店主の読書日記 AUG2002 タイトルリスト 作家別リスト

2002/8/31

 本日はプロオフ。
 ちょっと色々普段出来ないこと(銀行に行くとか……)を片付けていたら第一部の終了間際になった。扉の影から花束贈呈を見守る。
 私が初参加したのは、えーっと(過去の日記を見ている)去年の9月。セプテンバーイレブンの9月か!
 あれから自分を取り巻く状況はずいぶん変わったと思う。
 ものを書く姿勢もとっても変わった。
 kさん、涼風さん、どうもありがとうございました。このオフで知り合ったたくさんの方々にも。皆さんから吸収したものがどれだけ身になっているかはわからないのだけれど。
 恩返しは作品で……できたらいいなあと、じっと手を見る残業中のリオハであった。


2002/8/29

 久しぶりにラストで泣いた本『緋色の皇女アンナ』(トレーシー・バレット、山内智恵子訳/徳間書店)読了。
 物語の舞台は11世紀ビサンチン帝国。皇帝の初子で後取りとして生まれた皇女アンナ・コムネナが本編の主人公。
 緋色の皇女というのは、皇帝の正式な子供が生まれる部屋。緋色の布を張りめぐらした産室のことを言う。(外国の使節が来たときには「緋色に生まれし皇女・アンナです」と紹介するのね。かっこいい!)
 この主人公が、わがままで鼻が高くて、とってもいけすかない(笑)。弟が生まれた時なんて、ゆりかごの中の赤ん坊を見て「殺してやりたい」とか、思うんですぜ。
 それでもこの物語が面白いのは、登場人物の圧倒的な人間くささ。主人公の母と祖母(アンナ・ダラセナ)の間には一筋縄ではいかない確執があるし、その確執の間に挟まれてアンナは祖母を憎み始める。祖母はそんなアンナを帝国の後継者の座から引きずりおろそうと画策する……。
 どうだ。これで児童文学だぞ!(笑)
 舞台をビサンチンの宮廷から現代に変えてもいけそうだ。

 小さなイナカのホテルを経営するコムネナ一族は、アレクシオスという優秀な経営者を輩出し、ぐんぐん大きなホテル・チェーンへと成長していく。対して伝統あるホテルチェーン"ドゥーセス"は、近年経営に苦しんでいた。コムネナは、ブランド名と所有のホテルを、アレクシスと総帥の娘の政略結婚という形で手にい入れる。
 ふたりの間に生まれた、アンナは後継者として何一つ不自由なく育つ。
 勝気で才気煥発なアンナの人生に影が差し始めたのは、7才の時、弟のヨハネスが生まれた時だった……。

 うん、いけそうだな(笑)。
 主人公アンナは本当にいけすかないチビだが、読んでいるうちにだんだんそれが気にならなくなってしまう。物語はアンナが自分で書いた半生記みたいな体裁を取っていて、書き方は実に正直である。奴隷を見下すあたりも、身分や服装の自慢もきちんとしている。焼け付くような憎しみも正直に書く。
 だから後半、私はこの小生意気なちび(既に物語り後半では17才だけれど)が好きになった。
 ちっとも教育的でも道徳的でもないが、とっても面白い児童書だと思う。


2002/8/27

 紹介したからと言って「きゃー、私も読む〜」とならなさそうな本、『イギリスの家具』(ジョン・ブライ、小泉和子訳/西村書店)を読了。
 なにしろ、タイトルが地味。本が地味。発行出版社もなんか地味。(←失礼な)
 でも、たぶん、もしかしたら貴重。イギリス家具の歴史について懇切丁寧に説明した日本語本は、あまりないのではないのだろうか。イギリスの家具は○○様式と、○○の中に王様や女王さまの名前が入るのが普通で(例:クイーン・アン様式)、その為政者の性格なんかもからめつつ語ってくれるのだ。
 例えば、アン女王(在位1702-14)はマジメで優しいお人柄だったらしい。彼女の名前のついた様式の代表的なものは猫足。軽やかで優しい女性らしいラインのものだ。
 著者はサザビーズに4年勤めたキャリアの持ち主。この本は、研究書ではなく、アンティーク家具を本気で集めようと思ったコレクター向けガイドといったところだろう。(それにしては図版があまりキレイでないと思うぞ)
 とりあえず瑣末な知識は色々増えたので、これはこれでネタになるかもしれない。

 豪華なイギリスアンティーク家具に囲まれた中で起こった殺人。そこに現われたのはミステリの大好きな家具店店主、人呼んで「アンティーク家具探偵」だった……とか。
 ……なんだか、既に書かれてそうだな〜(笑)。


2002/8/26

 ちょっと前に有楽町のsofmapで、PS2のゲームのデモムービーを流していた。面白かったので見ていたら、立ち止まって見る人が増えて、なにやら人垣が(笑)。
 その話題作は、「
悪代官」。
 主人公「あなた」は悪代官。悪徳商人から黄金色のお菓子をもらい、町娘をさらってクルクル「お代官さま、おやめください」をする、素敵な悪代官ライフを満喫中。そんな幸せな生活を邪魔する憎っくき敵・正義の味方をバッタバッタとなぎ倒すのだ!
 ……という設定。
 考えたな。
 やっぱり、男の夢といえば悪代官であろう。桃太郎侍になりたいって人は聞いたことがないが、悪代官になって大和屋と屋形船でちょいと色っぽい芸妓に酒を注がれながら密談をしたい気持ちになった人は多いはずだ。(町娘の帯回しについては、言うまでもない)
 ステージをクリアしていくごとに、悪代官生活を充実させるミニゲームが楽しめるようになるらしい。

