店主の読書日記 NOV2002 タイトルリスト 作家別リスト
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2002/11/30

 つまんないな、と、思って書かなかったのだが、今月始めに残業計算をしたら先月比マイナス30時間であった。
 30時間も残業時間がイッキに減る。素晴らしいことである。
 ただ、考え方によっては、まだ100時間も残っているというのが……。


2002/11/29

 最近、どーも調子が悪い。今週も、1回、午前中だけ休んだ。
「どうも、夏の疲れが、ちょっとヒマになった今頃出てるんじゃないかと」
と、後輩にいったら
「だから、忙しいまま突き進まないとダメなんですよ。泳ぎ続けないと死ぬ魚のように」
と、言われた。
 って、私ゃ、サメかいっ。
 先輩思いの後輩と一緒に仕事ができて、嬉しいです……。


2002/11/28

 『あぶない学園キケンな少年』、『愛と青春のあぶない学園』(森奈津子/学研レモン文庫)読了。
 1993年に発行されたのがスゴイと思う、少女小説。ライトノベルといってもいいのだけど、ボーイズ・ラブ系の文庫ではない。つーか、その頃、ボーズラブ専門の文庫って出ていたんだっけか?
 なにしろ、主人公はレズ、その友人はホモ、先輩はバイでサドでマゾ。
 どちらかというと、ヘテロな登場人物が少ないくらい。そして、まわりを取り巻く脇役も変。

 一応、自信がないけれど、あらすじの紹介でもしておくか。
 主人公は沢田蛍子(ケーコ)、15才。同じ学年の美少女、辻堂花夜子に片思い中。しかし、花夜子が自分に求めているものは対等に戦うライバルなのだ。
 ケーコが通う産流高校は、サークル認定に厳しい高校で、生徒会は部を潰すことに命をかけている。そんな状況の中、有力なサークルを作って部に昇格させられる人間は、優れたサークルメーカーという称号が与えられる。
 かくして、ケーコは花夜子にただ認められたい一心で、潰されても潰されても新たなサークル申請に励むのだった。

 主人公・ケーコはレズなわけだが、ケーコが普通の人に見えるくらい周りに変態が多い。「変態」と、いってもセクシャリティの点で差別してるわけでは決してない。でもさ、生物調理部とか作って、「解剖済みの体を捨てるのはもったいない。調理していただくことが生き物ヘの供養です!」と、言っているのは他に説明のしようがないと〜(汗)。
 ところで、私は久しぶりに本を読んで、声を出して笑った。
 このシリーズも、全4冊すべて絶版。やっぱり、古本屋行脚しかないのかのう。


2002/11/27

グリーンマイル  先週の土曜日に見たんだけれど、書いておかないと忘れそうなのでちょっとメモを。
 映画、『
グリーンマイル』。  今回は、『アトランティスのこころ』と違って字幕があったので、内容が理解できた。字幕ってやっぱり素晴らしいっ。
 原作を読んでいなかったし、前情報もさほど聞いていなかったので、かなり新鮮な気持ちで見られたと思う。感動の大作という宣伝は知っていたが、見終わって泣かなかった。
 重くツライ映画だと思う。

   時は1935年、大恐慌時代のジョージア州のコールド・マウンテン刑務所。死刑囚舎房の看守主任を務めていた主人公ポールの回想形式で綴られていく。 
 死刑囚はグリーンマイルと呼ばれる通路を通って電気椅子に歩いていくのだ。
 2人の少女を暴行して殺したとして黒人の巨人ジョン・コーフィが死刑囚舎房にやってくる。ポールには、コーフィが殺人犯のように見えなかった。何より不思議な力を持っていて、ポールの尿道炎も、死にかけたネズミも治してくれたのだ。

 まあ、あらすじはここいらにしときましょう。
 なぜ、私が泣かないというと、宣伝に利用されるヒューマンドラマをすべて打ち消すくらいラストが厳しかったからだ。
 コーフィが黒人なのは仕方ないし、この時代、黒人差別が当たり前なのは仕方ない。コーフィの弁護士でさえ黒人差別者なのも仕方ない。
 それでも、いい人がいい報いを受けないというのはとてもツライ。
 最後にポールは自分が108才ということを打ち明け、これが自分に与えられた罰なのだと語る。コーフィが自分に力のカケラを与えた結果が、この長寿なのだと。妻も友も、そしてたぶん子供が死んでいくを見守らなければいけない。これくらいツライことはないのではないかと思う。
 すべての親しいものが死んでしまって、それでも長生きは素晴らしいといえるのだろうか。

 だから、私はこの映画のラストで本当に悲しかった。ポールの背負った重い運命に。
 たぶん、10年前ならこのラストにはピンとこなかったろう。
 やっぱり「死ぬ」ことへの考えって、年々変わっているんだなあ。

 ところで、なんといっても、この映画のキモはネズミのミスター・ジングルス。死刑囚のドラクロアが友達として飼っているネズミで、糸巻きを前足でクルクル廻す芸達者。(←ロボットじゃなくて、本物のネズミを使っているあたりが素晴らしい)
 こいつを踏み潰したチビの看守が憎らしかったこと! 相変わらず、動物に弱い私であった。
*ネタバレなところは文字色を背景色と同じにしております。


2002/11/26

 予告通り読んでみました。森奈津子、『お嬢様大戦』(学研レモン文庫)。
 ちなみに絶版。調べたら、森奈津子の刊行作品は2/3は絶版だった。不遇の百合作家なんだなあ。でも、この本はコバルトの向こうを張って(と、思われる)刊行された少女小説のシリーズ。
 さすがにシリーズものの10冊目から読んじゃだめか。読んでいてつろうございましたわ(涙)。キャラクターが把握できないのと、あとはノリが……ツライ……。突然、ファン300人に囲まれたジャニっ子になった気持ち、とでもいおうか。
 この作品を読んで、初めて自分のトシを感じたよ。

 主人公は綾小路麗花。と、いっても、USJのターミネーターの前説ではない。(行った人だけ笑ってください) 高級スーパー小路屋の社長の娘、正真正銘のお嬢様。今日も、華麗な悪役お嬢をめざして学園に君臨するのよ。オーホホホホホホ。
 と、いう、かーなーりー、ぶっとんだ話だった。この設定だけだと田中芳樹の薬師寺涼子のシリーズを思い出すが、あれが学校の教科書に見えたくらいだ。
 主人公の破天荒さは似たようなものだけれど、まわりを取り巻くキャラクターがいずれも変。
 ものすごーく、変。
 これが普通の本屋で売ってたって、かなりスゴイことだと思う。
 ついでに、本の後の方に載ってる、他の作家の本のタイトルを紹介しておこう。『恋のトラブル三角!四角』は、まあいいとして『初KISSは夢の中』、『ホワイト・フェアリーの午後』、『夢色エメラルド湖伝説』……。このラインナップの中で、よく刊行していたよ、お嬢様シリーズ。(でも……もしかして……『初KISSは夢の中』の主人公って、心はオトメで外見は身長190cmのゴツイ兄貴じゃないよね……?)
 と、いうわけで、私はこれからシリーズを集めに、古本屋行脚の旅に出ようかと思う。


2002/11/25

 全国の会社員の皆様。
 楽しい給料日をお過ごしでしたか?

