店主の読書日記 JUL2002
タイトルリスト 作家別リスト

2002/7/31

 es!booksでやっている企画で、ちょっと参加してみたくなったのが「新潮文庫のウラ100冊」。
 新潮文庫との共同企画らしい。もう投票は始まっていて、ランキングも毎日更新されている。内容を見ると結構マトモ。ウラじゃなくて、オモテの100冊でも大丈夫なんじゃ、と、思ったりする。
 一昨年だったか、書店に平積みなった「新潮文庫の100冊」の中に『魔性の子』があったときは、結構な衝撃だった。
「あれを中学生なんかが読んで、感想文書くのかよーっ」
と、売り場で密かに驚いた。
 しかし、文豪の名作とはいえ、谷崎潤一郎の『卍』なんかが入っていてもドキドキしてしまう。なんてったって、主人公の女性は同性愛による四角関係に突入し、最後は情死。
 こんなもの学校の宿題で感想文を書いていいのかなー、と、思いながら、原稿用紙の桝目をうめていたことを思い出す。何を書いたのか既にサッパリ忘れているが、確か「思いがけず爽やかな幕切れ」などと書いたような……(笑)。

 さて、私が選ぶ新潮文庫の100冊である。
 いざ選ぶとなると、これが結構むずかしい。
 私が選ぶんだから、やっぱり海外翻訳だよな。しかし、新潮文庫といえば、海外翻訳の絶版がとっても早いことにかけては定評がある。
 新潮文庫の"絶版"100冊……。
 ……などと考えていたら、当の新潮社から数年前にCD-ROMで発売されていたではありませんか。ラインナップを見ると、なかなかすごい。
 最近TVドラマ化で再ブレイクした菊池寛の『真珠夫人』をはじめとして、野村胡堂の『銭形平次捕物控』、 尾崎士郎『人生劇場』などなど。海外の作品だとルー・ウォーレス『ベン・ハー』、ダーウィン『ビーグル号航海記』、ストー夫人『アンクル・トムの小屋』などなど。
 豪華ラインナップというより、「こんなの絶版にしていいんかい!?」という感じ。
 まあ、売れてない本を出版し続けろ、とは、言えないんですが。

*上記絶版本については、現在、出版社を変えて発行されているものもあります。


2002/7/30

 個人的に、来月は海外TVシリーズ強化月間にしようかと思う。
 「海外ドラマから学ぶものなんて、もうない」と言われるが、私はそうは思わないから。(ちなみに、ミステリについても同様のことが言われて久しい。こちらも、私はそう思わない(笑))
 さっそく、まぐまぐで「海外ドラマNEWS」のメルマガ購読を申し込んだ。申し込み確認メールに関連ページのURLが添付されていたので、ちょっと見てみる。
 うん、これ、なかなかオモシロそう。
 「Gimme A Break! アメリカンTV字幕翻訳者のひとりごと」。
 「CSで放送されている、アメリカのテレビ番組(アニメ、ドラマ、ドキュメンタリーなど)の字幕翻訳を担当しているSIGGYが、翻訳の苦労話や、アメリカンTVの1ファンとして、日ごろ思うことなど、気ままに書」いているML。ちょっと、
バックナンバーを読んでみた。
 自分の知らない専門家のお話というのはおもしろい。その世界ならではの苦労さえ、第三者が読むとおもしろいのだ。
 しかし、エッセイ4の「"ウラ取り"地獄」。これは、苦笑いでしたね。資料にあたる苦労はどこの世界でも一緒なのだわ。
 ふっ。もうちょっとがんばって、猟奇殺人の資料を読むか……。


2002/7/29

 最近、快楽殺人や死体損壊ばっかりだったので、口直しに『楽園の魔女たち−ハッピー・アイランド−』(樹川さとみ/集英社コバルト文庫)を読む。
 今回は、おもしろかったです。
 たぶん、評価は二つにわかれると思うんだけど、それは、この物語が圧倒的にバカバカしいからだと思う。(←誉めている) あとがきで「『フライング・キラー・トマト』のおもしろさを狙ってみました」と書いてあるとおり、ばかばかしいオモシロさに乗れてしまえばオッケー。
 だいたい、私はバカSFとかバカ映画って好きなんだもの(笑)。

 ドクター・カプラーの島から、海を渡って届いたらしいガラスびん。
 たすけて コノしまにきたひと みなしあわせになります――。

 しあわせになるんだったらいいじゃないか、と、思ってはいけない。ドクター・カプラーは人を強制的にしあわせにするのだ。
 ドクター・カプラーの島に潜入したのが、おなじみ"楽園"の魔女たち4人。同じく捜査のために患者として潜入した元スパイの私立探偵、自殺願望のある患者などが入り乱れて大混乱!
 ……という、素敵な内容。
 ドタバタのコメディをこよなく愛する人におすすめ。


2002/7/28

 そういえばウクレレを電車の網棚に置き忘れたとき、西大井と東京駅で届け出をした。
 西大井の駅員さんも、東京駅の駅員さんもとても親切であった。
 しかし、しかしですよ。
 普通、忘れ物の形状というのを説明するじゃないですか。
 私がウクレレを説明しようとすると、なぜか西大井の駅員さんも東京の駅員さんも
「あ、わかりますから」
と、言って、私に説明させてくれない。
 なぜ、なぜだあああっ。なぜ、私に説明させないのか!? マイ・ぷりちーウクレレについて懇切丁寧にたっぷり説明するのにーっ。(←だからだよ)