 1.「ザ・帯回し」
 2.「ザ・乱心斬り」
 3.「ザ・天井突き」

 2なんて、すごいぞ。舞台は江戸城松の廊下。自動スクロールする松の廊下を進み、向かってくる大名や幕閣を片っ端から斬りすてる。「150人以上倒すことができれば悪の勝利だ」。
 いや、ミニゲームの結果というより、こういうゲームが発売されること自体が悪の勝利だ(笑)。

 ところで、このゲームにはイベントムービーが挿入されている。公式HPには「著名な『悪代官』俳優達による」とあるのだが、この著名はどこにかかるのだろう。著名な「悪代官」……っていうのは記憶にないし、著名な「俳優」でもない気がする。と、すると著名な「悪代官俳優」ということになる。
 著名な「悪代官俳優」ってアナタ。
 「二枚目俳優」や「性格俳優」という熟語はあるが、「悪代官俳優」とは〜。
 しかし、ここで悪代官HPを探すために検索をかけていた私はあるHPにたどりついた。
 アルフレックス。アクションフィギュアを製作し、販売してる会社である。
 なんとここから、名悪代官俳優・川合伸旺さんのフィギュアが発売されているではないか。しかも、悪役シリーズとしては第1弾。と、いうことは、以下続々「悪代官俳優」フィギュアが発売される可能性もあり!
 悪代官ファンにはたまらないニュースだろう。さあ、全国の悪代官ファンの皆様……って、いつから悪代官ファンむけの文章に?(笑)


2002/8/25

 結局、カーテンはオーダー枚数を減らしたり、色々差替えてオーダーした。それでもまだ高価なカーテンは、昨日無事到着した。
 半分以下の値段のくせに、出してから2週間経った今も届かないTVは今どこに……?

 せっかく引越ししたので(何もないけどさ)、相模原美人3姉妹に遊びに来ていただいた。
 遊びに来てもらったはずなのに、猫宮さんにかけてもらう。れおんさんと、私が下から応援。すっかり手伝ってもらっちゃってありがとうございます。>猫宮さん
 私は実家から出動だったため、大荷物で合流。
 だって、だってさ。うちってTVがないんですもの。娯楽のひとつもないって、やっぱり申し訳ないじゃん。そんなわけで、うちから「
人生ゲーム」を抱えてきたのだ。
 子供の頃に買ってもらったもので、もう箱もあっちこっちがボロボロ。ルーレットの回りもあまりよくない。(これは買ったころからよくなかった) でも、コマもお札もほとんどなくなっていない。
 久々にやったけれど、結構おもしろかった。ボードゲームってバカにしたもんでもないなあ。
 夕方、真柴さんが合流。
 駅まで迎えに行って、そのまま駅前の盆踊り会場でプチ宴会。東京ドームのようにタンクを抱えたお兄さんが会場を回ってくれるという、ビール飲みには素敵な盆踊りでした(笑)。
 しばらく涼みながら食べて飲んで、うちに帰って、また人生ゲーム。
 もう、みんな人生ゲームフリークなんだからあ(笑)。
 ……。
 …………。
 ……もしかして、私か? 私が人生ゲームに取りつかれているのかっ!?(笑)


2002/8/24

 えーと、引っ越しました。
 つーか、引っ越してます。
 先月の25日に鍵をもらったくせに、まだ引越しができない体たらく。あああ、きちんと引っ越すヒマがないんだよう、ようよう(涙)。
 ……。
 ……このパターン、どこかで見たような気がするな。人間、それほど進歩がないってことか。

 とりあえず、カーテンを買いに行く時間がなかったので(いや、あるといえばあるけど夜の11時過ぎに開いているインテリアショップはあまりない)、カーテンがないまま3週間。乙女の部屋とも思えない。
 一応、一番大きな窓に、前のマンションで使っていたカーテンを間に合わせにかけていたが、長さが合ってないので下から50cmは開いててマヌケである。
 それでも、ないよりゃマシ。
 カーテンなしには風呂上りに裸でウロウロすることもままならない。(←乙女のセリフ) カーテンさえかけておけば、ゴザにビーチタオルをかけて寝ても外からは見えまい。(←フトンを運ぶ余裕がなかった)
 仕方がない。オーダーだ。そう、オーダーカーテンである。長さが244cmという素敵な丈のため、どうしてもオーダーになるのだ。
 知ってる人は知っていると思うが、オーダーカーテンは高い。いっそのこと、既成のカーテンの丈に合わせてカーテンレールを取りつけようと思ったくらいだ。しかし、やむを得ない。何はなくとも乙女の部屋だ。(←しつこい) いつまでもカーテンなしはマズイだろう。
 涙を飲んでをオーダー。
 ジアスのF原さんが採寸に来てくれた。きびきびとした女性でいい感じである。
 計り終わって伝票を切ってくれた。
 メーカーはサンゲツ。カタログより50%オフである。
 表地、レース、3窓……。F原さんの手できびきびと伝票が切られる。
「はい、どうぞ」
 複写のお客様控えが渡された。
 私は、切ってもらった伝票を見て突っ伏した。(←実話)
 さあ、皆さん。心の準備はいいですか?
 ……5窓で30万8千円也。
 ちなみに50%オフした後の値段である。
 ……。
 ……しかし、なにはなくとも乙女の……くっ。

 今日も、私はカーテンのために働いている。


2002/8/23

 銀座で打ち合わせ。出産のためお休みだったKさんと、2ヶ月ぶりにお目にかかる。
 出産祝いのご希望は絵本だった。ので、I田さんと共同で、(私のおすすめ)「リサとガスパール」のシリーズを何冊か差し上げる。
 購入した天王洲のABC(青山ブックセンター)は、なんと翌日、土曜日で閉店であった……。
 次々店が閉店していくが大丈夫なのか、天王洲! 薬局は7月末で閉店した。ドラッグストア・ジャンキーと呼ばれた私にはツライ閉店であった。この上、書店まで……(涙)。
 差し上げた絵本は喜んでいただけたようで、ほっ。
「いつか一緒に読める日が来るんでしょうかね〜」
と、Kさんは、やや遠い目になっていた。
 大丈夫ですよ、Kさん。そのうち、イヤだっていっても何回も何回も何回も読まされますから。そういうもんよ、子供って。