 私の今月の給料は2,000円だった。
 2万円の間違いではなく、ましてや20万円の間違いでもない。
 にせんえん。
 思い起こせば、7月末、引越しをしておきながら、忙しさに負けきちんと移転できず、怒涛のような忙しさに、会社に届け出なんてしているヒマもなかった。
 ペーパーを書いているヒマもなかったが、なにより住所変更には住民票を添付して出せというのである。はっきりいって、市役所の営業時間と私の勤務時間はばっちりバッティングしている。どちらかといえば、あちらの方が開いている時間は短いくらいだ。
 やっと市役所に住民票を取りにいけたのは先月末のこと。なおタイミングの悪いことに、先月は6ヶ月分の交通費がまとめて支給になる月であった。
 もうおわかりでしょう。
 今月は、交通費の清算をばっちり引き受け、私の手取りは2,000円となったわけだ。(なにしろ片道2時間かかる遠距離通勤者だけあって、私の元の交通費は高かった)
 11月でよかった。他の月だったら、餓死必死だったろう。
 と、いうわけで、会社員生活始まって以来、こんなに12月初旬のボーナスを待っていることはない。
 早く出てくれ。


2002/11/24

 久しぶりに土日に会社に行かなかったので、金曜日からばっちり実家に帰ってみました。
 うちだとケーブル完備なので、だーらだらTVを見てしまう。16chのドラマチャンネルがデフォルトなのが我が家の特徴だろう。
 今回初めて見たのが、『
プロファイラー/犯罪心理分析官』。
 予告編も、オープニングもちょっとコワイ。サイコ・サスペンスだなあ、という作り。
 あらすじは

 サマンサ(サム)・ウォーターズ博士は不思議な力を持つ美しき法心理学者。卓越したプロファイリングで、多くの猟奇殺人事件を解決に結びつけてきた。
 だが、その優秀さゆえ、3年前に連続殺人犯“ジャック”につきまとわれた上に、夫を殺されてしまう。それ以来、彼女はFBIでの仕事を辞め、“ジャック”から見を隠すために親友のもとに身を寄せて娘と共に田舎で静かに暮らしていた。
 しかし古い友人のベイリーに乞われ、FBIの管轄下にある凶悪犯罪特別捜査班・VCTFで、再び犯人の行動をプロファイリングする仕事を始める。彼女の復帰を知った“ジャック”は彼女だけでなく娘や友達まで脅かすように……。
 サムと“ジャック”の息詰まる闘いが始まった!“ジャック”とは一体何者なのか……?

 なかなか恐そうでしょ?
 でも、私が見た回は、上司と宝石店に行ったら強盗がやってきて、たてこもりの人質になってしまうという牧歌的(この番組の中でいうと)な内容だった。凶悪犯罪なし。“ジャック”なし。
Ally Walker  主役のサムは知性を感じる美しさで、ちょっとバイオニック・ジェミーに似た感じで嬉しい。演ずるアリー・ウォーカーは、DNA科学者としてのキャリアも持つという。どおりで知的なはずだわー。
 しかし、こう、こんなキレイな科学者がいるあたり、科学界も捨てたもんじゃありませんね。(何を言っている、リオハ)
 と、いうわけで、この番組を引き続きみるために実家にビデオをしかけておくか、悩むリオハであった。


2002/11/23

 ぐははははは。
 もう、とにかく抱腹絶倒。今月はあんまりハズレのなかった素晴らしい月だったけれど、その中でも群を抜いてバカバカしかった1冊。(←誉めている) 『なつこ、孤島に囚われ。』 (西澤保彦/祥伝社ノンポシェット)。
 いや〜、書店で新刊平積み(そんなに入荷してなかったけどさ)の時に買っておきゃよかったよ。アナタとはもっと早く出会いたかったわ(笑)。
 最近の西澤作品は、なんとなく「あん♪ もぅ、じれったいんだからぁ」と悶々とすることが多かったのだけれど、久しぶりの快作だった。
 まあ、文庫の裏表紙のあらすじを、ちょっと読んでみてくださいな。

 異端の百合族作家・森奈津子は、見知らぬ女に拉致され、離れ小島に軟禁された。だが、意外にも上機嫌だった。紺碧の海は美しく毛蟹は食べ放題で、まさしくパラダイス。彼女はこの島を「ユリ島」、向かい側に見える島を「アニキ島」と名付け、誘拐を満喫していた。一週間後、アニキ島で死体が発見された!妄想癖の強い奈津子は“とんでもない推理”を打ち立てるが…。

 私は一人称小説の究極の目的というのがわかった気がする。それくらい、この作品は一人称小説でなければいけない小説だった。
 奈津子は耽美作家だからして、人一倍、いや人十倍くらい想像(妄想かもしれない)が豊かなのだが、この奈津子の妄想力豊かな性格がこの小説のキモ。
 だいたい、奈津子ったら孤島に拉致られたというのに、ちっとも不安になっていない。それというのも

 異端の百合作家・森奈津子の全著作を揃えている上に、冷蔵庫を毛蟹とビールでいっぱいにしておいてくださる方に悪いひとはいませんわ。ええ、おりませんともっ。

と、いう理由だったりする。
 とにかく主人公の奈津子ったら、すごい。楽しい。アッパレ。推理部分は、もうつけたしみたいなもんだ。
 この作品は、実在する作家が実名で登場している。主人公・森奈津子は、お笑い百合SM小説家(←それって、いったい)の
森奈津子。モリナツ、心が広いなあ。ってゆーか、本当にこうしたはじけた作家さんなのだろうか。 (そんなわけで、次回は森奈津子作品を読んでみようと誓った私)
 ただし、この本はエロティックな記述が多いので、18歳未満だとか、その手の小説が苦手な方にはオススメしない。もったいないな、と、思うけど(笑)。


2002/11/22

 今日の朝、会社のゴミステーションに行ったら、死屍累々とワインの空き瓶が。たぶん、次の資源ゴミの日は年間で一番びんゴミの量が多い日かもしれない。

 いよいよ、『スカーレット・ウィザード』最終巻。
 ダニ坊奪回作戦は、どうなるのか。そして、ケリーとジャスミンのロマンスは……?
 やっぱり巻モノはこれくらいの分量がいいっすね。あんまり長くて前の話とか登場人物を忘れることもないし。
 内容は特に触れないけれど、今回はあとがきを読んで色々思うことが多かった。