2002/7/27

 ウクレレ仲間のO村さんが銀座で個展を開くというので、見に行った。最終日なので、これをのがすと来年までないらしい。
 パステル画で南の海を描いたイラストレーション。
 ハワイの、バリの、オーストラリアの海。あるいは、南中の太陽、あるいはサンセットのおだやかな夕暮れ。波も光も一枚一枚表情が違う。
 しかし、行っただけなのにすごく歓待してもらっちゃうし、お茶は出してもらうし、恐縮である。何も買わずに帰って来てしまったのだが、いいのだろうかー。せめて花でも持ってくか、と、思ったけど、最終日だしなあ。
「来ていただいただけでありがたいんですよ」
と、O村さんは言ったけど、なんとなくわかる気もする。
 HPも同じだよね。
 忙しい中、貴重な時間を割いてもらうこと。
 それについてありがとう、なのだと思う。
 って、ことで、私なぞのHPに来て、こうしてヘボ日記を読んで下さる方にも深く感謝。


2002/7/26

 そういえば、先週の金曜日も、先々週も、その前も、そのまた前も夕食は外だったなあ。
 しかも、夜遅くなったので、会社の人と職場から10分圏内で食べているあたり、どーしたものか。
 花金という言葉は、私においては死語である。


2002/7/25

 『シリアル・キラー−心理学者が公開する殺人者たちのカルテ−』(ジョエル・ノリス/早川書房)、読了。
 連続猟奇殺人鬼本が続いて、この日記を読んでくださっている方はそろそろ飽きてきているだろうと思うが、私も飽き飽きである。もうシリアル・キラーもレイプも死体切断も、オナカいっぱいって感じだ。(ヤなオナカいっぱいだなあ、おい)
 著者は精神科医。『
FBI心理分析官』のレスラーや『FBIマインド・ハンター』のダグラスが犯罪者を追うという視点からに比べて、今回は医者の視点から書かれている。
 連続殺人鬼になるには(って、こう書くとhow toものみたいだなー)、大脳のある部分の深刻な損傷をうけている場合がほとんどだそうだ。人間の脳の中にはリミッター機能があって、それがイカれてしまうのだ。怒りや欲望を抑制できなくなる。
 どうも『FBI心理分析官』や『FBIマインド・ハンター』を読んでいると暗い気持ちになってしかたなかった。それは連続猟奇殺人の報告を読まされているせいもあるが、自分が罪なき被害者予備軍というより、連続殺人になる可能性(もちろん、とっても薄いのだけれど)を感じたせいかもしれない。
 犯人のプロファイルを作成するというのは、犯人のように考えなくてはいけなくて、自然、犯人の心の暗闇まで覗くことになるからだ。
 レスラーも書いている。
「怪物を追うものが怪物になってしまっていはいけない」。
 レスラーがする数々の講義で、コピーして生徒に渡すというこのニーチェの文は、恐ろしい可能性の警鐘であるに違いない。
 だから、この本は結構ラクに楽しく読めた。対象物は連続殺人者ではあるけれど、本質は研究レポートである。
 この本の下敷きに、連続殺人鬼育成シュミレーションさえ作れそうな気がするぞ。めちゃくちゃブラックなゲームだけど。(←誰かがもう作ってそうでイヤ)
 つまり、それくらい連続殺人鬼というものを脳神経学・心理的にすっきり説明しているのですね。
 例えば、連続殺人のほとんどが性的暴行がらみである。
 それはなぜか。

 逆接めくが、連続殺人者を生み出す基盤を校正するものは、脳がおのずとバランスをとりもどしてダメージやエラーを補償する、そのジャイロスコープ的な力なのだ。(中略)  防衛機能がどうして破壊的な攻撃行動に発展しうるのかを理解するには、あらゆる生体に働く最大の指令は生きのびることにあるということを理解しなければならない。

 要は性欲は種の保存という生存本能で、そのリミッターがはずれている状態なんだな。
 なんかすっきり理解できてしまったぞ。
 でも、テーマがテーマだけに、理解できたことにも疑問符を感じてしまったり。


2002/7/24

 打ちあわせがあるので銀座へ。
 行きつけの宝飾店の前を通ったら、たまたまお客様を送りに出たカリスマ店員くんがいた。
 目が合った。
 とっさに手を振るカリスマ店員くん。
 よく、道のこっちとあっちでわかったな。つーか、よく月に一度しか来ない客の顔を覚えてるな。やっぱり君はホスト向きだと思うぞ、私は。


2002/7/23

 『異都発掘−新東京物語−』 (荒俣宏/集英社文庫)読了。
 東京逍遥エッセイなのだが、それがマボロシの、とか、想像力の中の、というところがミソ。あるものは過去の幻影の中にしかないし、あるものは人知れずひっそり地中にあるといった具合。
 『
地図から消えた東京遺産』のテイストとやや似てる。そういえば、あの本も荒俣宏が前書きを書いていたのだった。
 荒俣宏前書き、って多いのかな? 『隠された聖地』も荒俣序文だったし。
 少しクセのある文章だが、慣れればスラスラ読める。ただ、内容にもクセがあるので、万人向きじゃないだろう。私はオモシロク読んだけど(笑)。


2002/7/22

 そういえば『天使の牙・下』(大沢在昌/角川文庫)を読み終わっていたんだった。
 ストーリーは王道。予想がつくドラマの中で最後まで読ませるのは、ひたすら筆力の勝利だと思う。
 でも、ハードボイルドだとアスカのキャラ設定は珍しいのかもしれないが、マンガやアニメだとありがちだよな。外見は虫も殺さぬたおやかな美少女、実は究極の殺人マシーンなんて、とってもよくあるもん。