 Kさんの出産話に、I田さんが青ざめる。
 痛い系のお話がダメのようだ。Kさんも痛みに弱いそうだが、弱いゆえにその痛さの描写が克明を極める。うーん、さすがライター。言葉選びが的確である。
 I田さんの血がどんどん下がっていくようなので、フォローのため、同期Y田の話をする。
「大丈夫ですよ。Y田なんて、分娩台から携帯メール打って来ましたから」
 いや、さすがに分娩台からは打ってないだろうが、それくらい早かったぞ。出産自己申告メール。


2002/8/22

 そういえば最近、食べ物関係の本を読んでいない。
 と、いうことで読んだのが『お菓子の話』(やまがたひろゆき/新潮文庫)。これがずいぶんアカデミックな本でした。
 1Pに1お菓子。名前の由来、来歴が書いてある。まるで、お菓子辞典のよう。
 資料価値はとっても高いが、読書として楽しいかというと別もんである。
 だってさ、見たことも食べたこともないお菓子のこぼれ話とか聞いて楽しいか?(笑)
 だからフランス菓子の前半が終わって、和菓子に入った後半から俄然面白くなる。やっぱり、ある程度想像力がないと、読書って楽しくないんだねえ。フランス語の菓子の名前とか羅列されても楽しくないもん。
 でも、現物を知っていて、マブタに浮かぶものがあると、ちょいと違う。
 たとえば羊羹。
 夏目漱石の文章が引用されているんだが、これが名文。

余は凡ての菓子のうちで尤も羊羹が好(すき)だ。別段食ひたくはないが、あの肌合いが滑らかに、緻密に、しかも半透明に光線を受ける具合は、どう見ても一個の美術品だ。ことに青味を帯びた練り上げ方は、玉とろう席の雑種の様で、甚だ見て心持ちがいい。のみならず青磁の皿に盛られた青い練羊羹は、青磁のなかから今生まれた様につやつやして、思はず手を出して撫でて見たくなる。西洋の菓子でこれ程快感快感を与へるものは一つもない。

 うーん。人間の想像力を刺激する文章だなあ。ちょっとなまめかしい雰囲気もあって、私はこの抜書きを読んで、はじめて夏目漱石の才能を実感したぞ!(笑) お札の顔にもなっている文豪なのに(笑)。


2002/8/21

 本日は歓送迎納涼部内レク兼月例部会。(←みんな忙しいので色々兼ねまくっている)
 座席が2つにわかれていたら、「せっかくだから一緒に」という部長の主張で大きなテーブル(10人掛けのダイニングテーブルくらい)につめあって20人ちょいが座った。肩が触れ合うどこでなく、ぴったり寄りそう感じ。落ち着いて見まわすと、なんとなくどこかで見た光景な気がする。
 そう、カルピス劇場とか名作劇場かなにかで……。
 ……。
 ……子沢山で貧乏な家庭の食事風景……。

 20000hit記念のパタパタまんがで、友人が某商品を競り落としたことをネタにした。
 案外、たくさんの人がオンエアを見ていたというのに驚く。そういえば、テレビって結構人に見られているんだよね。
 実は私、テレ朝で昔放映していた「OH!エルくらぶ」という番組に行ったことがある。もちろん、OLさんとしてである。グループで1回、弊社で1回。(うちの会社は、タダで宣伝をできる機会が大好きだ)
 その時、誰にも何にもいわなかったのに、
「リオハ(仮名)ちゃん、テレビ見たわよ」
と、何人からか言われた。
 だって、だってですよ。
 土曜日の午前放映だし、映っているのだってツヨシくんの後の背景の一角として映ってるだけですよ!(放映を見てないけど)
 ……みんなすごいなあ。主役の顔さえ、時として覚えられない私には大びっくりなのだった。


2002/8/20

 『ルネサンスの高級娼婦』(ポール・ラリヴァイユ、森田義之ほか訳/平凡社)読了。
 資料本として読んだのだが、何の資料なんだろう、いったい(笑)。
 ルネサンスの時代、ローマの女の10人に1人は娼婦だったという。その時代の娼婦についてはもちろん、中世の習慣や風俗の面白い資料としても読める。(中世資料本のラインナップに上がっていることも多い)
 しかし、本当に面白いのは実は娼婦の手練手管のくだり。と、いっても、寝室のテクニック〜♪というやつではなく、いかに客を騙して金を吸い上げるか。
 ここいら、大して現代と変わらない。人類のボンノーって、本当に変わらないよなー。さすが「最古の職業」といわれるくらいだよなー、と、思ったりする。
 ルネサンスが娼婦の黄金時代だったというのは伝説だが、無視できない真実でもあるようだ。ルネサンスの経済を支えていたのは、娼婦だともいわれる。老後の不安から、娼婦は蓄財にはげみ、その経済効果が大銀行家を輩出し、そのような大金持ちが芸術のパトロンとなった。
 15%はお姫さまのような生活をしていた、という資料もある。
 ここいら、もしかしたら江戸の吉原の太夫と似た感じなのかもしれないなあ。表面は華やかでも、実際はツライ職業ということも変わらないようだし。


