝統のOHV2Vエンジンは15kgも軽く、キャブ仕様の私のモデルでも最高出力で5ps劣るだけ。デザイン的にもデイトナより洗練され(現行デイトナは外装をスポルトと同じに改めちゃいましたが)、エンジンの個性そのものだってより「グッチらしい」のはこちらですから負け惜しみじゃなくって、スポルトの方が魅力的なモデルです。
デイトナの300φに対して320φにされたフロントのブレーキはきちんと仕事をこなし、剛性の高いフレームは高速コーナリングで最高の気分を味わせてくれます。けれども、デロルトのキャブはかなり丁寧に扱ってもこの巨大なシリンダーにガスを送りきれませんし、特有の高いギア比と低速でぐずるエンジン、高いシートに低いハンドルなど、町中ではとても乗りにくい(苦笑)。
ファイナルギアケースをフローティング化してスクゥワットは大分キャンセルされたとはいえ、左右方向へのトルクリアクションも依然強烈です。この辺は、ライディング・インプレのページでゆっくり報告しますが・・・。
では、テクニカル・スペックです。なお、赤字は97モデル以降の Sport i のものです。フロントの倒立サス以外は別に羨ましくなんかないぞ、ホント(笑)。
エンジン:空冷4サイクルOHV,90°V型2気筒
排気量:92 x 80mm、1064cc (ニカジルシリンダーライナー)
圧縮比:10.5:1(9.5:1)
最高出力:66Kw (90HP)@7,800 rpm (DIN)
最大トルク:96Nm (9.78kg-m) (95Nm/9.7kg-m)@ 6,000rpm (DIN)
燃料供給装置:デロルトPHM40(ウェーバー・マレリ電子燃料噴射)
点火装置:CDI (マレリDigiplex 2S)
クラッチ:乾式2板式
駆動形式:シャフト(フローティング・リンク/パラレル・トルクアーム)
変速機:常時噛合式5速リターン
変速比:1.182/1.250/1.000/0.833/0.730
1次/2次減速比:1.235/4.714
縣架装置(F):テレスコピック(マルゾッキM1R42φ)(WP製倒立)
縣架装置(R):スイングアーム(WP製別体式フルアジャスタブル)
制動装置(F):油圧式ダブルディスク、320φ
制動装置(R):油圧式ディスク、260φ(282 φ)
タイヤ:120-70 ZR17 / 160-60 ZR18
全長 x 全幅 x 全高 x 軸距:2,125 x 690 x 1,095 x 1475
燃料タンク容量:20 L (19 L) (5.3 US gal.)
燃料消費率:5L (4.5 L)x 100km (47mpg US) (CUNA)
乾燥重量:200kg (221kg) (441 lb)
もっとも外観では97モデルの方がより洗練されています。

倒立Fフォークとこれに合わせたフェンダーはもちろんよりかっこいいし、前後ホイールもデザイン変更されていてこれも3本スポークの現代的なもの。ステップ・プレートもグッチマークが付き、トップブリッジも変更されるなど細かく品質感が上がっています。ダブル・ホーンにオイルクーラー装備もちょっと悔しい。何より、あのしょうもないデロルトのキャブがインジェクション化でどれほど乗りやすくなっているのかはかなり気になります。でも、重くなっているのはいただけないな。
なお、私が購入したモデルは、自動跳ね上げ式のサイドスタンドがアルミのプレートを付加した強化対策品に変更され、キャブのインナーパーツもクレーム後の対策品になっていました。また、スポンジ製のオリジナルのスロットル・グリップは、私が購入してすぐにTZ用に交換しました。あの触感は好きになれないし、ただでさえ重いスロットルがよけい重く感じられますから。さらに、タンクのデザイン上ガソリンを満タンに入れると給油口からガスを噴いてしまうという問題もあって、タンク前部にブリーザーが取り付けられてありました。あ、グッチ・ガードが付いていたことは言うまでもありませんね(笑)。
どうです、なかなか気になるバイクでしょ?(笑)・・・乗っての印象は次のページをご覧ください。その先には、ちょっとづつ手を加えはじめてありますし・・・(笑)。