2002/7/21

 なぜか母と「The piano」を見る。日曜恒例となりつつあるビデオ鑑賞アワーである。
 途中で妹が昼寝のため退場してしまったので、「母と」「2人で」「官能の香り高い文芸大作」洋画を見た。しかし、今回は楽勝である。だって、1993年劇場公開当時、私は「ピアノ・レッスン」を見てるのだから。
 が。
 1回見てた私はハーベイ・カイテルとホリー・ハンターの絡み合いあたりから途中参加してしまった。妹は私が参加してすぐ、戦場離脱。
 どうもこの時点で、母にはエイダ(ホリー・ハンター)とベインズ(ハーベイ・カイテル)とスチュアート(サム・ニール)の関係がよくわかってなかったらしい。
 私にかいつまんで説明させた後
「ひどい女だね〜、この女は」
と、感想を言った。
 そりゃ確かにそうだ(笑)。ベインズと関係を持って、それはいいとしても、夫のスチュアートのことはさわるだけさわっといて自分の肌には触れさせない。じらすだけじらせてどーいうつもりなんだッ、と、思わず夫の気持ちになってしまう私である。
 いよいよ、キモ、映画のクライマックスになった。
 失語症のエイダが、自分の声の代わりのピアノの鍵盤をひとつはずして、メッセージを書いてベインズに贈る。夫であるスチュアートはそれを見て怒り……というシーン。
 斧を持って走るスチュアートを見て、母は言った。
「そりゃ、ダンナ怒るよ」。
 まったくである(笑)。
 母と見ているとアカデミー賞3部門受賞の官能の香り高い文芸大作も、お昼のドラマと変わらない。
 映画って一緒に見る人にもよるんだなー、と、思った日デシタ。


2002/7/20

 お引越しをされる未完成人さんのフェアウェル・パーティ。
 昼にランチを食べて、カラオケに行って、鈴子さんの「六神ーっ合ー体っ!」を聞かせてもらって、楽しゅうございました。夕方から用事があって失礼しなければいけなかったので、ちょい心残り。
 また遊んでください。(って、日記を私信に使うなよ、リオハ)

 『FBI心理分析官2』(ロバート・K・レスラー/ハヤカワ文庫NF)読了。
 2は日本先行発売だったらしい。内容も、横浜港親子殺人事件、服部君銃殺事件(「フリーズ!」が有名になったあの事件)からオウムのサリン事件と、日本の事件が多かった。日本の読者を意識した内容なのだろう。意識してなかったら、ちょっとヤダ(笑)。本に取り上げるような凶悪殺人が日本に多いってことだもんな。
 この本によると、世界の連続殺人鬼の75%はアメリカで生産されているという。(シリアル・キラーはアメリカ名物ではないぞ、リオハ) もちろん、各国が正直な統計を出しているとも限らないので、どこまで正確かはわからないけれど。それだけ、先進国型の生活はヤバいということか。
 今回は、ジェフリー・ダーマー(17)と、ジョン・ウェイン・ゲーシー(33)と筆者の会話が興味深かった。
 どちらも同性愛の連続殺人鬼である。ちなみに、カッコの中は年齢でなく、殺害した人数。一応、わかっている数だけなので、これ以上かもしれない。
 ゲーシーが自宅の床下から無数の遺体が発見されたくせに自分の犯罪ではないと言い張るのにくらべ、ダーマーは自分の犯罪に対して素直である。同じ同性愛者の連続殺人鬼でも、かなり違うタイプのパーソナリティーだ。その辺も興味深い。
 ……興味深い、だよなあ。面白い、とはいえないもの。


2002/7/19

 先週、オフィスのホールでSonyPlazaセールがあった。
 私は品川区のイナカで働いている。周辺に人のいる銀行がないくらいのイナカである。お店もあまりない。(1軒あった薬局も、7月で閉店……) だけど、たまにお店の方がこちらに来てくれることがある。行商の人が村々を回る姿にも似ている。
 で、そんなこんなで初めてソニプラが来てくれた。
 商品の中心は輸入菓子。ドリトス、TimTim、Loacker……。
 買いました。買いましたともっ。そりゃもー手提げ袋いっぱい、スーパーの買い物カゴからはみでるくらいたくさん買いましたっ。
 その姿、珍しい品々に我を忘れて限度を越えて買い物をするよう。
 アメリカの商品が多いのでカロリーも表示されてるが、それは見ない。もう絶対見ない。きっと100万キロカロリーくらいあるに違いない。ちなみに、横の写真は素材写真でなく、私が買った商品の一部。少しに見えても、それは視覚のマジック。だって、ドリトスはアメリカン・サイズなんだもの。