2002/8/19

 近所に児童センターがある。
 ドアに貼ってあった予定表を見ると、夏休みだけあって企画が目白押しのようだ。

 8月X日 おおの名人の囲碁教室
 8月X日 みやこ流剣術うでだめし大会
 8月X日 土谷亭の豆腐作り体験

 ……。
 …………児童センターだよな、ここ。
 なんとなく、人手と予算の関係で、思いっきりボランティアのご好意に頼ってる企画な気がするのは気のせいだろうか。リタイヤしてるシルバー世代なら、時間もあるだろうしなー。
 でも、豆腐作り体験はちょっとやってみたいかも。参加費500円だし。
 大人の参加はダメですか?(笑)


2002/8/18

 母が「追想」を見たいというので、妹がビデオを借りてきた。
 なんとなく舞台がNYに見える。そうだっけ? 確か、最初はドイツの橋から始まるんだよね?
 イングリッド・バーグマンがなかなか出て来ないなあ。バーのシーン。こんなのあったっけ? 白い軍服を着ている居眠りをする男性のアップ。とても素敵。若い頃のロバート・レッドフォードって、本当にハンサムだったんだなあ。
 ……。
 …………。
 ちょっと待て。「追想」にレッドフォードなんて出てないぞ?
 そう、妹の借りてきたビデオは「追憶」だった。
 「
追想」と「追憶」。確かに似てる。(漢字も似てる)
 そういや、2文字の映画タイトルって昔は多かった。
 「慕情」、「旅情」、「旅愁」、「哀愁」、「離愁」、(←何がなんだかわかりにくいシリーズ)、「家路」、「卒業」、「裏窓」(原題直訳)、「十戒」(宗教用語だ)、「激流」(これは割と最近の作品)、「激突!」(!マークがついてる時点で2文字じゃないかも)……。
 漢字二文字でこれだけバリエーションがあるなら、ディック・フランシスも当分困るまい。いや、日本語タイトルは、フランシスがつけているんじゃないだろうけどさあ(笑)。

*ディック・フランシス……早川から出ている競馬シリーズで有名な作家。同シリーズの日本語タイトルは「大穴」「血統」「本命」と、必ず漢字二文字。次回作のタイトルが何になるか、ミステリファンの間では恒例トトカルチョが行われ……ているかは不明。


2002/8/16

 猫宮さんに誘っていただいて、観劇に行く。
 劇団・しゅーくりー夢の「わが魂よ、正義のためなのだ!」。
 お芝居を見て、その後、猫宮さんとれおんさんとご飯を食べる。
 最近、プライベート部分は寝てるか意識がないかなので、
「仕事帰りに友達とお芝居見て、ごはん食べるなんて夢みたい〜」
と、素直な感動を口にする。
「夢!」
と、思いっきり、れおんさんにつっこまれた。
 だ、だって、アフター5なんて久しぶりだったんだもーん。
 すごくリフレッシュした感じ。ありがとうございました、猫宮さん。

 しかし、私、お芝居鑑賞後のアンケートって初めて書いたよ。住所も本名も書いて……いながら、結構キビシイことを書いてしまったのはなぜ〜(笑)。
 いえ、面白かったんですよ、お芝居は。
 でも、きっと感想って次回作のための貴重なご意見だからさ。同じように感想をいただく立場として、私なら身になる意見が欲しいのよ。誉めてもうらうのは大好きだけど(笑)。


2002/8/15

 久しぶりに7時過ぎに会社を出た。仕事関係のメシのセッティングがあったせい。
 リバーサイドのテラス席、という雰囲気がある場所だったけど、この季節は暑いね。雰囲気を出すキャンドルの炎でさえ暑い。
 その店はウーロン茶を出さないくらい、アメリカっぽい雰囲気にこだわりがある。確かに天井は高いし、外人客も多い。
 しかし、テラス席の私達の横を走っていくのは、ぼんぼりも美しい屋形船なのだった……。

 前々から見たいと思っていて、やっと見られた海外ドラマ『ローン・ガンメン』。
 「あのX-ファイルの人気脇役が主役になったスピンオフ番組!」と、FOXは番組紹介で謳っていたけれど、spinoffってなんじゃい。

 spinoff……有効な副産物。波及効果。

 なるほど、副産物って意味なのね。ヨーグルトを作る時の乳清みたいなものか?
 とにかく、この番組はX-ファイルが母体。X-ファイルのエピソードで、1989年のコンピューター・ショーというシチュエーションで登場する。F.B.I.特別捜査官フォックス・モルダーが追っていたある事件に協力したのがチーム結成……だったそうだ。(←私はX-ファイルを見ていないので、このエピソードも見ていない)
 メンバーは、バイヤーズ、フロハイキー、ラングリーの3人で、宇宙人と政府の謀略説を支持し、地下新聞を発行している。(紙名が「The lone gunman」) こういう3名が主人公となり、日曜日のゴールデンタイムに放映されるあたり、アメリカってオタク大国なんだろうなあ。
 日本はそれほどさばけていないので、放映はケーブルかBS。FOXで月曜(バリバリの平日)夜11:00から放映されている。夜の11:00ですよ、お客さんっ。それなのに、月曜だからかちっとも11時までに帰れず、毎週「来週こそは……」と、誓いを新たにしていたのだった。(←おおげさ)
 そこまで気合を入れて見た割に、ドラマの出来は小粒、という感じ。
 ただ、制作費、1話1億5000万円のX-ファイルと比べてはいけないと思う。母体のことは忘れて、オタクな3人組による21世紀版「特攻野郎Aチーム」くらいに思っとかないと。
 今回のエピソードは、ローンガンメンの元に届いた音声ファイル添付付きのメールからはじまる。
 「政府に捕われて脳を改造されている。脱出に協力してほしい」。
 このメールの発信者は、なんとチンパンジー。このおサル、メンバーと話すのに音声変換システムをダウンロードして、素晴らしい早さでタイピングして会話する。(たぶん……絶対……私より頭がいいと思う……) 彼はある目的のためにローンガンメンを利用するのだが……。
 内容はあくまでも小粒。深刻なテーマもなく、陰鬱なラストもない。だからこそ、月曜日の仕事帰りの深夜、ぼーっと見るのには大変ぴったりな気もする。私はけっこう好き。


