さて、前中東戦争でこてんぱんにやられた上、イスラエルの脅威が骨身にしみたナセル大統領に対しソ連は新兵器の供与を提案します。まさにKGBの作戦にハマっているエジプトでした。
エジプトはスエズ対岸に大砲を並べ、イスラエル領となっているシナイ半島へ砲撃を始めました。イスラエルは当然これに対しエジプト側へ越境報復爆撃を敢行します。
イスラエルは、占領しているシナイ半島に植民をはじめ、スエズとの国境に陣地を築きました。これは、シナイ半島は占領地ではなく、イスラエルの領土とする意味を持っています。
一方、エジプトにはソ連から続々と最新兵器が到着していました。こうして、ベトナム上空の空中戦と同じ状態がスエズでもおこります。
星は星でもダビデの星をつけたアメリカ製F−4ファントムU戦闘機とソ連製のMig19が激突します。ベトナムのトンキン湾で撃墜されたのは日本陸軍航空隊第64戦隊、加藤隊長の操縦する隼だけではありません。Mig19もミサイルを装備するファントムUに勝てませんでした。そしてエジプトでも同じ事が起こりました。
ベトナム上空でMig19がファントムUの放った赤外線(熱を感知して追尾する)誘導ミサイルを回避する方法としては、地上の水田をめがけて急降下し、急上昇する事によって、ミサイルは水田に映った太陽に命中するという回避方法が採られました。
しかし、ここは中東、水田はありません。結局撃ちまくられたエジプトはソ連に泣きつきます。そして、ついに軍事顧問団のみならず、実戦要員も配備されるのでした。
赤軍パイロットは新型の世界ベストセラー戦闘機Mig21や最新鋭のMig25までも持ってきました。赤軍パイロットとイスラエルパイロットはスエズ上空で死闘を演ますが、勝負はイスラエルの勝ちに終わりました。赤軍パイロットも実戦経験が豊富なイスラエルにはかなわなかったのでした。
イスラエルの勝ちに終わったという表現をしましたが、ソ連は空中戦で勝てないと悟ると、対空ミサイルSA6を配備する事でイスラエル空軍の攻勢を抑えました。
そんななか、エジプトのナセル大統領が亡くなり、後継者のサダト大統領がソ連の軍事顧問団の解任を要求して、この消耗戦争は終わりました。 |