2002/7/18

 前々から設定だけ知っていて読みたかった本『天使の牙』(大沢在昌/角川文庫)を読んでみる。
 主人公の女性は、刑事。ある事情により他人の体になってしまう。その体は麻薬組織のボスの愛人の体だった――。
 ハードボイルド作家にしてはけれん味の強い設定だなあ、と、思ったのだ。
 で、実際読んでみたら、もっとぶっとんだ設定でした。
 私はスーパーナチュラルな、死の瞬間ふたつの心がひとつになって、みたいな設定かと思ったら。
 脳移植。
 うーん、すげえ(笑)。最近めったにない素敵な設定。最後に見たのはヒッチコック劇場だった気がするぞ。と、いえば、この設定が流行った時代がわかるに違いない。思わずオリジナルの(文庫化してるから)刊行年月日を確かめちゃったよ。
 ボスの元を逃げた美貌の愛人・神崎はつみ。彼女を保護するための極秘任務を受けた刑事・河野明日香。2人は合流ポイントのホテルでヘリから狙撃される。
 はつみは、こめかみから銃弾が入り脳を損傷。明日香は体に無数の銃撃を受け、心臓他脾臓などの内臓が損傷。無事な脳みそに無事(割と)な体。両方ともムダになっちゃうのはもったいない! ふたつの使えるところを使ってリサイクルだ!
 かくして、うっとりするような美貌とナイスバディ、なかみはタフな女刑事という魅力的なキャラクターが出来あがった。リサイクルに活躍したのは、学会のため集まっていた脳外科医達。ええ、世界有数の脳外科医が現場の近くにゴロゴロいるんです。ええ、たまたま。
 ついでに、組織から追われた主人公が逃げ回るんだけど、拒絶反応抑制の薬を飲んでる気配がちっともないんだよね。(←臓器移植の患者は必ず毎日服用しないといけない)
 こんな風にツッコミどころ満載の作品ではあるが、グイグイ引っ張って読ませるのはすごい。
 ストーリーテリングの技だなあ。下巻も読もうっと。


2002/7/17

 最近、Headline Todayという無料新聞を駅前でもらうのだが、その中にセサミストリートの記事があった。
 セサミにHIV感染のマペット新登場、だそうだ。
 すごい。
 エイズ感染のキャラクターが出ることがすごいんじゃない。ハンディキャップとか、そういうなんらかのチャレンジを持つキャラクターが子供番組に登場すること自体がすごいと思うのだ。
 だって、日本の子供番組ってシアワセ100%の世界じゃないですか。
 もちろん、南アフリカのエイズ問題が深刻だとか事情は色々あるし、そういうキャラクター設定にアメリカでも賛否両論らしいのだけれど、姿勢は評価したいなあ。

 しかし、アニーとバートはゲイのカップルっていう話だし、就学前の児童が見るにはすごい番組だ、セサミストリート。


2002/7/16

 『テニスの王子様14』(許斐剛/集英社ジャンプC)をやっと買う。
 たぶん、全国の人がツッコミをいれていると思うが、手塚部長、アンタは本当に中学生か?(笑)
 でも、簡単に世界をめざしちゃう漫画が氾濫する中、地道に都大会→関東大会とコマを進めていくところは素敵だぞ。その勝負がちょっと中学生離れしているとか、ちょっと日本人ばなれしているとか、ウィンブルドンでもめったに見られない名勝負だったりするのは置いといて。


2002/7/15

 『FBIマインド・ハンター−セックス殺人捜査の現場から−』(ジョン ダグラス、マーク オルシェイカー・, 井坂清訳/早川書房)読了。
「アメリカで『FBI心理分析官』を凌いだベストセラー」とうたい文句にあるように、こちらもプロファイラー書いた本である。著者のジョン・ダグラスは、『
FBI心理分析官』のボブ・レスラーと同じ職場で働き、レスラーの名前も作中に何度も出てくる。
 プロファイルという技術は、比較的新しい技術だ。現在のスタイルまで進化させるには色々な人の色々な努力が必要で、その中には刑務所を巡って連続殺人犯へインタビューする、などというフィールドワークも含まれているのだ。ダグラスとレスラーもコンビを組んで、エド・ケンパーやリチャード・マンソンなどの有名な連続殺人犯にインタビューしている。
 だから、これは『FBI心理分析官』とあわせ技で読むのが正しい。同じ仕事を一緒にしていて、だから同じ殺人犯が何度も登場する。実際の出来事は変わらない。ただ書き手の視線が違う。
 レスラーの『FBI心理分析官』が異常殺人犯にフォーカスされているとしたら、ダグラスの本はプロファイラー(の自分)が焦点だ。プロファイラーになった男の半生記としても読める。だから、どちらが読んでいてラクかというと、こちら。
 また、ダグラスの方がユーモア感覚がきつい。何ヶ所かピックアップしてみようか。
 彼はたびたび警察官向け講習の講師となっている。(年間出張日数は150日!←そりゃ倒れるよ、アンタ……) そういう場面でのエピソード。

 それから日本人警察官のケースもある。彼は他の警官たちに、尊敬を集めているインストラクラーにどう挨拶したらいいかたずねた。そのあげく、わたしが廊下で会うたびに、彼は微笑を浮かべ、丁寧にお辞儀をしてこういった。「ファック・ユー、ミスター・ダグラス」
 わたしは面倒くさいことを避けて、お辞儀を返して、こういった。「ファック・ユー・ツー」

 また、妻に殺されそうになった特別捜査官のエピソードを、こう始めている。

 ジャドソン・レイはクオンティコの生きている伝説のひとりである。彼はもう少しで死んだ伝説になるところだった。

 こういうユーモア感覚をすべての日本人がおもしろく感じるとは思わない。
 プロファイリングという仕事に関しては

 残念ながら、われわれの仕事は成長産業であり、顧客がいなくなることはない。

と、述べているが、頭のカタイ人に言わせると「不謹慎な」と、なるかもしれない。
 でも、たぶん、こうした精神が殺人犯の心理を追う日常から彼を健全な日常に連れ戻しているのだろう。