 SFにはほんものとにせものがあり、私の書いているのはにせものなのだそうです――と、ある。
 かたくななSFファンとかにツッコまれたのかなあ。「ガンダムはSFじゃない」説とか、懐かしく思い出したですよ。
 こういう論争って、ミステリではないよなあ。「本格か本格でないか」といった些細な(当事者にしては大問題なのだろうが)問題は置いておいて、「これはミステリではない」という言い方はしない。言うのは、「不出来なミステリ」だ。
 そういう点から考えると、SFファンって心せまい……?(うわー、モノを投げてはいけませんよっ、SFファンの皆様)
 それよりも、ミステリが色々な作品を包括するジャンルに成長してしまったのだろう。昔のミステリは、いわゆる探偵役がいて、最後に謎解きがされていた。近年のミステリはそういったスタイルにこだわっていない。探偵役がいない作品さえある。
 これは、ミステリが誕生以来ずっと書きつづけられて、しかもある程度の市民権を持って一般に読まれているからだろう。
 対してSFはどうか。
 ミステリの本はKIOSKに置いてあるが、SFは置いてない。そういうことなんじゃないだろうか。なにより、魅力的な作品(一般の読者層にまで訴える作品という意味で)を書く、若い書き手が出ていないような気がする。
 高年齢問題と後継者問題は、今や過疎の村や職人さんだけの悩みではない。SFファンにもひたひたとせまっている……?


2002/11/21

 夕方から酒くさい。
 毎年のこととはいえ、ボジョレーの解禁日は業務中からボトルを開けていて、不良な会社だわー(笑)。

 えーと、ちょっと飽きてきました。スカウィを読むことじゃなくて、5日続けて同じ作品の日記を書くことが(笑)。
 でも、残り1巻だ、がんばろう。

 4巻は、今までのんきなお兄さんの側面しか見せてなかったケリーの海賊らしい一面が。
 ケリーの記憶を盗み見みし、『ウィノアの虐殺』のことに触れたギリアムは、ケリーの逆鱗に触れてしまう。
 そして一難さってまた一難。今度は、ジャスミンとケリーの赤ん坊、ダニエルがさらわれてしまった。
 ダニエルの行方は、そして、ジャスミンとケリーの運命は!
 次回、『スカーレット・ウィザード』最終巻、Don't miss it!


2002/11/20

 右表紙のかわいい(ちょっと小さいかな)女の子は、なんと宇宙船。
 と、いうのは間違いなのだけれど、ほぼそれに近い。この時代、宇宙船を動かしているのは感応頭脳というコンピューターという設定だ。運行乗員の思考を感応して、電算機ではできないような複雑な操作をする。
 このかわいい女の子は感応頭脳、ダイアナ・イレブンスがモニターに結ぶ自分のイメージ画像なのだ。モニター画像の中でダイアナは柔らかな金髪を持ち、機械とは思えないほど豊かな表情を結ぶ。  ダイアナは、あだ名をクレイジー・ダイアンという。
 普通の感応頭脳は、安全でない行為はストップする。たとえば、乗員に命令されても、乗員が危険と判断される行為はSTOPしてしまうのだ。ダイアンはSTOPしない。気に入らない人間が船の中に乗り込むと人間には耐えられないGで飛んで殺してしまうこともある。
 ダイアナは軍事機密として作られ、その時の最優先命令『どんな船よりも速く巧みに飛ぶ』は今も生きている。キング・オブ・パイレーツのケリーと相棒を組んだ今でも。と、いうより、ケリーと組んだことこそ、『どんな船よりも速く巧みに飛ぶ』ために優秀な操縦者を求めた結果なのだ。

 脳が動かす宇宙船。その脳は女の子、と、くれば思い出すのは、マキャフリィの『歌う船』。実際、スカウィを読んでて、イメージがかぶるかぶる。あちらは正常に機能できないというハンデを持って生まれた人間、こちらはあくまでも機械という違いはあるのだけれど。
 ついでにケリーは右目が機械の義眼。ダイアナは自分以外の感応頭脳を支配下に置いて自分の言う通りにさせるという特技を持っている。これも某マンガの設定と同じ。まあ、ここいらはメジャーじゃないとしても、ケリーは婿入りの時に、正体がばれないように整形してるのだ。
 海賊が整形。
 ほら、何か思い出しませんか?
 そう、コブラ(笑)。
 だから、設定に新鮮味があるというと全然ないわけだが、でも、まあ、でも面白いからいいや。

 今回はケリーが田舎海賊ギリアムに捕まってしまう。ダイアンは制止をひきちぎって宇宙へ飛び出す!
 ケリーの命は? 
 この続きは4巻で。


2002/11/19

 怒涛の『スカーレット・ウィザード』第2巻。
 ジャスミンの激しい(←読んだ人なら納得してくれるだろう)求婚により、ケリーは彼女と結婚、クーア財閥の副総帥の座に収まった。
 これで2人で51%のクーアの株を握ることになり、慌てた役員の誰か、は2人の命を狙おうとする。

 びっくりしました。
 ジャスミン妊娠。
 腹が6つに割れている191cmの怪力無双なヒロインのニンシン。そうか、1巻のベッドシーンって、このためだったんだねえ。
 そんな妊婦のジャスミンが行方不明になったクーアの宇宙船のために、愛機クインビーを狩り、単身探索に乗り出す! 宇宙船は無事に見つかるのか、乗り組み員は? そして、ジャスミンさえ通信普通になったとき、ケリーはクーア・キングダムを駆り動き始める!
 さあ、第3巻はどうなる!

 と、今回は次回予告風にしてみました(笑)。5日間連続だからね。ちょっとは、目先も変えないと。


2002/11/18

 たまにはこういうこともやってみましょう。完結済みシリーズ小説イッキ読み!
 ターゲットは『スカーレット・ウィザード』(茅田砂胡/C・NOVELSファンタジア)。

 舞台は未来。星間航行は<門>(ゲート)という場所と場所を繋ぐ場(どこでもドアみたいなもんですね)の発見によって可能になっている。主人公・ケリーは一匹狼の海賊で、裏社会では『海賊達の王(キング・オブ・パイレーツ)』と呼ばれる宇宙きってのお尋ね者。
 そんな彼に、奇妙な仕事が舞い込んだ。怪力の美女・ジャスミンが一年だけ結婚してくれ、というのだ。
 ジャスミンは、<門>の権利を独占するクーア財閥の総帥。亡き父は彼女に49%の株式を遺し、7人の役員に49%を遺した。残り2%はジャスミンの夫に譲渡されるという。巨大な財力と権力をめぐって錯綜する自分の夫には、殺しても死なないような男が必要なのだという。

