翌9月4日は、私は仕事に出かけ、その間都築さんは我がアパートの目の前の急坂を駆け抜けてスケートで US Marine Corp Memorial (いわゆる硫黄島メモリアル)に出かけていました。ううむ・・・一時も無駄にせずにスケートに命を賭けるこの姿勢!(笑) もっともほんとに命懸けだったようで、メモリアル手前の急坂を無理に下ろうとして危うく死に掛けたとか・・・。

この日は早目に帰宅した私は、都築さんとスポーツショップを物色。アパートに戻ると、丁度順ちゃんから電話が入ったところでした。これまたネットで知り合った順ちゃんはヴァージニアの南部、DCからクルマで4時間ほど走ったチェサピークに住んでいて、冬場は毎週のように私とスキー場で戦った仲です(笑)。都築さんがLAからスケート抱えて現れたという話に、われも!と平日だというのに仕事を終えてから家族を連れて4時間かけて、DCに登場したのでした。

取りあえず空腹でもあったので、レストランで再会。順ちゃんを反面教師にして育った子供たちはホテルで宿題をしていたのですが(笑)、順ちゃん夫妻と都築さんを交えてしばらく歓談しました。しかし、当然のように話の流れはインライン・スケートに。そして順ちゃんは嬉しそうに「今からやっちゃいます?」(笑)・・・・ホントかぁ?・・・・だが、この男たちには「周囲の目」とか「常識」などは存在しないのでした。

深夜12時過ぎ、さすがに奥さんはホテルに置いて、怪しいアジア人3人組はホワイトハウス南側に車を停めました。たまに行き交うクルマから異常なほどの注目を集めながら(笑)、そこでやおら各々防具を身につけ、いざ戦場となるペンシルヴァニア・アヴェニューを目指して滑りはじめます。あたりにいるのはセキュリティ・ガードだけ!最初はこんな時間にこんなアヤシイやつら、問答無用で撃たれるんじゃなかろうか?なんて話をしていたのですが、考えてみればちょいと変わっているかもしれないけれども実のところは普通の一般市民、むしろ納税者として我々は守られるべき権利があるのじゃ!と、半ば開き直りともいえるよく判らない理屈をごねながら滑りはじめたのでした。

順ちゃんも今まではひとり孤独に滑っていたものですから、こうして仲間と一緒になって遊ぶことが楽しくって仕方がないという様子。私もそうだったからキモチは実によく判る。都築さんは昼間の滑りでブレーキをほぼマスターし、いよいよ恐れるものは何もない。そして、都築さんの開発した小技を次々に順ちゃんは貪欲に取り入れてゆきます。LAでのSeedと同様、基礎がしっかりしているので順ちゃんも覚えはじめると早い!昨日の4時間で大分マシになってきた私でしたが、順ちゃんにはあっというまに追い抜かれてしまいました。でも、楽しく遊んでいるから気にしない〜♪

しかし順ちゃんはよく転びます。最初のうちは痛そうだし何しろ派手な音で転ぶものですから都築さんも私も気にしていたのですが、あまりにも頻繁に転ぶのでそのうち相手にしなくなってしまいました(笑)。そうしたら、いつのまにか太股にハート型に大きな擦り傷を作っていたのですねー。こいつはきっと後々痛むことであろう・・・シャワーが恐そう〜(笑)。

小技を覚えては突然遥か片隅まで滑っていって陰で密かに練習をする、というパターンを繰り返していた順ちゃんは、ある時突然、ホームレスらしきオヤジに呼び止められました。ホワイトハウスの北側にはペンシルヴァニア・アヴェニューを挟んでラファイエット・スクウェアという公園があるのですが、ここには何組かの抗議団体なのかただのホームレスなのか、とにかくキャンプしている連中がいるのですね。

どうしたのだろう・・・なんて見ているとやがて戻ってきた順ちゃんが言うには、何と彼はスケートのインストラクターをカリフォルニアでやっているとのことで、教えを乞うていたのですね。なんと貪欲な学習意欲!さすが4時間かけて現れて深夜に滑っちゃう男は違う!!(爆笑)。しかし順ちゃんがここで仕入れた、「両腕を肘から下を地面と並行になるようにして大きく振るとスピードが出る」という走法はホントに効果的なのでした。これで気持ちよく飛ばせるようになる。それにしても順ちゃんのスピードは驚異的で、自転車と競争できそうだったなぁ・・・勿論止まれなくなるのでやっぱり転ぶんですけどね(笑)。

いい加減滑り疲れた深夜・・・というか・・・午前3時半過ぎ、草木も眠るウシミツ時も過ぎてようやくクルマに戻り、道具を外しました。それにしても狂っている・・・けれどもなんと楽しいことか!(笑) 順ちゃんの運転でアパートに戻り、傷の手当てをして別れました。明日の日中の再戦を約して・・・・・(笑)。