2002/7/14

 またもや、妹の借りてきたビデオを見る。"Almost Famous"。
 これ、日本公開したのかな〜、と、調べてみたら、今度は公開してました。割と有名どころでない俳優が出てるので、てっきり未公開かと(笑)。
 邦題は『あの頃ペニーレインと』。
 舞台は70年代、15歳の少年ウィリアムは音楽ライターになりたがっていた。ローリング・ストーン誌に大人を装って(電話で)、人気バンド・スティルウォーターのツアー同行記事の仕事を取りつける。
 このウィリアムの同行するバンドのツアータイトルが"Almost Famous Tour"(「ほとんど有名ツアー」←スマートに訳せば「ブレイク寸前ツアー」だろうけど、なんとなく(笑))。
 実は、私にはこの映画を語る資格がないのだった。それは……、それは最後の10分くらい事切れるように寝てしまったから!(笑) 
 やっぱり字幕がないというのは、ひっじょーに(私にとっては)ツライ映画鑑賞なので、ある程度の時間で燃え尽きてしまうらしい。今回の映画は2時間3分。前回の『トルティーヤ・スープ』は、1時間42分。うーむ、ここいらが根性の続く分岐点なんだろうな。そうすると『トイ・ストーリー』なんかはオッケーか。『風と共に去りぬ』なんか、スカーレットが焼け出されたあたりでパッタリ行きそうだ。
 寝てしまった私が言うのも説得力がないが、青春映画の佳作である。脚本、監督のキャメロン・クロウが自分の体験を下敷きに書いた作品だけあって、映画のそこここに未熟な時代のノスタルジーが見える。(クロウはこの作品で第73回アカデミー賞の最優秀脚本賞を受賞している) 70年代のロックシーン、大騒ぎのパーティ、乱ちき騒ぎのハイヤットホテル……。
 でも、そんなものをすっとぱしても映画を魅力的にしているのが、邦題のタイトルにもなっているペニー・レインを演じるケイト・ハドソン。私はグルーピーじゃなくて音楽を愛してバンドを助けるバンドエイドなのよ、という彼女。若く華やかでキラキラして、それでいて傷つきやすそうでもある。
 彼女の衣装もGood。70年代の流行の揺り戻しが来ているだけあって、どれも魅力的。……って、やっぱり物語りやセリフがわからないと、どうしても映像に注目しがちである(笑)。ま、それも一興ってことで。


2002/7/12

「プロとはどういったことでしょう?」
と、これも研修ネタ。本日、宿題のレポートを提出したのでちょっと思い出した。
 隣の席のT村さんは
「愛」
と、お答えでした。続けて「誇り」と。
 なるほどね、素敵(笑)。確かにプロフェッショナルというのは自分の仕事に愛情があって、なおかつ、誇りがあるものだろう。これは、すべての仕事に言えそうだ。

 ところで、研修の際に固定観念に対する簡単なテストをやった。興味のある人はどうぞ。
 メモでも紙の余白でも、近くの紙に1円玉を描いてみてください。中味の柄は描かなくて大丈夫。まわりの丸だけでオッケー。
 描きましたか? はい、では1円玉を取り出して、実際と比べてみましょう。どうでしたか?
 実は、私はほとんど実際と変わらない大きさで描いていた。普通は必ず小さめに描くものらしい。大得意である。対してT村さんの丸は小さすぎた。
「やーい、そんなに小さく描いてやんの。ばーか、ばーか」
(↑実際はここまで言っていない)
 これは何のテストだと思いますか?
 実は、この丸はお金に対する各自の心の持ちようを表すのだという。アメリカで小学生向けに行った実験で(アメリカのテストでは1セント玉で描かせる)、お金持ちの家の子供ほど丸を小さく描くのだそうだ。お金持ちの家の子の方が、1セントに対する自分の評価が小さいから。
 ……ああ……。
 おごれる平家は久しからず。自慢した分、落下速度も大きい。思わぬところで自分の貧乏さを披露してしまったリオハであった……。


2002/7/11

「はい、これ、リオハ(仮名)ちゃんの」
と、先輩のY田さんから白いビニール袋を手渡された。受け取るとずっしり重い。
 中は……アメリカン・チェリーであった。
 そういえば2週間くらい前に、社内販売のお知らせの回覧がまわっていた記憶がある。9kg8,500円。
 9kgで8,500円は高いのか、安いのか。普通、アメリカン・チェリーを9kgという量で買わないのだけは確かである。つーか、アメリカン・チェリー9kgがどれくらいあるか、想像がつかない。
 さすがにそんなにいらないので、私は回覧に書き込んで次にまわしてしまった。
「1kg希望」。
 どうやら、私の後にこの「1kg希望」が続々と続いたらしい。Y田さんは元締めとなり、受け取った9kgのアメリカン・チェリーを計って分けて分配してくれたようだ。
 す、すみません元締め……じゃない、Y田さん。おかげで朝昼晩とチェリーを食べる生活をしなくてすみました。


2002/7/10

 おっかいもの♪おかいもの♪
 お久しぶりでございます。半期に一度の「彼」がやってくる季節となりました。

 とうとう「彼」ったらCDデビューもしてしまうそうで、限定10000枚生産。
 その名も、「おかいものクマさんCD」。
 もちろん予約をしたが、引き取り期限が7/5までなのをうっかり忘れていた。もう流れてしまったかしら(←質流れじゃないって)、と、不安になりながら有楽町西武に電話。私の予約したCDは8Fのクラブ・オン・デスクでしっかりお取り置きしてくれてるとのこと。
 いそいそと引き取りに行き、帰ってさっそく聞いてみた。CDは3曲入り。1曲目が「おかいものクマさんのうた」。2曲目が「くまさんCMメドレー」。3曲目がカラオケ。3曲で1,000円ナリ。ちょっと高いか?
 2曲目のメドレーでは今までのくまさんの勇姿がマブタの裏に浮かぶ。踊りだしたい気持ちになるが、もう大人なのでがまん。(←1月はまだコドモだったのか、リオハ?)