 こんな感じで始まるアクション冒険小説……と、呼んでいいものか。作者本人によると、恋愛小説、それもハーレクイーンをイメージして書いたのだという。
 確かに、男女が激しく愛し合う、というお約束はキープしているのだが、「男女が」「激しく」「愛し合う」と、どーも区切りたくなるんだな、これが(笑)。
 登場人物はそれこそ赤ん坊から年寄りまで男女とも幅広く出てくるし、ストーリー展開はナカナカ激しい。ケリーもジャスミンもモテモテで、愛されている。
 が。
 ケリーとジャスミンってお互いに190cmを越える長身なのよ。おまけに女のジャスミンからして腹が6つに割れているくらい素敵な体型。
 ジャイアント馬場サイズの筋肉隆々の2人がお互いに向かい合っているところを想像してみてください。うっとりと見つめあっているように見えるかい? 
 おまけに2人ともあっさりさっぱり関東風のゴーカイな性格設定なので、ちっとも甘々な雰囲気にならない。ちゃーんと、ベッドインのシーンまであるのにさ。
 甘くないかわりに、シャキっと爽快感はある。……って、どーもビールの宣伝みたいになっちゃうね(笑)。
 明日は第2巻です。(←「世界の車窓から」風に)


2002/11/17

 実はマーガレットコミックスで3冊持っているのだけど、読みたくなって買った『N★Yバード』(槇村 さとる /集英社文庫)。
 『
ダンシング・ゼネレーション』の続編で、物語は愛子が1年間のパリ・オペラ座での研修を終えて、NYに帰って来たところから始まる。
 仲間であり恋人の羽佐間慎がいない。彼はいざこざがあって「ダンス・エキサイティング」を辞めていた。そして、愛子自身もある書評がきっかけで神崎の元で踊ることに行き詰まりを感じてしまう。舞台をすっぽかして、NYDCを除名になってしまい……。
 てな、感じ。
 物語の舞台は最初から最後までNY。何を隠そう、コミックス化してしばーらくたってから全巻揃えたのは、この舞台のせいだ。そりゃ、内容も好きなのだが、『N★Yバード』は私の背景のアンチョコであった。
 ……。
 ……ああ、バラしてしまったわ(笑)。
 当時、自分の原稿の背景は友達に描いていただいていた。当然、友達がシュラ場になったら手伝う。どちらかというと、お手伝いの方がずーっと多かった。効果、食べ物、モブ、そして背景。
 私の実力からして大したものは描けないだけれど、割とNYって簡単なんですね、これが。なにしろほとんどが直線で描けるから。もちろん、写真の資料なんかも用意はしてくれているのだけれど、マンガ的なデフォルメとか、かーなーりこの作品を参考にして描いた気がする。(『CHIPHER』なんかも見てた)
 ロフト風の室内とか、観葉植物とか、あああ、懐かしいなあ。

 実は、文庫化したとき、あとがきだけ読んだ。集英社漫画文庫は最終巻だけ、作者があとがきを書いている。
 作者によると、体をともなった恋の話を書きたかったそうだ。
 当時の掲載誌・マーガレットでの限界はキスまで。そんな中で良く描いたな〜、と、思う。
 きっと今の時代なら、愛子は神崎と寝てしまうだろう。ああいういい子ちゃんでなく、もっと業の深い強いキャラクターになりそうな気がする。
 女の業というより、ダンサーの業。表面的には愛情を装いながら、神崎という不世出のダンサーの自分を「踊らせる」才能を欲しがってしまうような。
 何の分野でも「表現する人」というのは、非常にその「表現」することの業に取り憑かれてしまうと思うのだ。
 うっとりすることでもあり、恐ろしくもあり。


2002/11/16

 猫宮さんが、工作をしにきてくれました。
 電動ドリルとか、工具箱(というかバッグ)を持って頼もしく働いていて、うっとり(笑)。やっぱり、電動ドリルって、人を魅力的に見せるなー。(って、私だけか?)
 その後、近くのホールに図書館の秋の催しの講演会を聞きにいく。
 ゲストは服部真澄さん。
 なんと近所にお住まいだそうで、『骨董市で家を買う』のあの家は案外近くにあったらしい。うわー、見たいな〜。いや、作家の家だからじゃなく、移築古民家が(笑)。

 1982年〜1991年にオリーブ少女だったら胸を熱くする本、『おやつストーリー』(オカシ屋ケン太、泉麻人/講談社文庫)読了。
 雑誌Oliveに連載のコラムを集めたもので、私も雑誌掲載時読んでいた。先日の『
お菓子帖』と同じく、森永やグリコなどのお菓子を取り上げている。ただし、『お菓子帖』が今でも発売しているお菓子ばかりだったのに比べて、こちらは今は発売していないお菓子も多い。
 これはコラムニストの綱島理友と泉麻人との違いかもしれないし、掲載誌「ポパイ」と「オリーブ」の雑誌の性格の違いかもしれない。
 でも、
「そうそう、こんなお菓子あったよな」
と、懐かしく読めるので、まんざらこっちも悪くない。
 お菓子というのはファッションと同じで、流行があればトラッドもあるようだ。生まれては消えて、後から見ると笑っちゃうようなものもある。
 今回、この本で知ったのは、ロッテの勇ましさ。
 ラインナップをあげるだけでも「霧の浮舟(100円)」「 女神の杯(200円)」「マリブのさざなみ(150円)」のロココなロマン主義系。「おにぎり村(80円)」、「元禄の茶壷(150円)」、「都の四季(150円)」、「ふるさと絵日記(150円)」、「ほおずき(150円)」など日本のわびさびシリーズ。「パチンパチン(100円)」「ショコラもち(200円)」など、もう何がなんだかわかりません系。(カッコ内は発売当時の価格)
 まさに「色モノ(失礼)なら、オレにまかせろ!」といった勇ましさである。
 このパイオニア精神ってすごいものがあるなー、と、発売から20年もたって、改めて感動した私なのであった。

 そういえば、私の通っていた小学校のすぐ前はロッテの工場だった。(いつもグリーン・ガムの匂いがしていた通学だった気がする)
 帰りに買い食いしちゃいけません、と、先生に言われていた学校近くのロッテリアは、後で母に聞いたらロッテリア1号店だったという。
 個人的にとっても応援しているぞ、ロッテ。


2002/11/15

 昨日の日記は、「きちんと『読書日記』になりそうだ」と書いておきながらちっとも本の話が出てないという、JAROってなんジャロが出てきそうな内容だった。読み返すと我ながらエライと思う(笑)。
 さて、本日は会社のレクで観劇。去年のシベリア抑留ミュージカルから1年か。時間のたつのは早い。
 が。
 さすがに2日半休んだツケが溜まって、全然仕事が終わらない。開演時間が過ぎてもオフィスにいたので、
「行かないの〜?」
と、まわりが口々に心配してくれる。
 残っている人はレクには行かない。参加費がかかるので選択制なのだ。何で選択しちゃったんだよ、8月の私。(←レクの告知は8月だった)
「行きなよ〜。チケット代、もったいないよ」
と、暖かいお言葉をいただいたので、途中で仕事を捨てて劇場に急ぐ。浜松町の四季劇場。はい、今日の観劇は劇団四季の「ライオン・キング」。
 えー、感想からいうと、面白かったです。(半分しか見ていないけど) 内容はともかくとして(ともかくかいっ)、あの装置はすごい。キャラクター・デザインが、こう、さすが前衛芸術家の作品といおうか。「衣装」というより、ホントに「装置」。
 キリン役なんて両手両足竹馬状態で、カーテンコールが長く続くのが心配になったくらいだぞ。足元ぷるぷるしてんじゃないかと心配で、主役のシンバを見ている余裕がなかったよ。