2002/8/14

 クロネコさんからお手紙着いた♪クロネコさんたら読まずに食べた♪
 ……。
 ホント食ったんじゃねーか?
 ……と、いうくらい荷物が来ない。
 電話をかけたら、「やっぱり、見つからないんですよね」。
 ……ああ、私のステレオフラットテレビ〜(涙)。食ったヤツ、出て来いっ。


2002/8/13

 1作目を読んで記憶を新たにしたところで、『シャーロック・ホームズの愛弟子・マリアの手紙』(ローリー・キング、山田久美子訳/集英社文庫)読了。
 愛弟子シリーズ第3弾。
 第2弾はどうしたのかって? ええ、発行当時に読了済み。個人的にはあまり……という出来だったので、再読するのはやめて(私にとっては)新作を読んでみた。2作目は、私に不評だっただけで、ネロ・ウルフ賞を受賞している。興味のある方は順番にどうぞ。
 さて、3作目。主人公のメアリはホームズと結婚して3年目。
 ……と、ここで驚いた人もいるかもしれない。
 そう、1915年に15歳で出会った主人公メアリは、40近く年の離れたホームズと結婚したのだ。
 なかなかゴーカイだぞ、ローリー・キング。思いついても、ホームズ・ファンが恐くてなかなか書けない離れ業の設定だ。勇気があるぞ、キング!
 そんなわけで、物語冒頭のメアリはホームズと暮らし始めて3年目の若奥様。そこに1作目で訪れたパレスチナで知り合った(と、いう設定の)イギリス人女性が訪れる。彼女がメアリに渡したものがいわくありげな美しい箱に入った手紙。この手紙がタイトルにもなっている問題の「マリアの手紙」なのだが、このマリアがただのマリアじゃない。
 聞いて驚け、マグダラのマリアだ!
 そして、この手紙をメアリに渡した日にその女性はロンドンで死んでしまう……。
 あやしいでしょ? 事件の匂いでしょ?
 と、いうのが本作の内容。私は2作目より、こっちの方がいいと思うなあ。

   ところで、2作目を再読しなかったので忘れてましたが(あとがきで紹介されていた)、愛弟子シリーズには公式サイトがある。"The Beekeeper's Holmes Page"(英語)。
 英語を読むのががめんどうくさければ、ファンの方が日本語に訳してくれているページもあり。興味がある方はどうぞ。


2002/8/12

 この日も、ほぼ1日寝ていました。
 以上。

 ……って、やっぱり面白くないか(笑)。
 さっそくだが、アンティーク家具についてちょっと検索してみた。やはり、アンティークの世界は奥が深い。わからない単語でいっぱいだ。
 入門としては
こことかここいらが参考になりそう。
 あと、家具ではないけれど、検索するうちに発見した「りんごの木」というHP。英国好きの管理人さんが、作っているページのよう。写真が多いので、そのうちゆっくり見に行ってみよう。(と、メモ代わりに書いておく(笑))
 百景をやってみて、背景をきちんと入れると情緒300%UPということがわかった。(←やるまでわからなかったのか、という意見も……)
 まだアンティークの家具を背景に描く根性はないけれど、せいぜい椅子あたりからチャレンジしてみよう。……そのうち……。


2002/8/11

 この日はほとんど寝てました。
 以上。

 ……え? 面白くない?(笑)
 じゃあ、最近注目のイラストレーターさんについてでも。
 月刊Newtype誌の連載、「
西村しのぶの神戸・元町"下山手ドレス"」を立ち読みしようとして(←買えよ←でも、連載は毎月1/2P。それだけのために買うのはあまりにも←いいわけは見苦しいぞ、リオハ)、ポスターが目に止まる。
 これが色合いといい、少女の配置といい、すごくアイキャッチして、密かに注目の人となったワケだ。 

 と、いうわけで買ってしまいました。PCゲーム『白詰草話』。
 私のアイキャッチをした大槍葦人さんが設立したメーカーのゲームで、原画も本人が買いている。(原作も本人)
 このゲームはFFD(Floating Frame Direcor System)という新システムを採用している。画面イメージはコミック。画面にコマがやってきて、フキダシが浮かんできて……という感じ。ページをめくるかわりにコマが走ってきてくれる……と言うとイメージしやすいだろうか。
 物語は24個目の染色体を持つ人造人間、エクストラをめぐるお話。エクストラの存在は、軍を巻き込み、色々な人間の運命を巻きこんで、やがてバベルの塔で結末を迎える……。
 この3体のエクストラ(エクストラはなぜかみんな少女体)がもうかわいくってかわいくって。主人公は津名川という科学者でエクストラの研究開発をしている。プレーヤーはこの津名川の選択肢を選んで行くわけなのだが、つい、いいお父さんになってしまうのですね。
 私がどんなにいいお父さんかというと、おかげで、いまだに物語のキモの「(エクストラの)少女が怒って家出」というところが見られないくらい。
 実は、これは18禁ゲームである。18禁のくせにH達成度(と、いうのを見られるモードがあるのよ)0%でクリアしてしまったという低鱈苦(←当て字)。いや、別に達成しなくてもいいんですけど(笑)。
 私はゲーマーではない。日頃、18禁はおろか、コンシュマーのゲームもあまり買わない。そんな私に買わせるとは、それだけでパワーがあるんだろう。
 音楽も40曲以上入っていて、なかなか素敵だった。しかし、音楽がついているって素晴らしい。
 物語的には多少つじつま合ってないところとか、放りっぱなしの謎とかあるんだけど、絵と音楽の力でスイスイ見れてしまうものなあ。
 もったいなかったのが、急いで見てしまったこと。
 ゲームスピードを0.5〜16倍まで変えられる機能がついていたので、時間もないし2倍速でやってしまいました。
 全10話で、1話ごとにオープニングとエンディングがついている。アニメ番組を見てる感じで1話30分見当。2倍速だから……3時間くらいでプレイしちゃったのか……。
 やっぱりもったいなかったな。
 エクストラのお嬢さん方のちょっとアナクロな衣装とか、素敵にアンティーク調のお部屋とか、ゆっくり味わった方が楽しかったのにねえ。
 ちょっと、影響されて少女を描きたいキモチがムラムラと(笑)。もろに影響された絵柄で、百景が更新になったら笑ってください。いえ、更新できない可能性の方が高いんだけどさ(笑)。