2002/7/9

 なんだか今日はやたらオフィスが快適だ。
 なんと……じゃーん! うちの部に扇風機が導入! 素晴らしーーっ。
 ……。
 …………。
 ……って、何度も書いてるけど、このビル、インテリジェント・ビルなんだって。全館集中管理の。
 部長の席の横にダンボールを置いて、その上で首を振る扇風機は、日本経済の矛盾を体言して……ないか(笑)。いや、でも、こんな1980円ごときの導入で快適になるなら、もっと早く入れてよっ。
 かくして、うちわの代わりに、ペーパウェイトが弊部の必須アイテムとなった。
 今時、扇風機で書類が飛ぶ心配してる会社なんてめったにないだろう。

 『消えた略奪美術品』(コンスタンチン・アキンシャ、グリゴリイ・コズロフ・木原武一訳/新潮社)読了。
 読むのに非常に根性のいる本デシタ。なにしろハードカバーに上下二段組で、そこに果てしなく年号、人物名、美術品の名前が並ぶ。
 タイトルからわかるように、この本のテーマは略奪美術品。ドイツによる損害の代償という名目で、第2次世界大戦後にソ連が略奪していった美術品のゆくえを巡るフィクションである。ドイツ各地から奪い持ちかえった数、実に200万点以上。
 一部は「略奪・破損から正義のソ連が守った」というプロバカンダのために旧東ドイツに返還された。(現ドレスデン美術館のラファエロの「システィーナのマドンナ」など) しかし、大部分は今もなお、まだロシア国内にある。
 しかも、ソ連は略奪した事実を90年代まで隠匿していた!
 その事実をつきとめ、公開したのがこの本の著者ふたり。と、書くとたいそうドラマチックなノンフィクションのようだが、本を読む限りワクワク感はない。著者の腕と、簡単に片付けるのも違うような気がする。
 この本は、調査報告書なのだ。探偵事務局に調査を頼んで出てくる報告書。依頼者には興味深いが一般の人の興味を引けるかというと、また別の話。
 フィクションで「略奪美術品」というと、アローン・エルキンスのクリス・ノーグレンのシリーズを思い出す。シリーズ第1作は、まさに略奪美術品がテーマの本だった。
 略奪された美術品の多くは、移動中に破損したり、コンディションのよくない場所で保管されていたという。きっと、クリスなら胸をかきむしられるような気持ちになるに違いない。


2002/7/8

「言葉が伝えるのは何パーセントだと思いますか?」

 研修ネタばっかりで恐縮だが、これも研修中の質問のひとつ。隣の席の席のT村さんは100%、私は50%と答えた。文章を書いてる人間にしては悲観的な数字かな、と思ったら、統計的には30%だそうだ。
 言葉は30%しか「ほんとう」を伝えない。
 あとの70%は言葉ではない、表情やしぐさや……行動だったりする。
 私達は30%のほんとうの中で何ができるんだろう。

 朝、出勤してみたら、いつも出入りしているドアにテンキーがついていた。
 私の会社はセキュリティのために、ほとんどのドアで暗証番号入力が必要だ。私がいつも出入りしているドアだけは通用口ということで、今まで普通に出入りできたのに……。
 それはともかく、突然変わられてても暗証番号がわかんないっ!
 朝9時少し前、自分の会社に入れなくてたたずむリオハであった……。


2002/7/7

 妹の借りてきたビデオ『トルティーヤ・スープ』を見る。
 これ、日本公開したのかなあ? 字幕のないアメリカ映画という、見ていてツライ映画でございました(笑)。
 主人公は引退したシェフ。このシェフの作る料理が色鮮やかでおいしそうで、ほとんどそれを見たいがために全部見たと言っても過言ではない。
 ANAは機内映画として上映したらしく、HPに紹介があった。ちょっとレビューをいただいてこよう。

『トルティーヤ・スープ』
監督:マリア・リポル、脚本:フイ・リン・ワン、アン・リー
出演:ヘクター・エリゾンド、ジェイド・ヘレラ、ラクエル・ウェルチ
2001年/アメリカ/ロマンティック・コメディ/1時間42分

 アン・リー監督の台湾映画『恋人たちの食卓』(94年)をベースにし、舞台を台湾からロサンゼルスに移した、おいしいコメディです。
 主人公は引退したメキシコ系アメリカ人のシェフ。妻に先立たれた彼は3人の娘のために、腕によりをかけて毎週日曜日の夕食を準備します。けれどそんな父の気合いは、それぞれが独立したライフスタイルをもつ娘たちには必ずしもありがたいことではありません。
 この父のレシピは思いもかけない女性とのロマンスに発展します。中華料理がメキシコ料理に変わったことによって、食は万国共通の愛だと実感します。