2002/11/14

 はい、今週はなんかダメで3日も休んでしまいました。(さすがに3日目ともなるとヤバイと思い、昨日は午後から出社した)
 別に激しく嘔吐しっぱなし、とか、ケガで出血しっぱなし、てなこともないので行こうと思えば行けるのだが、なんだか行く気にならなくて。結局、ダラダラぐーたらしてた、と、言えないこともない。まあ、冷蔵庫に何もないのに気にならないあたり、アヤシイとは思ったのだけれど(笑)。
 ほとんどの時間を睡眠してたにもかかわらず、結構本が読めた。
 しばらく、きちんと「読書日記」になりそうだ。めでたい。

 さて、今日は出張クルーズの時の同窓会。飲み会なんて、本当に久々ぶりで、よく考えたら平日は4ヶ月ぶりくらいか?
 さすがに3日の仕事の片付けはなかなか終わらなくて、かなり遅れて行った。着いて30分くらいで1次会終了。あはははは。(←ちょとウツロ)
 T島さんが
「近くに隠れ家があるんで、行きましょう」
と、おっしゃったので、ゾロゾロと後を着いて移動。
 私はバーとか、こじんまりした飲み屋とかを想像しながら一番後からついていったのだが、先頭の人の群れが止まったところは牛丼屋であった。
 ……。
 ……いや、ナイスな隠れ家牛丼屋というオチじゃありません(笑)。
 その牛丼屋の脇にはドアがあった。夜の暗さに隠れるような色で、ドアを開けると上に続く階段がある。ギシギシいう木の階段を昇って行った。2階から3階に向かう階段の途中に電源室のような扉がある。鉄の扉を開くいた、そこにあったのは。
 不思議な不思議な四畳半くらいの狭いスペース。
 中央に傘立てが置いてあって、紺の傘が1本入っている。傘を開いて上を見上げると、傘には子供の姿が映るのだ。
 ちょっと、こう、魔法の洞穴を発見したような気持ちになりましたね。
 種明かしをすると、そこはギャラリーで、でも知らないとほぼ見つからないと思う。建物は大正時代にホテルとして建てられた木造ビル。震災にも倒れず、空襲にも残った幸福な建物だ。
 ちょっと知っているだけで嬉しくなるような隠れ家だった。U園さんが買ってきてくれたヴォーヌ・ロマネも3割増で美味しかったような気がする。
 だから、日記に書こうかどうしようかと少し迷った。本当にナイショの隠れ家にしておきたくて。でも、ちょっとした幸福のおすそわけで書いてみる。人によっては、本当にどうでもいいことだと思うけれど。
 その隠れ家は銀座からすぐそば。山手線の駅だって近い。そういうところに魔法の洞窟がぽっこりあるのが嬉しいなあ、なんて、私は思ったりするのだ。


2002/11/13

 とうとう完結『八雲立つ』(樹なつみ/白泉社花とゆめコミックス)。
 内容は、スーパー伝奇マンガでございまして、八雲さんちのタツばあちゃんの伝記ドラマではございません。(説明するまでもないだろうけどさ)
 
先生は、友達が私のB型気質を説明するときによく引き合いに出されていたので、なんとなく勝手に親近感がある。
 ついてでに主人公の闇巳(くらき)くん。色々なしがらみが多くて、放っておくと暗い方へ暗い方へ行ってしまうあたり、これまた親近感があったりする。どうも彼が切実に明るい優しい七地くんを求めるあたりも、これまた切実にわかってしまったりするのだが、最近の読者ってやっぱり、こーゆー、闇巳テイストを自分の中に内包してるのが多いのかなあ。
 闇巳のトラウマというのは、母親の世裡(せり)が夫の海潮(うしお)を裏切って、義弟の眞前(まさき)との間にできた子供だということ。ここいらのドラマも結構描かれているんだけど、LaLaの読者層でいいのかなー、と、思ったり。
「眞前の『毒』に女は対抗できない」
 てなことを世裡かーちゃんは言っていたが、だーかーらー(笑)、LaLaを読むオトメの皆さんにいいのか、そんなネーム(笑)。最終巻でも堂々と2人のドラマがあリ……。どうも、この2人が出てくると、スーパー伝奇ロマンから、「花王愛の劇場」の世界になる気がするのは私だけだろうか。
 ま、いいか。ある意味、あなたの生き方は女のあこがれでしょう、世裡かーちゃん。

 今回、内容を紹介する努力を放棄しているようですが、ほら、ま、しょせん日記ですから(笑)。


2002/11/12

 私は「○○の書き方」という本にもあんまり興味がないのだが、これまた読んでみました。『歴史ミステリー作家養成講座』(井沢元彦、中津文彦、高橋克彦/祥伝社ノンポシェット)。
 私は歴史ミステリーは好きだが、歴史ミステリーを書いてみたいとは思わない。
 だって、だってですよ。
 普通に現代の一般の生活を描くだけだって、結構大変なわけだ。たとえば、普通の高校生が主人公の少女マンガ。こんなものだったら資料がいらないと思うでしょう?
 それが大違い。
 例えば、主人公が高校生なら高校に行っているはず。その学校に制服はあるのか、ないのか。あるとすれば、どんなデザインか。男子と女子のデザインではどう違うのか。校章はあるのか。それは、どんなデザインなのか。
 学校はどういう立地か。学校の建物が出てくるとしたら、敷地内のレイアウトはどうなっているのか。
 そして、学校の建物。知っていても、いざ描くと描けないんだ、これが。結果、山のように資料写真が必要なのだった。ああ、大変。
 現代ものの学園ものにして、これだ。歴史ミステリがどれだけ大変か、もう言われなくったってわかる気がする。(漢語なら「言わんや何々をや」っつー表現ですね)

 でも、たとえ歴史ミステリを書く気が全然なくても、楽しく読めるのがこの1冊。
 この本は、3作家が講義をする体裁をとっている。まるで、○○大学文学部歴史ミステリ講座、といった趣。入門コースの講師は井沢元彦で、まず、どういういものを歴史ミステリーと呼ぶか、という定義から始まる。
 例えば時代が安土桃山で探偵が織田信長だったとしよう。そして城下で殺人事件が起こり、その謎を信長が推理する。
 これは「歴史ミステリー」ではない。
 これは「時代ミステリー」というのだそうだ。歴史にまつわる謎を解かないと歴史ミステリーとは言えないそうなのだ。奥が深いなあ。
 講義は進み、作中に出す史料なんかについてのアドバイスも、面白いネタの選び方、なんていうハウツーも語ってくれる。
 もし、あなたが歴史ミステリを書こうと思うのだったら、必携の書だろう。巻末座談会では、歴史ミステリーを書き上げた時に応募するといい賞まで話してくれている。なんて親切な(笑)。
 だから、志があれば、この本を読んでぜひぜひ歴史ミステリーを書いて欲しい。最初に書いたとおり、私は歴史ミステリーを読むのが好きだし、面白い歴史ミステリーの作家はとっても少ないのだから。