「白詰草話」(c)Littlewitch Inc
上記イメージはLittlewitch Inc.の許諾範囲内で掲載しております。無断転載はご遠慮ください。
 


2002/8/10

 その日、私はクロネコを待っていた。
 黒い猫ではなく、宅急便の方のクロネコである。
 待ち時間に『夏の夜会』(西澤保彦/光文社カッパノベルス)読了。
 タイトルからして、夏に読むのがふさわしかろうと、この季節まで読むのを待って……なんてことはなく、最近一般小説をほとんど読んでいなかったせい。

 主人公の見元(みもと)は、祖母の葬式に帰ったついでに小学校の同級生・包市(かねつつみ)と北朴木(きたほうき)の結婚式に出席する。他の同級生も招待されていて、小学校3、4年の頃の仲間と2次会、3次会へと流れていく。
 飲み屋で話題に上がったのが、かつて担任だったヒステリックな女教師のこと。見元は彼女がなぜか殺されていたと思い込んでいて、その話をすると同席していた指弘(いいず)や仮(おく)も驚く。あの夏の日、殺されたのは誰なのか。そもそも何があったのか。

 ……と、まあ、ほとんどが会話だけで成立している長編。
 過去の出来事についても、語られる人の記憶を元に各自のフィルターがかかっている。フィルターがかかっている以上、「本当のこと」ではない。
 ここいら、微妙でウマイ。
 なぜ、そういうフィルターをかけてしまったか、が、また謎ときの一種にもなっている。
 しかし、西澤保彦の登場人物の苗字は難しいぞ。紅白(いりまじり)なんて、ふりがなを振られないと、絶対読めないもんな。確か『完全無欠の名探偵』で「物語のファンタジィ性を高めるために珍しい苗字にした」とか、書いてあったが、難しすぎるのは逆効果では〜。

 で。
 クロネコはとうとう来なかった。
 ……おーいっ。


2002/8/9

 ちょっと前から読んでいるのが『MASTERキートン』(勝鹿北星原作、浦沢直樹画/小学館ビッグコミックス)。
 以前、ヨーロッパの紋章について調べていた時に(5月頃ですね)、高校の歴史の先生があるHPで「教材として『MASTERキートン』の6巻を使っている」と書いていたのだ。資料の孫引き状態で行きついたマンガだけれど、これが面白かった。

 主人公平賀=キートン・太一は考古学者にしてオプ。考古学者としては恵まれないが、調査員としては超一流。世界最古の保険会社ロイド保険の調査員として、ヨーロッパをまたにかけて活躍する。彼は、イギリス人の母とイギリス国籍を持ち、元SAS(英国特殊空挺部隊)のサバイバル教官の経歴を持つ。

 小学館では「知性派サスペンス」と謳っているが、社会派サスペンスの横顔もあり。東西ドイツの統一に関するエピソードや、 アイルランド問題なんかも取り上げられている。
 もちろん、私が読むきっかけとなった「歴史の縦糸もの」なんかも快調。問題の作品は6巻の第8話「アザミの紋章」で読める。 単なる知的パズルものでなく、人情ものに仕上がっているあたり、私好み。(ええ、「釣りバカ」ファンですから(笑))
 個人的には、第3巻の第1話『屋根の下の巴里』が好き。
 太一は娘の百合子に恩師の話をする。昔、レポートにひどい点数をつけられた時、恩師のユーリー・スコットが書庫の鍵を渡してくれる。
 太一は語る。
「来る日も来る日も書物に囲まれて、あんなに幸せな時間はなかった」
と。
 すごく基本的で、だからたまに忘れてしまったりする「知の喜び」について書かれた話。
 もちろん、私好みの人情物語もたっぷりブレンドされている。


2002/8/8

 本を買いに行けないので、再読モードに入る。『シャーロック・ホームズの愛弟子』(ローリー・キング、山田久美子訳/集英社文庫)。

    1915年、サセックスの丘陵。15歳のメアリ・ラッセルが出会ったのは、50代になったシャーロック・ホームズだった。

 もう、この出会いがいわゆる運命の出会いなのですね。
 早熟な秀才、メアリの知性を理解できるのはホームズだけ。ホームズの優れた思考パターンを完璧に理解できるのも、同じ能力があるメアリだけ。
 ふたりはパートナーとなる。年齢差も性差も越えて。
 主人公・メアリは、ホームズが認めるくらいの優れた知性を持ち、性格もひとくせある。一歩間違うとすごくヤなやつになりそうな気がするのだが、その辺も作者はソツがない。
 この作品を、よくある贋作ホームズの一種と思ってはいけない。単なるホームズ人気にあやかって出した本はたくさんあるが、そういった作品群とは100歩くらい離れた上出来! 
 私はローリー・キングによる、この新しいホームズ譚がすごく気に入っている。そして、それは主人公に感情移入しやすいからだろう、と、思っていた。
 でも、違う。よく考えると、メアリの目から見たホームズに惹かれているのだ。
 物語の主人公も時代につれて変化している。キングによるホームズは、ドイルが描くより、ぐっと現代的なヒーローに味付けされている。
 どんなホームズかは読んでのお楽しみ。
 あと、もうひとつ私がとても気に入っているのが、ワトソンの描かれ方。どうしてホームズはワトソンとずっと行動を共にしたのか。キングはその疑問に優しい解答を与えている。