 このシェフのお父さんが、ある女の子に素敵な素敵なお弁当を作ってあげる。彼女はお母さんがシングル・マザーで、なかなかお弁当を作ってもらえないのだ。
 お弁当で思い出すのは、幼稚園児の時のこと。
 私の母は私の母だけあって、カワイイ小技などは使わないゴーカイなお弁当を作る人だった。私は、密かにクラスメートのお弁当で見たうずらの卵に憧れていたが、ゴーカイ質素を旨とする母にそんなものを頼んでも、あっさり却下。
 ある日、母が風邪をひいた。母のかわりに、お隣の人が私の幼稚園のお弁当を作ってくれた。
 その中には、憧れのうずらの卵のゆで卵が!
 隣の人の顔も名前も忘れてしまったけど、その嬉しかった気持ちは今でも覚えている。
 映画の中のお弁当も大好評で迎えられ、まわりの子供達も大騒ぎ。
「ぼくのポケモンカードと交換しない?」
と、隣の男の子が言う。その言葉で、どれくらい素敵なお弁当かわかるでしょ?(笑)
 素敵なお料理は、確かに人をシアワセにする。


2002/7/6

 昨日で3日間の研修が終わった。金曜日は、帰りに同じ方向の人がいたので話ながら帰ったのだけど、面白いな、と、思った。
 イマドキの研修なので、実地型の討論などが中心になる。メンバーも毎日変わって、休み時間に話をしたりするのだけれど、何かの拍子には「セプテンバー・イレブンの時はさ」という話になる。
 今から50年くらい前、同年代の人が集まると「戦争の時は……」となったのだろうか。
 そうして考えてみると、あの9/11のテロは私達にとっての戦争体験なんだなあ、と、思ったり。


2002/7/5

 3日間の研修で気がついたこと。
 私の夏のスーツは3日でネタ切れだった……。
(↑本当にこれしか気がついてなかったら、研修に出した上司が泣くぞ、リオハ)

 『−名所探訪−地図から消えた東京遺産』(田中聡/祥伝社ノンポシェット)読了。
 小説NONに連載したものをまとめたそうで、これは連載当時のタイトルの方が内容がよくわかると思う。(『失われた名所ツアー』)
 作者が資料を元にいわくや歴史を語りながら、今は失われた名所を逍遥する。たとえば浅草十二階だったり、鹿鳴館だったり。
 多くの名所は東京では保存されず、小さな記念碑が建つだけ。たまにその記念碑やプレートさえもない。
 まえがきで「東京は決して京都のような都にはなれない」と書かれたそのとおりだ。 
 東京はめまぐるしく変わる近代日本の首都として、小気味いいくらい過去を振り捨ててきた。海外から悪評高い、醜い、ごちゃごちゃした、横にだらだらと広がった首都になった。
 例えば首都移転になったら、ふりかえるもののない、かつて類まれな美女だった老婆のような扱いを受けるに違いない。
 でも、私は東京が好き。愛憎半ばするところももちろんあるのだけれど、やっぱり生まれたところを愛したいなあ、と、思う。古い東京。山の手の多少のんびりした雰囲気。めまぐるしく変わりながら、時代にあわせて変わることこそ東京なのだと主張する、どこかがんこな人々。
 地図から色々なものが消えても変わらないように。


2002/7/4

 そういえば、昨日一番のピンチは研修がはじまってすぐ、集金袋が回ってきた時だった。(←懇親会費用) 同じビルの最上階という、中途ハンパな場所でやっているので、私は財布を持ってきていなかった!
 ……ええ、見も知らぬ(その時点では)隣の席の人に1000円借りましたとも。
 ありがとうございました。T村さん。

 『FBI心理分析官』(ロバート・K.レスラー、トム・シャットマン/ハヤカワ文庫)読了。数年前、すごーく流行った本だが、未読であった。
 ……だって、こわいじゃんっ。
 私の脳みそは、高度映像変換機能つきである。ひらたくいうと、読んだ文章を片っ端から視覚化して頭の中に思い浮かべてしまう。だからこういう殺人事件、しかも、遺体が損傷されたりする殺人事件が描かれてる本はひっじょーにツライ。
 切り裂かれた腹部からはみ出る内臓がてらてら光ってるところとか、体の下のねっとりとした血だまりとか、数日置いて腐ってきたあたりとか、そりゃもーリアルに脳内映像化してしまう。
 まだ、映画を見てた方がラクなくらいだ。
 案の定、ここに出てくる殺人犯の方法は並みじゃない。詳しくは、皆さまの心の健康のためにはぶくが、ぎったぎたのめっちゃめちゃ。
 しかし。
 読み進んでいくと、ある個所でちょっとギクリ。
 連続猟奇殺人犯は例外なく自分の想像を大切にする。絶え間ない空想。それを満足させるために殺人をおかす。
 自慢じゃないが、空想時間なら自信があるぞ。
 うわー、もしかして、私も連続猟奇殺人犯予備軍か!? 自分の空想をまっとうに吐き出す手段があってよかったなあ、おい。
 ……などと思ったあたり、ちょっと危険なのだろうか。
 一般的なことを書いてまとめると、この本は有名な『羊たちの沈黙』のベースになった本。トマス・ハリスはこの本の著者のレスラーにインタビューして、『レッド・ドラゴン』、次に『羊たち……』を書いている。その想像力がまっとうに生かされてることを喜ぶばかり。


2002/7/3

 本日から3日間、研修。タイトルは「ビジネスリーダーマネジメント研修」だそうだ。
 主に入社9年目の幹部候補生向けで……って、なんで私がそんなところにいるんでしょ?(笑) 人事・経営など知らない単語もいっぱい。ROE、EVA、SSCなど知らない略語もいっぱい。何かの役に立つのかな〜、と、思っていた中の講義「差別問題について」。
 これは役に立った……というか、勉強になった。
 民族問題とか障害者問題とか重たいテーマはあるのだが、私にとっては差別用語の項目が。
 感想は、
「うっかり何も言えない」
であった。
 だって、「シナチク」が差別用語なんですよ〜(涙)。(「シナチク」=「支那ちく」。「メンマ」と言い直さなければならない)
 ああ、差別って難しい……。