2002/11/11

 私は雑誌に載っている書評というのはあんまり好きではないのだが、ちょっと趣向を変えて読んでみた。『おまえは世界の王様か!』(原田宗典/幻冬舎文庫)。
 雑誌『ダ・ヴィンチ』連載を1冊にまとめたもの。
 ちっちっち。ただの書評と違います。今から25年前、ワセダ在学中の20歳の原田青年が「京大式カード」に書き綴った感想に、今のハラダムネノリがツッコミを入れるという趣向。
 もともと人に見せるつもりではなかったものなので、「今読み返すと、ドヒャーと叫んでムネノリ卒倒しそうなものばかり」。ハタチの原田青年の感想文ときたら、「おまえは世界の王様か!」と言いたくなるようなものばかりなのだ。
 うーん、ここいら読んでいてちょっと痛いぞ。
 きっと、ここの日記も後で読み返すとすっげー恥ずかしいんだろうなあ。今でさえ、削除ってしまいたいところなんてたくさんあるもんなあ。(しみじみ)
 ある意味、書評集というより、過去との自分の対話集なんていってもいいかもしれない。

 三島由紀夫やドストエフスキーなんていう巨匠に文句をつけていることを、現在の著者はやたら恐縮しているのだが、別にそんなに畏まることもないような。
 だって、本として発行されてる限り、それにどんな感想を持とうが読んだ人の自由じゃーん。ついでに、対象としては文学史に名を残す巨匠達ばかり。今さらちょっとやそっと文句をつけても、世間の評価や本の売上に差し障るものではないし。
 と、思った私は「王様」か? やっぱり?(笑)

 *これはメディアファクトリー版の表紙。
 こっちの方が好きなのでごめんよ(笑)。


2002/11/10

 これは文句なしに面白かった。『お菓子帖』(綱島理友/朝日文庫)。
 お菓子についての本というと、前に『お菓子の話』を読んでいるが、あれとは違う。『お菓子の話』は、シュー・ア・ラ・クレームやアップル・シュトーデルなど、パティシエが作っちゃって、コース料理のシメにふちが金色のお皿で饗されるような正統派高級お菓子。ここで取り上げられるお菓子は、ポッキー、エンゼルパイ、サイコロキャラメル、かっぱえびせんなど、誰もが1度は口にしたことのある親しみのあるお菓子ばかり。
 でも、ほら、ご飯が正妻とすると、こういうお菓子は愛人というか、なんとなーく後ろめたい気持ちになるけれど(ダイエッターの女の子も同じだよね)、またその背徳な味わいがたまらないというか、ずーっと食べてると飽きるけど、ちょっとだとこの上もなく美味しいというか。
 ちょっと、「あの人は今」の趣だってある。その当時流行のフーゾクにも似て、あの頃ご贔屓の○○子ちゃん、どーしたかなー、なんて。(←ふと考えると、この感想はオトメとしてふさわしくないのではないかと思いました) これは、本妻ではなく、ちょっと距離をおいたお付き合いだからこそ楽しめることなのではないだろうか。
 でも、おかしいばかりでなく(←シャレでない)、しみじみとした話もあった。
 ジブリのアニメ『火垂の墓』で、重要な小道具としてサクマ式ドロップスが使われていることを覚えている人は多いと思う。
 現在、お店で売っているサクマの缶入り飴は2種類あって、「サクマ式ドロップス」と書いてある赤い缶と「サクマドロップス」の緑の缶。どっちかがニセモノ!? と、思ったアナタ。これが、両方とも本物なんですね。
 そして、この二つのサクマのドロップを誕生させたのも、また戦争だった……。

 いかがっしょ? なんとなく読みたくなったでしょ?(いや、別に何ももらってないけどさ)
 ついでに、お酒の席でネタにすればおねーちゃんを感心させるカモなー、なんて、ダメ押しをしたりして。(最後の一文で購入を決めた人、後で職員室に来るように)


2002/11/9

 久々ぶりに会社を8時前に出たことが嬉しかった先週のどこかでイッキ読みした本、『巴里・妖都変―薬師寺涼子の怪奇事件簿―』(田中 芳樹/カッパ・ノベルス)。
 そういえば、このシリーズって講談社から出ていたのだけれど、そこいらはいいのだろうか。光文社と講談社は近所なのでかまわないとか?
 正統派田中芳樹ファンには不評だというこのシリーズ、私は正統派ファンでないので、いつも楽しく読んでいる。なんたって、読んでいて爽快感があるのがいいじゃありませんか。
 薬師寺涼子は、27歳の警視。キャリア組のそれも東大法学部首席卒業の超エリートにして、日本最大の警備保障会社社長の御令嬢、その上、ナイスなプロポーションを持つ絶世の美女。ところが、こんな数々の美点を差し引きにして負債が残るほど性格が悪い。
 日本式の美徳なんかに縁がない涼子は、上から嫌われ、下から恐れられ、でもちっとも気にしない。ボージャクブジンを絵に描いて、色を塗って、定着剤をかけたのが涼子だからだ。
 ほら、面白そうでしょ?
 実際に回りにいたら迷惑この上ないだろうけど、それはそれ。(京極作品の榎木津にも同じことがいえますね) なんてったって小説だもの。
 今回は舞台がパリなので上司とのからみがあんまりないのだが、日本が舞台だと面白いぞ。なにしろ涼子の父の経営するJACESは警察OBの極上の天下り先。しかも、JACESの資源を使って上司の弱みを握りまくり。コムスメの涼子に上司が遠慮している。
 いやー、爽快、爽快。(何か溜まっているのか?>自分)
 田中芳樹の主な読者は若年層だと思うけど、この作品はそれだけじゃ勿体ない。仕事に疲れたお父さんに捧げたい本、No.1なのだから。


2002/11/8

 1人でお茶をするために『ダンシング・ゼネレーション』(槇村さとる/集英社漫画文庫)を買った。1人でお店に入るのはオッケーなんだけど、本ナシだとツライのよ、私(笑)。
 久しぶりに再読して、物語のみっしりさ加減に驚く。

 ダンスのオーディション会場に友人の付き添いで来たダンス好きの高校生・萩原愛子は、ひょんなことから会場で踊るはめに…。その結果、実験ダンス・チームに加わることになった。ダンスに魅せられた若者たちの愛と苦悩を描く青春ロマン!