 私と同じように、この物語に惹きつけられた人は多かったらしく、メアリとホームズの物語は、シリーズものとして続いている。
 メアリは年齢だけでなく、どんどん成長している。ひとりの女性の成長物語として読むのもアリかもしれない。


2002/8/7

 今日も、終バス(←会社前から出るやつ)に乗る為に通用口を駆け抜ける。
 守衛室の前を通る時に
「お疲れ様でーっすっ!」
と、挨拶すると、ユニゾンで
「お疲れ様です」
と、挨拶が返ってきた。
 私は聞いた。その声の中に、確かに
「いってらっしゃい!」
と、いう声があったことを。
 ……。
 ……お願いしますよ、守衛さんっ。
 そりゃ、家にいる時間より会社にいる時間の方がずっとずっと長いけどさ。まだ、会社に「住」んで自宅に「出勤」したくはない。
(でも、夜食を買いに行って(←同じビル内)、帰ってくるとき「おかえりなさい」と言ってくれるのはちょっと好き)


2002/8/6

 『桐原家の人々〈1〉恋愛遺伝学講座』(中公C・NOVELSファンタジア/茅田砂胡)読了。
 4巻を去年の個人ベスト10に入れた作品の1巻。
 なぜ、こちらの方が後に読んでいるかというと、3巻までが他社(角川)で出たものの再発だから。書き足しはあるものの、基本的に同じ作品だそうだ。(と、あとがきにも書いてあった)
 1〜3がコメディ。4巻はややマジメな外伝。
 お母さんらしくないお母さん、お姉さんらしくないお姉さん、お兄さんらしくないお兄さん。3つ子らしくない3つ子。
 すべてがらしくない家庭におけるホーム・コメディ。
 途中まで、割とありがちなシチュエーションから入り、途中で「あれ?」と思い、あとは怒涛のように飲み込まれていくのみ。
 この作者は本当に、普通でない人が普通でないシチュエーションで活躍する話がうまい。


2002/8/5

 家に帰り着いたら、NHK・BS2で「BSマンガ夜話」をやっていた。
 前は「トゥナイト」だったのになー。(←別に「トゥナイト」が見たいとか、最新風俗情報が知りたいっ、とか思っているわけで全然なく、11時台の帰宅が12時台になってしまったのを悲しんでいる。←なげーよ)
 私はこの番組は過去に一回だけ見た事があって、その時は一条ゆかりの「正しい恋愛のススメ」だった。
 と、書いても番組を見たことのない人は、なんだかわからないかもしれない。
 世の中にはNHKでなければ放映されないような番組というのが確かにあって、これもそのひとつだろう。
 地上波より視聴者が確実に少ないBS。しかも、夜中。しかも、不定期。そのくせ、調べてみて初めて知ったが、今回でこの番組は第23弾。何が人気なのだろう、と、思う。
 この番組はマンガを取り上げる。しかし、派手な再現フィルムも音楽もなし。ただ、コアなレギュラ陣が1時間、ひたすら取り上げたマンガについて語る。
 だいたい、取り上げるマンガからして今現在人気沸騰中の作品でなかったりする。今回の「マカロニほうれん荘」も連載は1977年〜1979年。

 しかし、今回の放送で一番おかしかったのは、「マカロニほうれん荘」が今も版を重ねているところのコメントだった。たった2年間。だけども、「マカロニ……」は今でも版を重ねつづけている。
「それって秋田書店ならではですよね」。
 ……いいのか……? NHKでそんな発言(笑)。
 そういえば、某H社の編集さんも某ホテルのラウンジで秋田書店の編集さんを見かけた話をして、
「秋(ピーッ)なんかが、ホテルのラウンジで宴会だぜ。おかしいと思ったんだよなあ」
と、言っていた。
 その差別感覚はなんだーーっ(笑)。
 しかし、秋田って版権を大事にしますよね。マンガ文庫を最初に当ててきたのも秋田だった気がする。商業主義なのかもしれないが、ただ絶版にするより形を変えて発行し続けてくれるほうが、読者にはよっぽどありがたい。


2002/8/4

 本日のビデオはCharlie's Angels。
 これは大当たりでした。私が飽きない98分というコンパクト(最近の映画にしては)な上映時間。キャッチーなストーリー、笑いあり、ロマンスあり。
 物語は70年代に大人気だったTVシリーズのリメイク。
 日本では『地上最強の美女たち! チャーリーズ・エンジェル』というタイトルで放映されていた。
 タウンゼント探偵社のオーナー、チャーリーは決して顔を見せない。彼の指令は電話で伝えられ、オフィスでは3人のいずれ劣らぬ美女たちが答える。
「グッド・モーニング、チャーリー!」
 ……ああ、書いてたらジーンとしちゃったよ(笑)。
 3人の美女は警察学校の出身という設定で、やたら強い。カー・アクションなんかも難なくこなす。そのくせスタイル抜群の美女で、そのファッショナブルな衣装は「ニュートラ」のブームを巻き起こした。
 このTVシリーズが大好きだったのが、プロデュース兼主演のドリュー・バリモア。
 映画は、TVシリーズをぐっと現代的にして、ぎゅううと色々な要素を詰め込んだ感じ。脚本がよく出来ていて、コンパクトな中にムダがない。すかっと爽快な大娯楽映画。やっぱり、娯楽映画を作るにはお金をかけないとダメなんだろうなあ。
 英語もさしてわからなくてもオッケーなあたりが、また素晴らしい(笑)。

 ちなみに、チャーリーの声はTVシリーズと同じ俳優さんが演じているそうだ。日本語版も同じ声優(中村正)さんというのが泣かす。
 個人的にはボスレーの声を富田耕生さんで聞きたかったなー、なんて(笑)。 .