 資料本が底をついたので、1年くらい前に買って読んでなかったロマンスを読んでみた。『仮面の天使 』(シャーロット・ラム/二見文庫)。
 こうカタイ資料本を続けていて、これを読むと、軟骨をガリガリやっていた後にメレンゲを食べたかのような。(←意味わかりません)
 副題をつけてみよう。
「愛と殺意のベネツィア」。これでどうだ!
 以下、内容は副題から各自推察するように。
 終わり。
 ……。
 …………。
 ダメですか?(笑) はい、では文庫の裏表紙の紹介を転載しよう。

 新進女優ローラは、ノミネートされ真夏ヴェネツィア映画祭に向かった。そこで待ちうけていたのは、かって恋い焦がれた映画監督セバスチャンとの再会だった。彼の妻は数年前に謎の死をとげ、再会をきっかけにローラにも謎の脅迫状が送られて来る……。
 夏と冬のヴェネツィアを舞台に、過去と現在、愛と憎悪が錯綜し、読者をヴェネツィアの運河と迷路にいざなう。ロマンス小説の女王が挑む華麗なるサスペンス。

 と、まあ、まるでローラが主人公のようですが(実際、主人公ですが)、ウェイトは初老の伯爵夫人の半生記の方が強い。どうせなら、1940年代から彼女を主役に据えて書けばいいのにー。
 しかし、久しぶりにロマンス小説を読んで、思った。
 ブロックバスターといわれるほど売れるロマンス作家は、エンターテインすることに一瞬も手を抜かないな、と。
 この物語でも、ベネツィアという舞台、映画界という背景、過去の因縁話、ロマンス、サスペンスと要素もりだくさんである。今一番エンターテイメントしてるのは、もしかしてロマンス業界なのかも。


2002/7/2

 TVで、北海道の犬ゾリレースをやっていた。
 私は以前、カナダに出張した時に犬ゾリ体験をしたことがある。
「リオハ(仮名)は乗ったことがあるんだよね。どうなの? 犬ゾリって」
と、母が聞いた。
「寒い」
 母はこの私の答えに不満だったらしい。
「そうじゃなくて、『楽しい』とか『爽快!』とか」
「寒い」
「……」
「…………」
 だって、考えてみて下さいって。
 外気温はマイナス20℃。体感気温というのは風速1m/秒で1℃下がる。
 風を切って走って、速ければ速いほど、体にあたる風量は多くなる。仮に無風の状態で6頭引きの犬ゾリに乗って風速10m/秒の風を受けると、体感気温はマイナス30℃である。
 マイナス30℃っつーと、まばたきするたびに睫毛が凍るんですよ、お客さんっ。アノラックスのジッパーが首にあたると、そこから凍傷になる温度なんスよっ!
 その状況で、普通の関東人は「楽しい」とか「愉快」とか思えませんって。

 走り終わった後、私はねぎらうつもりで犬と遊んでいた。
 同じ日本人の犬ゾリ体験者から
「犬ゾリ関係の方ですか?」
と、聞かれる。
 ふと気がつくと30分。彼女たちは私より後にゴールし、ゴールし終わったらそそくさと暖房のある車に乗り込んでいた。そうか、普通に犬と遊ぶにはマイナス20℃はちょっと寒いか……。
 いや、走るのは寒いけど、遊ぶのは寒くないのよ(笑)。


2002/7/1

 そういえば、私は今の部署に7/1に異動したのだった。(遠い目) 異動すぐの仕事は、なんと7/3から4日間の出張であった。(さらに遠い目) 場所は苫小牧。(もっと遠い目)
 会社のイベント、ゴルフカップのためである。
 なにしろゴルフに関しては完全なシロウト。ルールも知らない、何も知らない。当時は「みんなのゴルフ」さえプレイしたことがなかった。(「みんゴル」は、ルール把握に役立ちまっせ、皆さん)

 そんな私が、当時このマンガがあったらなあ、と、思った1冊。
 『空の昴』(本島幸久/講談社週刊マガジンKC)。
 小学生の星野昴は体を動かすことが好きな少年だったが、病気で激しいスポーツができなくなってしまう。そんな昴が出会ったのが、ゴルフだった……。
 と、いう話で、もちろん東京に住む普通の小学生がいきなりゴルフをバリバリできるわけもなく、この物語では、その辺を設定でクリアしている。父がかつてアマチュアの名ゴルファーだったとか、北海道に住んでいて下校途中にコースがあるとか。
 でもさ、カナダなんて、小学生が学校帰りにカート引いてプレイしてるんだよ〜。決して、金持ちのスポーツでも、選ばれた人のスポーツでもないんだよう。日本でゴルフが子供のものにならないのは、その高いプレイ・フィーのせいだ。
 だから、少年マンガでゴル漫画というのは本当に少ないと思う。有名な『プロゴルファー猿』を除くと、私はちょっと思いつかない。
 でも、『キャプテン翼』がのちのJリーグの原動力となったように、優れたゴルフ漫画が将来の日本のゴルフの裾野を広げる可能性だってないとも限らない。
 ゴルフのゴの字も知らない小学生の昴と一緒に、ひとつひとつゴルフと仲良くなっていくのは本当に楽しい。
 最近は、オヤジがチューハイとおつまみを片手に帰りの通勤快速に乗り込むように、『空の昴』と一緒に電車に乗り込んでいる私である。



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