 出版社によるあらすじ紹介は上記の通り。まあ、確かにそうなのよ、導入は。でも、ここから先のスピード感がスゴイ。

 このオーディションというのはニューヨーク・ダンシング・カンパニー(NYDC)のもので、合格すれば団員になれてNYDCの舞台で踊れるというもの。会場で愛子が出会うのがの団員でもある神崎。
 奥付を見ると、雑誌掲載は1981年〜になっている。今から、約20年前。そのころ日本のダンス業界はお寒かった。(今でも決して明るくないが)
 神崎は(当時の)日本にない「踊れる」ダンス・チームを作るために愛子他のメンバーを集め、そして自分はさっさとNYに帰ってしまう。(私がまとめているあらすじなので、まあ、テキトーに読んで下さい) 
 残された愛子たちメンバーは、バイトをして夏休みにNYDCのレッスンを受けに行く。愛子はNYDCのスカラシップ(奨学生資格)を取って帰ってきてしまう。その後、日本のコンクールで賞を取り、NYDCに留学して、試験を受けて団員に合格してしまうのだっ。
 そして、団員として海外公演(アメリカのダンスカンパニーだから、ロンドンとかパリとか)に行ってしまうのだ。(愛子はともかくとしても、チーム・メイトの慎ちゃんなんて踊りの基礎が全然ナシで、愛子と同じような道をたどるのだ。すげえぞ)
 さあ、どうだっ。これがたかだか1年の間に起こる出来事なんだぞっ。

この間、笑いあり、涙あり、友情あり、親子の愛情あり、ザセツあり、成功あり。昔の少女マンガのスピード感って、ものすごいものがある。
 だから、漫画文庫の2冊の中にぎゅうぎゅうと物語が詰まっていて、私は何度も何度も読み返してしまったのだった。
 80年代のはじめ。まだ、普通の高校生が旅行でNYに行くのも大変だった時代。あれからずいぶん時代は変わって、作品の中で「40万くらい」といわれていたNYへの往復航空券もずいぶん安くなった。ダンス留学する日本人だって、海外のバレエ団の正式な団員になる日本人だって増えている。
 それでも、踊ってる人のパッションは変わらないんじゃないかなあ、なんて思う。


2002/11/7

 新刊と間違えて『原獣文書』(なるしまゆり/新書館WINGS COMICS)の6巻を買っちゃったよ。どなたか必要な方はいらっしゃいませんか?
 しかし、なるしまゆりは現在活躍中のマンガ家さんで、最もネームが上手い中の1人だと思う。(なんか英語的表現だな〜(笑)。でも、No.1がひとりだけの世界じゃないし)

 話変わって、お向かいに座る後輩に
「日本国民じゃないっ」
と、言われたことがある。
 それはなぜかというと、私が『北の国から』を見ていないから。
 ……だって〜、最初の連ドラの時から見ていなかったんだもん。ああいうのは、今までの蓄積があって初めて面白いんだって。
 それで、その話をライターKさんにしたら、しばらく『北の国から』の魅力を語ってくれた。
 Kさんによると、登場人物がTVを見る私達と同じ早さで年を取るのがひとつ。もうひとつが「登場人物がブレない」ということだった。
 よく、ドラマの最終回でイキナリいいヤツになってしまうキャラがいるでしょう? ああいったことが、『北の国から』の中ではないのだそうだ。「悪いやつではないが性格が弱くてふんばりがきかない」というキャラなら、その性格から豹変することはないのだという。
 当たり前のようだが、これだけ長い間続いているドラマの中で性格設定がそれだけしっかりしているのは、スゴイことだ。
 時が移ると色々なものが変わる。
 演じている役者さんも変わるし、ドラマ制作が置かれている環境だって変わる。なにより、本を書いている脚本家が変わっていく。
 そういう中で当初の設定を保つのは、大変だったり息苦しくなったりしないのか。

 まあ、同じようなことをマンガの長期連載についても思うわけで。
 当初の設定や、更には話さえどんどん変わっていくマンガが多い中で、「ブレない」(または、それを読者に気がつかせない)なるしまゆり、という作家さんはえらいと思う。


2002/11/6

 『ななつのこ』(加納朋子/創元推理文庫)読了。
 入れ子の形式になっている連作短編集。
 大学生の駒子は、表紙に惹かれて連作短編集『ななつのこ』を手に取る。初めて出したファンレターに、作家の綾乃さんから返事が来る。駒子の日常の不思議な出来事を綴った手紙の返事には、謎解きがされていて……。
 と、いう話。
 駒子の身の回りに起こる出来事と、駒子が読んでいる『ななつのこ』の話がシンクロしていて、読者は2つの物語を同時に読めるようなつくりになっている。第3回鮎川哲也賞受賞作。
 鮎川哲也賞、日常の謎、連作短編……となると、どうしても比べてしまうのが北村薫の『空飛ぶ馬』。
 文章の形態も主人公の一人称と、非常に近い世界でいながら決定的に違うところがひとつある。  加納朋子には北村薫の「毒」がない。
 「日常の謎」といわれながら、人がぼこぼこ死ぬ物語よりたまにヘヴィなのが、北村薫の「円紫さんとわたし」シリーズだ。でも、その毒こそ物語を鮮やかにするスパイスなのだと、今さらながらに気がついた。
 あんこに塩をちょっと入れると甘味が増すように、補色をちょっと入れると画面が印象的になるように、少年ジャンプの主人公が耐えに耐えて最後に爆発するように。(最後のはちょっと違うか)
 まあ、でも、逆に重々しい気持ちにならずに読めるのがこちら、という言い方もできる。現に私は寝る前のナイトキャップ代わりに毎日1話ずつ読んでいたくらいだ。

 ……なんか、今日は書評っぽいな。でも、読み返すと『ななつのこ』の感想じゃないじゃん。


2002/11/5

 そういや、先週末は近所でアイルランド・フェアをやっていて、コンサートをやったり、物産展をやっていた。
 私が物産展を見ていると、近くにた小学校低学年の女の子を連れたお母さんがいた。
 お母さん、子供に
「アイルランドって知ってる?」
と、聞いている。
 子供はすらっと答えた。
「知っているよう。イギリスのすぐそばでしょ?」。
 オレは今モーレツに感動しているっ。……じゃなくて、本当に感心した。
 地理に疎い私が、この小学生(しかも見るからに低学年)以上にソフィースケイテッドされた答えができるだろうか。いや、できない。(←反語表現)
 アイルランドとイギリスの関係を2時間で理解しようと「パトリオット・ゲーム」を観たけど、よくわからなかったしな〜。