2002/8/3

 『息子ジェフリー・ダーマーとの日々』(ライオネル・ダーマー、小林宏明訳/早川書房 )読了。  たぶん、世界で初めて、連続殺人犯の父親によって書かれた本。
 ジェフリー・ダーマーが逮捕された時期というのは、連続殺人犯の豊作ともいえる時期(ヤな豊作)だったのだが、マスコミは彼を重点的に報道した。それくらいジェフリー・ダーマーの犯罪はセンセーショナルだったのだ。
 彼が取りつかれたのは、死体と死体切断。ひとりぐらしの自室からは男性の体の部分が多数みつかった。冷凍庫には切り取った生首がそのまま入っていたという。
 この本はそうした凄惨な殺人には触れられていない。
 ただ、砂が手のひらからこぼれ落ちていくように、どこかで一線を越えてしまった息子に対する思いと、「どこかで何かできたのではないか」と、後悔しても後悔しきれないような思い。
 自分の子供が殺人犯になるというのは、およそ、人の親として一番恐ろしい出来事のような気がする。
 これはどこか遠くの出来事ではない。
 いつも、すぐそこにある恐怖。
 ジェフリー・ダーマーという物語は、有罪判決後、刑務所に収監されて3年目に終わる。
 彼は刑務所内で同じ囚人に撲殺された。
 しかし、ライオネル・ダーマーの物語は終わらない。ジェフリー・ダーマーの親であることは、ライオネルが死ぬまで、たぶん終わらない。


2002/8/2

 『密室のサイコ・セラピー−女医は患者に何をしたのか−』(ゲリー チェイフェッツ、モーリス チェイ、 青山悟朗訳/イーストプレス)読了。
 サイコとついてはいるが、惨殺も暴行もなく、最近の私の読書歴の中では(比較的)穏やかな1冊である。
 とりあえず、本のカバーの折り返し部分から内容を紹介しよう。

 ハーバード大学の医学生で1991年に自殺したポール・ロザーノの家族が、同大出身のマーガレット・ビーン・バヨグ医師を告訴した。
 セラピーを口実に彼を誘惑し、3歳児に退行させたうえで、異常な肉体関係を結んでいたというのだ。バヨグ医師が書いたというラブレターや、2人の関係を描いたとされる濃厚なSMセックスのファンタジーが公開され、この事件は全米注目の大スキャンダルに発展した。
 しかし『ボストン・グローブ』の記者である著者は、センセーショナルな報道ぶりに疑問を感じ、独自に2人のセラピーの過程を調査する。
 そこで彼が発見したショッキングな真相とは、実は患者のほうが、たくみに女医を「心理操作」していたという事実だった…。

 なんかおもしろそうでしょ?
 でも、読み終わってみると、いまだ真相は闇の中なのであった。
 そりゃ、そーだ。セラピーというのは普通、密室で精神科医と患者で二人でやるものだし、その二人のうち一人が死んでいるなら、もう永遠に本当のことはわからないだろう。
 結果から言うと、ビーン・バヨグは医師免許を失い、ロザーノの遺族側は巨額の示談金を手に入れた。
 ビーン・バヨグ側が無実なら、本当に神も仏もない結果だ。
 医療過誤の問題だけでなく、アメリカの訴訟の実態、アメリカ屈指の大学ハーバードの内紛劇など、複雑にからみあった真実があることはよーくわかった。
 著者はピューリッツァー賞の候補の2度なった記者。
 そして、共著の名をのせている父親は精神科医。(実際は、父は原稿のチェックのみをしたそうだ)  この事件を取り上げる最適任者だったと、思う。
 でも、やっぱり真相は闇の中なのだ。心の治療の問題は本当に難しい。


2002/8/1

 昨日の夜10時半過ぎ。
 向かいの席で残業をしていた後輩Yが突然、
「西瓜、冷やしましょう!」
と、立ち上がる。
 そういえば、いただきものの「
でんすけすいか」があった。なにしろ西瓜1個。冷蔵庫に丸ごと入る場所がなく、2、3日放置状態。
「そうだよね、明日こそ食べたいよね」
「冷やしてないと美味しくないよね」
「私、包丁探して来ます〜」
と、残っていたもので立ちあがり、西瓜をかかえて、ふらふらゾロゾロと冷蔵庫行脚の旅に出る。(人間、働き始めて13時間を越えると、どこか壊れてしまう) 3つある冷蔵庫のひとつの野菜室が、割と有望そうであった。入っていた無数のペットボトルをどかし、賞味期限の過ぎていた食べ物を捨て、さらに汚れていた野菜室を洗う。
 そして、最後に大切な西瓜を冷蔵庫に入れる。
 努力の甲斐あって、西瓜は切らずにまるごと野菜室におさまった。
(後輩Yは野菜室に一緒に包丁も入れていた。人間、働き始めて13時間を越えると(以下略))

 と、いうわけで、本日、そこここで、「西瓜と私」を写真におさめている姿が見られたのであった。
 さすがに1個8,000円という西瓜だけあって、美味しゅうございました。合掌。



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