2002/11/4

 もしかして、私はこの会場で一番のデブ?
 と、思ったのが、徒歩圏内だったので散歩がてら行ったチャコットのセール。来てる人、来てる人、頭は小さいし、スタイルはいいし(胸があるとは限らないが)、姿勢もいい。
 チャコットはダンスグッズのメーカーなので色々なダンス用品が売っていて、ソシアルやフラメンコのコーナーもある。ソシアルだけ、年齢層がちょっと高め。でも、その50代とか60代の方々さえ、ナイスなプロポーションなんだねえ。あははははは。(遠い目)
 靴下と部屋着用にストリートっぽいパンツを購入。立体裁断のダンス用で、試しに思いっきり足を蹴り上げてみたけど、全然余裕だった♪
 こういうのが欲しかったんだよね。

 夕方から三越の巨人優勝セールに行く。(妹から電話があったので)
 今回、敷布団カバーの替えと、2枚がさねガーゼの毛布カバーを買いました。相変わらず、寝具にしか金を使ってないワタクシ。
 だって、私が悪いんだけど管理費が4ヶ月いっぺんに引落しになって、貧乏なんだもん。


2002/11/3

アトランティスのこころ  実はちょっと前に"HEARTS IN ATLANTIS"をビデオで見たのだが、例によって字幕がなかったので、内容がさっぱりわからなかった。今まで、英語がわかって見ていたわけではないことが判明。私は不思議な力で内容を理解していたらしい。(←うそつけ)
 この話はそんな不思議な力を持つ老人と知り合った少年の物語……って、別に字幕なしに内容がわかる能力じゃないけどさあ(笑)。
 とにかく、話がよくわからなかったので原作を読んでみた。『アトランティスのこころ(上)』(スティーヴン・キング、白石朗訳/新潮文庫)。
 上、ということは下巻もあるわけで、実はそんな大河ドラマだったのね。
 内容は文庫の裏表紙から……と、思ったら、よくわからない文章なので、映画のプレスから拝借しよう。(一部変更しました)

 ボビーは、母リズと2人で暮らしている。11歳の誕生日のリズからのプレゼントは、図書館の貸し出しカードだった。ボビーは自転車の欲しいのに。母は自分が着る最新流行のドレスにはいくらでもお金をつぎ込んでいるのに。
 そんなボビーの毎日に、一人の老人が現れる。彼の名はテッド・ブローティガン。2人の住む家の2階に下宿することになった彼は、どこか謎めいた男だった。落ち着いた声でゆっくりと話し、驚くほど知的な彼は、ある日ボビーに言う。「きみに頼みたい仕事があるんだ。もしかして自転車を買えるかもしれないよ」 と。テッ ドが週1ドルでボビーに与えた仕事は、目の悪くなった自分の代わりに新聞を読むこと。そして「よく周りを見て、感覚を鋭敏にしておく」ことだった。

 このテッドを演じるのががアンソニー・ホプキンス。
 映画だと、吐き捨てるように「タダだからさ」と言われていた図書館のカードだが、原作では結構ボビーに喜ばれている。ボビーは読書少年で、その大人の本への極上の案内をしてくれる男……というのが、原作のテッドの役割なわけっすね。
 出てくる本がシマックの『太陽をめぐる輪』だったり、一緒に見に行く映画が『光る眼』だったりするので、「アナタはSFオタですか?」とテッドに言いたくなるのがご愛嬌。
 テッドの言葉は、たぶんスティーブン・キングの「書く姿勢」なんだろうなあ。キングの少年時代が投影された作品、というのは本当だと思う。実際にキングにテッド的な人がいたかどうかはわからないし、何人かの合体なのかもしれないけれど。
 『スタンド・バイ・ミー』を読んだとき、胸の痛い少年時代のアンコールを感じた。過ぎ去った少年時代を語るキングの語り口は、いつもとても感傷的だ。
 ちょっとだけ文章を引用しとこう。ボビーが観覧車のてっぺんでファースト・キスをするくだりね。

 ボビーとっても正真正銘のファーストキスだったし、押しあてられたキャロルの唇の感触は忘れられそうになかった――乾いていて、なめらかで、日ざしの温もりをたたえていた唇の感触は。それは一生を通じてほかのキスの良否を判断する基準となるようなキス、おなじようなキスを求めつづける目標となるようなキスだった。

 下巻を読むのは、ちょっと休んでから。
 京極夏彦とは違った意味で、内容がみっしりした作家だわ(笑)、キングって。


2002/11/2

前菜盛り合わせ。画面左手から時計回りに、カポナータ、白身魚をフライにしてマリネしたもの、ナスのマリネ、牛の心臓、ひよこ豆の煮込み、で、中央がトマトにご飯を詰めて蒸したもの  れおんさんの誕生会を兼ねて、真柴さん、猫宮さんと4人でお食事。
 高輪に少し前にオープンしたダノイ・アルテリというイタリアンを予約した。食の不毛地帯品川では期待の店だ。
 その後、うちに来てもらって人生ゲーム大会。
 そういえば、真柴さんが暖かい飲み物を飲みたいというので、この日、引っ越してから初めてお湯を沸かしました。なんとなく人間らしい暮らしに近づいた1日。


2002/11/1

 昨日、久しぶりに落語を聞きに行った。微妙に仕事がらみ。
 会場は深川江戸資料館の小劇場というところで、この博物館は江戸の長屋が実物大で再現してあるので有名だ。
 ……と、書いておきながら、博物館には行ったことがない。時代劇ファンのくせに片手落ちのような(笑)。
 ともあれ、小劇場も江戸の小屋のイメージを大事にしたデザインらしい。白壁に木枠が印象的なデザイン。300名収容のキャパの割にものすごく天井が高い。こんな天井の高い小屋は江戸にはなかったろうなあ。
 見取り図を見ると母子室なんていうのもあった。後方に前面がガラス窓になった個室で、舞台の音はスピーカーで個室内で聞けるようだ。子供がいるお母さんと、子供がコンサートホールにいるのが嫌いな人と、両方にっこり出来る施設はいい感じだ。

 さて、今夜の出演は、落語・桂小文治、ボードビル・小野栄一、落語・三遊亭圓橘、浪曲・澤孝子、落語・春風亭柳昇、といった顔ぶれ。
 私はボードビリアンの終わりのあたりから入場した。会社の人に会わないようこっそり立ち見。会場が明るいので、あんまりこっそりも出来ないのだが。  いつも思うけど、演芸の会場ってどうして客席も明るいんだろうね。大道芸のなごりかしら?  さすがにめったに聞かない浪曲を、白照明の中で25分も聞くのは辛い。(客電が落ちていたら、間違いなく寝ていた)

 でも、さすがにオチの春風亭柳昇は面白い。
「古くなるってぇのはいけません。古くなってありがたがられるのはワインだけです」
と、サワリで言っていたが、老練の話術はなかなか。
 大正9年の生まれだそうで、確かにこの機会を逃したらもう見られなそうな、こう3大テノール豪華競演なんかの「二度と見られないかもしれない舞台!」とはちょーっと違う危機感もあるんですが(笑)。年末の歌舞伎座なんかにも、同様の危機感が漂うことがありますね、はい。



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